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当事者適格(法定訴訟担当)
相続人が被相続人の遺言執行者を被告として確認の訴えを提起することの可否 最三小判昭和31年9月18日
概要
相続人は、遺言の無効を主張して、相続財産につき持分を有することの確認を求める場合、被相続人の遺言執行者を被告とすることができる。
判例
事案: 相続人が、被相続人の遺言執行者を被告として確認の訴えを提起した事案において、遺言執行者を被告とすることができるかが問題となった。
判旨:「遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係ある財産については相続人は処分の権能を失い(民法1013条(現:民法1013条1項))、独り遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであって(同1012条(現:民法1012条1項))、遺言執行者はその資格において自己の名を以て他人のため訴訟の当事者となりうるものと云わなければならない。本件において、被上告人等は本件不動産は亡猛雄の所有であつたが、その死亡により共有持分権を有するに至ったと主張し、遺言執行者たる上告人にその確認を求めるものであるところ、上告人は右不動産は遺言によりすべて訴外牧野エイの所有に帰したと主張して被上告人の権利を争うものである。従って本件が被上告人の勝訴に確定すれば、所論の如く、遺言は執行すべき内容を有せず、遺言執行者はその要なきに帰するけれども、若し敗訴すれば、本件不動産はすべて遺言によりエイに帰属したものとして執行せられることとなるのである。かかる場合においては、被上告人等は遺言執行者たる上告人に対し本件不動産について共有持分権の確認を求める利益があり、その効果は牧野エイに及ぶものといわなければならない。」
判旨:「遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係ある財産については相続人は処分の権能を失い(民法1013条(現:民法1013条1項))、独り遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであって(同1012条(現:民法1012条1項))、遺言執行者はその資格において自己の名を以て他人のため訴訟の当事者となりうるものと云わなければならない。本件において、被上告人等は本件不動産は亡猛雄の所有であつたが、その死亡により共有持分権を有するに至ったと主張し、遺言執行者たる上告人にその確認を求めるものであるところ、上告人は右不動産は遺言によりすべて訴外牧野エイの所有に帰したと主張して被上告人の権利を争うものである。従って本件が被上告人の勝訴に確定すれば、所論の如く、遺言は執行すべき内容を有せず、遺言執行者はその要なきに帰するけれども、若し敗訴すれば、本件不動産はすべて遺言によりエイに帰属したものとして執行せられることとなるのである。かかる場合においては、被上告人等は遺言執行者たる上告人に対し本件不動産について共有持分権の確認を求める利益があり、その効果は牧野エイに及ぶものといわなければならない。」
過去問・解説
(H20 司法 第57問 4)
相続人が遺言の無効を主張して、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求める訴えを提起するときは、遺言執行者を被告とすることは許されない。
相続人が遺言の無効を主張して、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求める訴えを提起するときは、遺言執行者を被告とすることは許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭31.9.18)は、「遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係ある財産については相続人は処分の権能を失い(民法1013条(現:民法1013条1項))、独り遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであって(同1012条(現:民法1012条1項))、遺言執行者はその資格において自己の名を以て他人のため訴訟の当事者となりうる…。」として、相続人が遺言の無効を主張して、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求める訴えを提起した場合、遺言執行者が被告となりうることを示している。
判例(最判昭31.9.18)は、「遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係ある財産については相続人は処分の権能を失い(民法1013条(現:民法1013条1項))、独り遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであって(同1012条(現:民法1012条1項))、遺言執行者はその資格において自己の名を以て他人のため訴訟の当事者となりうる…。」として、相続人が遺言の無効を主張して、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求める訴えを提起した場合、遺言執行者が被告となりうることを示している。
総合メモ
遺言執行者がいる場合の遺贈義務の履行を求める訴えの被告適格 最二小判昭和43年5月31日
概要
遺言執行者がいる場合、被告適格を有する者は遺言執行者に限られ、相続人はその適格を有しない。
判例
事案:被相続人から建物についてそれぞれ2分の1の割合で遺贈を受けた者らが相続人に対して、遺贈を原因とする共有持分二分の一ずつの所有権移転登記手続を求めたところ、遺言執行人が指定されていた事案において、遺言執行者がいる場合の遺贈義務の履行を求める訴えについて、被告適格は誰に認められるかが問題となった。
判旨:「遺言の執行について遺言執行者が指定されまたは選任された場合においては、遺言執行者が相続財産…に必要な一切の行為をする権利義務を有し、相続人は相続財産ないしは右特定財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできないこととなるのであるから(民法1012条ないし1014条(現:1012条1項、1014条1項))、本訴のように、特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する…。」
判旨:「遺言の執行について遺言執行者が指定されまたは選任された場合においては、遺言執行者が相続財産…に必要な一切の行為をする権利義務を有し、相続人は相続財産ないしは右特定財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできないこととなるのであるから(民法1012条ないし1014条(現:1012条1項、1014条1項))、本訴のように、特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する…。」
過去問・解説
(H20 司法 第57問 1)
特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起するときは、相続人ではなく遺言執行者を被告とすべきである。
特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起するときは、相続人ではなく遺言執行者を被告とすべきである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.5.31)は、「特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する」と判示している。
したがって、特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起するときは、相続人ではなく遺言執行者を被告とすべきである。
判例(最判昭43.5.31)は、「特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する」と判示している。
したがって、特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起するときは、相続人ではなく遺言執行者を被告とすべきである。
(H24 共通 第58問 2)
特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起する場合において、遺言執行者がいるときは、相続人ではなく遺言執行者を被告としなければならない。
特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起する場合において、遺言執行者がいるときは、相続人ではなく遺言執行者を被告としなければならない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.5.31)は、判例(最判昭43.5.31)は、「特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する」と判示している。
したがって、特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起する場合において、遺言執行者がいるときは、相続人ではなく遺言執行者を被告としなければならない。
判例(最判昭43.5.31)は、判例(最判昭43.5.31)は、「特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する」と判示している。
したがって、特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起する場合において、遺言執行者がいるときは、相続人ではなく遺言執行者を被告としなければならない。
総合メモ
遺言執行者がある場合に包括受遺者が遺贈義務の履行を求める訴の被告適格 最二小判昭和51年7月19日
概要
相続人が遺言の執行としてされた遺贈による所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えについては、遺言執行者がある場合でも、受遺者を被告とすべきである。
判例
事案:遺言の執行がすでに行われた後に、遺言執行者に対して所有権移転仮登記抹消登記手続請求が適された事案において、遺言の執行が既に行われた後に訴えを提起する場合の被告適格が誰に認められるかが問題となった。
判旨:「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」
判旨:「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」
過去問・解説
(H20 司法 第57問 2)
遺言の執行として受遺者に対し遺贈による所有権移転登記がされている場合において、相続人が当該所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起するときは、遺言執行者を被告とすべきである。
遺言の執行として受遺者に対し遺贈による所有権移転登記がされている場合において、相続人が当該所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起するときは、遺言執行者を被告とすべきである。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭51.7.19)は、「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」としている。
判例(最判昭51.7.19)は、「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」としている。
(H30 予備 第32問 2)
遺言で遺言執行者が定められている場合に、既に完了している遺贈による登記について、相続人が原告となって抹消登記手続を求める訴えを提起するときは、受遺者ではなく、遺言執行者を被告としなければならない。
遺言で遺言執行者が定められている場合に、既に完了している遺贈による登記について、相続人が原告となって抹消登記手続を求める訴えを提起するときは、受遺者ではなく、遺言執行者を被告としなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭51.7.19)は、「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」としている。
判例(最判昭51.7.19)は、「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」としている。
総合メモ
遺言執行者がある場合における遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格 最二小判平成10年2月27日
概要
遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての被告適格を有する者は、遺言執行者がいるときであっても、遺言書に特段の事情のない限り遺言執行者ではなく、その相続人である。
判例
事案:遺言執行者がいる場合について、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての被告適格が誰に認められるかが問題となった。
判旨:「特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言をした遺言者の意思は、右の相続人に相続開始と同時に遺産分割手続を経ることなく当該不動産の所有権を取得させることにあるから(最高裁平成元年(オ)第174号同3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻4号477頁参照)、その占有、管理についても、右の相続人が相続開始時から所有権に基づき自らこれを行うことを期待しているのが通常であると考えられ、右の趣旨の遺言がされた場合においては、遺言執行者があるときでも遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者は、当該不動産を管理する義務や、これを相続人に引き渡す義務を負わないと解される。そうすると、遺言執行者があるときであっても、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、右特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、右の相続人であるというべきである。」
判旨:「特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言をした遺言者の意思は、右の相続人に相続開始と同時に遺産分割手続を経ることなく当該不動産の所有権を取得させることにあるから(最高裁平成元年(オ)第174号同3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻4号477頁参照)、その占有、管理についても、右の相続人が相続開始時から所有権に基づき自らこれを行うことを期待しているのが通常であると考えられ、右の趣旨の遺言がされた場合においては、遺言執行者があるときでも遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者は、当該不動産を管理する義務や、これを相続人に引き渡す義務を負わないと解される。そうすると、遺言執行者があるときであっても、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、右特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、右の相続人であるというべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第57問 3)
特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言がされている場合において、当該不動産を賃借していると主張する者が賃借権の確認を求める訴えを提起するときは、遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、当該相続人を被告とすべきである。
特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言がされている場合において、当該不動産を賃借していると主張する者が賃借権の確認を求める訴えを提起するときは、遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、当該相続人を被告とすべきである。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平10.2.27)は、「特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨…の遺言がされた場合においては、遺言執行者があるときでも遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者は、当該不動産を管理する義務や、これを相続人に引き渡す義務を負わない…。」とした上で、「遺言執行者があるときであっても、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、右特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、右の相続人であるというべきである。」としている。
判例(最判平10.2.27)は、「特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨…の遺言がされた場合においては、遺言執行者があるときでも遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者は、当該不動産を管理する義務や、これを相続人に引き渡す義務を負わない…。」とした上で、「遺言執行者があるときであっても、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、右特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、右の相続人であるというべきである。」としている。