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刑法 詐欺罪の成否(三角詐欺) 最二小決平成15年12月9日
概要
甲が乙から儀式料名下に金員を詐取するに当たり、甲の意を受けた乙において、甲から商品を購入したように仮装して信販業者丙との間で立替払契約を締結し、同契約に基づき商品購入代金として丙から甲に金員を交付させる方法により儀式料を支払った場合には、甲及び乙の丙に対する行為が詐欺罪を構成するかどうかにかかわらず、甲の乙に対する行為は詐欺罪を構成する。
判例
事案:甲が乙から儀式料名下に金員を詐取するに当たり、甲の意を受けた乙において、甲から商品を購入したように仮装して信販業者丙との間で立替払契約を締結し、同契約に基づき商品購入代金として丙から甲に金員を交付させる方法により儀式料を支払ったという事案において、詐欺罪の成否が問題となった。
判旨:「被告人は、他の1名と共謀の上、病気などの悩みを抱えている被害者らに対し、真実は、被害者らの病気などの原因がいわゆる霊障などではなく、『釜焚き』と称する儀式には直接かつ確実に病気などを治癒させる効果がないにもかかわらず、病気などの原因が霊障であり、釜焚きの儀式には上記の効果があるかのように装い、虚偽の事実を申し向けてその旨誤信させ、釜焚き料名下に金員を要求した。
そして、被告人らは、釜焚き料を直ちに支払うことができない被害者らに対し、被害者らが被告人らの経営する薬局から商品を購入したように仮装し、その購入代金につき信販業者とクレジット契約(立替払契約)を締結し、これに基づいて信販業者に立替払をさせる方法により、釜焚き料を支払うように勧めた。これに応じた被害者らが上記薬局からの商品売買を仮装の上クレジット契約を締結し、これに基づいて信販業者が被告人らの管理する普通預金口座へ代金相当額を振込送金した。
…被告人らは、被害者らを欺き、釜焚き料名下に金員をだまし取るため、被害者らに上記クレジット契約に基づき信販業者をして立替払をさせて金員を交付させたものと認めるのが相当である。この場合、被告人ら及び被害者らが商品売買を仮装して信販業者をして立替金を交付させた行為が信販業者に対する別個の詐欺罪を構成するか否かは、本件詐欺罪の成否を左右するものではない。
したがって、被告人に対し本件詐欺罪の成立を認めた原判断は、正当である。」
判旨:「被告人は、他の1名と共謀の上、病気などの悩みを抱えている被害者らに対し、真実は、被害者らの病気などの原因がいわゆる霊障などではなく、『釜焚き』と称する儀式には直接かつ確実に病気などを治癒させる効果がないにもかかわらず、病気などの原因が霊障であり、釜焚きの儀式には上記の効果があるかのように装い、虚偽の事実を申し向けてその旨誤信させ、釜焚き料名下に金員を要求した。
そして、被告人らは、釜焚き料を直ちに支払うことができない被害者らに対し、被害者らが被告人らの経営する薬局から商品を購入したように仮装し、その購入代金につき信販業者とクレジット契約(立替払契約)を締結し、これに基づいて信販業者に立替払をさせる方法により、釜焚き料を支払うように勧めた。これに応じた被害者らが上記薬局からの商品売買を仮装の上クレジット契約を締結し、これに基づいて信販業者が被告人らの管理する普通預金口座へ代金相当額を振込送金した。
…被告人らは、被害者らを欺き、釜焚き料名下に金員をだまし取るため、被害者らに上記クレジット契約に基づき信販業者をして立替払をさせて金員を交付させたものと認めるのが相当である。この場合、被告人ら及び被害者らが商品売買を仮装して信販業者をして立替金を交付させた行為が信販業者に対する別個の詐欺罪を構成するか否かは、本件詐欺罪の成否を左右するものではない。
したがって、被告人に対し本件詐欺罪の成立を認めた原判断は、正当である。」
過去問・解説
(H23 共通 第3問 5)
甲は、乙に対し、乙の居宅は耐震補強工事をしないと地震の際に危険である旨嘘を言い、その旨乙を誤信させて必要のない工事契約を締結させたが、乙には資金がなかったことから、乙が甲の妻丙が経営する家具店から家具を購入したように仮装して、その購入代金について乙と信販会社との間で立替払契約を締結させ、これに基づき、同信販会社から丙名義の預金口座に工事代金相当額の振込みを受けた。甲に詐欺罪が成立する。
甲は、乙に対し、乙の居宅は耐震補強工事をしないと地震の際に危険である旨嘘を言い、その旨乙を誤信させて必要のない工事契約を締結させたが、乙には資金がなかったことから、乙が甲の妻丙が経営する家具店から家具を購入したように仮装して、その購入代金について乙と信販会社との間で立替払契約を締結させ、これに基づき、同信販会社から丙名義の預金口座に工事代金相当額の振込みを受けた。甲に詐欺罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平15.12.9)は、いわゆる三角詐欺の事案において、「被告人らは、被害者らを欺き、釜焚き料名下に金員をだまし取るため、被害者らに上記クレジット契約に基づき信販業者をして立替払をさせて金員を交付させたものと認めるのが相当である。この場合、被告人ら及び被害者らが商品売買を仮装して信販業者をして立替金を交付させた行為が信販業者に対する別個の詐欺罪を構成するか否かは、本件詐欺罪の成否を左右するものではない。」として、詐欺罪が成立することを示している。
したがって、信販会社をして丙名義の口座へ振り込ませた行為について、甲に詐欺罪が成立する。
判例(最決平15.12.9)は、いわゆる三角詐欺の事案において、「被告人らは、被害者らを欺き、釜焚き料名下に金員をだまし取るため、被害者らに上記クレジット契約に基づき信販業者をして立替払をさせて金員を交付させたものと認めるのが相当である。この場合、被告人ら及び被害者らが商品売買を仮装して信販業者をして立替金を交付させた行為が信販業者に対する別個の詐欺罪を構成するか否かは、本件詐欺罪の成否を左右するものではない。」として、詐欺罪が成立することを示している。
したがって、信販会社をして丙名義の口座へ振り込ませた行為について、甲に詐欺罪が成立する。