現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

刑法 指揮監督者相互の注意義務と過失の共同正犯(R6) 最三小決平成28年7月12日

概要
業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには、共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要である。
判例
事案:花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が出た事故が発生したという事案において、警備計画策定の第一次的責任者ないし現地警備本部の指揮官という立場にあった警察署地域官と、同署副署長ないし署警備本部の警備副本部長として同署署長を補佐する立場にあった被告人との間で業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するかが問題となった。

判旨:「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには、共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要であると解されるところ、以上のような明石警察署の職制及び職務執行状況等に照らせば、B地域官が本件警備計画の策定の第一次的責任者ないし現地警備本部の指揮官という立場にあったのに対し、被告人は、副署長ないし署警備本部の警備副本部長として、C署長が同警察署の組織全体を指揮監督するのを補佐する立場にあったもので、B地域官及び被告人がそれぞれ分担する役割は基本的に異なっていた。本件事故発生の防止のために要求され得る行為も、B地域官については,本件事故当日午後8時頃の時点では,配下警察官を指揮するとともに、C署長を介し又は自ら直接機動隊の出動を要請して、本件歩道橋内への流入規制等を実施すること、本件警備計画の策定段階では、自ら又は配下警察官を指揮して本件警備計画を適切に策定することであったのに対し、被告人については、各時点を通じて、基本的にはC署長に進言することなどにより、B地域官らに対する指揮監督が適切に行われるよう補佐することであったといえ、本件事故を回避するために両者が負うべき具体的注意義務が共同のものであったということはできない。被告人につき,B地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立する余地はないというべきである。」
過去問・解説
(R6 司法 第5問 2)
甲及び乙は、危険な作業を共同して行う過程において、Aが負傷する事故を防止するための共同の業務上の注意義務に共同して違反し、Aに傷害を負わせた。甲と乙の間にAの傷害発生についての共謀がなかった以上、甲及び乙に業務上過失致傷罪の共同正犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平28.7.12)は、「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには,共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要であると解される…。」として、共謀がなくとも、共同の注意義務に共同して違反することをもって、業務上過失致傷罪の共同正犯が成立するとしている。
甲及び乙は、Aが負傷する事故を防止するための共同の業務上の注意義務に共同して違反し、Aに傷害を負わせている。
したがって、甲及び乙に業務上過失致傷罪の共同正犯が成立する。
総合メモ
前の判例 次の判例