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民事訴訟法 「その訴訟の目的である義務…を承継した…第三者」の意義 最三小判昭和41年3月22日

概要
土地賃貸人が賃貸借契約の終了を理由に土地賃借人に対して建物収去土地明渡を求める訴訟の係属中に、土地賃借人から右建物を賃借し、これに基づき右建物およびその敷地の占有を承継した者は、民訴法第74条第1項(現:50条1項)にいう、「其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタ」第三者にあたる。
判例
事案:Xが本件土地をAに賃貸し、Aは本件土地上に本件建物を所有し、Y1とともに本件建物で営業をしていた。にその後賃貸借契約の存続期間が満了したため、XはAに対しては賃貸借契約終了に基づく本件建物収去土地明渡し、Y1に対しては本件土地所有権に基づく本件建物退去を求めて訴えを提起した。第1審係属中、Aが死亡し、相続人Y2~Y5がXA間の訴訟を承継した。また、A死亡前にY6がAから本件建物の一部を賃借していたので、XはY6を相手方に訴訟引受の申立てをし、本件建物部分からの退去を求めたという事案において、土地賃貸人が賃貸借契約の終了を理由に土地賃借人に対して建物収去土地明渡を求める訴訟の係属中に、土地賃借人から右建物を賃借し、これに基づき右建物およびその敷地の占有を承継した者が、74条第1項(現:50条1項)にいう「其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタ」第三者にあたるかが問題となった。

判旨:「賃貸人が、土地賃貸借契約の終了を理由に、賃借人に対して地上建物の収去、土地の明渡を求める訴訟が係属中に、土地賃借人からその所有の前記建物の一部を賃借し、これに基づき、当該建物部分および建物敷地の占有を承継した者は、民訴法74条(現:50条1項)にいう『其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタル』者に該当すると解するのが相当である。けだし、土地賃借人が契約の終了に基づいて土地賃貸人に対して負担する地上建物の収去義務は、右建物から立ち退く義務を包含するものであり、当該建物収去義務の存否に関する紛争のうち建物からの退去にかかる部分は、第三者が土地賃借人から係争建物の一部および建物敷地の占有を承継することによって、第三者の土地賃貸人に対する退去義務の存否に関する紛争という型態をとって、右両者間に移行し、第三者は当該紛争の主体たる地位を土地賃借人から承継したものと解されるからである。これを実質的に考察しても、第三者の占有の適否ないし土地賃貸人に対する退去義務の存否は、帰するところ、土地賃貸借契約が終了していないとする土地賃借人の主張とこれを支える証拠関係(訴訟資料)に依存するとともに、他面において、土地賃貸人側の反対の訴訟資料によって否定されうる関係にあるのが通常であるから、かかる場合、土地賃貸人が、第三者を相手どって新たに訴訟を提起する代わりに、土地賃借人との間の既存の訴訟を第三者に承継させて、従前の訴訟資料を利用し、争いの実効的な解決を計ろうとする要請は、民訴法74条(現:50条)の法意に鑑み、正当なものとしてこれを是認すべきであるし、これにより第三者の利益を損うものとは考えられないのである。そして、たとえ、土地賃貸人の第三者に対する請求が土地所有権に基づく物上請求であり、土地賃借人に対する請求が債権的請求であって、前者と後者とが権利としての性質を異にするからといって、叙上の理は左右されないというべきである。」
過去問・解説
(H22 共通 第72問 4)
判例によれば、土地賃貸借契約の終了を理由とする建物収去土地明渡請求訴訟の係属中に、第三者が被告から建物の一部を賃借し、当該建物の一部及び建物敷地の占有を承継した場合、裁判所は、原告の申立てがあっても、当該第三者に訴訟を引き受けさせることができない。

(正答)

(解説)
50条1項は、義務の引受承継について、「訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭41.3.22)は、「賃貸人が、土地賃貸借契約の終了を理由に、賃借人に対して地上建物の収去、土地の明渡を求める訴訟が係属中に、土地賃借人からその所有の前記建物の一部を賃借し、これに基づき、当該建物部分および建物敷地の占有を承継した者は、民訴法74条(現:50条1項)にいう『其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタル』者に該当する…。」としている。
したがって、本肢のような場合、裁判所は、原告から50条1項に基づく訴訟引受の申立てがあれば、当該第三者に訴訟を引き受けさせることができる。

(R2 予備 第33問 4)
XのYに対する土地の賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟の係属中にZがYからその建物の全部を借り受けてその土地を占有する場合において、裁判所は、Zに対して所有権に基づき建物退去土地明渡しを求めるとしてされたXの訴訟の引受けの申立てにより、Zに訴訟を引き受けさせることができる。

(正答)

(解説)
50条1項は、義務の引受承継について、「訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭41.3.22)は、「賃貸人が、土地賃貸借契約の終了を理由に、賃借人に対して地上建物の収去、土地の明渡を求める訴訟が係属中に、土地賃借人からその所有の前記建物の一部を賃借し、これに基づき、当該建物部分および建物敷地の占有を承継した者は、民訴法74条(現:50条1項)にいう『其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタル』者に該当すると解するのが相当である。」としている。
土地上の建物の全部を借りた場合でも、一部を借りた場合と同様に、退去義務の存否という紛争の主体たる地位を承継したといえるため、全部を借り受けたからといって結論は変わらない。
したがって、裁判所は、Zに訴訟を引き受けさせることができる。
総合メモ
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