①文書が「猥褻文書」に当たるかどうかの判断は、当該文書についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。
②文書が「猥褻文書」に当たるかどうかは、一般社会において行われている良識、すなわち、社会通念に従って判断すべきものである。社会通念は、個々人の認識の集合又はその平成均値でなく、これを超えた集団意識であり、個々人がこれに反する認識をもつことによって否定されるものでない。猥褻性の存否は、当該作品自体によって客観的に判断すべきものであって、作者の主観的意図によって影響されるものではない。そして芸術的作品であっても猥褻性を有する場合があるし、芸術的、学問的その他の意図を有する文書は極端に猥褻なものといえども猥褻文書から除外され、猥褻文書はいわゆる春本の類に限局されることになる。作品の誠実性が必ずしもその猥褻性を解消するものとは限らない。
③175条に規定する猥褻文書販売罪の犯意がありとするためには、当該記載の存在の認識とこれを頒布、販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要とするものではない。
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刑法 チャタレイ事件上告審判決 最大判昭和32年1月13日
概要
判例
事案:出版社が性的に過激な表現を含む書籍を出版した事案において、当該書籍が猥褻文書に当たるかが問題となった。
判旨:「著作自体が刑法175条の猥褻文書にあたるかどうかの判断は、当該著作についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。
…猥褻性の存否は純客観的に、つまり作品自体からして判断されなければならず、作者の主観的意図によって影響さるべきものではない。…作品の誠実性必ずしもその猥褻性を解消するものとは限らない。
…また、刑法175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。かりに主観的には刑法175条の猥褻文書にあたらないものと信じてある文書を販売しても、それが客観的に猥褻性を有するならば、法律の錯誤として犯意を阻却しないものといわなければならない。猥褻性に関し完全な認識があったか、未必の認識があったのにとどまっていたか、または全く認識がなかったかは刑法38条3項但書の情状の問題にすぎず、犯意の成立には関係がない。」
判旨:「著作自体が刑法175条の猥褻文書にあたるかどうかの判断は、当該著作についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。
…猥褻性の存否は純客観的に、つまり作品自体からして判断されなければならず、作者の主観的意図によって影響さるべきものではない。…作品の誠実性必ずしもその猥褻性を解消するものとは限らない。
…また、刑法175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。かりに主観的には刑法175条の猥褻文書にあたらないものと信じてある文書を販売しても、それが客観的に猥褻性を有するならば、法律の錯誤として犯意を阻却しないものといわなければならない。猥褻性に関し完全な認識があったか、未必の認識があったのにとどまっていたか、または全く認識がなかったかは刑法38条3項但書の情状の問題にすぎず、犯意の成立には関係がない。」
過去問・解説
(H20 司法 第7問 オ)
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解したものの、その程度の性的描写であれば刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断し、同文書を販売した。この場合、甲にはわいせつ文書販売罪は成立しない。
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解したものの、その程度の性的描写であれば刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断し、同文書を販売した。この場合、甲にはわいせつ文書販売罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、文書の意味内容を理解した上で、その程度の性的描写であれば刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断していたが、客観的にはわいせつな文書を販売している。
したがって、甲にはわいせつ文書販売罪が成立する。
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、文書の意味内容を理解した上で、その程度の性的描写であれば刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断していたが、客観的にはわいせつな文書を販売している。
したがって、甲にはわいせつ文書販売罪が成立する。
(H23 共通 第18問 3)
甲は、自己が経営する店において、わいせつな映像を録画したDVDを販売したが、あらかじめ同DVDの映像を再生してその内容を認識していたものの、この程度ではわいせつ図画に当たらないと考えていた。この場合、甲にはわいせつ図画販売罪が成立しない。
甲は、自己が経営する店において、わいせつな映像を録画したDVDを販売したが、あらかじめ同DVDの映像を再生してその内容を認識していたものの、この程度ではわいせつ図画に当たらないと考えていた。この場合、甲にはわいせつ図画販売罪が成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、あらかじめDVDの映像を再生して内容を認識した上で、この程度ではわいせつ図画に当たらないと考えていたが、客観的にはわいせつな映像を録画したDVDを販売している。
したがって、甲にはわいせつ図画販売罪が成立する。
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、あらかじめDVDの映像を再生して内容を認識した上で、この程度ではわいせつ図画に当たらないと考えていたが、客観的にはわいせつな映像を録画したDVDを販売している。
したがって、甲にはわいせつ図画販売罪が成立する。
(H29 司法 第3問 ウ)
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解しつつも、刑法上のわいせつな文書に該当しないと考え、多数の者に販売した。この場合、甲にわいせつ物頒布罪の故意は認められない。
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解しつつも、刑法上のわいせつな文書に該当しないと考え、多数の者に販売した。この場合、甲にわいせつ物頒布罪の故意は認められない。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、文書の意味内容を理解した上で、刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断していたが、客観的にはわいせつな文書を多数の者に販売している。
したがって、甲にはわいせつ文書販売罪の故意が認められる。
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、文書の意味内容を理解した上で、刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断していたが、客観的にはわいせつな文書を多数の者に販売している。
したがって、甲にはわいせつ文書販売罪の故意が認められる。
(R1 司法 第11問 4)
甲は、わいせつな映像を録画したDVDを、あらかじめその内容を再生して確認し、この程度ではわいせつ物には当たらないと考えて、多数の者に販売した。この場合、甲には、わいせつ物頒布罪が成立する。
甲は、わいせつな映像を録画したDVDを、あらかじめその内容を再生して確認し、この程度ではわいせつ物には当たらないと考えて、多数の者に販売した。この場合、甲には、わいせつ物頒布罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、あらかじめDVDの内容を再生して内容を確認し、この程度ではわいせつ物には当たらないと考えていたが、客観的にはわいせつな映像を録画したDVDを多数の者に販売している。
したがって、甲にはわいせつ図画販売罪が成立する。
判例(最大判昭32.3.13)は、「175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。」としている。
甲は、あらかじめDVDの内容を再生して内容を確認し、この程度ではわいせつ物には当たらないと考えていたが、客観的にはわいせつな映像を録画したDVDを多数の者に販売している。
したがって、甲にはわいせつ図画販売罪が成立する。