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刑法 職務執行妨害罪の暴行、脅迫と結果発生の要否 最三小判昭和33年9月30日

概要
①公務執行妨害罪は公務員が職務を執行する際、これに対して暴行または脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りる。
②職務執行中の警察官に対する投石行為は、たとえそれが只1回であっても、95条1項の暴行に該当する。
判例
事案:検挙又は警備をしていた警察官に対して投石したという事案において、①職務執行妨害罪の暴行、脅迫と結果発生の要否、②職務執行中の警察官に対する投石行為が95条1項の暴行に該当するかが問題となった。

判旨:「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。(昭和24年(れ)第2898号、同25年10月20日第二小法廷判決集4巻10号2115頁参照)。そして投石行為はそれが相手に命中した場合は勿論、命中しなかった場合においても本件のような状況の下に行われたときは、暴行であることはいうまでもなく、しかもそれは相手の行動の自由を阻害すべき性質のものであることは経験則上疑を容れないものというべきである。されば本件被告人等の各投石行為はその相手方である前記各巡査の職務執行の妨害となるべき性質のものであり、従って公務執行妨害罪の構成要件たる暴行に該当すること明らかである。そうだとすれば被告人等の各投石行為がたとえ只1回の瞬間的なものであったとしても、かかる投石行為があったときは、前説示のとおり、直ちに公務執行妨害罪の成立があるものといわなければならない。」
過去問・解説
(H20 司法 第4問 イ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、丙に対し、こぶし大の石1個を投げたが、丙の頭部をかすめたにすぎず、職務質問に現実の支障は発生しなかった。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲の投石行為で石が丙の頭部をかすめたにすぎず、職務質問に現実の支障は発生しなかったが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

(H20 司法 第4問 オ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、乙を逃走させるため、丙の背部をいきなり足で蹴って転倒させたが、乙は観念していたので逃走しなかった。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲が警察官丙の背部を足で蹴って転倒させたところ、乙は観念していたので逃走しなかったために現実の支障は発生していないが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

(H23 予備 第8問 5)
甲は、警察官乙により、逮捕状を示されて逮捕されそうになった際、逮捕を免れるため、乙に暴行を加えて抵抗したものの、結局、その場で、前記逮捕状により逮捕された。甲には公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲は、逮捕を免れるため、警察官乙に暴行を加えて抵抗したものの、結局その場で逮捕されているから現実の支障は発生していないが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

(H25 共通 第16問 エ)
甲は、無許可のデモ行進に参加していた際、これを解散させようとした警察官乙に向かって石を1回投げ、その石は乙の頭部付近をかすめたが、乙には命中しなかった。公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲の投石行為で石が乙の頭部をかすめたにすぎず、警察官乙には命中しなかったが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

(H28 司法 第10問 5)
甲は、制服警察官乙から丙が職務質問を受けているのを見て、これをやめさせようと拳大の石塊を乙に向けて投げ、その臀部に命中させたが、乙が職務質問を中断することはなかった。現実に乙の職務の執行を妨害するに至っていないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲は、拳大の石塊を警察官乙に向けて投げその臀部に命中させたものの、乙が職務質問を中断することはなかったものの、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。
総合メモ
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