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刑法 第238条

条文
第238条(事後強盗)
 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
過去問・解説
(H27 共通 第16問 2)
事後強盗罪は、強盗罪と同様、財物と財産上の利益について成立する。

(正答)  

(解説)
窃盗罪は、「財物」のみを客体とする犯罪であるから、財産上の利益を客体とする場合は成立しない。そうである以上、財産上の利益を客体とする場合、「窃盗が」という要件を満たさないから、事後強盗罪(238条)も成立しない。

(R1 司法 第2問 ア)
甲及び乙は、宝石商の丙から宝石を奪うことを計画した。その計画は、甲が、宝石取引のあっせんにかこつけてホテルの一室に丙を呼び出し、別室の顧客に見せる必要があるとうそを言って丙から宝石を受領し、甲の退室後に、乙が同室に入って丙を殺害するという内容であった。 
甲は、計画に従って、ホテルの一室で丙から宝石を受領して退室し、それと入れ替わりに同室に立ち入った乙が丙の腹部を包丁で刺し、丙に重傷を負わせたが、殺害には至らなかった。 
この事例で、甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合、甲及び乙に、事後強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。

(正答)  

(解説)
甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合、甲及び乙は、詐欺罪の共犯にとどまり、「窃盗が」という要件を満たさないから、事後強盗(238条)による強盗殺人未遂罪(240条後段、243条)は成立しない。この場合、甲及び乙には、詐取した宝石の返還請求を免れるという「財産上…利益」を客体として、究極的な反抗抑圧手段である殺害という「暴行」を行ったとして、強盗利得罪(236条2項)による強盗殺人未遂罪が成立する。

(R3 共通 第18問 4)
甲は、窃盗の目的で乙宅に侵入し、金品を物色中、乙に発見されたため、この機会に乙に暴行を加えて金品を奪おうと考え、乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え、金品を奪った。この場合、甲には、事後強盗罪が成立する。

(正答)  

(解説)
「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防」ぐためにというには、先行する窃盗が既遂に達していることが必要である。
甲は、金品を物色中であり、窃盗は既遂に達していないから、乙に対する暴行は、「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防」ぐために行われたものであるとはいえず、事後強盗罪(238条)は成立しない。本肢の事例では、強盗取得罪(236条1項)が成立する。
総合メモ
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