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民事訴訟法 前訴口頭弁論終結前に相殺適状にある場合における相殺の抗弁 最二小判昭和40年4月2日
概要
債務名義たる判決の基礎となる口頭弁論の終結前に相殺適状にあったとしても、その弁論終結後になされた相殺の意思表示により債務が消滅した場合には、その債務の消滅は、請求異議の原因となる。
判例
事案:口頭弁論終結前に相殺適状にあったが、その弁論終結後に相殺によって債務が消滅した事案において、かかる債務の消滅は請求異議の原因になるかが問題となった。
判旨:「相殺は当事者双方の債務が相殺適状に達した時において当然その効力を生ずるものではなくて、その一方が相手方に対し相殺の意思表示をすることによってその効力を生ずるものであるから、当該債務名義たる判決の口頭弁論終結前には相殺適状にあるにすぎない場合、口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは民訴法545条2項(現:民事執行法35条2項)の適用上許されるとする大審院民事連合部明治43年11月26日判決(民録16輯764頁)の判旨は、当裁判所もこれを改める必要を認めない。」
判旨:「相殺は当事者双方の債務が相殺適状に達した時において当然その効力を生ずるものではなくて、その一方が相手方に対し相殺の意思表示をすることによってその効力を生ずるものであるから、当該債務名義たる判決の口頭弁論終結前には相殺適状にあるにすぎない場合、口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは民訴法545条2項(現:民事執行法35条2項)の適用上許されるとする大審院民事連合部明治43年11月26日判決(民録16輯764頁)の判旨は、当裁判所もこれを改める必要を認めない。」
過去問・解説
(H23 共通 第69問 2)
金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該貸金返還請求訴訟の事実審の口頭弁論終結前に相殺適状にあった貸主に対する債権を自働債権とし、当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、その効果を異議の事由として主張することができない。
金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該貸金返還請求訴訟の事実審の口頭弁論終結前に相殺適状にあった貸主に対する債権を自働債権とし、当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、その効果を異議の事由として主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
(H25 共通 第70問 2)
貸金返還請求訴訟において、被告が原告に対する反対債権を有し相殺適状にあったのに相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした相殺の意思表示の効果を請求異議の事由として主張することができる。
貸金返還請求訴訟において、被告が原告に対する反対債権を有し相殺適状にあったのに相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求認容判決が確定した場合であっても、被告は、その後にした相殺の意思表示の効果を請求異議の事由として主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
(H28 予備 第36問 2)
貸金返還請求訴訟において、被告である借主が相殺適状にある反対債権を有していたものの、相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、借主は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした相殺の意思表示による債務の消滅の効果を請求異議の事由として主張することができる。
貸金返還請求訴訟において、被告である借主が相殺適状にある反対債権を有していたものの、相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、借主は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした相殺の意思表示による債務の消滅の効果を請求異議の事由として主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
判例(最判昭40.4.2)は、本肢と同種の事案において、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、本肢は口頭弁論終結後に相殺の意思表示がなされているが、それでもなお債務消滅を原因として請求異議事由として主張できる。
(R2 予備 第40問 ア)
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴訟の口頭弁論の終結時までに相殺の意思表示をせず、Xの請求を全部認容する判決が確定した場合において、Yが、その後に乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、Xに対して提起した請求異議の訴えに係る訴訟において、甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触し、許されない。
Xは、Yに対し、金銭債権である甲債権を、Yは、Xに対し、金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており、甲債権と乙債権とは、相殺適状にあるところ、XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい、本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。Yが本件訴訟の口頭弁論の終結時までに相殺の意思表示をせず、Xの請求を全部認容する判決が確定した場合において、Yが、その後に乙債権を自働債権とし、甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、Xに対して提起した請求異議の訴えに係る訴訟において、甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触し、許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、Yが請求異議の訴えにおいて甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触せず、許される。
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、Yが請求異議の訴えにおいて甲債権の消滅を主張することは、この判決の既判力に抵触せず、許される。
(R6 予備 第42問 オ)
貸主Xが借主Yに対し、消費貸借契約に基づく貸金の返還を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において、前訴における事実審の口頭弁論終結前から存在し、かつ相殺適状にあったXに対する反対債権をもって相殺する旨の意思表示をした場合には、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
貸主Xが借主Yに対し、消費貸借契約に基づく貸金の返還を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において、前訴における事実審の口頭弁論終結前から存在し、かつ相殺適状にあったXに対する反対債権をもって相殺する旨の意思表示をした場合には、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず、許される。
判例(最判昭40.4.2)は、「口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは…許される。」としている。
したがって、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず、許される。