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民事訴訟法 借家法1条の2に基づく解約を理由とする家屋の明渡訴訟において当事者の明示の申立額を超える立退料の支払と引換えに明渡請求を認容することの可否 最一小判昭和46年11月25日
概要
借家法1条の2(現:借地借家法27条1項)に基づく解約を理由として家屋の明渡を求める訴訟において、その正当事由として、右家屋が京都市屈指の繁華街にある店舗でありながら老朽化して建替えを要する等原審認定のような諸事情(原判決理由参照)があるほか、家主がその補強条件として300万円もしくはこれと格段の相違のない範囲内で裁判所の決定する額の立退料を支払う旨の意思を表明し、これと引換えに家屋の明渡を求めている場合には、500万円の立退料の支払と引換えに右明渡請求を認容することは相当である。
判例
事案:借家法1条の2に基づく解約を理由とする家屋の明渡訴訟が提起された事案において、当事者の明示の申立額をこえる立退料の支払と引換えに明渡請求を認容することができるか否か問題となった。
判旨:「原審の確定した諸般の事情のもとにおいては、被上告人が上告人に対して立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めていることをもって、被上告人の右解約申入につき正当事由を具備したとする原審の判断は相当である。所論は右金額が過少であるというが、右金員の提供は、それのみで正当事由の根拠となるものではなく、他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補充しあって正当事由の判断の基礎となるものであるから、解約の申入が金員の提供を伴うことによりはじめて正当事由を有することになるものと判断される場合であっても、右金員が、明渡によって借家人の被るべき損失のすべてを補償するに足りるものでなければならない理由はないし、また、それがいかにして損失を補償しうるかを具体的に説示しなければならないものでもない。原審が、右の趣旨において500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に所論の違法は存しない。」
判旨:「原審の確定した諸般の事情のもとにおいては、被上告人が上告人に対して立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めていることをもって、被上告人の右解約申入につき正当事由を具備したとする原審の判断は相当である。所論は右金額が過少であるというが、右金員の提供は、それのみで正当事由の根拠となるものではなく、他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補充しあって正当事由の判断の基礎となるものであるから、解約の申入が金員の提供を伴うことによりはじめて正当事由を有することになるものと判断される場合であっても、右金員が、明渡によって借家人の被るべき損失のすべてを補償するに足りるものでなければならない理由はないし、また、それがいかにして損失を補償しうるかを具体的に説示しなければならないものでもない。原審が、右の趣旨において500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に所論の違法は存しない。」
過去問・解説
(R4 予備 第42問 4)
原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟において、残代金額が700万円であることが明らかになった場合には、裁判所は、被告に対し、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決をすることができる。
原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟において、残代金額が700万円であることが明らかになった場合には、裁判所は、被告に対し、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決をすることができる。
(正答)〇
(解説)
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭46.11.25)は、立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めている事案において、「原審が…500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に…違法は存しない。」としている。
したがって、原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟も、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決は、原告の主張と格段の相違のない範囲といえるから、246条に違反せず、そのような判決をすることも可能である。
246条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭46.11.25)は、立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めている事案において、「原審が…500万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であって、原判決に…違法は存しない。」としている。
したがって、原告が売買を原因として残代金500万円を支払うのと引換えに土地の所有権移転登記手続を求める訴訟も、原告から700万円の支払を受けるのと引換えに、原告への所有権移転登記手続を命ずる判決は、原告の主張と格段の相違のない範囲といえるから、246条に違反せず、そのような判決をすることも可能である。