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民事訴訟法 法人格否認の法理 最一小判昭和53年9月14日

概要
法人格否認の法理に基づいて、旧会社に対する確定判決の既判力を新会社に対して及ぼすことはできない。
判例
事案:新会社の設立について旧会社の債務の支払いを免れることを目的とするなどの事情が存する事案において、旧会社に対する債務名義に対して、新会社に対する強制執行のため執行文付与を命ずることができないかが問題となった。

判旨:「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合には、いわゆる法人格否認の法理により被上告人は自己と訴外会社間の前記確定判決の内容である損害賠償請求を上告会社に対しすることができるものと解するのが相当である。しかし、この場合においても、権利関係の公権的な確定及びその迅速確実な実現をはかるために手続の明確、安定を重んずる訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されないものというべきである(最高裁昭和43年(オ)第877号同44年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号511頁参照)。」
過去問・解説
(H18 司法 第58問 4)
XがY会社に対して有する金銭債権についてその支払を命ずる判決が確定した後、当該債務の支払を免れるためZ会社が設立された。これが法人格濫用に当たる場合、法人格否認の法理により、Y会社の有する債務をZ会社が履行する義務を負うとしても、Y会社の受けた判決の既判力がZ会社に及ぶことはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、Y会社の受けた判決の既判力がZ会社に及ぶことはない。

(H21 司法 第68問 4)
XがY会社を被告として、損害賠償を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、Y会社が新たに設立したZ会社にY会社の資産を移転した場合であって、法人格の濫用であるとしてZ会社の法人格が否認されるときには、判例によれば、確定判決の既判力がZに及ぶ。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、法人格の濫用であるとしてZ会社の法人格が否認されるときにも、Xの請求を認容する確定判決の既判力はZに及ばない。

(R1 予備 第43問 イ)
XがY法人に対して損害賠償を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、Y法人がZ法人を新たに設立して資産を移転したが、法人格の濫用であるとしてZ法人の法人格が否認される場合に、この判決の効力は、Z法人にも及ぶ。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.9.14)は、本肢と同種の事案において、「上告会社の設立が訴外会社の債務の支払を免れる意図の下にされたものであり、法人格の濫用と認められる場合…においても、…訴訟手続ないし強制執行手続においては、その手続の性格上訴外会社に対する判決の既判力及び執行力の範囲を上告会社にまで拡張することは許されない…。」として、新たに設立された会社には既判力が及ばないことを示している。
したがって、法人格の濫用であるとしてZ法人の法人格が否認される場合にも、Xの請求を認容する確定判決の効力は、Z法人には及ばない。
総合メモ
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