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共同訴訟

共同訴訟人間の証拠共通の原則 最二小判昭和45年1月23日

概要
共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対してのみならず、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる(証拠共通の原則)。
判例
事案:共同訴訟において、共同訴訟人の1人が提出した証拠を、もう一方の共同訴訟人との間でも証拠とした事案において、共同訴訟人の1人が提出した証拠を、他の共同訴訟人との間でも事実を認定するための証拠に供することができるかが問題となった。

判旨:「甲事件と乙事件とは前記のように第1審以来弁論を併合のうえ審理されて来たものであり、したがって、被上告人川島と被上告人大和ほか9名とはたがいに共同訴訟人の関係にあるが、共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができるものであるから、原審が被上告人川島の提出した証拠を乙事件に関する主張の認定資料に供したからといって、原判決に所論の違法を生ずる余地はない。」
過去問・解説
(H20 司法 第65問 1)
Xは、甲土地上に設置されているブロック塀の一部が突然倒壊して頭部に当たり負傷したことから、甲土地を占有するY又は甲土地を所有するZのいずれかが、Xに生じた損害を賠償すべきであるとして、Y及びZを共同被告として訴えを提起し、同時審判の申出をした。Zは、Yが甲土地を占有しているとして、YZ間で締結された賃貸借契約に係る賃貸借契約書を書証として提出した。この場合、裁判所は、XのYに対する請求の関係で当該賃貸借契約書を証拠として利用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.1.23)は、本肢と同種の事案において、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、裁判所は、共同訴訟人の1人であるZが証拠として提出したYZ間で締結された賃貸借契約に係る賃貸借契約書を書証を、XのYに対する請求の関係で証拠として利用することができる。

(H27 予備 第37問 2)
賃貸人が自己所有の建物を賃借人に賃貸していたところ、賃借人の無断転貸の事実が判明したため、賃貸人が原告となり、賃借人に対しては無断転貸による解除を理由とする賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しを、転借人に対しては所有権に基づく建物明渡しを、それぞれ求める訴えを併合提起した。この訴訟(以下「本訴」という。)について、賃借人が取調べを申し出た証人が、賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは、当該証言は、転借人に対する建物明渡請求についても、転借人の援用を要することなく証拠資料となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.1.23)は、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、共同訴訟人の1人である賃借人が取調べを申し出た証人が、賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは、当該証言は、もう一方の共同訴訟人である転借人に対する建物明渡請求についても、転借人の援用を要することなく証拠資料となる。

(H29 予備 第32問 4)
主債務者と保証人を共同被告とする訴訟に関して、被告らがいずれも主たる債務の弁済の事実を主張した場合において、主債務者が提出した証拠によりその事実が認められるものの、保証人が証拠を提出しないときは、保証人との関係でその事実を認定することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.1.23)は、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。」として、証拠共通の原則を採用している。
したがって、本肢において、共同訴訟人の1人である主債務者が提出した証拠は、一方の共同訴訟人である保証人との関係で証拠とすることができる。
また、保証人は主たる債務の弁済の事実を主張しているため、当該証拠によってその事実が認められる場合、保証人との関係でその事実を認定することは可能である。
総合メモ

主たる債務者と連帯保証人とを共同被告とする訴訟は必要的共同訴訟か 最一小判昭和27年12月25日

概要
主たる債務者と連帯保証人とを共同被告とする訴訟は、必要的共同訴訟には当たらない。
判例
事案:主たる債務者と連帯保証人とを共同被告とする訴訟が提起された事案において、かかる訴訟が必要的共同訴訟に当たるかが問題となった。

判旨:「主たる債務者と連帯保証人とを共同被告として訴が提起された場合でも、主債務者と保証人との間に権利関係が同一にのみ確定しなければ訴の目的が達せられないものではないから、所謂必要的共同訴訟には当らない。従って、第1審において共同被告の1人であるDについて弁論を分離して同被告に対してのみ判決を言渡したことは何等違法ではなく、原審がこの分離を問題としないで裁判したことは正当であり、論旨は理由がない。」
過去問・解説
(R3 予備 第37問 ア)
主債務者と連帯保証人を共同被告として訴えが提起された場合に、裁判所は、不出頭の連帯保証人につき口頭弁論を分離して判決をすることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.12.25)は、「主たる債務者と連帯保証人とを共同被告として訴が提起された場合でも、…所謂必要的共同訴訟には当らない。従って、第1審において共同被告の1人であるDについて弁論を分離して同被告に対してのみ判決を言渡したことは何等違法ではな…い。」としている。
したがって、弁論分離の禁止という必要的共同訴訟の規律は適用されず、裁判所は、不出頭の連帯保証人につき口頭弁論を分離して判決をすることができる。
総合メモ

不動産の賃貸人が共同賃借人のうちの1人を被告として賃貸借契約の終了に基づき不動産の明渡しを求める訴えを提起する場合 大判大正7年3月19日

概要
不動産の賃貸人は、共同賃借人のうちの1人のみを被告として、賃貸借契約の終了に基づき、不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。
判例
事案:共同賃借人に対する賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての不動産明渡請求訴訟が提起された事案において、かかる訴訟が固有必要的共同訴訟とならないかが問題となった。

判旨:「賃貸物ノ返還ハ共同賃借人全員ニ対スルニ非サレハ之ヲ請求スルコトヲ得サルモノニ非スシテ各賃借人ハ賃貸人ニ対シ賃貸物全部ヲ返還スルノ義務ヲ負担スルモノナレハ賃貸人カ共同賃借人ノ1人ノミヲ被告トシテ賃貸物ノ返還ヲ訴求シタルハ正当ナリ」
過去問・解説
(H30 予備 第33問 5)
不動産の賃貸人は、共同賃借人のうちの1人を被告として、賃貸借契約の終了に基づき、不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、賃貸人から共同賃借人に対する、賃貸借契約終了に基づく不動産明渡請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、共同賃借人のうちの1人を被告とすることができないこととなる。
これについて、判例(大判大7.3.19)は、共同賃借人に対する賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての不動産明渡請求が提起された事案において、「賃貸人カ共同賃借人ノ1人ノミヲ被告トシテ賃貸物ノ返還ヲ訴求シタルハ正当ナリ」として、かかる訴訟を固有必要的共同訴訟としていない。
したがって、不動産の賃貸人は、共同賃借人のうちの1人を被告として、賃貸借契約の終了に基づき、不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。
総合メモ

不動産共有者の1人のみによる登記簿上の所有名義人に対する登記抹消請求 最一小判昭和31年5月10日

概要
不動産共有者の1人はその持分権に基づき、単独で当該不動産につき所有名義人に対し登記の抹消を請求することができる。
判例
事案:不動産共有者の1人のみにより、所有名義人に対する登記抹消請求がなされた事案において、不動産共有者の1人はその持分権に基づき、単独で当該不動産につき所有名義人に対し登記の抹消を請求することが許されるかが問題となった。

判旨:「不動産の共有権者の1人がその持分に基ずき当該不動産につき登記簿上所有名義者たるものに対してその登記の抹消を求めることは、妨害排除の請求に外ならずいわゆる保存行為に属するものというべく、従って、共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」
過去問・解説
(H26 共通 第57問 2)
判例の趣旨によれば、土地の共有者の1人が不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することはできない。

(正答)

(解説)
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、土地共有者の1人から不実の登記名義を有する者に対する、抹消登記手続請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、土地共有者は単独で原告となることができないこととなる。
これについて、判例(最判昭31.5.10)は、「共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」としている。
したがって、土地の共有者の1人が不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することも可能である。

(H30 予備 第33問 1)
不動産の共有者は、共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には、その者を被告として、各自単独で、持分権に基づき、所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定しているため、土地共有者の1人から不実の登記名義を有する者に対する、抹消登記手続請求訴訟が必要的共同訴訟に当たるのであれば、不動産共有者は単独で原告となることができないこととなる。
これについて、判例(最判昭31.5.10)は、「共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。」としている。
したがって、不動産の共有者は、共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には、その者を被告として、各自単独で、持分権に基づき、所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。
総合メモ

不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟において売主の相続人が複数いる場合 最二小判昭和36年12月15日

概要
不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、固有必要的共同訴訟ではない。
判例
事案:不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟はを提起した事案において、買主の売主の相続人に対する売買契約に基づく所有権移転登記請求権訴訟は固有必要的共同訴訟にならないかが問題となった。

判旨:「本件は昭和18年12月30日上告人の二男Dから本件宅地をその地上建物と共に買い受けた被上告人が、同24年1月1日右Dの死亡による相続によって右Dの売買契約上の債務を承継した上告人に対し、右契約にもとづき本件宅地の所有権移転の登記を請求する訴訟であることは記録上あきらかである。すなわち、被上告人の本訴において請求するところは、上告人が相続によって承継した前記Dの所有権移転登記義務の履行である。かくのごとき債務は、いわゆる不可分債務であるから、たとえ上告人主張のごとく、上告人の外に共同相続人が存在するとしても、被上告人は上告人1人に対して右登記義務の履行を請求し得るものであって、所論のごとく必要的共同訴訟の関係に立つものではないのである。」
過去問・解説
(H27 予備 第44問 4)
AがBから甲土地を買い受けた場合において、その所有権移転登記がされる前にBが死亡し、C及びDがAに対して所有権移転登記手続をする義務をBから共同相続したときは、Aは、C又はDのいずれか一方を被告としてB名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.12.15)は、「かくのごとき債務は、いわゆる不可分債務であるから、たとえ上告人主張のごとく、上告人の外に共同相続人が存在するとしても、被上告人は上告人1人に対して右登記義務の履行を請求し得るものであって、所論のごとく必要的共同訴訟の関係に立つものではないのである。」としている。
したがって、Aは、C又はDのいずれか一方を被告として、B名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
総合メモ

土地の共有者が、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認の訴えをする場合 最一小判昭和40年5月20日

概要
土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認の訴えをすることができる。
判例
事案:土地の共有者が、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認の訴えを提起した事案において、共有持分権の及ぶ土地の範囲の確認を求める訴えが、固有必要的共同訴訟にあたらないかが問題となった。

判旨:「共有持分権の及ぶ範囲は、共有地の全部にわたる(民法249条(現:249条1項))のであるから、各共有者は、その持分権にもとづき、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができるのは当然である(昭和3年12月17日大審院判決、民集7巻1095頁参照)。」
過去問・解説
(H27 司法 第44問 3)
A及びBが共有する甲土地について、第三者Cに対し、Aが甲土地の共有持分権を有することの確認を求める訴えは、Aが単独で提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.5.20)は、「共有持分権の及ぶ範囲は、共有地の全部にわたる(民法249条(現:249条1項))のであるから、各共有者は、その持分権にもとづき、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる…。」としている。
総合メモ

土地所有権に基づいて建物共有者に対し建物収去及び土地明渡を求める訴え 最二小判昭和43年3月15日

概要
土地の所有者が、その所有権に基づいて、土地上にある建物の所有権を共同相続によって取得した者らに対し、建物収去土地明渡しを求める訴訟は、固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。
判例
事案:土地の所有者Xが、その所有権に基づいて、土地上にある建物の所有しているYらに対して建物収去土地明渡請求訴訟を提起した後、口頭弁論終結前に被告の1人であるY1が死亡したことから、その共同相続人であるZ1、Z2、Z3に対して受継申立てをしたところ、Z4という共同相続人が他に存在していた事案において、土地所有権に基づいて建物共有者に対し建物収去土地明渡しを求める訴訟は固有必要的共同訴訟とならないかが問題となった。

判旨:「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。けだし、右の場合、共同相続人らの義務はいわゆる不可分債務であるから、その請求において理由があるときは、同人らは土地所有者に対する関係では、各自係争物件の全部についてその侵害行為の全部を除去すべき義務を負うのであって、土地所有者は共同相続人ら各自に対し、順次その義務の履行を訴求することができ、必ずしも全員に対して同時に訴を提起し、同時に判決を得ることを要しないからである。もし論旨のいうごとくこれを固有必要的共同訴訟であると解するならば、共同相続人の全部を共同の被告としなければ被告たる当事者適格を有しないことになるのであるが、そうだとすると、原告は、建物収去土地明渡の義務あることについて争う意思を全く有しない共同相続人をも被告としなければならないわけであり、また被告たる共同相 続人のうちで訴訟進行中に原告の主張を認めるにいたった者がある場合でも、当該被告がこれを認諾し、または原告がこれに対する訴を取り下げる等の手段に出ることができず、いたずらに無用の手続を重ねなければならないことになるのである。のみならず、相続登記のない家屋を数人の共同相続人が所有してその敷地を不法に占拠しているような場合には、その所有者が果して何びとであるかを明らかにしえないことが稀ではない。そのような場合は、その一部の者を手続に加えなかったために、既になされた訴訟手続ないし判決が無効に帰するおそれもあるのである。以上のように、これを必要的共同訴訟と解するならば、手続上の不経済と不安定を招来するおそれなしとしないのであって、これらの障碍を避けるためにも、これを必要的共同訴訟と解しないのが相当である。また、他面、これを通常の共同訴訟であると解したとしても、一般に、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意をえたうえでなければ、その強制執行をすることが許されないのであるから、かく解することが、直ちに、被告の権利保護に欠けるものとはいえないのである。そうであれば、本件において、所論の如く、他に同被告の承継人が存在する場合であっても、受継手続を了した者のみについて手続を進行し、その者との関係においてのみ審理判決することを妨げる理由はない。」
過去問・解説
(H19 司法 第67問 1)
土地所有者Xが、土地上の建物を共有して土地を占有しているY1及びY2に対し提起した建物収去土地明渡請求訴訟において、Y1が訴訟係属中に死亡した場合、XY1間の訴訟手続は中断するが、XY2間の訴訟手続は中断しない。なお、原告、被告とも訴訟代理人を選任していなかったものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、土地所有者Xが、土地上の建物を共有して土地を占有しているY1及びY2に対し提起した建物収去土地明渡請求訴訟は通常共同訴訟である。
次に、124条1項は、柱書前段において、「次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。」と規定し、1号において、「当事者の死亡」を掲げている。これに併せて、「共同訴訟人の1人の訴訟行為、共同訴訟人の1人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の1人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。」(39条)という共同訴訟人独立の原則も考慮すると、Y1が訴訟係属中に死亡した場合、XY1間の訴訟手続は中断するが、XY2間の訴訟手続は中断しない。

(H21 司法 第72問 4)
土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した場合、訴訟代理人がいない限り訴訟手続は中断するが、その後、共同相続人の一部の者が訴訟手続を受継したとき、受継した者との間だけで審理、判決することは許されない。

(正答)

(解説)
124条1項は、柱書前段において、「次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。」と規定し、1号において、「当事者の死亡」を掲げている。そして、同条は、2項において、「前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。」と規定している。
したがって、土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した場合、訴訟代理人がいない限り訴訟手続は中断する。
また、判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
よって、土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中、建物所有者である被告が死亡した後、共同相続人の一部の者が訴訟手続を受継した場合について、受継した者との間だけで審理、判決することは許される。

(H26 共通 第57問 4)
判例の趣旨によれば、土地所有者がその所有権に基づいて土地上の建物の共有者を相手方として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起する場合には、建物共有者全員を被告にしなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない。」としている。
したがって、土地所有者がその所有権に基づいて土地上の建物の共有者を相手方として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起する場合に、建物共有者全員を被告にする必要はない。

(H30 予備 第33問 4)
土地の所有者は、土地上の建物の共有者のうちの1人を被告として、所有権に基づき、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、土地の所有者は、土地上の建物の共有者のうちの1人を被告として、所有権に基づき、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。

(R5 予備 第33問 5)
甲土地の所有者Xが、甲土地上にある建物を共同で相続したY1及びY2のうち、Y1のみに対して、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することは、不適法なものとして許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、本紙における訴えは固有必要的共同訴訟ではなく通常共同訴訟であるから、甲土地の所有者Xが、甲土地上にある建物を共同で相続したY1及びY2のうち、Y1のみに対して、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することは、適法である。

(R6 予備 第43問 ア)
Xの所有する甲土地上に乙建物を所有していたAが死亡し、Y1とY2がAを相続した。この場合において、XがY1のみを被告として乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求める訴えを提起したときは、裁判所は、この訴えを不適法なものとして却下しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.15)は、「土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、共同相続人であるY1とY2を相手方とする乙建物収去甲土地明渡請求は、必要的共同訴訟ではないため、XがY1のみを被告として同請求をしても、この訴えは適法である。
総合メモ

共同相続人に対して契約上の義務の履行として所有権移転登記手続を求める訴え 最一小判昭和44年4月17日

概要
不動産について、被相続人との間に締結された契約上の義務の履行として、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、固有必要的共同訴訟ではない。
判例
事案:共同相続人に対して契約上の義務の履行として所有権移転登記手続を求める訴訟が提起された事案において、かかる訴訟が、固有必要的共同訴訟にならないかが問題となった。

判旨:「不動産について被相続人との間に締結された契約上の義務の履行を主張して、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解するのが、当裁判所の判例(昭和33年(オ)第517号・同36年12月15日第二小法廷判決・民集15巻11号2865頁、昭和39年(オ)第140号・同39年7月16日第一小法廷判決・裁判集74号659頁、昭和37年(オ)第1437号・同39年7月28日第三小法廷判決・裁判集74号755頁)とするところであり、これを今なお変更する必要がないと思料するから、本件のように、贈与を理由として、贈与者の相続人に対し所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解せられ、したがって論旨の失当なことは前記説述したところから明らかであり、所論は採用できない。」
過去問・解説
(H30 予備 第33問 2)
被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は、被相続人の共同相続人のうちの1人を被告として、贈与契約に基づき、所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.4.17)は、「贈与を理由として、贈与者の相続人に対し所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない…。」としている。
したがって、被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は、被相続人の共同相続人のうちの1人を被告として、贈与契約に基づき、所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
総合メモ

入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求 最一小判昭和57年7月1日

概要
①入会部落の構成員が有する使用収益権の確認またはこれに基づく妨害排除の請求については、構成員各自に当事者適格がある。
②入会部落の構成員は、自己の有する使用収益権を根拠としては、入会地について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができない。
判例
事案:XがY神社に対し、本件土地における地上権の確認とや本件土地引渡しを求めて訴えを提起した後、本件土地を入会地をして使用収益していた地元部落民Zらが当事者参加し、本件土地につき入会権に基づく使用収益権確認及び妨害禁止等を請求した事案において、①入会部落の構成員が有する使用収益権の確認またはこれに基づく妨害排除の請求について、構成員の各自に当事者適格が認められるか、②入会部落の構成員が有する使用収益権に基づき、地上権設定仮登記抹消登記手続請求ができないかなどが問題となった。

判旨:①「入会部落の構成員が入会権の対象である山林原野において入会権の内容である使用収益を行う権能は、入会部落の構成員たる資格に基づいて個別的に認められる権能であって、入会権そのものについての管理処分の権能とは異なり、部落内で定められた規律に従わなければならないという拘束を受けるものであるとはいえ、本来、各自が単独で行使することができるものであるから、右使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には、その者が入会部落の構成員であるかどうかを問わず、各自が単独で、その者を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害の排除を請求することができるものと解するのが相当である。」
 ②「本件山林について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続請求の当否について検討するに、当事者参加人らが有する使用収益権を根拠にしては右抹消登記手続を請求することはできないものと解するのが相当である。けだし、原審が適法に確定したところによれば、当事者参加人らが入会部落の構成員として入会権の内容である使用収益を行う権能は、本件山林に立ち入って採枝、採草等の収益行為を行うことのできる権能にとどまることが明らかであるところ、かかる権能の行使自体は、特段の事情のない限り、単に本件山林につき地上権設定に関する登記が存在することのみによっては格別の妨害を受けることはないと考えられるからである。もっとも、かかる地上権設定に関する登記の存在は、入会権自体に対しては侵害的性質をもつといえるから、入会権自体に基づいて右登記の抹消請求をすることは可能であるが、かかる妨害排除請求 権の訴訟上の主張、行使は、入会権そのものの管理処分に関する事項であって、入会部落の個々の構成員は、右の管理処分については入会部落の一員として参与しうる資格を有するだけで、共有におけるような持分権又はこれに類する権限を有するものではないから、構成員各自においてかかる入会権自体に対する妨害排除としての抹消登記を請求することはできないのである。」
過去問・解説
(H27 予備 第44問 1)
入会集落の構成員の一部は、入会地についての使用収益権に基づいて、入会地への立入りを妨害する者に対し、その排除を求める訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.7.1)は、「入会部落の構成員が入会権の対象である山林原野において入会権の内容である使用収益を行う権能は、…右使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には、…各自が単独で、その者を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害の排除を請求することができる…。」としている。
総合メモ

共有物分割の訴え 大判明治41年9月25日

概要
共有物分割の訴えは、固有必要的共同訴訟である。
判例
事案:共有物分割の訴えが提起された事案において、かかる訴訟が固有必要的共同訴訟となるかが問題となった。

判旨:「共有物ノ分割ヲ為ス場合ニ於テハ各共有者ハ其当事者トシテ孰レモ直接利害ノ関係ヲ有スルモノナレハ共有者中ノ或者ヲ除外シテ分割手続ヲ遂行スルカ如キハ協議上ノ分割ニ於ケルト裁判上ノ分割ニ於ケルトヲ問ハス之ヲ許スヘキモノニ非ス」
過去問・解説
(H30 予備 第33問 3)
不動産の共有者は、他の共有者のうちの1人を被告として、各自単独で、共有物分割を求める訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判明41.9.25)は、「共有物ノ分割ヲ為ス場合ニ於テハ各共有者ハ其当事者トシテ孰レモ直接利害ノ関係ヲ有スルモノナレハ共有者中ノ或者ヲ除外シテ分割手続ヲ遂行スルカ如キハ協議上ノ分割ニ於ケルト裁判上ノ分割ニ於ケルトヲ問ハス之ヲ許スヘキモノニ非ス」として、共有物分割訴訟が固有必要的共同訴訟に当たることを示している。
したがって、不動産の共有者は、他の共有者のうちの1人を被告として、各自単独で、共有物分割を求める訴えを提起することはできない。
総合メモ

共同相続人間における遺産確認の訴え 最三小判平成元年3月28日

概要
共同相続人間における遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
判例
事案:被相続人Aの子Bの妻とその子(Xら)が、被相続人の妻Aに対し、A名義で所有権保存登記がなされている本件土地がAの遺産に属すること及び共有持ち分の移転登記手続きを求めて訴訟を提起した事案において、共同相続人間における遺産確認の訴えが固有必要的共同訴訟となるかが問題となった。

判旨:「遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象である財産であることを既判力をもって確定し、これに続く遺産分割審判の手続及び右審判の確定後において、当該財産の遺産帰属性を争うことを許さないとすることによって共同相続人間の紛争の解決に資することができるのであって、この点に右訴えの適法性を肯定する実質的根拠があるのであるから(最高裁昭和57年(オ)第184号同61年3月13日第一小法廷判決・民集40巻2号389頁参照)、右訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第70問 3)
共同相続人の1人が、他の共同相続人全員に対し、甲財産が遺産に属することの確認を求める訴えを提起した場合、判例の趣旨によれば、被告ら全員が認諾しなければ、認諾の効力は生じない。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.3.28)は、「遺産確認の訴えは…共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
そのため、本肢における訴えは固有必要的共同訴訟に当たる。
そして、40条1項は、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定している。
したがって、請求の認諾は、被告にとって不利な訴訟行為であるから、被告ら全員が認諾しなければ、その効力は生じないこととなる。

(R2 予備 第32問 2)
ある財産が共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えにおいては、遺産分割審判の申立てをすることができる共同相続人全員を原告又は被告としなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判平元3.28)は、「遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり…、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
したがって、ある財産が共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えにおいては、遺産分割審判の申立てをすることができる共同相続人全員を原告又は被告としなければならない。
総合メモ

共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えが、固有必要的共同訴訟となるか 最三小判平成16年7月6日

概要
共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、固有必要的共同訴訟である。
判例
事案:共同相続人の1人Xが、他の共同相続人Yに相続欠格自由が存在するとして、Yのみを被告としてYが相続人の地位を有しないことの確認を求める訴訟を提起した事案において、共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えが、固有必要的共同訴訟となるかが問題となった。

判旨:「被相続人の遺産につき特定の共同相続人が相続人の地位を有するか否かの点は、遺産分割をすべき当事者の範囲、相続分及び遺留分の算定等の相続関係の処理における基本的な事項の前提となる事柄である。そして、共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、当該他の共同相続人に相続欠格事由があるか否か等を審理判断し、遺産分割前の共有関係にある当該遺産につきその者が相続人の地位を有するか否かを既判力をもって確定することにより、遺産分割審判の手続等における上記の点に関する紛議の発生を防止し、共同相続人間の紛争解決に資することを目的とするものである。このような上記訴えの趣旨、目的にかんがみると、上記訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するものというべきであり、いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第72問 5)
共同相続人が、他の共同相続人のうちの1人のみを被告とし、遺産分割の前提として、被告が被相続人の遺言書を隠匿又は破棄した行為が相続欠格事由に当たることを理由に、相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは不適法である。

(正答)

(解説)
判例(最判平16.7.6)は、「共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、…共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するものというべきであり、いわゆる固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
したがって、共同相続人が、他の共同相続人のうちの1人のみを被告とし、相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは不適法である。

(R4 予備 第34問 5)
共同相続人間において、共同相続人の1人についての相続欠格事由の存否を争う場合に、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、確認の利益を欠く。

(正答)

(解説)
判例(最判平16.7.6)は、「共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、…共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するものというべきであり、いわゆる固有必要的共同訴訟と解する…。」としており、固有必要的共同訴訟として確認の利益があることを前提としている。
したがって、共同相続人間において、共同相続人の1人についての相続欠格事由の存否を争う場合に、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、確認の利益を有する。
総合メモ

共有地についての境界確定の訴えと固有必要的共同訴訟 最一小判昭和46年12月9日

概要
隣接する土地の一方または双方が共有に属する場合の境界確定の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
判例
事案:本件土地をX1~X13及びAが共有していたところ、Aが所在不明であったことから、X1~X13がAを共同被告とせずに、Y所有の隣地との境界確定を求め訴えを提起した事案において、共有地についての境界確定の訴えが固有必要的共同訴訟となるかが問題となった。

判旨:「土地の境界は、土地の所有権と密接な関係を有するものであり、かつ、隣接する土地の所有者全員について合一に確定すべきものであるから、境界の確定を求める訴は、隣接する土地の一方または双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴えまたは訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第72問 3)
土地の共有者が提起する筆界の確定を求める訴えは、類似必要的共同訴訟であるから、これに同調しない共有者がいるときは、これを共同被告として訴えを提起することが許される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.12.9)は、「境界の確定を求める訴は、隣接する土地の一方または双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴えまたは訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
なお、後段について、判例(最判平成11.11.9)は、「共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいるときには、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と共に右の訴えを提起することに同調しない者を被告にして訴えを提起することができる…。」としている。

(H22 共通 第56問 イ)
X所有の甲地とY1及びY2が共有する乙地が隣接する場合に、Xが甲地と乙地の筆界(境界)確定の訴えを提起するときには、必ず共有者Y1及びY2の両者を被告としなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.12.9)は、「境界の確定を求める訴えは、隣接する土地の一方又は双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴え、又は訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解される。」としている。
したがって、Xが甲地と乙地の筆界(境界)確定の訴えを提起するときには、必ず共有者Y1及びY2の両者を被告としなければならない。

(H27 予備 第44問 5)
Aが所有する甲土地とB及びCの共有に属する乙土地とが筆界(境界)を挟んで隣接する場合において、Aが境界確定の訴えを提起するときは、B及びCの双方を被告としてこれを提起しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.12.9)は、「土地の境界は、土地の所有権と密接な関係を有するべきものであり、かつ、隣接する土地の所有者全員について合一に確定すべきものであるから、境界の確定を求める訴は、隣接する土地の一方…が数名の共有に属する場合には共有者全員が共同してのみ…訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
したがって、B及びCの双方を被告として提起しなければならない。

(R3 予備 第32問 イ)
固有必要的共同訴訟は、共同訴訟のうち、訴訟共同の必要がないが、合一確定の必要はある類型のものをいう。固有必要的共同訴訟に当たるものとして、不動産の全共有者であるX1及びX2が共同して当該不動産に隣接する不動産の所有者であるYに対して提起した筆界(境界)確定の訴えがある。

(正答)

(解説)
固有必要的共同訴訟は、訴訟共同及び合一確定の必要性がある類型のものをいうから、訴訟共同の必要もある。
なお、これについて、判例(最判昭46.12.9)は、「境界の確定を求める訴は、隣接する土地の一方または双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴えまたは訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
総合メモ

土地の共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合にその余の共有者が右の者を被告にして右の訴えを提起することの許否 最三小判平成11年11月9日

概要
土地の共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と訴えを提起することに同調しない者とを被告にして右の訴えを提起することができる。
判例
事案:本件土地の共同相続人X1~X3とY1との間で遺産分割審判事件が係属しているが、本件土地と隣地であるY2所有地の筆界が確定していないため上記手続きが進行しないとして、Xらが、本件土地とY2所有地との筆界確定訴訟を提起しようとしたが、Y1がこれに同調しなかったので、Y1及びY2を被告として同訴訟を提起した事案において、土地の共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合にその余の共有者が右の者を被告にして右の訴えを提起することの許否が問題となった。

判旨:「境界の確定を求める訴えは、隣接する土地の一方又は双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴え、又は訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解される(最高裁昭和44年(オ)第279号同46年12月9日第一小法廷判決・民集25巻9号1457頁参照)。したがって、共有者が右の訴えを提起するには、本来、その全員が原告となって訴えを提起すべきものであるということができる。しかし、共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいるときには、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と共に右の訴えを提起することに同調しない者を被告にして訴えを提起することができるものと解するのが相当である。けだし、境界確定の訴えは、所有権の目的となるべき公簿上特定の地番により表示される相隣接する土地の境界に争いがある場合に、裁判によってその境界を定めることを求める訴えであって、所有権の目的となる土地の範囲を確定するものとして共有地については共有者全員につき判決の効力を及ぼすべきものであるから、右共有者は、共通の利益を有する者として共同して訴え、又は訴えられることが必要となる。しかし、共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいる場合であっても、隣接する土地との境界に争いがあるときにはこれを確定する必要があることを否定することはできないところ、右の訴えにおいては、裁判所は、当事者の主張に拘束されないで、自らその正当と認めるところに従って境界を定めるべきであって、当事者の主張しない境界線を確定しても民訴法二四六条の規定に違反するものではないのである(最高裁昭和37年(オ)第938号同38年10月15日第三小法廷判決・民集17巻9号1220頁参照)。このような右の訴えの特質に照らせば、共有者全員が必ず共同歩調をとることを要するとまで解する必要はなく、共有者の全員が原告又は被告いずれかの立場で当事者として訴訟に関与していれば足りると解すべきであり、このように解しても訴訟手続に支障を来すこともないからである。」
過去問・解説
(R2 予備 第32問 1)
土地共有者の一部の者が隣地の所有者に対して筆界(境界)確定の訴えを提起することに同調しない場合には、その他の共有者は、訴えの提起に同調しない者を隣地の所有者と共に被告として訴えることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.9)は、「共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいるときには、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と共に右の訴えを提起することに同調しない者を被告にして訴えを提起することができる…。」としている。
総合メモ

固有必要的共同訴訟において、共同原告の1人が訴えの取下げをした場合の効力 最一小判昭和46年10月7日

概要
固有必要的共同訴訟において、共同原告の1人が訴えの取下げをしても、その取下げは効力を生じない。
判例
事案:Aから本件土地を共同で買い受けたX1とX2が、所有権移転登記の名義人であるYに対して、本件土地の共有権確認及び上記登記の抹消登記手続きに代えて所有権移転登記手続きを求めた。その後、X1が本訴を取下げ、Yがこれに同意した事案において、固有必要的共同訴訟において、共同原告の1人が訴えの取下げをした場合の効力が問題となった。

判旨:「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権 (数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である(大審院大正11年(オ)第821号同13年5月19日判決、民集3巻211頁参照)。けだし、この場合には、共有者全員の有する1個の所有権そのものが紛争の対象となっているのであつて、共有者全員が共同して訴訟追行権を有し、その紛争の解決いかんについては共有者全員が法律上利害関係を有するから、その判決による解決は全員に矛盾なくなされることが要請され、かつ、紛争の合理的解決をはかるべき訴訟制度のたてまえからするも、共有者全員につき合一に確定する必要があるというべきだからである。また、これと同様に、1個の不動産を共有する数名の者全員が、共同原告となって、共有権に基づき所有権移転登記手続を求めているときは、その訴訟の形態も固有必要的共同訴訟と解するのが相当であり(大審院大正11年(オ)第256号同年7月10日判決、民集1巻386頁参照)、その移転登記請求が真正な所有名義の回復の目的に出たものであったとしても、その理は異ならない。それゆえ、このような訴訟の係属中に共同原告の1人が訴の取下げをしても、その取下げは効力を生じないものというべきである。」
過去問・解説
(H18 司法 第66問 ア)
A、B及びCは、甲土地を3名で共有している(以下、A、B及びCを「Aら3名」という。)。Aら3名がYに対して、甲土地がAら3名の共有であることの確認を求める訴えを提起した場合において、Aが訴えを取り下げるとの書面を裁判所に提出し、Yがこれに同意したときは、裁判所は、B及びCの訴えを不適法として却下しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解する。」とした上で、「このような訴訟の係属中に共同原告の1人が訴の取下げをしても、その取下げは効力を生じない…。」としている。
したがって、Aによる訴えの取下げは無効であるから、裁判所は、B及びCの訴えについても、そのまま適法なものとして審理を続行しなければならない。

(H18 司法 第66問 イ)
A、B及びCは、甲土地を3名で共有している(以下、A、B及びCを「Aら3名」という。)。Aら3名がYに対して、甲土地がAら3名の共有であることの確認を求める訴えを提起した場合において、Aのみが口頭弁論期日に出頭していたときは、Yは、準備書面に記載していない事実を主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解する。」としている。
そして、40条2項は、固有必要的共同訴訟について、「共同訴訟人の1人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。」と規定し、161条3項は、「相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面…に記載した事実でなければ、主張することができない。」と規定している。
したがって、Aら3名による訴えは、固有必要的共同訴訟であるから、Aが口頭弁論期日に出頭している以上、準備書面に記載していない事実をAに主張することができる。

(H18 司法 第66問 ウ)
A、B及びCは、甲土地を3名で共有している(以下、A、B及びCを「Aら3名」という。)。Aら3名がYに対して、甲土地がAら3名の共有であることの確認を求める訴えを提起した場合において、Aについて訴訟手続の中断の原因があるときは、B及びCについても、中断の効力が生じる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解する。」としている。
そして、40条3項は、固有必要的共同訴訟において、「共同訴訟人の1人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。」と規定している。
したがって、Aら3名による訴えは、固有必要的共同訴訟であるから、Aについて訴訟手続の中断の原因があるときは、B及びCについても、中断の効力が生じる。

(H18 司法 第66問 エ)
A、B及びCは、甲土地を3名で共有している(以下、A、B及びCを「Aら3名」という。)。Aら3名がYに対して、甲土地がAら3名の共有であることの確認を求める訴えを提起した場合において、裁判所がA及びB並びにYのみを名宛人とする一部判決をしたときは、Cは、この判決に対して、控訴をすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解する。」としている。
そして、固有必要的共同訴訟では、訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定することが要求される(40条1項)から、一部判決は違法である。
したがって、名宛人となっていない共同訴訟人たるCも控訴をすることができる。

(H18 司法 第66問 オ)
A、B及びCは、甲土地を3名で共有している(以下、A、B及びCを「Aら3名」という。)。A及びBのみが原告となり、Yに対して、甲土地がAら3名の共有であることの確認を求める訴えを提起した場合は、口頭弁論の終結前にCがこの訴訟に共同訴訟人として参加することは許されず、裁判所は、訴えを不適法として却下しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解する。」としている。
また、52条1項は「訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。」として、共同訴訟参加について規定しているところ、共同訴訟参加は、固有必要的共同訴訟の場合において当事者適格を欠くとして訴えが却下される前に関係当事者を訴訟参加させることによりその瑕疵を治癒するという機能も有する。
したがって、A及びBのみが原告となり、Yに対して、甲土地がAら3名の共有であることの確認を求める訴えを提起した場合に、口頭弁論の終結前にCがこの訴訟に共同訴訟人として参加することも許される。

(H21 司法 第70問 5)
訴訟物である権利関係について変更することなく、請求の趣旨に表示された求める救済の範囲(金銭請求であれば請求額)を減少させることを請求の減縮と呼ぶ。この請求の減縮の性質については議論があるが、請求の減縮は訴えの一部取下げであるという見解に立った場合、固有必要的共同訴訟において、共同原告のうち一人がした請求の減縮は、判例によれば、その効力を生じない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、固有必要的共同訴訟の事案において、「このような訴訟の係属中に共同原告の1人が訴の取下げをしても、その取下げは効力を生じないものというべきである。」としている。
したがって、請求の減縮は訴えの一部取下げであるという見解に立った場合、固有必要的共同訴訟において、共同原告のうち1人がした請求の減縮は、判例によれば、効力を生じない。

(H27 予備 第44問 2)
A及びBが共有する甲土地について、第三者Cに対し、甲土地がA及びBの共有に属することの確認を求める訴えは、Aが単独で提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権 (数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
したがって、AとBが共同して訴訟提起することが必要となるから、Aは単独で提起することができない。

(R3 予備 第32問 ア)
通常共同訴訟は、共同訴訟のうち、訴訟共同の必要がなく、合一確定の必要もない類型のものをいう。通常共同訴訟に当たるものとして、不動産の全共有者であるX1及びX2が共同して当該不動産の登記名義人Yに対して提起する当該不動産全体の共有権に基づく所有権移転登記手続請求の訴えがある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.7)は、「1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権 (数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解する…。」としている。
したがって、不動産の全共有者であるX1及びX2が共同して当該不動産の登記名義人Yに対して提起する当該不動産全体の共有権に基づく所有権移転登記手続請求の訴えは、通常共同訴訟に当たるものではない。
総合メモ

固有必要的共同訴訟における合一確定の要請 最三小判平成22年3月16日

概要
原告甲の被告乙及び丙に対する訴えが固有必要的共同訴訟であるにもかかわらず、甲の乙に対する請求を認容し、甲の丙に対する請求を棄却するという趣旨の判決がされた場合には、上訴審は、甲が上訴又は附帯上訴をしていないときであっても、合一確定に必要な限度で、上記判決のうち丙に関する部分を、丙に不利益に変更することができる。
判例
事案: 固有必要的共同訴訟において合一確定の要請に反する判決がされた事案において、合一確定の要請と不利益変更禁止の原則の関係が問題となった。

判旨:「本件請求に係る訴えは、固有必要的共同訴訟と解するのが相当であることは前示のとおりであるところ…原告甲の被告乙及び丙に対する訴えが固有必要的共同訴訟であるにもかかわらず、甲の乙に対する請求を認容し、甲の丙に対する請求を棄却するという趣旨の判決がされた場合には、上訴審は、甲が上訴又は附帯上訴をしていないときであっても、合一確定に必要な限度で、上記判決のうち丙に関する部分を、丙に不利益に変更することができると解するのが相当である(最高裁昭和44年(オ) 第316号同48年7月20日第二小法廷判決・民集27巻7号863頁参照)。 」
過去問・解説
(R3 予備 第44問 5)
亡Aの配偶者Xが子であるY及びZを共同被告としてYがAの相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えを提起したところ、第1審裁判所が、Xの請求のうち、Yに対する請求を認容し、Zに対する請求を棄却するとの判決をした場合において、Yのみが控訴をし、Xが控訴又は附帯控訴をしていないときであっても、控訴裁判所は、合一確定に必要な限度で、第1審判決のうちZに関する部分をZに不利益に変更することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平22.3.16)は、本肢と同種の事案において、「本件請求に係る訴えは、固有必要的共同訴訟と解する…。」とした上で、「原告甲の被告乙及び丙に対する訴えが固有必要的共同訴訟であるにもかかわらず、甲の乙に対する請求を認容し、甲の丙に対する請求を棄却するという趣旨の判決がされた場合には、上訴審は、甲が上訴又は附帯上訴をしていないときであっても、合一確定に必要な限度で、上記判決のうち丙に関する部分を、丙に不利益に変更することができる…。」としている。
したがって、第1審裁判所が、Xの請求のうち、Yに対する請求を認容し、Zに対する請求を棄却するとの判決をした場合において、Yのみが控訴をし、Xが控訴又は附帯控訴をしていないときであっても、控訴裁判所は、合一確定に必要な限度で、第1審判決のうちZに関する部分をZに不利益に変更することができる。
総合メモ

株主代表訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴をした場合に上訴をしなかった者の上訴審における地位 最二小判平成12年7月7日

概要
複数の株主が共同して追行する株主代表訴訟において、共同訴訟人である株主の一部の者が上訴をした場合、上訴をしなかった者は、上訴人にはならない。
判例
事案:複数の株主が共同して追行する株主代表訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴をした事案において、上訴をしなかった者の上訴審における地位が問題となった。

判旨:「商法267条(現:会社法847条)に規定する株主代表訴訟は、株主が会社に代位して、取締役の会社に対する責任を追及する訴えを提起するものであって、その判決の効力は会社に対しても及び(民訴法115条1項2号)、その結果他の株主もその効力を争うことができなくなるという関係にあり、複数の株主の追行する株主代表訴訟は、いわゆる類似必要的共同訴訟と解するのが相当である。類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶと解される。しかしながら、合一確定のためには右の限度で上訴が効力を生ずれば足りるものである上、取締役の会社に対する責任を追及する株主代表訴訟においては、既に訴訟を追行する意思を失った者に対し、その意思に反してまで上訴人の地位に就くことを求めることは相当でないし、複数の株主によって株主代表訴訟が追行されている場合であっても、株主各人の個別的な利益が直接問題となっているものではないから、提訴後に共同訴訟人たる株主の数が減少しても、その審判の範囲、審理の態様、判決の効力等には影響がない。そうすると、…株主代表訴訟については、自ら上訴をしなかった共同訴訟人を上訴人の地位に就かせる効力までが民訴法40条1項によって生ずると解するのは相当でなく、自ら上訴をしなかった共同訴訟人たる株主は、上訴人にはならないものと解すべきである(最高裁平成4年(行ツ)第156号同9年4月2日大法廷判決・民集51巻4号1673頁参照)。」
過去問・解説
(H19 司法 第63問 1)
株主X1が提起した取締役Yの責任を追及する訴訟に株主X2が共同訴訟参加をした場合において、X1がYの主張した抗弁事実について自白をしたとき、この事実をX2が争えば、X1の自白はその効力を生ずることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平12.7.7)は、「複数の株主の追行する株主代表訴訟は、いわゆる類似必要的共同訴訟と解するのが相当である。」としている。
したがって、X1が提起した株主代表訴訟は、類似必要的共同訴訟である。
そして、40条1項は、必要的共同訴訟について、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」と規定している。
X1の自白は、X2にとって「利益」といえないから、この事実をX2が争った場合、X1の自白は効力を生じない。

(R3 予備 第32問 ウ)
類似必要的共同訴訟は、共同訴訟のうち、訴訟共同の必要があるが、合一確定の必要がない類型のものをいう。類似必要的共同訴訟に当たるものとして、株主X1及びX2が共同して株式会社の取締役Yに対して提起した責任追及等の訴えがある。

(正答)

(解説)
類似必要的共同訴訟は、各共同訴訟人が独立して訴え又は訴えられることができるが、一たび共同して訴え又は訴えられた場合は、合一確定の必要性から、必要的共同訴訟となるものをいう。
したがって、類似必要的共同訴訟は、共同訴訟のうち、訴訟協働の必要はないが、合一確定の必要がある類型のものをいう。
判例(最判平12.7.7)は、「商法267条(現:会社法847条)に規定する株主代表訴訟は、株主が会社に代位して、取締役の会社に対する責任を追及する訴えを提起するものであって…、いわゆる類似必要的共同訴訟と解するのが相当である。」としている。
したがって、類似必要的共同訴訟に当たるものとして、複数の株主が共同して株式会社の取締役に対して提起した責任追及等の訴えがある。
総合メモ