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刑法 横領罪の成否 大判大正2年6月12日

概要
委託を受けて占有する他人の物を売り渡そうとしたときに、相手方が購入の意思表示をしなくても、売却の意思表示をもって横領罪が成立する。 
判例
事案:委託を受けて占有する他人の物を売り渡そうとしたときに、相手方が購入の意思表示をしなくても、売却の意思表示をもって横領罪が成立するかが問題となった。

判旨:「苟モ自己ノ占有セル他人ノ物ヲ不法ニ売渡サントスル行為アルニ於テハ相手方カ之ヲ買受クル意思表示ヲ為スヲ竢タスシテ横領罪ハ完成シ其領得物ハ賍物タルノ性質ヲ具有スルモノトス従テ情ヲ知リテ之ヲ買受ケタル相手方ノ行為ハ横領罪ノ共犯ニ非スシテ賍物故買罪ニ該当スルモノトス」
過去問・解説
(H20 司法 第18問 ア)
甲が、乙から賃借している同人所有の骨董品について、その売却代金を自己の借金の返済に充てるつもりで乙に無断で丙にその買取りを求めた場合、甲の行為は不法領得の意思が外部的に発現したといえるから、丙が買受けの意思表示をしなくても甲には横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大2.6.12)は、「自己ノ占有セル他人ノ物ヲ不法ニ売渡サントスル行為アルニ於テハ相手方カ之ヲ買受クル意思表示ヲ為スヲ竢タスシテ横領罪ハ完成シ其領得物ハ賍物タルノ性質ヲ具有スルモノトス」として、売却による横領行為があった場合、相手方の買受の意思表示なくして横領罪は既遂に達することを示している。
したがって、甲が買取りを求めた行為は横領に当たり、丙が買受けの意思表示をしなくても甲には横領罪が成立する。

(H21 司法 第16問 ウ)
甲に適用される法律を判例の立場に従って検討し、旧法が適用される場合には1を、新法が適用される場合には2を選びなさい。
甲は、自己が所有している宝石を乙に売却する契約を締結してその代金を受領したが、同宝石を乙に引き渡す前に、丙との間で同人に同宝石を売却する契約を締結し、その引渡しを済ませた。丙との前記契約を締結した後、丙に同宝石を引き渡す前に横領罪の法定刑を重くする改正法が施行された。

(正答)1

(解説)
判例(大判大2.6.12)は、「自己ノ占有セル他人ノ物ヲ不法ニ売渡サントスル行為アルニ於テハ相手方カ之ヲ買受クル意思表示ヲ為スヲ竢タスシテ横領罪ハ完成シ其領得物ハ賍物タルノ性質ヲ具有スルモノトス」として、売却による横領行為があった場合、相手方の買受の意思表示なくして横領罪は既遂に達することを示している。
甲は、旧法下において、丙との間で自己の所有する宝石を売却する契約を締結しており、この時点で既遂となる。
したがって、旧法下で既に横領罪が成立している以上、旧法が適用される。

(R3 予備 第8問 3)
所有者から動産を賃借している者が、同動産の売却代金を自己の生活費として費消するため、所有者に無断で、第三者に同動産の売却を申し入れたが、同人から買受けの意思表示がない場合、他人の所有権を侵害する状態には至っていないから、横領罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大2.6.12)は、「自己ノ占有セル他人ノ物ヲ不法ニ売渡サントスル行為アルニ於テハ相手方カ之ヲ買受クル意思表示ヲ為スヲ竢タスシテ横領罪ハ完成シ其領得物ハ賍物タルノ性質ヲ具有スルモノトス」として、売却による横領行為があった場合、相手方の買受の意思表示なくして横領罪は既遂に達することを示している。
したがって、賃借人が売却を申し入れた行為が横領行為に当たり、第三者が買受けの意思表示をしなくても横領罪が成立する。
総合メモ
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