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刑法 業務上横領罪と詐欺罪の区別 東京高判昭和28年6月12日
概要
無尽会社の正当な権限を有する集金人が、費消を目的として集金する行為は、詐欺罪でなく業務上横領罪を構成する。
判例
事案:無尽会社の正当な権限を有する集金人が、自己費消を目的として集金した事案において、詐欺罪と業務上横領罪のいずれが成立するかが問題となった。
判旨:「然し乍ら被告人は右判示の様に昭和26年10月15日解雇されるに至る迄は前記会社の外務員として無尽契約の募集及び掛金の集金の業務に従事していたものであるから、無尽掛金集金の権限をもっていたものであり、従って被告人が原判示の様に仮令その集金を自己の用途に費消するつもりであって会社に入金するつもりがないのにも拘らず、之を秘して、Vから原判示第一1乃至27、V2から同第二1乃至16、V3から同第三1乃至24各記載の様に夫々無尽掛金を受領したとしても、右解雇迄の右集金は正当権限に基く無尺掛金の集金行為であり、又正当権限を有する被告人に無尽掛金として交付した右V外2名の支払行為は即時且当然に右会社に対して有効な掛金の支払となるものであって、被告人に右集金の際受領金の使途について不法の意図があったとしても、右は単に動機の不法に過ぎないもので右集金行為を違法ならしめるものではない。従って被告人が右集金行為後に右金員を擅に自己の用途に費消或はその目的の為に着服したときは業務上横領罪が成立する(此の点については訴因の釈明変更等の手続を必要とする)は格別、右集金行為が詐欺罪にあたるものということはできない。」
判旨:「然し乍ら被告人は右判示の様に昭和26年10月15日解雇されるに至る迄は前記会社の外務員として無尽契約の募集及び掛金の集金の業務に従事していたものであるから、無尽掛金集金の権限をもっていたものであり、従って被告人が原判示の様に仮令その集金を自己の用途に費消するつもりであって会社に入金するつもりがないのにも拘らず、之を秘して、Vから原判示第一1乃至27、V2から同第二1乃至16、V3から同第三1乃至24各記載の様に夫々無尽掛金を受領したとしても、右解雇迄の右集金は正当権限に基く無尺掛金の集金行為であり、又正当権限を有する被告人に無尽掛金として交付した右V外2名の支払行為は即時且当然に右会社に対して有効な掛金の支払となるものであって、被告人に右集金の際受領金の使途について不法の意図があったとしても、右は単に動機の不法に過ぎないもので右集金行為を違法ならしめるものではない。従って被告人が右集金行為後に右金員を擅に自己の用途に費消或はその目的の為に着服したときは業務上横領罪が成立する(此の点については訴因の釈明変更等の手続を必要とする)は格別、右集金行為が詐欺罪にあたるものということはできない。」
過去問・解説
(R1 司法 第16問 ウ)
新聞販売店から集金業務を委託されている集金員が、集金した購読料を同店に持ち帰らずに自己の用途に費消するつもりであるのに、これを秘して、正規の手続や方式に従って購読者から購読料を集金し、自己の遊興費に費消した。この者に業務上横領罪が成立するか。
新聞販売店から集金業務を委託されている集金員が、集金した購読料を同店に持ち帰らずに自己の用途に費消するつもりであるのに、これを秘して、正規の手続や方式に従って購読者から購読料を集金し、自己の遊興費に費消した。この者に業務上横領罪が成立するか。
(正答)〇
(解説)
裁判例(東京高判昭28.6.12)は、本肢と同種の事案において、「被告人が右集金行為後に右金員を擅に自己の用途に費消或はその目的の為に着服したときは業務上横領罪が成立する…。」としている。
したがって、集金業務を委託されている集金員が正規の手続や方式に従って集金し、自己の遊興費に費消した場合、業務上横領罪が成立する。
裁判例(東京高判昭28.6.12)は、本肢と同種の事案において、「被告人が右集金行為後に右金員を擅に自己の用途に費消或はその目的の為に着服したときは業務上横領罪が成立する…。」としている。
したがって、集金業務を委託されている集金員が正規の手続や方式に従って集金し、自己の遊興費に費消した場合、業務上横領罪が成立する。