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民事訴訟法 訴えの交換的変更 最一小判昭和32年2月28日

概要
訴えの変更による新訴の提起があっても、旧訴につき適法な訴の取下または請求の放棄がない限り旧訴の係属は消滅しない。
判例
事案:訴えの変更により新訴の提起がなされたが、新訴についてのみ認容し、旧訴については何らの判決をしなかった事案において、訴えの変更による新訴の提起によって、旧訴の係属が消滅するかが問題となった。

判旨:「被上告人は原審において前説示の如く訴の変更をしている。元来、請求の原因を変更するというのは、旧訴の繋属中原告が新たな権利関係を訴訟物とする新訴を追加的に併合提起することを指称するのであり、この場合原告はなお旧訴を維持し、新訴と併存的にその審判を求めることがあり、また旧訴の維持し難きことを自認し新訴のみの審判を求めんとすることがある。 しかし、この後者の場合においても訴の変更そのものが許さるべきものであるというだけではこれによって当然に旧訴の訴訟繋属が消滅するものではない。けだし訴の変更の許否ということは旧訴の繋属中新訴を追加的に提起することが許されるか否かの問題であり、一旦繋属した旧訴の訴訟繋属が消滅するか否かの問題とは、係りないところだからである。もし原告がその一方的意思に基いて旧訴の訴訟繋属を消滅せしめんとするならば、法律の定めるところに従いその取下をなすか、或はその請求の抛棄をしなければならない。訴は原告の任意提起するところであるが、一旦提起した訴の繋属を消滅せしめんとするには、相手方の訴訟上受くべき利益も尊重さるべきであり、原告の意思のみに放任さるべきではない。それ故法律は原告の一方的意思に基き訴訟繋属の消滅を来たすべき訴の取下、請求の抛棄等に関しては相手方の利益保護を考慮して、これが規定を設けている。…また請求の抛棄はこれを調書に記載することによりその記載が確定判決と同一の効力を有するものとされているのである(同203条(現267条1項))。されば原告が訴提起の当初から併合されていた請求の一につき既になしたる弁論の結果これを維持し得ないことを自認しこれを撤回せんとするならば、その請求を抛棄するか、または相手方の同意を得て訴の取下をしなければならない。このことは原告が訴の変更をなし、一旦旧訴と新訴につき併存的にその審判を求めた後、旧訴の維持すべからざることを悟ってその訴訟繋属を終了せしめんと欲する場合においても、その趣を異にするものではない。」
過去問・解説
(H26 共通 第61問 3)
判例の趣旨によれば、いわゆる訴えの交換的変更においては、旧請求について訴えの取下げ及び相手方の同意又は請求の放棄がなくても、旧請求の訴訟係属は消滅する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.2.28)は、「訴の変更そのものが許さるべきものであるというだけではこれによって当然に旧訴の訴訟繋属が消滅するものではない。」とした上で、「もし原告がその一方的意思に基いて旧訴の訴訟繋属を消滅せしめんとするならば、法律の定めるところに従いその取下をなすか、或はその請求の抛棄をしなければならない。」としている。
したがって、いわゆる訴えの交換的変更においては、旧請求について訴えの取下げ及び相手方の同意又は請求の放棄がなければ、旧請求の訴訟係属は消滅しない。

(H26 共通 第61問 4)
判例の趣旨によれば、ある土地の所有権確認請求訴訟において、原告が初め被告からの売買による取得を主張し、後にその時効による取得を主張することは、訴えの変更に当たる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.2.28)は、「元来、請求の原因を変更するというのは、旧訴の繋属中原告が新たな権利関係を訴訟物とする新訴を追加的に併合提起することを指称する。」としている。
本肢において、売買による所有権の取得と時効による所有権の取得は、単なる攻撃防御方法の変更であり、訴訟物はある土地の所有権のままであり、変更がない。
したがって、本肢における原告による時効取得の主張は、訴えの変更ではない。
総合メモ
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