現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
刑法 債権譲渡人が通知する前に受領した弁済金を費消した場合の横領罪の戒否(R6) 最一小決昭和33年5月1日
概要
債権譲渡人が未だその通知をしないうちに債務の弁済として受領した金銭を自己のため費消した場合、横領罪が成立する。
判例
事案:債権譲渡人が未だその通知をしないうちに債務の弁済として受領した金銭を自己のため費消したという事案において、横領罪の成否が問題となった。
原審「債権を譲渡して、いまだ債権譲渡の通知を出さなかったとしても、該通知は債務者に対する対抗要件たるに止り、債権を譲渡した相手方たる前記協同組合と被告人が代表者取締役である前記A株式会社との間においては、右債権は完全に譲渡されて、右A株式会社は既に権利を失い、B株式会社から支払われた金員は右協同組合の所有に帰するわけであるから、右A株式会社が所有権を取得するいわれはない。従って被告人が該金員を右債務者より受領保管中自己又は右A株式会社のために擅に使用するにおいては、自己の占有する他人の金員を自己又は第三者のために領得費消したこととなるから、横領罪を構成することは明かである。」
最判:「原判決が同判示のごとき理由から、本件につき横領罪の成立を認めた第1審判決を是認したのも正当である。」
原審「債権を譲渡して、いまだ債権譲渡の通知を出さなかったとしても、該通知は債務者に対する対抗要件たるに止り、債権を譲渡した相手方たる前記協同組合と被告人が代表者取締役である前記A株式会社との間においては、右債権は完全に譲渡されて、右A株式会社は既に権利を失い、B株式会社から支払われた金員は右協同組合の所有に帰するわけであるから、右A株式会社が所有権を取得するいわれはない。従って被告人が該金員を右債務者より受領保管中自己又は右A株式会社のために擅に使用するにおいては、自己の占有する他人の金員を自己又は第三者のために領得費消したこととなるから、横領罪を構成することは明かである。」
最判:「原判決が同判示のごとき理由から、本件につき横領罪の成立を認めた第1審判決を是認したのも正当である。」
過去問・解説
(R6 司法 第6問 3)
A社の代表取締役である甲は、A社が有する債権をB組合に譲渡したが、同債権の債務者Cに対する債権譲渡の通知をする前に、Cから債務の弁済として現金を受領し、同現金をB組合に無断で自己のために費消した。この場合、上記通知がされていないから、甲にはB組合に対する横領罪は成立しない。
A社の代表取締役である甲は、A社が有する債権をB組合に譲渡したが、同債権の債務者Cに対する債権譲渡の通知をする前に、Cから債務の弁済として現金を受領し、同現金をB組合に無断で自己のために費消した。この場合、上記通知がされていないから、甲にはB組合に対する横領罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決昭33.5.1)は、「債権を譲渡して、いまだ債権譲渡の通知を出さなかったとしても、該通知は債務者に対する対抗要件たるに止り、債権を譲渡した相手方たる前記協同組合と被告人が代表者取締役である前記A株式会社との間においては、右債権は完全に譲渡されて、右A株式会社は既に権利を失い、B株式会社から支払われた金員は右協同組合の所有に帰するわけである…。」とした上で、「自己の占有する他人の金員を自己又は第三者のために領得費消したこととなるから、横領罪を構成することは明かである。」とした原審(広島高判昭32.10.10)の判断を正当であるとしている。
したがって、債権の債務者Cに対する債権譲渡の通知をする前に現金を受領し自己のために費消した行為について、債権譲渡通知がなされていないとしても、甲にはB組合に対する横領罪が成立する。
判例(最決昭33.5.1)は、「債権を譲渡して、いまだ債権譲渡の通知を出さなかったとしても、該通知は債務者に対する対抗要件たるに止り、債権を譲渡した相手方たる前記協同組合と被告人が代表者取締役である前記A株式会社との間においては、右債権は完全に譲渡されて、右A株式会社は既に権利を失い、B株式会社から支払われた金員は右協同組合の所有に帰するわけである…。」とした上で、「自己の占有する他人の金員を自己又は第三者のために領得費消したこととなるから、横領罪を構成することは明かである。」とした原審(広島高判昭32.10.10)の判断を正当であるとしている。
したがって、債権の債務者Cに対する債権譲渡の通知をする前に現金を受領し自己のために費消した行為について、債権譲渡通知がなされていないとしても、甲にはB組合に対する横領罪が成立する。