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刑法 職務執行妨害罪における「暴行」の意義 最三小判昭和37年1月23日

概要
職務執行妨害罪の「暴行」とは、公務員に対し、直接であると間接であるとを間わず不法な攻撃を加えることをいう。
判例
事案:県教職員組合の組合活動に従事していた被告人が、A教諭が組合活動に非協力的であると憤慨し、暴行を加え、Aの職務の執行を妨害したという事案において、職務執行妨害罪における「暴行」の意義が問題となった。

判旨:「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいうのであって、被告人の本件所為が右の暴行にあたることは明らかである。」
過去問・解説
(H20 司法 第4問 ア)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、丙が付近道路に止めていたパトカーの発進を阻止するため、自己が運転していた自動車を、同パトカーが発進することの障害となる位置に移動して駐車させた。このため、丙は、職務質問後、乙を直ちに最寄りの警察署に任意同行することができなかった。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
甲は、パトカーが発進することの障害となる位置に移動して駐車させたにすぎず、不法な攻撃すなわち公務員に向けられた有形力の行使があったとはいえない。
したがって、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

(H20 司法 第4問 ウ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。 
甲は、職務質問を受けている乙の左手をつかんで引っ張り、その場から走って逃走したところ、これを追いかけた丙が、走りながら、乙の右手をつかもうとして手を伸ばしたが、乙の右手をつかめずにバランスを崩して道路上に転倒した。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
甲は、職務質問を受けている乙の左手をつかんで引っ張ったにすぎず、不法な攻撃すなわち公務員丙に向けられた有形力の行使があったとはいえない。
したがって、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

(H23 予備 第8問 3)
甲は、パトロールカーに乗って警ら中の警察官乙を認めるや、以前乙によって逮捕されたことを恨んでいたので、乙の乗っていたパトロールカーに石を投げ付けて同車のフロントガラスに命中させ、同ガラスにひび割れを生じさせた。甲には、器物損壊罪が成立するが、公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
乙の乗るパトロールカーに石を投げる行為は、乙に対する間接的な不法な有形力の行使であるといえるから、暴行に当たる。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

(H28 司法 第10問 3)
甲は、制服警察官乙から職務質問を受けている丙の右手をつかんで引っ張り、その場から一緒に走って逃走したところ、これを追い掛けた乙が、走りながら、丙の肩をつかもうとして手を伸ばしたが、その肩をつかめずにバランスを崩して路上に転倒した。甲の丙に対する行為は乙に対する暴行とはいえないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
甲は、職務質問を受けている丙の左手をつかんで引っ張ったにすぎず、不法な攻撃すなわち公務員乙に向けられた有形力の行使があったとはいえない。
したがって、甲に公務執行妨害罪は成立しない。
総合メモ
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