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刑法 免許証の偽造と偽造公文書行使罪 最二小決昭和52年4月25日
概要
偽造にかかる自動車運転免許証表示の有効期間が3ケ月余経過した時点であっても、警察官をして、真正に作成され、かつ、被告人が自動車運転免許を受けたものであると誤信させるに足りる外観を具備していると認められる本件免許証の提示行為は、偽造公文書の行使にあたる。
判例
事案:窃取した他人の免許証に自己の写真を貼り替えて、被告人が免許証の交付を受けた他人であるかのように作出して免許証を偽造したうえ、これを交通取締の警察官に提示したが、有効期限が過ぎていたという事案において、偽造公文書行使罪の成否が問題となった。
判旨:「被告人は、窃取したAの自動車運転免許証に自己の写真を貼り替えて、あたかも被告人が自動車運転免許証の交付を受けたAであるかのように作出して神奈川県公安委員会作成名義の自動車運転免許証1通を偽造したうえ、これを交通取締の警察官に提示したところ、警察官は、直ちに右免許証表示の有効期間が3ケ月余経過していることに気付いたが、右免許証が真正に作成されたものであって被告人が運転免許を受けたものであると誤信したまま、無免許運転の取調べに入ったというのであり、右事実によれば、本件偽造運転免許証は、表示の有効期間を3ケ月余経過した時点であっても、警察官をして自動車運転免許証自体は真正に作成されたものであって、被告人が自動車運転免許を受けたものであると誤信させるに足りる外観を具備していたことが明らかであるから、右提示行為をもって偽造公文書の行使にあたるとした原判断は正当である。」
判旨:「被告人は、窃取したAの自動車運転免許証に自己の写真を貼り替えて、あたかも被告人が自動車運転免許証の交付を受けたAであるかのように作出して神奈川県公安委員会作成名義の自動車運転免許証1通を偽造したうえ、これを交通取締の警察官に提示したところ、警察官は、直ちに右免許証表示の有効期間が3ケ月余経過していることに気付いたが、右免許証が真正に作成されたものであって被告人が運転免許を受けたものであると誤信したまま、無免許運転の取調べに入ったというのであり、右事実によれば、本件偽造運転免許証は、表示の有効期間を3ケ月余経過した時点であっても、警察官をして自動車運転免許証自体は真正に作成されたものであって、被告人が自動車運転免許を受けたものであると誤信させるに足りる外観を具備していたことが明らかであるから、右提示行為をもって偽造公文書の行使にあたるとした原判断は正当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第4問 1)
甲は、他人の自動車運転免許証に甲の写真を貼り付けた偽造自動車運転免許証を入手し、これを携帯して自動車を運転中に検問で停止を求められ、情を知らない警察官に同免許証を真正に成立したものとして提示した。提示した時には同免許証に表示されている有効期間が経過していたとしても、甲には偽造公文書行使罪が成立する。
甲は、他人の自動車運転免許証に甲の写真を貼り付けた偽造自動車運転免許証を入手し、これを携帯して自動車を運転中に検問で停止を求められ、情を知らない警察官に同免許証を真正に成立したものとして提示した。提示した時には同免許証に表示されている有効期間が経過していたとしても、甲には偽造公文書行使罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決昭52.4.25)は、本肢と同種の事案において、「本件偽造運転免許証は、表示の有効期間を3ケ月余経過した時点であっても、警察官をして自動車運転免許証自体は真正に作成されたものであって、被告人が自動車運転免許を受けたものであると誤信させるに足りる外観を具備していたことが明らかであるから、右提示行為をもって偽造公文書の行使にあたる…。」として、法的に無効な文書であっても偽造公文書行使罪の客体になりうることを示している。
甲が免許証を提示した時には同免許証に表示されている有効期間が経過していたが、情を知らない警察官に同免許証を真正に成立したものとして提示しているから、甲には偽造公文書行使罪が成立する。
判例(最決昭52.4.25)は、本肢と同種の事案において、「本件偽造運転免許証は、表示の有効期間を3ケ月余経過した時点であっても、警察官をして自動車運転免許証自体は真正に作成されたものであって、被告人が自動車運転免許を受けたものであると誤信させるに足りる外観を具備していたことが明らかであるから、右提示行為をもって偽造公文書の行使にあたる…。」として、法的に無効な文書であっても偽造公文書行使罪の客体になりうることを示している。
甲が免許証を提示した時には同免許証に表示されている有効期間が経過していたが、情を知らない警察官に同免許証を真正に成立したものとして提示しているから、甲には偽造公文書行使罪が成立する。