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刑法 「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を…公然と陳列した」の意義 最三小決昭和33年9月5日
概要
観覧料を徴収し、外部との交通を遮断した自宅2階3畳間で観客5名位に対し猥褻映画を上映して観覧させた場合、その5名が予ねて力車屋等において上映者の依頼に応じ勧誘案内して来た者である以上、わいせつ物頒布罪の「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を…公然と陳列した」場合に当たる。
判例
事案:不特定多数を勧誘し、特定少数人に外部との交通を遮断し猥褻映画を上映して観覧させた事案において、わいせつ物頒布罪の「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を…公然と陳列した」の意義が問題となった。
判旨:「公然陳列するとは、猥褻の図画を不特定又は多数の人の観覧し得べき状態に置くことをいうものと解すべきことは、所論のとおりである…被告人が、本件所為に出たのは、猥褻映画を好む米兵を客として猥褻映画を上映し、観覧料を徴収して利益を得ることを目的としたものであり、その客を集めるについては…客の周旋方を依頼しておき、これら力車屋が動誘して連れて来る米兵達を誰彼を問わず被告人方に案内し、数人集まる毎に、観覧料を徴収した上、原判示の被告人方2階3畳の間において、猥褻映画を上映して観覧させ、これら米兵達が帰った後は、更に、力車屋らの連れて来る他の米兵達に前同様観覧させるというようなことを繰り返していたものであることが認め得られるのであって、たとえ、原判決認定の本件映画を上映していた際には、所論のように、右3畳の間と外部との交通を遮断し、かつ、観客も原判示5名の米兵に限られていたとしても、右5名は、全く不特定のうちの5名であって、結局不特定の人の観覧し得べき状態においたものというべきであるから、被告人の原判示所為は、正に、刑法第175条所定の猥褻の図画を公然陳列した場合に該当するものといわなければならない。(原判決)」
判旨:「公然陳列するとは、猥褻の図画を不特定又は多数の人の観覧し得べき状態に置くことをいうものと解すべきことは、所論のとおりである…被告人が、本件所為に出たのは、猥褻映画を好む米兵を客として猥褻映画を上映し、観覧料を徴収して利益を得ることを目的としたものであり、その客を集めるについては…客の周旋方を依頼しておき、これら力車屋が動誘して連れて来る米兵達を誰彼を問わず被告人方に案内し、数人集まる毎に、観覧料を徴収した上、原判示の被告人方2階3畳の間において、猥褻映画を上映して観覧させ、これら米兵達が帰った後は、更に、力車屋らの連れて来る他の米兵達に前同様観覧させるというようなことを繰り返していたものであることが認め得られるのであって、たとえ、原判決認定の本件映画を上映していた際には、所論のように、右3畳の間と外部との交通を遮断し、かつ、観客も原判示5名の米兵に限られていたとしても、右5名は、全く不特定のうちの5名であって、結局不特定の人の観覧し得べき状態においたものというべきであるから、被告人の原判示所為は、正に、刑法第175条所定の猥褻の図画を公然陳列した場合に該当するものといわなければならない。(原判決)」
過去問・解説
(H28 共通 第8問 4)
甲は、不特定多数の通行人を勧誘して5名の客を集めた上、自宅であるマンションの一室において、外部との出入りを完全に遮断した状態で、わいせつな映像が録画されたDVDを再生し、その5名の客に有料で見せた。この場合、甲にはわいせつ物公然陳列罪が成立する。
甲は、不特定多数の通行人を勧誘して5名の客を集めた上、自宅であるマンションの一室において、外部との出入りを完全に遮断した状態で、わいせつな映像が録画されたDVDを再生し、その5名の客に有料で見せた。この場合、甲にはわいせつ物公然陳列罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決昭33.9.5)は、本肢と同種の事案において、「たとえ、原判決認定の本件映画を上映していた際には、所論のように、右3畳の間と外部との交通を遮断し、かつ、観客も原判示5名の米兵に限られていたとしても、…被告人の原判示所為は、正に、刑法第175条所定の猥褻の図画を公然陳列した場合に該当するものといわなければならない。」とした原審(東京高判昭33.4.22)の判断を正当としている。
甲は、特定少数人の5名の客に有料で見せているが、不特定多数を勧誘した結果であり、公然性が認められる。
したがって、甲にはわいせつ物公然陳列罪が成立する。
判例(最決昭33.9.5)は、本肢と同種の事案において、「たとえ、原判決認定の本件映画を上映していた際には、所論のように、右3畳の間と外部との交通を遮断し、かつ、観客も原判示5名の米兵に限られていたとしても、…被告人の原判示所為は、正に、刑法第175条所定の猥褻の図画を公然陳列した場合に該当するものといわなければならない。」とした原審(東京高判昭33.4.22)の判断を正当としている。
甲は、特定少数人の5名の客に有料で見せているが、不特定多数を勧誘した結果であり、公然性が認められる。
したがって、甲にはわいせつ物公然陳列罪が成立する。