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短答判例
執行不能を条件とする代償請求が将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠くとされた事例 最二小判昭和63年10月21日
概要
本来の給付請求に併せて、その執行不能の場合における履行に代わる損害賠償を請求する将来給付の訴えは、本来の給付請求の強制執行が不能となることがあり得ない場合には、不適法なものとして許されない。
判例
事案:株式譲渡承認の申請手続に併せて、その承認に基づく株券の指図による占有移転を命ずる判決の執行不能を条件として、代償請求をした事案において、そのような請求の適法性が問題となった。
判旨:「執行不能を条件とする代償請求は、本来の給付請求の執行不能を条件とする将来の給付請求であるので、あらかじめ請求する必要がある場合に限り提起できる(民訴法226条(現:135条))と解すべきところ、前記株式譲渡承認申請手続請求は、意思表示をすべきことを求めるものであるから、これを命ずる主文の強制執行は、民事執行法第173条1項本文により判決の確定をもって完了し、前記指図による占有移転請求も、意思表示をすべきことを求めるものであるが、その意思表示が訴外会社の取締役会の承認という被上告人らの証明すべき事実の到来に係る場合であるから、これを命ずる判決主文の強制執行は同項ただし書により被上告人らが右承認の事実を証明する文書を提出して執行文の付与を受けたときに完了するものである。しかも右訴外会社取締役会の承認を得られない場合は代償請求の条件たる執行不能に該当しないから、原審が認容すべきものとした代償請求は、いずれも条件たる本来の給付請求の主文の強制執行自体が不能となることはあり得ず条件成就の可能性が存在しないことになるので、あらかじめ請求する必要が認められず、将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く不適法なものであるといわざるを得ない。」
判旨:「執行不能を条件とする代償請求は、本来の給付請求の執行不能を条件とする将来の給付請求であるので、あらかじめ請求する必要がある場合に限り提起できる(民訴法226条(現:135条))と解すべきところ、前記株式譲渡承認申請手続請求は、意思表示をすべきことを求めるものであるから、これを命ずる主文の強制執行は、民事執行法第173条1項本文により判決の確定をもって完了し、前記指図による占有移転請求も、意思表示をすべきことを求めるものであるが、その意思表示が訴外会社の取締役会の承認という被上告人らの証明すべき事実の到来に係る場合であるから、これを命ずる判決主文の強制執行は同項ただし書により被上告人らが右承認の事実を証明する文書を提出して執行文の付与を受けたときに完了するものである。しかも右訴外会社取締役会の承認を得られない場合は代償請求の条件たる執行不能に該当しないから、原審が認容すべきものとした代償請求は、いずれも条件たる本来の給付請求の主文の強制執行自体が不能となることはあり得ず条件成就の可能性が存在しないことになるので、あらかじめ請求する必要が認められず、将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く不適法なものであるといわざるを得ない。」
過去問・解説
(R7 予備 第36問 オ)
本来の給付請求に併せて、その執行不能の場合における履行に代わる損害賠償を請求する将来給付の訴えは、本来の給付請求の強制執行が不能となることがあり得ない場合には、不適法なものとして許されない。
本来の給付請求に併せて、その執行不能の場合における履行に代わる損害賠償を請求する将来給付の訴えは、本来の給付請求の強制執行が不能となることがあり得ない場合には、不適法なものとして許されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭63.10.21)は、「執行不能を条件とする代償請求は、本来の給付請求の執行不能を条件とする将来の給付請求であるので、あらかじめ請求する必要がある場合に限り提起できる(民訴法226条(現:135条))と解すべきところ、…原審が認容すべきものとした代償請求は、いずれも条件たる本来の給付請求の主文の強制執行自体が不能となることはあり得ず条件成就の可能性が存在しないことになるので、あらかじめ請求する必要が認められず、将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く不適法なものであるといわざるを得ない。」として、本来の給付請求の強制執行が不能となることがあり得ない場合には、不適法として許されないことを示している。
したがって、本来の給付請求に併せて、その執行不能の場合における履行に代わる損害賠償を請求する将来給付の訴えは、本来の給付請求の強制執行が不能となることがあり得ない場合には、不適法なものとして許されない。
判例(最判昭63.10.21)は、「執行不能を条件とする代償請求は、本来の給付請求の執行不能を条件とする将来の給付請求であるので、あらかじめ請求する必要がある場合に限り提起できる(民訴法226条(現:135条))と解すべきところ、…原審が認容すべきものとした代償請求は、いずれも条件たる本来の給付請求の主文の強制執行自体が不能となることはあり得ず条件成就の可能性が存在しないことになるので、あらかじめ請求する必要が認められず、将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く不適法なものであるといわざるを得ない。」として、本来の給付請求の強制執行が不能となることがあり得ない場合には、不適法として許されないことを示している。
したがって、本来の給付請求に併せて、その執行不能の場合における履行に代わる損害賠償を請求する将来給付の訴えは、本来の給付請求の強制執行が不能となることがあり得ない場合には、不適法なものとして許されない。