現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

刑法 民法上の金銭の占有と横領罪の成否 大判大正11年1月17日

概要
商業使用人が主人のために売掛代金の取り立てするときは金銭の所有権は主人に所属し、その保管中これを自己の用途に費消したときは横領罪を構成する。自己の占有する他人の金銭を費消する者が後日これを賠償する意思あるか否かは横領罪の成立に影響を及ぼさない。
判例
事案:会社に雇われ集金事務を行う者が同社の売り掛金を取立て自己の用途に費消したという事案において、民法上の金銭は占有と所有が一致することから、横領罪の成否が問題となった。

判旨:「商業使用人カ主人ノ為ニ売掛代金ノ取立ヲ為シタルトキハ金銭ノ所有権ハ主人ニ帰属シ其ノ保管中擅ニ之ヲ自己ノ用途ニ費消シタルトキハ横領罪ヲ構成ス
 自己ノ占有スル他人ノ金銭ヲ費消スル者カ後日之ヲ弁償スルノ意思アリタリヤ否ハ横領罪ノ成立ニ影響ヲ及ホサス
 刑法第253条ニ所謂業務ニハ特定人ノ委託ヲ受ケテ一定ノ事務ヲ行フモノト不特定ナル多数人ノ委託ヲ受ケテ之ヲ行フモノトニ依リ区別アルコトナシ」
過去問・解説
(H22 司法 第11問 ウ)
甲は、乙社に勤務し、同社の取引先からの集金業務に従事していたところ、取引先から現金50万円を集金した後、これを自己の借金の返済に充てようと思い付き、上司に「集金の途中でひったくりに遭った。」と嘘の報告をし、50万円を同社に納めるのを免れた。甲に業務上横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.1.17)は、本肢と同種の事案において、「商業使用人カ主人ノ為ニ売掛代金ノ取立ヲ為シタルトキハ金銭ノ所有権ハ主人ニ帰属シ其ノ保管中擅ニ之ヲ自己ノ用途ニ費消シタルトキハ横領罪ヲ構成ス」とした上で、「自己ノ占有スル他人ノ金銭ヲ費消スル者カ後日之ヲ弁償スルノ意思アリタリヤ否ハ横領罪ノ成立ニ影響ヲ及ホサス」として、被用者が売掛金の取立をした場合にも金銭の所有権は使用者に帰属し、その金銭を費消した場合には、後に弁償する意思があっても業務上横領罪が成立することを示している。
甲が集金した50万円の所有権は、刑事上委託者である乙社に認められるから、当該金銭は他人の物に当たり、50万円を同社に納めるのを免れる行為は横領罪の実行行為に当たる。
したがって、甲には業務上横領罪が成立する。
総合メモ
前の判例 次の判例