現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
刑法 詐欺罪における「財物」 最一小決昭和51年4月1日
概要
農地法の規定により国が所有する未墾地の売渡事務をつかさどる県知事を欺罔し、売渡処分名下に右土地の所有権を取得した行為は、それが農業生産力の推進という農業政策上の国家的法益の侵害に向けられた側面を有するものであるとしても、246条1項の詐欺罪にあたる。
判例
事案:農地法の規定により国が所有する未墾地の売渡事務をつかさどる県知事を欺罔し、売渡処分名下に右土地の所有権を取得したという事案において、詐欺罪の成否が問題となった。
判旨:「国がその所有する本件未墾地を農地法61条以下の規定により売渡処分をする旨を公示したところ、被告人両名は、原審相被告人乙と共謀し、右甲が国の定める増反者等選定の基準適格者であることを奇貨として、同人において、農地法所定の趣旨に従ってみずから右土地を保有し、これを開墾利用して自己の営農に役立てる意思がなく、売渡しを受けたうえは被告人丙にその所有権を取得させ、同人の隠居所敷地に供する意図であるのに、この事情を秘匿し、売渡事務をつかさどる県知事にあて、所定の買受予約申込書等の必要書類を順次提出してその売渡しを求め、同知事を欺罔して右甲が売渡処分名下に本件国有地の所有権を得した、というのであって、これによれば、被告人らの行為は刑法246条1項に該当し、詐欺罪が成立するものといわなければならない。被告人らの本件行為が、農業政策という国家的法益の侵害に向けられた側面を有するとしても(農地法にはかかる行為を処罰する規定はない。)、その故をもって当然に、刑法詐欺罪の成立が排除されるものではない。欺罔行為によって国家的法益を侵害する場合でも、それが同時に、詐欺罪の保護法益である財産権を侵害するものである以上、当該行政刑罰法規が特別法として詐欺罪の適用を排除する趣旨のものと認められない限り、詐欺罪の成立を認めることは、大審院時代から確立された判例であり、当裁判所もその見解をうけついで今日に至っているのである…」
判旨:「国がその所有する本件未墾地を農地法61条以下の規定により売渡処分をする旨を公示したところ、被告人両名は、原審相被告人乙と共謀し、右甲が国の定める増反者等選定の基準適格者であることを奇貨として、同人において、農地法所定の趣旨に従ってみずから右土地を保有し、これを開墾利用して自己の営農に役立てる意思がなく、売渡しを受けたうえは被告人丙にその所有権を取得させ、同人の隠居所敷地に供する意図であるのに、この事情を秘匿し、売渡事務をつかさどる県知事にあて、所定の買受予約申込書等の必要書類を順次提出してその売渡しを求め、同知事を欺罔して右甲が売渡処分名下に本件国有地の所有権を得した、というのであって、これによれば、被告人らの行為は刑法246条1項に該当し、詐欺罪が成立するものといわなければならない。被告人らの本件行為が、農業政策という国家的法益の侵害に向けられた側面を有するとしても(農地法にはかかる行為を処罰する規定はない。)、その故をもって当然に、刑法詐欺罪の成立が排除されるものではない。欺罔行為によって国家的法益を侵害する場合でも、それが同時に、詐欺罪の保護法益である財産権を侵害するものである以上、当該行政刑罰法規が特別法として詐欺罪の適用を排除する趣旨のものと認められない限り、詐欺罪の成立を認めることは、大審院時代から確立された判例であり、当裁判所もその見解をうけついで今日に至っているのである…」