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刑法 不作為による傷害致死 札幌高判平成12年3月16日

概要
不作為による幇助犯は、正犯者の犯罪を防止しなければならない作為義務のある者が、一定の作為によって正犯者の犯罪を防止することが可能であるのに、そのことを認識しながら、右一定の作為をせず、これによって正犯者の犯罪の実行を容易にした場合に成立し、以上が作為による幇助犯の場合と同視できることが必要である。
判例
事案:同居人による子どもたちへの暴行を黙認し、子どもたちが死亡したという事案において、不作為による幇助犯の成否が問題となった。

判旨:「不作為による幇助犯は、正犯者の犯罪を防止しなければならない作為義務のある者が、一定の作為によって正犯者の犯罪を防止することが可能であるのに、そのことを認識しながら、右一定の作為をせず、これによって正犯者の犯罪の実行を容易にした場合に成立し、以上が作為による幇助犯の場合と同視できることが必要と解される。
 …被告人には、一定の作為によってAのDに対する暴行を阻止することが可能であったところ、関係証拠に照らすと、被告人は、本件せっかんの直前、AとCとのやりとりを聞き、更にAが寝室でDを大きな声で問い詰めるのを聞いて、AがDにせっかんを加えようとしているのを認識していた上、自分がAを監視したり制止したりすれば、Aの暴行を阻止することができたことを認識しながら、いずれの作為にも出なかったものと認められるから、被告人は、右可能性を認識しながら、一定の作為をしなかったものというべきである。 
 …被告人の右不作為の結果、被告人の制止ないし監視行為があった場合に比べて、AのDに対する暴行が容易になったことは疑いがないところ、被告人は、そのことを認識しつつ、当時なおAに愛情を抱いており、Aへの肉体的執着もあり、かつ、Aとの間の第2子を懐妊していることもあって、Dらの母親であるという立場よりもAとの内縁関係を優先させ、AのDに対する暴行に目をつぶり、あえてそのことを認容していたものと認められるから、被告人は、右不作為によってAの暴行を容易にしたものというべきである。 
 以上によれば、被告人の行為は、不作為による幇助犯の成立要件に該当し、被告人の作為義務の程度が極めて強度であり、比較的容易なものを含む前記一定の作為によってAのDに対する暴行を阻止することが可能であったことにかんがみると、被告人の行為は、作為による幇助犯の場合と同視できるものというべきである。」
過去問・解説
(R5 司法 第9問 2)
不作為による幇助犯が成立するためには、作為に出ることで確実に正犯の実行を阻止できたという関係は不要である。

(正答)

(解説)
裁判例(札幌高判平12.3.16)は、「不作為による幇助犯は、正犯者の犯罪を防止しなければならない作為義務のある者が、一定の作為によって正犯者の犯罪を防止することが可能であるのに、そのことを認識しながら、右一定の作為をせず、これによって正犯者の犯罪の実行を容易にした場合に成立し、以上が作為による幇助犯の場合と同視できることが必要と解される。」としている。
不作為による幇助犯が成立するためには、作為に出ることで確実に正犯の実行を阻止できたという関係は不要である。
総合メモ
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