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民事訴訟法 金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に、同情報は、民事訴訟法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるか 最三小判平成19年12月11日

概要
①金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有するときは別として、197条1項3号にいう職業の秘密として保護されない。
②A、Bを当事者とする民事訴訟の手続の中で、Aが金融機関Cを相手方としてBとCとの間の取引履歴が記載された明細表を対象文書とする文書提出命令を申し立てた場合において、Bが上記明細表を所持しているとすれば民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず提出義務が認められること、Cがその取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえないことなど判示の事情の下では、上記明細表は、同法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえず、同法220条4号ハ所定の文書に該当しない。
判例
事案:訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について文書提出命令の申立てがされた事案において、①当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合、同情報は、197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるか、②金融機関と顧客との取引履歴が記載された明細表が、197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないとして、220条4号ハ所定の文書に該当しないのではないかなどが問題となった。

判旨:①「金融機関は、顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報につき、商慣習上又は契約上、当該顧客との関係において守秘義務を負い、その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。しかしながら、金融機関が有する上記守秘義務は、上記の根拠に基づき個々の顧客との関係において認められるにすぎないものであるから、金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には、当該顧客は上記顧客情報につき金融機関の守秘義務により保護されるべき正当な利益を有さず、金融機関は、訴訟手続において上記顧客情報を開示しても守秘義務には違反しないというべきである。そうすると、金融機関は、訴訟手続上、顧客に対し守秘義務を負うことを理由として上記顧客情報の開示を拒否することはできず、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されないものというべきである。」
 ②「これを本件についてみるに、本件明細表は、相手方とその顧客であるBとの取引履歴が記載されたものであり、相手方は、同取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえず、これについてBとの関係において守秘義務を負っているにすぎない。そして、本件明細表は、本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば、民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず、提出義務の認められる文書であるから、Bは本件明細表に記載された取引履歴について相手方の守秘義務によって保護されるべき正当な利益を有さず、相手方が本案訴訟において本件明細表を提出しても、守秘義務に違反するものではないというべきである。そうすると、本件明細表は、職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないから、相手方は、本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。」
過去問・解説
(R3 予備 第40問 1)
訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について文書提出命令の申立てがされた場合に、その顧客自身が訴訟の当事者として開示義務を負うときであっても、金融機関は、その保持する顧客の信用情報につき、商慣習上又は契約上、その顧客との関係で守秘義務を負うから、裁判所は、当該取引明細書の提出を命ずることはできない。

(正答)

(解説)
220条は、柱書において、「次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。」と規定し、4号において、「前3号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。」を、同号ハにおいて、「第197条第1項…第3号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」を掲げている。
そして、197条1項3号は、証言拒絶事由として、「職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合」を掲げている。
これについて、判例(最判平19.12.11)は、本肢と同種の事案において、「金融機関は、顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報につき、商慣習上又は契約上、当該顧客との関係において守秘義務を負い、その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。しかしながら…金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には…上記顧客情報の開示を拒否することはできず、同情報は、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されないものというべきである。」とした上で、「本件明細表は、本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば、民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず、提出義務の認められる文書である…そうすると、本件明細表は、職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないから、相手方は、本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。」として、訴訟外の第三者である金融機関が所持する顧客の取引履歴が記載された取引明細書について当該取引明細書の提出を命ずることができることを示している。
総合メモ
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