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短答判例
不法領得の意思 大判大正4年5月21日
概要
窃盗罪の成立に必要な故意とは、法定の犯罪構成要件たる事実に対する認識の他、不法にものを自己に領得する意思があることを必要とする。そして、不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用若しくは処分する意思である。
判例
事案:窃盗の成立のために、不法領得の意思が必要であるかが問題となった。
判旨:「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス
領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」
判旨:「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス
領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」
過去問・解説
(R2 共通 第20問 ア)
甲は、某所公園内において、ベンチ上に置いてあるバッグ1個を発見し、誰かが置き忘れたものと考え、警察に届け出るため、これを手に取り、同公園から路上に出た。甲の行為は、Vによる占有の回復を困難にする行為であるため、窃盗罪又は占有離脱物横領罪が成立する。
甲は、某所公園内において、ベンチ上に置いてあるバッグ1個を発見し、誰かが置き忘れたものと考え、警察に届け出るため、これを手に取り、同公園から路上に出た。甲の行為は、Vによる占有の回復を困難にする行為であるため、窃盗罪又は占有離脱物横領罪が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大4.5.21)は、窃盗の事案において、「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス」として、窃盗罪の成立には故意に加えて不法領得の意思が必要であるとした上で、「領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」として、窃盗罪の成立には不法領得の意思が必要であることを示している。
甲は、警察に届けるためにバッグを手にとったのであるから、不法領得の意思が認められない。
したがって、甲に窃盗罪又は占有離脱物横領罪は成立しない。
判例(大判大4.5.21)は、窃盗の事案において、「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス」として、窃盗罪の成立には故意に加えて不法領得の意思が必要であるとした上で、「領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」として、窃盗罪の成立には不法領得の意思が必要であることを示している。
甲は、警察に届けるためにバッグを手にとったのであるから、不法領得の意思が認められない。
したがって、甲に窃盗罪又は占有離脱物横領罪は成立しない。
(R8 共通 第2問 3 改題)
甲の占有する動産を窃取した疑いで警察官の取調べを受けた被疑者は、「この社員証は、上司である甲が会社で保管していたものであることを知っていたが、甲を困らせて日頃のうっぷんを晴らそうと思い、会社の自分のロッカー内に隠しておいた。」と供述した。
この供述の内容は、窃盗罪の成立を否定する主張となる。
この供述の内容は、窃盗罪の成立を否定する主張となる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大4.5.21)は、窃盗の事案において、「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス」として、窃盗罪の成立には故意に加えて不法領得の意思が必要であるとした上で、「領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」としている。
被疑者は、甲を困らせて日頃のうっぷんを晴らすため、社員証を会社の自己のロッカー内に隠したに過ぎず、社員証をその経済的用法に従い利用若しくは処分する意思は認められない。
したがって、被疑者には、不法領得の意思が認められず、窃盗罪は成立しない。よって、窃盗罪の成立を否定する主張となる。
判例(大判大4.5.21)は、窃盗の事案において、「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス」として、窃盗罪の成立には故意に加えて不法領得の意思が必要であるとした上で、「領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」としている。
被疑者は、甲を困らせて日頃のうっぷんを晴らすため、社員証を会社の自己のロッカー内に隠したに過ぎず、社員証をその経済的用法に従い利用若しくは処分する意思は認められない。
したがって、被疑者には、不法領得の意思が認められず、窃盗罪は成立しない。よって、窃盗罪の成立を否定する主張となる。