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訴え(重複起訴の禁止)
債権者代位訴訟に債権者が当事者参加して第三債務者に対し提起した同債権に係る給付訴訟 最三小判昭和48年4月24日
概要
債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法71条(現:47条)により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起することは、重複起訴の禁止にはふれない。
判例
事案:債権者代位訴訟に債務者が当事者参加して第三債務者に対し、訴訟物を同じくする訴えを提起した事案において、重複起訴の禁止に当たらないか問題となった。
判旨:「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。けだし、この場合は、同一訴訟物を目的とする訴訟の係属にかかわらず債務者の利益擁護のため訴を提起する特別の必要を認めることができるのであり、また、債務者の提起した訴と右代位訴訟とは併合審理が強制され、訴訟の目的は合一に確定されるのであるから、重複起訴禁止の理由である審判の重複による不経済、既判力抵触の可能性および被告の応訴の煩という弊害がないからである。したがって、債務者の右訴は、債権者の代位訴訟が係属しているというだけでただちに不適法として排斥されるべきものと解すべきではない。」
判旨:「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。けだし、この場合は、同一訴訟物を目的とする訴訟の係属にかかわらず債務者の利益擁護のため訴を提起する特別の必要を認めることができるのであり、また、債務者の提起した訴と右代位訴訟とは併合審理が強制され、訴訟の目的は合一に確定されるのであるから、重複起訴禁止の理由である審判の重複による不経済、既判力抵触の可能性および被告の応訴の煩という弊害がないからである。したがって、債務者の右訴は、債権者の代位訴訟が係属しているというだけでただちに不適法として排斥されるべきものと解すべきではない。」
過去問・解説
(H19 司法 第61問 4)
YはAに建物新築工事を注文した。Aはこれを請け負い、同建物の左官工事についてはXがAから下請けした。建物は完成してYに引き渡されたものの、AのYに対する請負代金債権(以下「甲債権」という。)についても、XのAに対する下請工事代金債権(以下「乙債権」という。)についても弁済がなされないまま、Aが経営に行き詰まり、無資力となった。そこで、Xは、Aから乙債権について弁済を受けられないとして、債権者代位権に基づき、Yを被告として甲債権について支払を求める訴えを提起した。
判例によれば、Aが、Xに対しては乙債権の弁済を理由にその不存在の確認を求め、Yに対しては甲債権についての支払を求めて、本件訴訟に独立当事者参加をすることは、重複起訴禁止の趣旨に照らして許されない。
YはAに建物新築工事を注文した。Aはこれを請け負い、同建物の左官工事についてはXがAから下請けした。建物は完成してYに引き渡されたものの、AのYに対する請負代金債権(以下「甲債権」という。)についても、XのAに対する下請工事代金債権(以下「乙債権」という。)についても弁済がなされないまま、Aが経営に行き詰まり、無資力となった。そこで、Xは、Aから乙債権について弁済を受けられないとして、債権者代位権に基づき、Yを被告として甲債権について支払を求める訴えを提起した。
判例によれば、Aが、Xに対しては乙債権の弁済を理由にその不存在の確認を求め、Yに対しては甲債権についての支払を求めて、本件訴訟に独立当事者参加をすることは、重複起訴禁止の趣旨に照らして許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.4.24)は、「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではない…。」としている。
本肢において、AのYに対する甲債権についての支払いを求める訴訟と、XのYに対する債権者代位訴訟は、訴訟物を同じくするが、142条の重複基礎禁止には反しない。
したがって、Aの独立当事者参加は許される。
判例(最判昭48.4.24)は、「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではない…。」としている。
本肢において、AのYに対する甲債権についての支払いを求める訴訟と、XのYに対する債権者代位訴訟は、訴訟物を同じくするが、142条の重複基礎禁止には反しない。
したがって、Aの独立当事者参加は許される。
(H22 共通 第71問 5)
判例によれば、債権者が債務者に対する甲債権を被保全債権とし、債務者が第三債務者に対して有する乙債権に基づく金銭の支払を求めて債権者代位訴訟を提起した場合、債務者が債権者に対し甲債権の不存在を主張し、第三債務者に対し乙債権に基づく自己への金銭の支払を求めて独立当事者参加をすることは許されない。
判例によれば、債権者が債務者に対する甲債権を被保全債権とし、債務者が第三債務者に対して有する乙債権に基づく金銭の支払を求めて債権者代位訴訟を提起した場合、債務者が債権者に対し甲債権の不存在を主張し、第三債務者に対し乙債権に基づく自己への金銭の支払を求めて独立当事者参加をすることは許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.4.24)は、「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではない…。」としている。
判例(最判昭48.4.24)は、「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではない…。」としている。
(H23 予備 第45問 4)
Aに対して売買代金債権を有すると主張するXが、Aに代位して、AのYに対する貸金債権に基づき、Yに対して当該貸金の返還を求める訴えを提起した。
Xの主張する売買代金債権が弁済によって消滅したと主張するAは、当該訴訟に独立当事者参加をすることができる。
Aに対して売買代金債権を有すると主張するXが、Aに代位して、AのYに対する貸金債権に基づき、Yに対して当該貸金の返還を求める訴えを提起した。
Xの主張する売買代金債権が弁済によって消滅したと主張するAは、当該訴訟に独立当事者参加をすることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭48.4.24)は、「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではない。…したがって、債務者の右訴は、債権者の代位訴訟が係属しているというだけでただちに不適法として排斥されるべきもの…。」としている。
本肢において、Xの提起した債権者代位訴訟にAが独立当事者参加することは、重複起訴禁止に触れない。
したがって、Aは、当該訴訟に独立当事者参加をすることができる。
判例(最判昭48.4.24)は、「債権者が民法423条1項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であっても、債務者が民訴法71条(現:47条)により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴禁止にふれるものではない。…したがって、債務者の右訴は、債権者の代位訴訟が係属しているというだけでただちに不適法として排斥されるべきもの…。」としている。
本肢において、Xの提起した債権者代位訴訟にAが独立当事者参加することは、重複起訴禁止に触れない。
したがって、Aは、当該訴訟に独立当事者参加をすることができる。
総合メモ
手形金債務不存在確認請求の訴えの係属中に同一の手形金請求の訴えが手形訴訟で提起された場合 大阪高判昭和62年7月16日
概要
手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に手形訴訟を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴の禁止に抵触しないと解するのが相当である。
判例
事案:手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に手形訴訟が提起された事案において、かかる訴えの提起が民訴法231条(現:142条)の重複起訴の禁止に抵触するかが問題となった。
判旨:「別件の訴のうち手形金債務不存在確認を求める請求に関する部分と本件の訴は、いずれも同一当事者間において、本件手形金債権につき、前者が消極的にその不存在の確認を求め、後者が積極的にその存在を前提として手形金及び利息の支払を求めるものであって、両請求に係る判決の既判力の範囲は同一であるから、同一の事件に当たるといわなければならず、したがって控訴人が右支払を求める請求を別件の訴に対する反訴の形式をもってすることなく、独立の訴の提起によってすれば、民訴法231条(現:142条)の規定が防止しようとしている審理判断の重複による不経済、既判力抵触の可能性及び被告の応訴の煩という弊害が生じることがあるのは避けがたいところである…手形訴訟は厳格な証拠制限が存する点において通常訴訟と異なる訴訟手続であると解されるから、手形金債務不存在確認請求訴訟において手形金支払請求の反訴を提起するには、手形訴訟によることは許されず、通常訴訟の方式によらざるを得ない。そうすると…手形金債務不存在確認請求訴訟が先に裁判所に係属した場合にはもはや手形債権者は、手形訴訟を提起することができないことになる。しかし、かかる場合に手形訴訟手続利用の途を閉ざすことは、手形訴訟が手形債権者に対して通常訴訟によるより格段に簡易迅速に債務名義を取得させ、かつ、強制執行による満足を得せしめるとともに、これにより手形の経済的効用を維持するのに資することを目的とする制度であることを考えると、手形債権者に著しい不利益を与えるばかりでなく、手形債務者において先制的に手形金債務不存在確認の訴を提起して手形債権者からの手形訴訟の提起を封殺することを可能にし、不当に手形金支払の引き延ばしを図ることにより、手形訴訟制度を設けた趣旨を損なうおそれもある。このような事態に至るのは避けるべきであり、手形債権者が通常訴訟とは手続を異にする手形訴訟を選び、簡易迅速な審判を求めるならば、その手続の利用によって受ける利益を保護する必要があるから、手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に手形訴訟を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴の禁止に抵触しないと解するのが相当である。これによって生じる前記のような弊害は、訴訟の運用によって防止するほかはない。」
判旨:「別件の訴のうち手形金債務不存在確認を求める請求に関する部分と本件の訴は、いずれも同一当事者間において、本件手形金債権につき、前者が消極的にその不存在の確認を求め、後者が積極的にその存在を前提として手形金及び利息の支払を求めるものであって、両請求に係る判決の既判力の範囲は同一であるから、同一の事件に当たるといわなければならず、したがって控訴人が右支払を求める請求を別件の訴に対する反訴の形式をもってすることなく、独立の訴の提起によってすれば、民訴法231条(現:142条)の規定が防止しようとしている審理判断の重複による不経済、既判力抵触の可能性及び被告の応訴の煩という弊害が生じることがあるのは避けがたいところである…手形訴訟は厳格な証拠制限が存する点において通常訴訟と異なる訴訟手続であると解されるから、手形金債務不存在確認請求訴訟において手形金支払請求の反訴を提起するには、手形訴訟によることは許されず、通常訴訟の方式によらざるを得ない。そうすると…手形金債務不存在確認請求訴訟が先に裁判所に係属した場合にはもはや手形債権者は、手形訴訟を提起することができないことになる。しかし、かかる場合に手形訴訟手続利用の途を閉ざすことは、手形訴訟が手形債権者に対して通常訴訟によるより格段に簡易迅速に債務名義を取得させ、かつ、強制執行による満足を得せしめるとともに、これにより手形の経済的効用を維持するのに資することを目的とする制度であることを考えると、手形債権者に著しい不利益を与えるばかりでなく、手形債務者において先制的に手形金債務不存在確認の訴を提起して手形債権者からの手形訴訟の提起を封殺することを可能にし、不当に手形金支払の引き延ばしを図ることにより、手形訴訟制度を設けた趣旨を損なうおそれもある。このような事態に至るのは避けるべきであり、手形債権者が通常訴訟とは手続を異にする手形訴訟を選び、簡易迅速な審判を求めるならば、その手続の利用によって受ける利益を保護する必要があるから、手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に手形訴訟を提起することは、民訴法231条(現:142条)の重複起訴の禁止に抵触しないと解するのが相当である。これによって生じる前記のような弊害は、訴訟の運用によって防止するほかはない。」
過去問・解説
(H28 予備 第37問 オ)
XのYに対する手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に、YがXに対し当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することは、許されない。
XのYに対する手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に、YがXに対し当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することは、許されない。
(正答)✕
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
裁判例(大阪高判昭62.7.16)は、「手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に手形訴訟を提起することは、…重複起訴の禁止に抵触しない…。」としている。
したがって、XのYに対する手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に、YがXに対し当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することも、許される。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
裁判例(大阪高判昭62.7.16)は、「手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に手形訴訟を提起することは、…重複起訴の禁止に抵触しない…。」としている。
したがって、XのYに対する手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に、YがXに対し当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することも、許される。
総合メモ
別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟で相殺の抗弁を主張することの可否(抗弁後行型) 最三小判平成3年12月17日
概要
別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として、相殺の抗弁を主張することは、許されない。
判例
事案:別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として相殺の抗弁が主張された事案において、かかる相殺の抗弁の主張が142条に反し許されないかが問題となった。
判旨:「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されないと解するのが相当である(最高裁昭和58年(オ)第1406号同63年3月15日第三小法廷判決・民集42巻3号170頁参照)。すなわち、民訴法231条(現:142条)が重複起訴を禁止する理由は、審理の重複による無駄を避けるためと複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止するためであるが、相殺の抗弁が提出された自働債権の存在又は不存在の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること(同法199条2頃(現:114条2項))、相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれども理論上も実際上もこれを防止することが困難であること、等の点を考えると、同法231条(現:142条)の趣旨は、同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも同様に妥当するものであり、このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理された場合についても同様である。」
判旨:「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されないと解するのが相当である(最高裁昭和58年(オ)第1406号同63年3月15日第三小法廷判決・民集42巻3号170頁参照)。すなわち、民訴法231条(現:142条)が重複起訴を禁止する理由は、審理の重複による無駄を避けるためと複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止するためであるが、相殺の抗弁が提出された自働債権の存在又は不存在の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること(同法199条2頃(現:114条2項))、相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれども理論上も実際上もこれを防止することが困難であること、等の点を考えると、同法231条(現:142条)の趣旨は、同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも同様に妥当するものであり、このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理された場合についても同様である。」
過去問・解説
(H19 司法 第58問 オ)
BのAに対する貸金債権の支払を求める訴訟の係属中に、AのBに対する売買代金の支払を求める別訴が提起された場合、当該別訴において、Bが同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは許されない。
BのAに対する貸金債権の支払を求める訴訟の係属中に、AのBに対する売買代金の支払を求める別訴が提起された場合、当該別訴において、Bが同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは許されない。
(正答)〇
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平3.12.17)は、「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない…。」としている。
したがって、Bが、別訴において同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは、142条に反せず許される。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平3.12.17)は、「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない…。」としている。
したがって、Bが、別訴において同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは、142条に反せず許される。
(H28 予備 第37問 ウ)
XのYに対する売買代金支払請求訴訟であるA訴訟とYのXに対する貸金返還請求訴訟であるB訴訟とがそれぞれ係属中に、A訴訟の被告Yが、A訴訟において、B訴訟で請求している貸金債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
XのYに対する売買代金支払請求訴訟であるA訴訟とYのXに対する貸金返還請求訴訟であるB訴訟とがそれぞれ係属中に、A訴訟の被告Yが、A訴訟において、B訴訟で請求している貸金債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
(正答)〇
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平3.12.17)は、「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない…。」としている。
したがって、Yが、A訴訟において、B訴訟で請求している貸金債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することは、142条に反し許されない。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平3.12.17)は、「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない…。」としている。
したがって、Yが、A訴訟において、B訴訟で請求している貸金債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することは、142条に反し許されない。
(R2 予備 第40問 オ)
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。本件訴訟とYのXに対する乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えに係る訴訟とがそれぞれ係属している場合に、Yが、本件訴訟において乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。本件訴訟とYのXに対する乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えに係る訴訟とがそれぞれ係属している場合に、Yが、本件訴訟において乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
(正答)〇
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平3.12.17)は、「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない…。」としている。
したがって、Yが、本件訴訟において乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、142条に反し許されない。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平3.12.17)は、「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない…。」としている。
したがって、Yが、本件訴訟において乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、142条に反し許されない。
総合メモ
別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟で相殺の抗弁を主張することの可否(抗弁後行型) 最一小判平成27年12月14日
概要
本訴において訴訟物となっている債権の全部または一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは、142条に反せず許される。
判例
事案:本訴被告(反訴原告)が本訴請求債権の消滅時効を援用し、本訴原告(反訴被告)が反訴において、本訴請求債権が時効消滅したと判断される場合には、これを自働債権として相殺の抗弁を主張した事案において、本訴請求債権が時効消滅したと判断されることを条件とする、反訴における当該債権を自働債権とする相殺の抗弁の主張が、142条との関係で許されるかが問題となった。
判旨:「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反し、許されない(最高裁昭和62年(オ)第1385号平成3年12月17日第三小法廷判決・民集45巻9号1435頁参照)。しかし、本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許されると解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。時効により消滅し、履行の請求ができなくなった債権であっても、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、これを自働債権として相殺をすることができるところ、本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断される場合には、その判断を前提に、同時に審判される反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とする相殺の抗弁につき判断をしても、当該債権の存否に係る本訴における判断と矛盾抵触することはなく、審理が重複することもない。したがって、反訴において上記相殺の抗弁を主張することは、重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反するものとはいえない。このように解することは、民法508条が、時効により消滅した債権であっても、一定の場合にはこれを自働債権として相殺をすることができるとして、公平の見地から当事者の相殺に対する期待を保護することとした趣旨にもかなうものである。」
判旨:「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反し、許されない(最高裁昭和62年(オ)第1385号平成3年12月17日第三小法廷判決・民集45巻9号1435頁参照)。しかし、本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許されると解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。時効により消滅し、履行の請求ができなくなった債権であっても、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、これを自働債権として相殺をすることができるところ、本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断される場合には、その判断を前提に、同時に審判される反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とする相殺の抗弁につき判断をしても、当該債権の存否に係る本訴における判断と矛盾抵触することはなく、審理が重複することもない。したがって、反訴において上記相殺の抗弁を主張することは、重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反するものとはいえない。このように解することは、民法508条が、時効により消滅した債権であっても、一定の場合にはこれを自働債権として相殺をすることができるとして、公平の見地から当事者の相殺に対する期待を保護することとした趣旨にもかなうものである。」
過去問・解説
(R2 予備 第40問 イ)
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴えの反訴として乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えを提起した場合において、Xが、甲債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、甲債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とし、乙債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴えの反訴として乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えを提起した場合において、Xが、甲債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、甲債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とし、乙債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
(正答)✕
(解説)
民法508条は、「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。」と規定している。
また、142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平27.12.14)は、「本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許される…。」としている。
したがって、Xが、甲債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、甲債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とし、乙債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。
民法508条は、「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。」と規定している。
また、142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平27.12.14)は、「本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許される…。」としている。
したがって、Xが、甲債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、甲債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とし、乙債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。
(R5 予備 第38問 エ)
本訴及び反訴の係属中に、本訴原告(反訴被告)が、本訴の訴訟物である債権が時効により消滅したと判断されることを停止条件として、反訴において、当該債権を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許されない。
本訴及び反訴の係属中に、本訴原告(反訴被告)が、本訴の訴訟物である債権が時効により消滅したと判断されることを停止条件として、反訴において、当該債権を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許されない。
(正答)✕
(解説)
民法508条は、「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。」と規定している。
また、142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平27.12.14)は、「本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許される…。」としている。
したがって、本訴及び反訴の係属中に、本訴原告が、本訴の訴訟物である債権が時効により消滅したと判断されることを停止条件として、反訴において、当該債権を自働債権として相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。
民法508条は、「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。」と規定している。
また、142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平27.12.14)は、「本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許される…。」としている。
したがって、本訴及び反訴の係属中に、本訴原告が、本訴の訴訟物である債権が時効により消滅したと判断されることを停止条件として、反訴において、当該債権を自働債権として相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。
総合メモ
別訴において一部請求をしている債権の残部を自働債権して他の訴訟で相殺の抗弁を主張することの可否 最三小判平成10年6月30日
概要
1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される。
判例
事案:別訴において一部請求をしている債権の残部を自働債権とする相殺の抗弁が主張された事案において、かかる相殺の抗弁が、142条との関係で許されるかが問題となった。
判旨:「民訴法142条…が係属中の事件について重複して訴えを提起することを禁じているのは、審理の重複による無駄を避けるとともに、同一の請求について異なる判決がされ、既判力の矛盾抵触が生ずることを防止する点にある。そうすると、自働債権の成立又は不成立の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有する相殺の抗弁についても、その趣旨を及ぼすべきことは当然であって、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することが許されないことは、原審の判示するとおりである(前記平成3年12月17日第三小法廷判決参照)。
しかしながら、他面、1個の債権の一部であっても、そのことを明示して訴えが提起された場合には、訴訟物となるのは右債権のうち当該一部のみに限られ、その確定判決の既判力も右一部のみについて生じ、残部の債権に及ばないことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和35年(オ)第359号同37年8月10日第二小法廷判決・民集16巻八号1720頁参照)。この理は相殺の抗弁についても同様に当てはまるところであって、1個の債権の一部をもってする相殺の主張も、それ自体は当然に許容されるところである。
もっとも、1個の債権が訴訟上分割して行使された場合には、実質的な争点が共通であるため、ある程度審理の重複が生ずることは避け難く、応訴を強いられる被告や裁判所に少なからぬ負担をかける上、債権の一部と残部とで異なる判決がされ、事実上の判断の抵触が生ずる可能性もないではない。そうすると、右2のように1個の債権の一部について訴えの提起ないし相殺の主張を許容した場合に、その残部について、訴えを提起し、あるいは、これをもって他の債権との相殺を主張することができるかについては、別途に検討を要するところであり、残部請求等が当然に許容されることになるものとはいえない。しかし、こと相殺の抗弁に関しては、訴えの提起と異なり、相手方の提訴を契機として防御の手段として提出されるものであり、相手方の訴求する債権と簡易迅速かつ確実な決済を図るという機能を有するものであるから、一個の債権の残部をもって他の債権との相殺を主張することは、債権の発生事由、一部請求がされるに至った経緯、その後の審理経過等にかんがみ、債権の分割行使による相殺の主張が訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存する場合を除いて、正当な防御権の行使として許容されるものと解すべきである。したがって、一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許されるものと解するのが相当である。」
判旨:「民訴法142条…が係属中の事件について重複して訴えを提起することを禁じているのは、審理の重複による無駄を避けるとともに、同一の請求について異なる判決がされ、既判力の矛盾抵触が生ずることを防止する点にある。そうすると、自働債権の成立又は不成立の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有する相殺の抗弁についても、その趣旨を及ぼすべきことは当然であって、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することが許されないことは、原審の判示するとおりである(前記平成3年12月17日第三小法廷判決参照)。
しかしながら、他面、1個の債権の一部であっても、そのことを明示して訴えが提起された場合には、訴訟物となるのは右債権のうち当該一部のみに限られ、その確定判決の既判力も右一部のみについて生じ、残部の債権に及ばないことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和35年(オ)第359号同37年8月10日第二小法廷判決・民集16巻八号1720頁参照)。この理は相殺の抗弁についても同様に当てはまるところであって、1個の債権の一部をもってする相殺の主張も、それ自体は当然に許容されるところである。
もっとも、1個の債権が訴訟上分割して行使された場合には、実質的な争点が共通であるため、ある程度審理の重複が生ずることは避け難く、応訴を強いられる被告や裁判所に少なからぬ負担をかける上、債権の一部と残部とで異なる判決がされ、事実上の判断の抵触が生ずる可能性もないではない。そうすると、右2のように1個の債権の一部について訴えの提起ないし相殺の主張を許容した場合に、その残部について、訴えを提起し、あるいは、これをもって他の債権との相殺を主張することができるかについては、別途に検討を要するところであり、残部請求等が当然に許容されることになるものとはいえない。しかし、こと相殺の抗弁に関しては、訴えの提起と異なり、相手方の提訴を契機として防御の手段として提出されるものであり、相手方の訴求する債権と簡易迅速かつ確実な決済を図るという機能を有するものであるから、一個の債権の残部をもって他の債権との相殺を主張することは、債権の発生事由、一部請求がされるに至った経緯、その後の審理経過等にかんがみ、債権の分割行使による相殺の主張が訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存する場合を除いて、正当な防御権の行使として許容されるものと解すべきである。したがって、一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許されるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第62問 5)
明示的一部請求の訴えを提起した者が、訴求した債権の残額部分を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、重複する訴えの禁止の趣旨に照らして許されない。
明示的一部請求の訴えを提起した者が、訴求した債権の残額部分を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、重複する訴えの禁止の趣旨に照らして許されない。
(正答)✕
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平10.6.30)は、「1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される…。」としている。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平10.6.30)は、「1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される…。」としている。
(R4 予備 第36問 イ)
1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される。
1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される。
(正答)〇
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平10.6.30)は、「1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される…。」としている。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平10.6.30)は、「1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される…。」としている。
総合メモ
反訴において訴訟物となっている債権を自働債権とし本訴において相殺の抗弁を主張することの可否 最二小判平成18年4月14日
概要
本訴及び反訴が係属中に、反訴原告が、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは、異なる意思表示をしない限り、反訴を、反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして、142条に反せず許される。
判例
事案:本訴被告(反訴原告)が、反訴請求債権を自働債権、本訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張した事案において、かかる相殺の抗弁が、142条との関係で許されるかが問題となった。
判旨:「本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられないと解するのが相当である。この場合においては、反訴原告において異なる意思表示をしない限り、反訴は、反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分については反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更されることになるものと解するのが相当であって、このように解すれば、重複起訴の問題は生じないことになるからである。そして、上記の訴えの変更は、本訴、反訴を通じた審判の対象に変更を生ずるものではなく、反訴被告の利益を損なうものでもないから、書面によることを要せず、反訴被告の同意も要しないというべきである。
本件については、前記事実関係及び訴訟の経過に照らしても、上告人らが本件相殺を抗弁として主張したことについて、上記と異なる意思表示をしたことはうかがわれないので、本件反訴は、上記のような内容の予備的反訴に変更されたものと解するのが相当である。」
判旨:「本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられないと解するのが相当である。この場合においては、反訴原告において異なる意思表示をしない限り、反訴は、反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分については反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更されることになるものと解するのが相当であって、このように解すれば、重複起訴の問題は生じないことになるからである。そして、上記の訴えの変更は、本訴、反訴を通じた審判の対象に変更を生ずるものではなく、反訴被告の利益を損なうものでもないから、書面によることを要せず、反訴被告の同意も要しないというべきである。
本件については、前記事実関係及び訴訟の経過に照らしても、上告人らが本件相殺を抗弁として主張したことについて、上記と異なる意思表示をしたことはうかがわれないので、本件反訴は、上記のような内容の予備的反訴に変更されたものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R2 予備 第40問 エ)
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴えの反訴として乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えを提起した場合において、Yが、Xの請求に対し、乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴えの反訴として乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えを提起した場合において、Yが、Xの請求に対し、乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない。
(正答)✕
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平18.4.14)は、「本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられない…。」としている。
したがって、Yが、Xの請求に対し、乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平18.4.14)は、「本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられない…。」としている。
したがって、Yが、Xの請求に対し、乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。
(R4 予備 第36問 エ)
本訴及び反訴の係属中に、反訴原告が、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは、許されない。
本訴及び反訴の係属中に、反訴原告が、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは、許されない。
(正答)✕
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平18.4.14)は、「本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられない…。」としている。
したがって、本訴及び反訴の係属中に、反訴原告が、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。
これについて、判例(最判平18.4.14)は、「本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは禁じられない…。」としている。
したがって、本訴及び反訴の係属中に、反訴原告が、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することも、142条に反せず許される。