現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。
短答条文

裁判

第114条

条文
第114条(既判力の範囲)
① 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
② 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
過去問・解説
(H18 司法 第58問 1)
XのYに対する所有権に基づく特定物の引渡請求訴訟において、Xに所有権があると認定して、Xの請求を認容する判決が確定した後、YがXに対して同一物の所有権確認の訴えを提起した。この場合、Yの後訴請求に前訴判決の既判力が及び、後訴請求は退けられる。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。そして、ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指す。
本肢において、前訴における訴訟物は、XのYに対する所有権に基づく特定物の引渡請求権であるため、既判力は、この請求権の存否についてのみ生じ、判決理由中の判断であるXの所有権の存否には生じない。
したがって、YのXに対する同一物の所有権確認の訴えは、前訴判決の既判力に抵触しないため、Yの後訴請求に前訴判決の既判力は及ばない。

(H19 司法 第58問 ア)
AのBに対する売買代金の支払を求める訴訟において、BがAに対する貸金債権の一部をもって相殺する旨の抗弁を主張したところ、自働債権の成立が認められず、請求を認容する判決が確定した。その後、Bが同一の貸金債権のうち相殺をもって対抗した額を超える部分について訴えを提起して、その支払を請求することは、前訴判決の既判力により妨げられる。

(正答)✕

(解説)
114条2項は、「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。」と規定している。
したがって、Bの同一の貸金債権のうち相殺をもって対抗した額を超える部分についての支払請求は、前訴判決の既判力により妨げられない。

(H19 司法 第58問 イ)
AのBに対する売買代金の支払を求める訴訟において敗訴判決を受けたBが、請求異議訴訟において、Aに対する貸金債権による相殺を主張したところ、自働債権の存在が認められず、請求を棄却する判決が確定した。その後、Bが同一の貸金債権について訴えの提起をして、その支払を請求することは、請求異議訴訟における判決の既判力により妨げられない。

(正答)✕

(解説)
114条2項は、「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。」と規定している。
本肢における請求異議訴訟において、BのAに対する自働債権たる貸金債権の存在が認められず、請求棄却判決が確定している以上、同項によりBのAに対する貸金債権の不存在について既判力が生じる。
したがって、Bが同一の貸金債権について訴えの提起をしてその支払を請求することは、請求異議訴訟における判決の既判力により妨げられる。

(H19 司法 第58問 エ)
BのAに対する貸金債権の支払を求める訴訟において、Bの訴えを却下する判決が確定した後、AのBに対する売買代金の支払を求める訴訟において、Bが前訴と同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは、前訴判決の既判力により妨げられない。

(正答)〇

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。
そして、訴訟判決としての訴え却下判決にも同項の既判力は生じるが、その既判力は、訴え却下の理由とされた個々の訴訟要件の欠缺についてのみ生じ、本案の権利関係には及ばない。
したがって、Bの訴えを却下する判決が確定した後に、Bが同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは、前訴判決の既判力により妨げられない。

(H19 司法 第68問 ア)
Xが、甲土地をYから買い受けたとして、Yを被告とする所有権確認請求訴訟を提起し、Xの敗訴判決が確定した後、Xが再びYを被告として甲土地について所有権確認を求める訴えを提起し、前訴の口頭弁論終結前に甲土地を所有者であるZから相続により取得していたと主張することは、既判力により妨げられない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指す。
Xが、甲土地をYから買い受けたとして、Yを被告とする所有権確認請求訴訟を提起し、Xの敗訴判決が確定した場合、訴訟物であるXの甲土地所有権の不存在について既判力が生じる。
したがって、Xが再びYを被告として甲土地について所有権確認を求める訴えを提起し、前訴の口頭弁論終結前に甲土地を所有者であるZから相続により取得していたと主張することは、前訴の基準時である口頭弁論終結時におけるXの甲土地所有権の不存在という判断内容に矛盾するため、既判力により妨げられる。

(H20 司法 第69問 2)
XはYに対して、甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起し、その判決が確定したとする。
前訴判決がXの請求棄却であり、その理由がYが甲土地の所有者であるという判断に基づいていたとする。YのXに対する甲土地の所有権の確認を求める後訴でXが前訴判決基準時におけるYの所有権を争うことは、いわゆる一物一権主義により既判力によって妨げられる。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指すため、既判力は、訴訟物たる権利関係の存否についての判断にのみ生じ、判決理由中の判断には生じないのが原則である。
本肢において、前訴においてXの請求を棄却する判決が確定した場合、訴訟物であるXの甲土地所有権の不存在という判断についてのみ既判力が生じるため、判決理由中で判断されたYの甲土地の所有権の存在については既判力が生じない。
そして、後訴の訴訟物はYの甲土地所有権であるところ、前訴の判断内容と後訴の訴訟物は矛盾関係にないため、既判力は及ばない。
したがって、Yの所有権を争うことは、前訴におけるXの甲土地所有権の不存在という判断に矛盾抵触しないため、既判力によって妨げられない。

(H20 司法 第69問 3)
XはYに対して、甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起し、その判決が確定したとする。
前訴判決がXの請求認容であったとする。XがYに対して甲土地の所有権の確認を再度求める後訴は、前訴判決の既判力に抵触するとの理由で却下されることはない。

(正答)〇

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。
本肢において、前訴においてXの請求を認容する判決が確定した場合、訴訟物であるXの甲土地所有権の存在について既判力が生じる。そして、前訴と後訴の訴訟物は同一であるため、後訴にも前訴の既判力が及ぶ。
もっとも、後訴においてXの主張している甲土地の所有権の存在は、前訴の判断内容と一致しており、前訴判決に矛盾抵触するものではない。
したがって、XがYに対して甲土地の所有権の確認を再度求める後訴は、前訴判決の既判力に抵触するとの理由で却下されることはない。

(H21 司法 第69問 1)
被告の相殺の抗弁を認めて、原告の売買代金請求を棄却する前訴判決が確定した後に、前訴の原告が、前訴と同一の売買契約に基づく代金の支払を求めて提起した後訴について、前訴確定判決の既判力は後訴の請求に関する判断に作用しない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。
そして、前訴において原告の売買代金請求を棄却する判決が確定した場合、訴訟物である原告の被告に対する売買契約に基づく代金支払請求権の不存在について既判力が生じる。
また、後訴の訴訟物も同一の売買契約に基づく代金支払請求権であり、前訴と後訴の訴訟物は同一であるため、後訴にも前訴の既判力が作用する。

(H21 司法 第69問 2)
取得時効を認めて、甲土地が原告の所有であることを確認する前訴判決が確定した後に、前訴の被告が時効の中断を主張して、前訴の原告に対して、甲土地が前訴の被告の所有であることの確認を求めて提起した後訴について、前訴確定判決の既判力は後訴の請求に関する判断に作用しない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。
そして、前訴において原告の請求を認容する判決が確定した場合、訴訟物である原告の甲土地所有権の存在について既判力が生じる。
また、後訴の訴訟物は被告の甲土地所有権であるところ、前訴の判断内容である原告の所有と、後訴の訴訟物は、一物一権主義を媒介として矛盾関係にあるため、後訴にも前訴の既判力が及ぶ。
したがって、前訴の確定判決の既判力は、後訴の請求に関する判断に作用する。

(H21 司法 第69問 3)
売買契約によって被告から甲土地を取得したことを理由に、原告の所有権移転登記手続請求を認める前訴判決が確定した後に、前訴の被告が前訴の原告に対して、当該売買契約に錯誤があったとして、甲土地が前訴の被告の所有であることの確認を求めて提起した後訴について、前訴確定判決の既判力は後訴の請求に関する判断に作用しない。

(正答)〇

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。そして、同項にいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指すため、既判力は、訴訟物たる権利関係の存否についての判断にのみ生じ、判決理由中の判断には生じないのが原則である。
本肢において、前訴における原告の請求を認容する判決が確定した場合、訴訟物である原告の被告に対する売買契約に基づく所有権移転登記請求権の存在についてのみ既判力が生じるため、判決理由中で判断された原告の甲土地所有権の存在については既判力が生じない。
そして、後訴の訴訟物は被告の甲土地所有権であるところ、前訴の判断内容と後訴の訴訟物は同一・先決・矛盾関係のいずれにも当たらないため、後訴に前訴の既判力は及ばない。
したがって、前訴の被告が、前訴の原告に対して、当該売買契約に錯誤があったとして、甲土地が前訴の被告の所有であることの確認を求めて提起した後訴について、前訴確定判決の既判力は後訴の請求に関する判断に作用しない。

(H21 司法 第69問 4)
被告から絵画を買い受けたことを理由として、当該絵画の原告への引渡しを命じる前訴判決が確定した後に、前訴の被告が、詐欺を理由とする売買契約の取消しを主張して、前訴確定判決について提起した請求異議の訴えについて、前訴確定判決の既判力は後訴の請求に関する判断に作用しない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。
本肢における前訴において、原告の請求を認容する判決が確定した場合、訴訟物である原告の被告に対する売買契約に基づく目的物引渡請求権の存在について既判力が生じる。
そして、請求異議の訴え(民事執行法35条2項)においては、確定判決の既判力が及ぶため、既判力の基準時である事実審の口頭弁論終結時より前に存在した事由を異議の事由とすることはできない。
したがって、前訴の被告が主張する詐欺を理由とする売買契約の取消しは、前訴の基準時前に存在した事由であるため、前訴の既判力により遮断される。

(H27 予備 第35問 4)
XはYに対して、甲土地の所有権確認を求める訴え(以下「本件訴え」という。)を提起した。
本件訴えについて、Xの請求を棄却する判決が確定した後に、Yが、Xに対して、Yが甲土地の所有権を有することの確認を求める訴えを提起した場合、当該判決の既判力の作用により、Xは、Yが甲土地の所有権を有することを争うことができない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。
本件訴えにおいてXの請求を棄却する判決が確定した場合、訴訟物であるXの甲土地所有権の不存在について既判力が生じる。後訴の訴訟物はYの甲土地所有権であるところ、Xの甲土地所有権が不存在であってもYが所有権を有するとは限らないため、前訴の判断内容であるXの所有権の不存在と、後訴の訴訟物は一物一権主義を媒介としても矛盾関係に立たない。
したがって、Yの後訴に本件訴えの既判力は及ばず、XはYが甲土地の所有権を有することを争うことができる。

(H28 予備 第36問 3)
甲土地の所有権を主張するXが、Xからの贈与を原因とする所有権移転登記を有するYに対して贈与の不存在を理由に当該登記の抹消登記を求める抹消登記手続請求訴訟を提起した場合において、判決の理由中の判断においてXに甲土地の所有権があるとして、請求を認容する判決が確定したときは、YはXに対して甲土地の明渡しを求める後訴においてYが甲土地を所有する旨を主張することはできない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指すため、既判力は、訴訟物たる権利関係の存否についての判断にのみ生じ、判決理由中の判断には生じないのが原則である。
本肢における前訴において、Xの請求を認容する判決が確定した場合、訴訟物であるXのYに対する所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権の存在についてのみ既判力が生じるため、判決理由中で判断されたXの甲土地所有権の存在については既判力が生じない。
そして、前訴と後訴は、訴訟物が異なり同一・先決・矛盾関係のいずれにも当たらないため、既判力は及ばない。
したがって、後訴においてYが甲土地を所有する旨を主張することは既判力の作用により遮断されない。

(H30 予備 第41問 4)
XY間の甲土地の売買契約が錯誤により無効であるとしてXがYに対して提起した所有権に基づく所有権移転登記抹消登記手続を求める訴えに対し、要素の錯誤がないとして、請求を棄却する判決が確定した場合に、YがXに対して当該売買契約に基づき甲土地の引渡しを求める後訴において、Xが要素の錯誤の存在を主張することは、前訴の確定判決の既判力に抵触し、許されない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指すため、既判力は、訴訟物たる権利関係の存否についての判断にのみ生じ、判決理由中の判断には生じないのが原則である。
本肢における前訴において、Xの請求を棄却する判決が確定した場合、訴訟物であるXのYに対する所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権の不存在についてのみ既判力が生じるため、判決理由中で判断された要素の錯誤がないことについては既判力が生じない。
そして、前訴と後訴は、訴訟물이異なり同一・先決・矛盾関係のいずれにも当たらないため、既判力は及ばない。
したがって、後訴においてXが要素の錯誤の存在を主張することは既判力の作用により遮断されない。

(R2 予備 第37問 1)
XがYに対して所有権に基づき建物の明渡しを求める訴えを提起し、Xの建物の所有権の取得が認められないとして請求を棄却する判決が確定した後、XがYに対して当該建物について同一の取得原因を主張して所有権の確認を求める訴えを提起した場合において、後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指すため、既判力は、訴訟物たる権利関係の存否についての判断にのみ生じ、判決理由中の判断には生じないのが原則である。
本肢における前訴において、Xの請求を棄却する判決が確定した場合、訴訟物であるXのYに対する所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求権の不存在についてのみ既判力が生じるため、判決理由中で判断されたXの建物の所有権の不存在については既判力が生じない。
そして、後訴の訴訟物はXの建物の所有権であるところ、前訴と後訴は訴訟物が異なり同一・先決・矛盾関係のいずれにも当たらないため、後訴に前訴の既判力は及ばない。
したがって、後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず、許される。

(R2 予備 第37問 2)
XがYに対して売買契約の詐欺取消しを理由として売買代金相当額の不当利得の返還を求める訴えを提起し、詐欺の事実が認められないとして請求を棄却する判決が確定した後、XがYに対して当該売買契約について通謀虚偽表示による無効を理由として売買代金相当額の不当利得の返還を求める訴えを提起した場合において、後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

(正答)〇

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指す。
本肢における前訴において、Xの不当利得返還請求を棄却する判決が確定した場合、訴訟物であるXのYに対する不当利得返還請求権の不存在について既判力が生じる。
そして、後訴の訴訟物も、詐欺取消しか通謀虚偽表示による無効かという理由は異なるものの、同一の売買代金相当額の不当利得返還請求権であり、前訴の訴訟物と同一であるため、後訴にも前訴の既判力が及ぶ。
したがって、後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

(R2 予備 第37問 3)
XがYに対して消費貸借契約に基づき貸金の返還を求める訴えを提起し、YのXに対する金員の支払が弁済に当たるとして請求を棄却する判決が確定した後、YがXに対して当該消費貸借契約に基づく貸金債務についてその金員の支払の前に債務免除があったとして、支払った金員の額の不当利得の返還を求める訴えを提起した場合において、後訴裁判所がYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指す。
本肢における前訴において、Xの請求を棄却する判決が確定した場合、訴訟物であるXのYに対する消費貸借契約に基づく貸金返還請求権の不存在について既判力が生じる。
これに対し、後訴の訴訟物はYのXに対する不当利得返還請求権であるため、前訴と後訴は訴訟物が異なり、同一・先決・矛盾関係のいずれにも当たらない。
したがって、後訴に前訴の既判力は及ばない。よって、後訴裁判所がYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず、許される。

(R2 予備 第37問 4)
XがYに対して土地の所有権の確認を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対して当該土地の所有権の確認を求める訴えを提起した場合において、後訴裁判所が、当該土地について前訴の口頭弁論の終結後にXから所有権を取得したとのYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。確定判決の既判力は、前訴の基準時である事実審の口頭弁論終結時における権利関係の存否についてのみ生じるため、基準時後に発生した事由は既判力によって遮断されない。
本肢における前訴において、Xの請求を認容する判決が確定した場合、基準時におけるXの土地所有権の存在について既判力が生じる。そして、後訴においてYが主張しているのは、前訴の口頭弁論終結後にXから所有権を取得したという事由であるため、前訴の確定判決の既判力によって遮断されない。
したがって、後訴裁判所が当該土地について前訴の口頭弁論の終結後にXから所有権を取得したとのYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反せず、許される。

(R2 予備 第37問 5)
XがYに対して消費貸借契約に基づき貸金の返還を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、Yが、当該消費貸借契約に基づく貸金債務についてその訴訟の口頭弁論の終結前に時効期間が経過していたとして消滅時効を援用し、Xに対して債務の不存在確認を求める訴えを提起した場合において、後訴裁判所が当該貸金債務の時効消滅を理由にYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

(正答)〇

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。確定判決の既判力は、前訴の基準時である事実審の口頭弁論終結時における権利関係の存否についてのみ生じるため、基準時前に存在した事由を後訴で主張することは既判力によって遮断される。
本肢における前訴において、Xの請求を認容する判決が確定した場合、基準時におけるXのYに対する消費貸借契約に基づく貸金返還請求権の存在について既判力が生じる。
そして、Yが主張する消滅時効の完成は、前訴の口頭弁論終結前に生じていた事由であるため、これを後訴で主張することは前訴の確定判決の既判力により遮断される。
したがって、後訴裁判所が当該貸金債務の時効消滅を理由にYの請求を認容する判決をすることは、前訴の判断と矛盾する判決をすることになるため、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

(R4 予備 第33問 ア)
XがYに対して取得時効による所有権取得を主張して提起した甲土地の所有権確認を求める訴え(前訴)について請求を棄却する判決が確定した後、XがYに対して甲土地の共有持分権確認を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前の相続による共有持分権の取得を理由としてXの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。確定判決の既判力は、前訴の基準時である事実審の口頭弁論終結時における権利関係の存否についてのみ生じるため、基準時前に存在した事由を後訴で主張することは既判力によって遮断される。
本肢における前訴において、Xの所有権確認請求を棄却する判決が確定した場合、基準時におけるXの甲土地所有権の不存在について既判力が生じる。
したがって、甲土地の共有持分権は所有権の一部であるため、後訴で甲土地の共有持分権の存在を主張することは、甲土地の所有権が全部不存在であるとの前訴確定判決の判断と矛盾する。
また、Xが後訴で主張する相続による共有持分権の取得は、前訴基準時前に生じていた事由であるため、既判力により遮断される。
よって、後訴裁判所が前訴基準時前の相続による共有持分権の取得を理由としてXの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触する。

(R4 予備 第33問 エ)
XがYに対して提起した所有権に基づく甲建物に係るY名義の所有権保存登記抹消登記手続を求める訴え(前訴)について請求を認容する判決が確定した後、YがXに対して甲建物の所有権確認を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前の相続による所有権取得を理由にYの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触し、許されない。

(正答)✕

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。ここにいう「主文に包含するもの」とは訴訟物を指すため、既判力は、訴訟物たる権利関係の存否についての判断にのみ生じ、判決理由中の判断には生じないのが原則である。
本肢における前訴において、Xの請求を認容する判決が確定した場合、訴訟物であるXのYに対する所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権保存登記抹消登記請求権の存在についてのみ既判力が生じるため、判決理由中で判断されたXの甲建物の所有権の存在については既判力が生じない。
そして、後訴の訴訟物はYの甲建物の所有権であるところ、前訴と後訴は訴訟物が異なり同一・先決・矛盾関係のいずれにも当たらないため、後訴に前訴の既判力は及ばない。
したがって、後訴裁判所が前訴基準時前の相続による所有権取得を理由にYの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触せず、許される。

(R4 予備 第33問 オ)
XのYに対する甲債権に係る500万円の支払請求訴訟(前訴)において、Yが800万円の乙債権による相殺の抗弁を提出したところ、裁判所は、甲債権、乙債権双方とも全額認められ、相殺により対当額で消滅したとの理由で、Xの請求を棄却する判決をし、同判決は確定した。その後、Yが、乙債権のうち前訴で対当額による相殺に供しなかった300万円の支払を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前に乙債権は消滅していたという理由でYの請求を棄却することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。

(正答)〇

(解説)
114条2項は、「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。」と規定している。
本肢における前訴において、Yが相殺の抗弁として主張した800万円の乙債権のうち、同項にいう「相殺をもって対抗した額」はXの請求額である500万円の限度にとどまるため、残額の300万円については既判力が生じない。
したがって、Yが、乙債権のうち前訴で対当額による相殺に供しなかった300万円の支払を求める後訴を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前に乙債権は消滅していたという理由でYの請求を棄却することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。

(R5 予備 第39問 5)
Xは、Yに対し、300万円を貸し付けたと主張して、消費貸借契約に基づく貸金返還請求として300万円の支払を求める訴えを甲裁判所に提起した(以下、この消費貸借契約を「本件消費貸借契約」といい、この訴えを「本件訴え」という。)。
Xが、本件訴えの提起に先立ち、乙裁判所にも、Yを被告とする本件消費貸借契約に基づく300万円の貸金の返還を求める訴えを提起したが、貸付けの事実が認められないとして、請求を全部棄却する判決を受け、これが確定していることが判明した場合でも、甲裁判所は、X及びYが乙裁判所の確定判決の存在を主張していないときは、乙裁判所の確定判決の既判力の存在を判決の基礎とすることはできない。

(正答)✕

(解説)
確定判決の既判力の有無は、公益に関する事項であるため、当事者の主張を待たずに裁判所が職権で調査すべき事項(職権調査事項)であると解されている。
したがって、甲裁判所は、X及びYが乙裁判所の確定判決の存在を主張していないときであっても、職権で乙裁判所の確定判決の既判力の存在を判決の基礎とすることができる。

(R8 予備 第34問 オ 改題)
Xは、Yに対し、1000万円を貸し付けたと主張し(以下、X主張の貸付けに係る貸金返還請求権を「甲債権」という。)、一部請求であることを明示して、消費貸借契約に基づく貸金返還請求として700万円の支払を求める訴えを提起した。これに対し、Yは、請求棄却の判決を求め、当該貸付けの事実を否認するとともに、Xに対して700万円の不当利得返還請求権を有しているとして(以下、Y主張の不当利得返還請求権を「乙債権」という。)、これを自働債権とする相殺の抗弁を主張した。
裁判所は、甲債権の額が700万円であり、乙債権の額が300万円であると認定した上で、甲債権及び乙債権が相殺により対当額で消滅し、乙債権は消滅し、甲債権の残存額は400万円であるとして、Xの請求について、400万円の支払を求める限度で認容し、その余の請求を棄却する判決をし、同判決は、確定した。この場合において、乙債権に関しては、700万円の不存在について既判力が生ずる。

(正答)〇

(解説)
114条2項は、「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。」と規定している。
本肢において、Yが相殺の抗弁として主張した700万円の乙債権について、同項にいう「相殺をもって対抗した額」はXの請求額である700万円の全額となる。そして、そのうち300万円は甲債権との相殺により消滅し、残り400万円は存在しないと判断されている。
したがって、乙債権に関しては、700万円の不存在について既判力が生ずる。
総合メモ

第115条

条文
第115条(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
① 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。 
 一 当事者
 二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
 三 前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
 四 前3号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
② 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。 
過去問・解説
(H19 司法 第68問 ウ)
XのYに対する自動車引渡請求訴訟において、Xの勝訴判決が確定した場合には、Yからの依頼を受けて自動車を保管しているZについては、請求の目的物の所持者として、XとYとの間の確定判決の効力が及ぶ。

(正答)〇

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、1号において、「当事者」を、4号において、「前号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者」を、それぞれ掲げている。
したがって、Yからの依頼を受けて自動車を保管しているZは、当事者であるYのために請求の目的物を所持する者であるため、4号の「前3号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者」に当たる。
よって、XのYに対する自動車引渡請求訴訟においてXの勝訴判決が確定した場合には、Yからの依頼を受けて自動車を保管しているZについては、請求の目的物の所持者として、XとYとの間の確定判決の効力が及ぶ。

(H20 司法 第69問 4)
XはYに対して、甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起し、その判決が確定したとする。
前訴判決がXの請求認容であったとする。その後Xから甲土地を借り受けたZが債権者代位権の行使としてYに対して甲土地の引渡しを求めたときには、Yは前訴判決基準時におけるXの所有権の存在と矛盾しない攻撃防御方法のみ提出できる。

(正答)〇

(解説)
114条1項は、「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」と規定している。
本肢における前訴において、Xの請求を認容する判決が確定した場合、訴訟物であるXの甲土地所有権の存在について既判力が生じる。
また、115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
したがって、前訴の口頭弁論終結後にXから甲土地を借り受けたZは、3号の「口頭弁論終結後の承継人」に当たる。そして、後訴においてZは債権者代位権を行使してYに対して引渡しを求めているところ、前訴の訴訟物と後訴は先決関係にあるため、後訴にも前訴の既判力が及ぶ。
よって、その後Xから甲土地を借り受けたZが債権者代位権の行使としてYに対して甲土地の引渡しを求めたときには、Yは前訴判決基準時におけるXの所有権の存在と矛盾しない攻撃防御方法のみ提出できる。

(H21 司法 第68問 1)
XがYを被告として、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した場合、その後にYからその建物を譲り受けたZに対して、確定判決の既判力は及ばない。

(正答)✕

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定しており、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
したがって、Zは、XのYに対する請求を認容する判決が確定した後に当事者であるYから建物を譲り受けているため、3号の「口頭弁論終結後の承継人」に当たる。
よって、Zに対しても確定判決の既判力が及ぶ。

(H21 司法 第68問 2)
XがYを被告として、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した場合、訴訟係属前にその建物につきYとの間において使用貸借契約を締結し、占有を継続しているZに対して、確定判決の既判力は及ばない。

(正答)〇

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
したがって、Zは、前訴の口頭弁論終結前にYとの間において使用貸借契約を締結し、占有を継続しているため、3号の「口頭弁論終結後の承継人」に当たらない。
よって、XがYを被告として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した場合、訴訟係属前にその建物につきYとの間において使用貸借契約を締結し、占有を継続しているZに対して、確定判決の既判力は及ばない。

(H22 共通 第70問 2)
選定当事者が当事者となった訴訟の確定判決の既判力は、選定者にも及ぶ。

(正答)〇

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、2号において、「当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人」を掲げている。
そして、選定当事者は選定者のために原告又は被告となっているため、選定者は2号にいう「当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人」に当たる。
したがって、選定当事者が当事者となった訴訟の確定判決の既判力は、選定者にも及ぶ。

(H27 予備 第35問 5)
XはYに対して、甲土地の所有権確認を求める訴え(以下「本件訴え」という。)を提起した。
本件訴えについて、Xの請求を棄却する判決が確定した後に、甲土地を占有するYがZに対しその占有を移転したため、XがZに対し、所有権に基づく甲土地の明渡しを請求することは、当該判決の既判力により妨げられない。

(正答)✕

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
したがって、Zは、本件訴えの判決が確定した後に当事者であるYから占有の移転を受けているため、3号の「口頭弁論終結後の承継人」に当たり、Zに対しても本件訴えの確定判決の既判力が及ぶ。
また、本件訴えにおいてXの請求を棄却する判決が確定したことにより、訴訟物であるXの甲土地所有権の不存在について既判力が生じている。
よって、Xが後訴で自己の所有権を主張することは前訴の判断内容と矛盾するため、既判力により遮断される。

(H29 予備 第42問 2)
BがAから賃借した土地上に建物を建築し所有していたところ、Aは、Bに対し、土地賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟を提起した。
民事訴訟法第115条第1項第3号の「承継人」の範囲を訴訟物たる権利の譲受け又は義務の引受けをした者と解すると、口頭弁論終結後にBがCに当該建物を貸し渡した事案では、Cに確定判決の効力が及ぶこととなる。

(正答)✕

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
本肢において、AのBに対する前訴の訴訟物は、土地賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権である。そして、口頭弁論終結後にBがCに当該建物を貸し渡した場合、AがCに対して提起する後訴の訴訟物は、所有権に基づく返還請求権としての建物退去土地明渡請求権となるため、Cは前訴の訴訟物たる義務そのものを引き受けたわけではない。
したがって、3号の「承継人」の範囲を訴訟物たる権利の譲受け又は義務の引受けをした者に限定して解する見解によれば、Cは「承継人」に当たらない。
よって、かかる見解に立った場合における確定判決の効力は、Cに対して及ばない。

(H29 予備 第42問 5)
BがAから賃借した土地上に建物を建築し所有していたところ、Aは、Bに対し、土地賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟を提起した。
民事訴訟法第115条第1項第3号の「承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解すると、口頭弁論終結後にBがCに当該建物を売却してこれを引き渡し、その所有権移転登記をした事案では、Cに確定判決の効力が及ぶこととなる。

(正答)〇

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
本肢におけるAのBに対する前訴の訴訟物は、土地賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権である。そして、口頭弁論終結後にBがCに当該建物を売却してこれを引き渡した場合、Cは当該建物を取得することで建物収去土地明渡義務を実体法上承継し、紛争の主体たる地位の移転を受けたといえる。
したがって、3号の「承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解する見解によれば、Cは同号の「承継人」に当たる。
よって、民事訴訟法115条1項3号の「承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解すると、口頭弁論終結後にBがCに当該建物を売却してこれを引き渡し、その所有権移転登記をした事案では、Cに確定判決の効力が及ぶこととなる。

(R1 予備 第43問 エ)
XがYに対して動産の引渡しを求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した場合に、この判決の効力は、その訴えに係る第1審の口頭弁論の終結前にYから当該動産を賃借したZにも及ぶ。

(正答)✕

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
したがって、Zは、第1審の口頭弁論の終結前に当事者であるYから当該動産を賃借しているため、3号の「口頭弁論終結後の承継人」に当たらない。
よって、Zには判決の効力は及ばない。

(R1 予備 第43問 オ)
XがYに対して所有権移転登記の原因となる行為の不存在を理由として所有権に基づき不動産の所有権移転登記抹消登記手続を求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定した後、YがZに対して当該不動産の所有権移転登記手続をした場合に、この判決の効力は、Zにも及ぶ。

(正答)〇

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
また、口頭弁論終結後に、当事者から訴訟物の目的となる不動産について所有権移転登記手続を受けた者は、3号の「口頭弁論終結後の承継人」に当たる。
そして、Zは、Xの請求を認容する判決が確定した後に、当事者であるYから当該不動産の所有権移転登記手続を受けている。
したがって、「口頭弁論終結後の承継人」に当たり、判決の効力はZにも及ぶ。

(R3 予備 第35問 ア)
Aを債務者とする債権がXに帰属することの確認を求める旨のXのYに対する訴訟において、請求を認容するとの判決が確定した場合に、この判決の効力は、Aに対して及ぶ。

(正答)✕

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、各号において、確定判決の効力が及ぶ者を掲げている。
そして、Aを債務者とする債権がXに帰属することの確認を求める旨のXのYに対する訴訟において、債務者Aは当事者ではなく、同項各号に掲げられる者のいずれにも当たらない。
したがって、請求を認容するとの判決が確定した場合であっても、この判決の効力はAには及ばない。

(R3 予備 第35問 ウ)
XのYに対する賃貸借契約の終了に基づく土地明渡請求訴訟において、賃料不払による解除を理由として請求を認容するとの判決が確定した場合に、この判決の効力は、この訴訟の口頭弁論終結の前からその土地を転借しているZに対しては及ばない。

(正答)〇

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、3号において、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」を掲げている。
そして、Zは、この訴訟の口頭弁論終結の前からその土地を転借しているため、3号の「口頭弁論終結後の承継人」に当たらない。
したがって、この判決の効力は、この訴訟の口頭弁論終結の前からその土地を転借しているZに対しては及ばない。

(R3 予備 第35問 エ)
XのYに対する動産引渡請求訴訟において、請求を認容するとの判決が確定した場合に、この判決の効力は、この訴訟の口頭弁論終結の前から、Yの委託に基づき無償でその動産を保管しているZに及ぶ。

(正答)〇

(解説)
115条1項柱書は、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、4号において、「前3号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者」を掲げている。
そして、Yの委託に基づき無償でその動産を保管しているZは、当事者であるYのために請求の目的物を所持する者に当たるため、4号に該当する。
したがって、この判決の効力は、この訴訟の口頭弁論終結の前から、Yの委託に基づき無償でその動産を保管しているZに及ぶ。

(R5 予備 第36問 ウ)
破産管財人XがYに対して、破産財団に属する破産者ZのYに対する不当利得返還請求権について、Zに代わって訴えを提起し、Xの請求を棄却する判決が確定した場合に、この判決の効力は、Zにも及ぶ。

(正答)〇

(解説)
破産法80条は、破産財団に関する訴えについて、「破産管財人を原告又は被告とする。」と規定している。これに基づき、破産管財人Xは、破産者Zの訴訟担当者として当事者適格が認められる。
そして、115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、2号において、「当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人」を掲げている。
したがって、破産管財人XがZに代わって訴えを提起した本件は、2号にいう「当事者が他人のために原告となった場合」に当たる。
よって、その確定判決の効力は、「その他人」である破産者Zに及ぶ。

(R5 予備 第36問 エ)
XがYに対して、売買契約に基づき動産の引渡しを求める訴えを提起し、Xの請求を認容する判決が確定したが、Yが事実審の口頭弁論の終結前に、寄託契約に基づき、Zへ当該動産を引き渡し、占有を移転していた場合に、この判決の効力は、Zには及ばない。

(正答)✕

(解説)
115条1項は、柱書において、「確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。」と規定し、4号において、「前3号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者」を掲げている。
そして、4号にいう、「所持する」とは、目的物の所持について自己固有の利益が認められないことをいう。
したがって、Zは、当事者であるYとの寄託契約に基づき当該動産を引き渡され占有している受寄者であり、目的物の所持について自己固有の利益を有しないため、4号に該当する。
よって、Zには確定判決の効力が及ぶ。

(R5 予備 第36問 オ)
Xが、自ら認知した子であるYを被告として、認知無効の訴えを提起し、Xの請求を棄却する判決が確定した場合に、この判決の効力は、Xの推定相続人であるZにも及ぶ。

(正答)〇

(解説)
人事訴訟法24条1項本文は、人事訴訟の確定判決について、「第三者に対してもその効力を有する。」と規定している。
そして、認知無効の訴えは人事訴訟であるため、同項本文により、その請求を棄却する判決が確定した場合には、当事者以外の第三者に対しても判決の効力が及ぶ。
したがって、この判決の効力は、第三者であるXの推定相続人Zにも及ぶ。
総合メモ

第116条

条文
第116条(判決の確定時期)
① 判決は、控訴若しくは上告(第327条第1項(第380条第2項において準用する場合を含む。)の上告を除く。)の提起、第318条第1項の申立て又は第357条(第367条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第378条第1項の規定による異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする。
② 判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。
過去問・解説
(H18 司法 第63問 1)
第1審判決が同一当事者間の数個の請求についてされた1個の判決である場合、その中の1つの請求についてだけ控訴の申立てがあっても、全請求について確定遮断及び移審の効力が生じる。

(正答)〇

(解説)
116条2項は、「判決の確定は、…控訴の提起…により、遮断される。」と規定している。
そして、控訴の提起による判決確定の遮断効及び移審効は、当事者が不服を申し立てた範囲にかかわらず、原判決の全体について生じる。
また、この上訴不可分の原則は、第1審判決が同一当事者間の数個の請求についてされた1個の判決である場合にも適用される。
したがって、その中の1つの請求についてだけ控訴の申立てがあっても、全請求について確定遮断及び移審の効力が生じる。

(H24 共通 第70問 1)
第1審判決が原告の請求の一部を認容し、その余を棄却するものであった場合には、当事者双方が控訴せず、いずれの控訴期間も満了した時に、第1審判決は確定する。

(正答)〇

(解説)
116条は、1項において、「判決は、控訴···の提起…について定めた期間の満了前には、確定しないものとする。」と規定し、2項において、「判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起…により、遮断される。」と規定している。
そして、当事者双方が控訴せず、いずれの控訴期間も満了した時には、2項による確定遮断は生じず、1項により第1審判決は確定する。
したがって、第1審判決が原告の請求の一部を認容し、その余を棄却するものであった場合には、当事者双方が控訴せず、いずれの控訴期間も満了した時に、第1審判決は確定する。

(H24 共通 第70問 2)
控訴審で控訴棄却の判決がされたときは、その確定とともに第1審判決も確定する。

(正答)〇

(解説)
116条は、1項において、「判決は、控訴若しくは上告···の提起、第318条第1項の申立て又は第357条···若しくは第378条第1項の規定による異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする。」と規定し、2項において、「判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。」と規定している。そして、控訴棄却の判決がなされれば、その確定とともに第1審判決も確定する。
したがって、控訴審で控訴棄却の判決がされたときは、その確定とともに第1審判決も確定する。

(H24 共通 第70問 3)
控訴権を有する全ての当事者が控訴権を放棄したときは、控訴期間の満了前であっても、第1審判決は確定する。

(正答)〇

(解説)
116条1項は、「判決は、控訴若しくは上告···の提起、第318条第1項の申立て又は第357条···若しくは第378条第1項の規定による異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする。」と規定している。
もっとも、判決の確定を遮断し得る控訴等の権利を有する全ての当事者がこれを放棄したときは、もはや上訴等による確定遮断の余地がなくなるため、その放棄の時に判決は確定すると解されている。
したがって、控訴権を有する全ての当事者が控訴権を放棄したときは、控訴期間の満了前であっても、第1審判決は確定する。

(H24 共通 第70問 5)
上告審の終局判決は、その言渡しとともに確定する。

(正答)〇

(解説)
116条1項は、「判決は、控訴若しくは上告···の提起、第318条第1項の申立て又は第357条···若しくは第378条第1項の規定による異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする。」と規定している。
そして、最高裁判所を上告裁判所とする上告審の終局判決に対しては、更に上訴等の不服申立てをして判決の確定を遮断することができないため、言渡しによって効力を生ずると同時に確定する。
したがって、上告審の終局判決は、その言渡しとともに確定する。

(H24 共通 第73問 イ)
貸金300万円の返還請求を全部認容した第1審判決に対し、被告が100万円の部分のみを不服として控訴した場合には、その余の部分については、控訴期間の満了により、第1審判決が確定する。

(正答)✕

(解説)
116条2項は、「判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起···により、遮断される。」と規定している。
そして、控訴の提起による判決確定の遮断効及び移審効は、当事者が不服を申し立てた範囲にかかわらず、原判決の全部について生じる(上訴不可分の原則)。
したがって、被告が第1審判決の一部のみを不服として控訴した場合であっても、第1審判決の全部について確定遮断効が生じるため、その余の部分についても、控訴期間の満了によっては確定しない。

(R4 予備 第45問 イ)
原告が貸金の返還請求と不法行為に基づく損害賠償請求とを併合して提起した訴えに係る訴訟において、第1審裁判所が原告の請求のうち貸金の返還請求を認容し、その余の請求を棄却する判決をしたところ、被告のみが自らの敗訴部分につき控訴を提起した場合には、第1審判決のうち不法行為に基づく損害賠償請求に係る部分は、控訴期間の満了に伴い確定する。

(正答)✕

(解説)
116条2項は、「判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。」と規定している。
そして、控訴の提起による判決確定の遮断効及び移審効は、当事者が不服を申し立てた範囲にかかわらず、原判決の全部について生じ、この上訴不可分の原則は、数個の請求が併合されている場合にも適用される。
したがって、第1審裁判所が原告の請求の一部を認容しその余を棄却する判決をした場合において、被告のみが自らの敗訴部分につき控訴を提起したときであっても、上訴不可分の原則により、第1審判決の全部について確定遮断効及び移審効が生じるため、原告の敗訴部分も控訴期間の満了に伴い確定することはない。

(R6 予備 第32問 5)
終局判決に対して原告、被告及び参加人のうち1人のみから適法な上訴がされた場合には、当該終局判決のうち、その1人が当事者となっている部分は確定することなく移審し、その余の部分は確定する。

(正答)✕

(解説)
116条2項は、「判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。」と規定している。
そして、独立当事者参加(47条1項)においては、「全請求につき1個の判決で同時に裁判をしなければならない。一部判決は許されない。…誤って一部判決をした場合には、追加判決で補正する余地はない」(三木浩一ほか「LegalQuest 民事訴訟法」第4版592頁)と解されている。
これに伴い、3当事者間において合一確定が要請されるため、1人のみが適法な上訴をした場合であっても、上訴不可分の原則により、終局判決の全部について確定が遮断され移審する。
したがって、1人のみから適法な上訴がされた場合、上訴不可分の原則により終局判決の全部が確定することなく移審する。
総合メモ

第119条

条文
第119条(決定及び命令の告知)
 決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
過去問・解説
(R8 予備 第35問 エ)
決定は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。

(正答)〇

(解説)
119条は、「決定…は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。」と規定している。
総合メモ

第120条

条文
第120条(訴訟指揮に関する裁判の取消し)
 訴訟の指揮に関する決定及び命令は、いつでも取り消すことができる。
過去問・解説
(R8 予備 第35問 イ)
訴訟の指揮に関する決定は、いつでも取り消すことができる。

(正答)〇

(解説)
120条は、「訴訟の指揮に関する決定…は、いつでも取り消すことができる。」と規定している。
総合メモ

第121条

条文
第121条(裁判所書記官の処分に対する異議)
 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が、決定で、裁判をする。
過去問・解説
(H20 司法 第73問 2)
裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。

(正答)〇

(解説)
121条は、「裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が、決定で、裁判をする。」と規定している。

(H29 予備 第34問 ウ)
民事訴訟の訴訟記録の閲覧及び謄写の請求は、裁判所書記官に対して行い、当該請求を拒絶した裁判所書記官の処分に対しては、即時抗告をすることができる。

(正答)✕

(解説)
91条は、1項において、「何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。」と規定し、3項において、「当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる。」と規定している。
そして、121条は、「裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が、決定で、裁判をする。」と規定している。
他方、裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについて、即時抗告は規定されていない。
したがって、民事訴訟の訴訟記録の閲覧及び謄写の請求を拒絶する処分は裁判所書記官の処分に当たるため、当該処分に対しては、即時抗告ではなく異議申立てをすることができる。

(R8 予備 第35問 ウ)
地方裁判所の裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その地方裁判所の直近上級の高等裁判所が、決定で、裁判をする。

(正答)✕

(解説)
121条は、「裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が、決定で、裁判をする。」と規定している。
総合メモ