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民事訴訟法 控訴審において訴えが変更された場合の新訴に対する主文の判示方法 最一小判昭和31年12月20日
概要
控訴審において訴の変更により新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第1審としての裁判をすべきであり、たとえ新訴に対する結論が旧訴に対する第1審判決の主文の文言と合致する場合であっても、控訴棄却の裁判をすべきではない。
判例
事案:控訴審において訴が変更された事案において、新訴に対する主文の判示方法が問題となった。
判旨:「上告人は当初、被上告人に対し売買契約に基く本件建物の引渡請求の訴訟(以下旧訴と称する)を提起し、第1審において請求棄却の判決を受け、これに対し原審に控訴の申立をなしたこと、その後上告人は原審口頭弁論において新らたに『上告人が被上告人から右建物の所有権を取得したことを確認する』旨の訴訟(以下新訴と称する)を追加的に提起し、訴を変更する旨申述したことをそれぞれ認め得るのである。ところで右新訴は原審に至りはじめて提起されたものであって、第1審においてはなんな判決されていないのであるから、原審は新訴につき実質上第1審としての裁判をなすことを要するのである。そして、たとえ新訴に対する原審の結論が請求の棄却であって第1審判決の主文の文言と合致する場合であっても控訴棄却の判決をなすべきものではなく、単に新訴について請求の棄却をなすべきものである。けだし、控訴棄却の判決は、第1審の判決を維持する旨の裁判であり、該裁判の確定によって第1審の旧訴に対する請求棄却の判決が当然に確定するに至るからである。しかるに原判決は新訴について、『控訴人(上告人)の請求を棄却した第1審の判決は相当である』との理由で控訴棄却の判決をしているのであって、ひっききょう原判決は新訴に対する裁判として、全然これと訴訟物を異にする旧訴に対する第1審判決を確定せしめる効果を生ずるに至る判決をしたことになるのであり、この点は違法であって、原判決は破棄を免れないのである。ところで上告人の新訴は原判示のとおり過去の法律関係の確認を求めるものであるから、確認の利益を欠くものとして該請求は棄却さるべきである。(なお、上告人は原審における訴の変更により、旧訴を撤回し、新訴についてのみ審判を求める意思であったことは、上告人が原審に提出した請求の趣旨変更の申立書によりこれをうかがうに難くないのであるが、しかし右旧訴の撤回は他に特段の事由の認められない本件においては、その性質は訴の取下に外ならず、したがって、これについては民訴236条の定める要件を必要とすると解すべきところ、相手方たる被上告人は右旧訴につきすでに第1審以来口頭弁論をなし、かつ旧訴の撤回に対し3月内に異議を述べていることが記録上明白であるから、旧訴の撤回はその効力を生じなかったものであり、しかもこれについては未だ原審は判決をしていないから、旧訴は依然原審に繋属していると解すべきである。)」
判旨:「上告人は当初、被上告人に対し売買契約に基く本件建物の引渡請求の訴訟(以下旧訴と称する)を提起し、第1審において請求棄却の判決を受け、これに対し原審に控訴の申立をなしたこと、その後上告人は原審口頭弁論において新らたに『上告人が被上告人から右建物の所有権を取得したことを確認する』旨の訴訟(以下新訴と称する)を追加的に提起し、訴を変更する旨申述したことをそれぞれ認め得るのである。ところで右新訴は原審に至りはじめて提起されたものであって、第1審においてはなんな判決されていないのであるから、原審は新訴につき実質上第1審としての裁判をなすことを要するのである。そして、たとえ新訴に対する原審の結論が請求の棄却であって第1審判決の主文の文言と合致する場合であっても控訴棄却の判決をなすべきものではなく、単に新訴について請求の棄却をなすべきものである。けだし、控訴棄却の判決は、第1審の判決を維持する旨の裁判であり、該裁判の確定によって第1審の旧訴に対する請求棄却の判決が当然に確定するに至るからである。しかるに原判決は新訴について、『控訴人(上告人)の請求を棄却した第1審の判決は相当である』との理由で控訴棄却の判決をしているのであって、ひっききょう原判決は新訴に対する裁判として、全然これと訴訟物を異にする旧訴に対する第1審判決を確定せしめる効果を生ずるに至る判決をしたことになるのであり、この点は違法であって、原判決は破棄を免れないのである。ところで上告人の新訴は原判示のとおり過去の法律関係の確認を求めるものであるから、確認の利益を欠くものとして該請求は棄却さるべきである。(なお、上告人は原審における訴の変更により、旧訴を撤回し、新訴についてのみ審判を求める意思であったことは、上告人が原審に提出した請求の趣旨変更の申立書によりこれをうかがうに難くないのであるが、しかし右旧訴の撤回は他に特段の事由の認められない本件においては、その性質は訴の取下に外ならず、したがって、これについては民訴236条の定める要件を必要とすると解すべきところ、相手方たる被上告人は右旧訴につきすでに第1審以来口頭弁論をなし、かつ旧訴の撤回に対し3月内に異議を述べていることが記録上明白であるから、旧訴の撤回はその効力を生じなかったものであり、しかもこれについては未だ原審は判決をしていないから、旧訴は依然原審に繋属していると解すべきである。)」
過去問・解説
(R3 予備 第44問 1)
控訴審において訴えの交換的変更がされた場合において、変更後の訴えに対する控訴裁判所の判断の内容が第一審判決の主文と同じものとなるときは、控訴裁判所は、控訴を棄却するとの判決をしなければならない。
控訴審において訴えの交換的変更がされた場合において、変更後の訴えに対する控訴裁判所の判断の内容が第一審判決の主文と同じものとなるときは、控訴裁判所は、控訴を棄却するとの判決をしなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭31.12.20)は、本肢と同種の事案において、「たとえ新訴に対する原審の結論が請求の棄却であって第1審判決の主文の文言と合致する場合であっても控訴棄却の判決をなすべきものではなく、単に新訴について請求の棄却をなすべきものである。」としている。
したがって、控訴裁判所は、控訴棄却ではなく、新訴について請求棄却判決をすべきである。
判例(最判昭31.12.20)は、本肢と同種の事案において、「たとえ新訴に対する原審の結論が請求の棄却であって第1審判決の主文の文言と合致する場合であっても控訴棄却の判決をなすべきものではなく、単に新訴について請求の棄却をなすべきものである。」としている。
したがって、控訴裁判所は、控訴棄却ではなく、新訴について請求棄却判決をすべきである。