現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
表示できないページです
この機能をご利用いただくにはログインが必要です
刑法 他人を殺した者が死体を放置する行為についての死体遺棄罪の成否(R6) 大判大正13年3月14日
概要
他人を殺した者がその死体を放置する行為について、死体遺棄罪は成立しない。
判例
事案:他人を殺した者が死体を放置したという事案において、死体遺棄罪の成否が問題となった。
判旨:「死體遺棄罪ハ埋葬ニ關スル良俗ニ反スル行爲ヲ罰スルニ在ルヲ以テ死體ヲ其ノ現在セル場所ヨリ他ニ移シテ之ラ放棄スル場合ハ勿論法令又ハ慣習ニ依リ葬祭ヲ爲スヘキ責務アル者若ハ死體ヲ監護スヘキ責務アル者カ擅ニ死體ヲ放置シ其ノ所在ノ場所ヨリ離去スルカ如キモ亦死體遺棄罪ヲ構成スルモノトス而シテ積極的ニ死體ヲ他ニ移シテ之ヲ放棄スル場合ニハ犯人カ其ノ葬祭義務者又ハ監護義務者ナルト否トヲ論セス均シク本罪成立スト雖消極的單ニ死體ヲ放置スルニ止ル場合ニ在テハ法令又ハ慣習ニ依リ葬祭ヲ爲スヘキ責務ヲ有スルカ若ハ死體ヲ監督スヘキ責務ヲ有スルトキニノミ本罪ヲ構成スルモノト謂ハサルヘカラス何トナレハ前者ノ場合ニハ直チニ第190條ノ規定ニ該當スルヲ以テ其ノ葬祭義務者又ハ監護義務者タルト否トヲ別タス死體遺棄罪ノ主體タルコトヲ得ルヤ勿論ナリト雖後者ノ如ク不作爲ニ因ル犯罪ハ原則トシテ法規ノ命スル所ニ違反スルカ又ハ法規ノ禁止ニ違反スル場合ニ非サレハ成立スルコトナケレハナリ」
判旨:「死體遺棄罪ハ埋葬ニ關スル良俗ニ反スル行爲ヲ罰スルニ在ルヲ以テ死體ヲ其ノ現在セル場所ヨリ他ニ移シテ之ラ放棄スル場合ハ勿論法令又ハ慣習ニ依リ葬祭ヲ爲スヘキ責務アル者若ハ死體ヲ監護スヘキ責務アル者カ擅ニ死體ヲ放置シ其ノ所在ノ場所ヨリ離去スルカ如キモ亦死體遺棄罪ヲ構成スルモノトス而シテ積極的ニ死體ヲ他ニ移シテ之ヲ放棄スル場合ニハ犯人カ其ノ葬祭義務者又ハ監護義務者ナルト否トヲ論セス均シク本罪成立スト雖消極的單ニ死體ヲ放置スルニ止ル場合ニ在テハ法令又ハ慣習ニ依リ葬祭ヲ爲スヘキ責務ヲ有スルカ若ハ死體ヲ監督スヘキ責務ヲ有スルトキニノミ本罪ヲ構成スルモノト謂ハサルヘカラス何トナレハ前者ノ場合ニハ直チニ第190條ノ規定ニ該當スルヲ以テ其ノ葬祭義務者又ハ監護義務者タルト否トヲ別タス死體遺棄罪ノ主體タルコトヲ得ルヤ勿論ナリト雖後者ノ如ク不作爲ニ因ル犯罪ハ原則トシテ法規ノ命スル所ニ違反スルカ又ハ法規ノ禁止ニ違反スル場合ニ非サレハ成立スルコトナケレハナリ」
過去問・解説
(R6 司法 第20問 イ)
【事 例】
保険会社の従業員である甲は、顧客Aが独りで住んでいる一戸建て家屋に多額の現金が保管されていることを知り、Aを殺害した上で同現金を手に入れようと計画した。甲は、その計画に従い、某月1日午後4時頃、Aを戸外に連れ出し、麻酔薬を吸引させて気絶させた上、自動車の後部座席にAを押し込み、同車を運転してAを山奥まで運んだ。さらに、甲は、同日午後6時頃、気絶していたAを車外に引っ張り出した上、自殺に見せ掛けるため、大木の枝に縛り付けた縄でAの頸部をくくり、そのままAをつり下げて窒息死させた。甲は、Aが持っていたA方の鍵を入手した上で、その場にAの死体を放置して上記自動車を運転してA方に向かった。甲は、同日午後8時50分頃、上記鍵を使用してA方内に立ち入り、同所に保管されていた現金500万円を自己のかばんに入れて上記計画を完遂した。
甲は、A方を燃やして犯行を隠蔽しようと考え、同日午後9時頃、A方居室の畳に火を放ってA方を出た。その直後、付近住民が異変に気付いてA方内に立ち入り、上記畳を取り外して屋外に投げ捨てたため、同畳以外は焼損しなかった。
甲は、同月5日、逮捕され、その後の弁解録取手続において、自暴自棄になり、警察官Bが甲の弁解を記載した弁解録取書を手で破り捨てた。
Aには死亡事故を起こしたことによる前科があり、乙は、かつてAから同前科があることを聞いていた。乙は、Aが死亡したことを知り、同月7日、インターネットの掲示板に「Aは、事故を起こして人を死なせた前科がある。」と書き込み、インターネットを利用する不特定多数の者が閲覧可能な状態にした。
以下の記述は正しいか。
【記 述】
甲がAを殺した後にその場にAの死体を放置した行為について、甲にはAの葬祭義務がないものの、甲がAを殺した犯人である以上、甲に不作為による死体遺棄罪が成立する。
【事 例】
保険会社の従業員である甲は、顧客Aが独りで住んでいる一戸建て家屋に多額の現金が保管されていることを知り、Aを殺害した上で同現金を手に入れようと計画した。甲は、その計画に従い、某月1日午後4時頃、Aを戸外に連れ出し、麻酔薬を吸引させて気絶させた上、自動車の後部座席にAを押し込み、同車を運転してAを山奥まで運んだ。さらに、甲は、同日午後6時頃、気絶していたAを車外に引っ張り出した上、自殺に見せ掛けるため、大木の枝に縛り付けた縄でAの頸部をくくり、そのままAをつり下げて窒息死させた。甲は、Aが持っていたA方の鍵を入手した上で、その場にAの死体を放置して上記自動車を運転してA方に向かった。甲は、同日午後8時50分頃、上記鍵を使用してA方内に立ち入り、同所に保管されていた現金500万円を自己のかばんに入れて上記計画を完遂した。
甲は、A方を燃やして犯行を隠蔽しようと考え、同日午後9時頃、A方居室の畳に火を放ってA方を出た。その直後、付近住民が異変に気付いてA方内に立ち入り、上記畳を取り外して屋外に投げ捨てたため、同畳以外は焼損しなかった。
甲は、同月5日、逮捕され、その後の弁解録取手続において、自暴自棄になり、警察官Bが甲の弁解を記載した弁解録取書を手で破り捨てた。
Aには死亡事故を起こしたことによる前科があり、乙は、かつてAから同前科があることを聞いていた。乙は、Aが死亡したことを知り、同月7日、インターネットの掲示板に「Aは、事故を起こして人を死なせた前科がある。」と書き込み、インターネットを利用する不特定多数の者が閲覧可能な状態にした。
以下の記述は正しいか。
【記 述】
甲がAを殺した後にその場にAの死体を放置した行為について、甲にはAの葬祭義務がないものの、甲がAを殺した犯人である以上、甲に不作為による死体遺棄罪が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大13.3.14)は、「積極的ニ死體ヲ他ニ移シテ之ヲ放棄スル場合ニハ犯人カ其ノ葬祭義務者又ハ監護義務者ナルト否トヲ論セス均シク本罪成立スト雖消極的單ニ死體ヲ放置スルニ止ル場合ニ在テハ法令又ハ慣習ニ依リ葬祭ヲ爲スヘキ責務ヲ有スルカ若ハ死體ヲ監督スヘキ責務ヲ有スルトキニノミ本罪ヲ構成スルモノト謂ハサルヘカラス」として、葬祭義務がない者が被害者を殺害して死体を放置した場合には遺棄罪が成立しないことを示している。
したがって、甲は、Aを殺した者であり葬祭義務がなくAの死体を放置したとしても、不作為による死体遺棄罪は成立しない。
判例(大判大13.3.14)は、「積極的ニ死體ヲ他ニ移シテ之ヲ放棄スル場合ニハ犯人カ其ノ葬祭義務者又ハ監護義務者ナルト否トヲ論セス均シク本罪成立スト雖消極的單ニ死體ヲ放置スルニ止ル場合ニ在テハ法令又ハ慣習ニ依リ葬祭ヲ爲スヘキ責務ヲ有スルカ若ハ死體ヲ監督スヘキ責務ヲ有スルトキニノミ本罪ヲ構成スルモノト謂ハサルヘカラス」として、葬祭義務がない者が被害者を殺害して死体を放置した場合には遺棄罪が成立しないことを示している。
したがって、甲は、Aを殺した者であり葬祭義務がなくAの死体を放置したとしても、不作為による死体遺棄罪は成立しない。