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捜査

職務質問と有形力の行使 最一小判昭和29年7月15日

概要
夜間道路上で、警羅中の警察官から職務質問を受け、巡査駐在所に任意同行され、所持品等につき質問中隙をみて逃げ出した被告人を、更に質問を続行すべく追跡して背後から腕に手をかけ停止させる行為は、正当な職務執行の範囲を超えるものではない。
判例
事案:駐在所内で所持品等について職務質問を受けていた被告人が、突然表通りに飛び出したため、巡査が職務質問を続けようとして追いかけて制止した事案において、かかる制止行為の適法性が問題となった。

判旨:「広瀬巡査が他の巡査の職務質問を続行し又自らの疑念のため職務質問を行うことは許されて然るべきであり、そのためには同執行法第2条第1項の法意に従い逃走する被告人を停止させてこれが質問をすることができるものと解すべきであると同時に又これをなすことが却てその忠実な職務の遂行であるとも謂い得るのである。尤も斯かる場合停止させる必要な手段方法は客観的に妥当であると判断される適切な手段方法を選ぶべく、決して暴行に亘るべき態度に出ずべきでないことは勿論のことであるが斯かる手段方法である限り多少の実力を加えることも正当性のある職務執行上の方法であると謂はなければならない、原判決は広瀬巡査が被告人を約130メートル追かけその身体に手をかけた行為を目して逮捕的行為であると認め適法な職務行為の範囲を逸脱していると判断しているけれども、その距離の如何に拘らず停止を求めるためにその跡を追かけることは事物自然の要求する通常の手段方法であって、客観的に妥当なものであると認むべくこれを目して強制又は強制的手段であるとは到底考へられないところであるし又同巡査が被告人の背後より『何うして逃げるのか』と言いながらその腕に手をかけたことも任意に停止をしない被告人を停止させるためにはこの程度の実力行為に出でることは真に止むを得ないことであって正当な職務執行の手段方法であると認むるを相当とする。固よりこの程度の実力行為は刑事訴訟に関する法律の規定によらない限りなし得ない逮捕行為に該当するものではないと解すべきであり原判決においても敢て逮捕行為と謂い『的』なる語を用いているのは恐らく逮捕自体ではないがこれに準ずべき行為であるという意味において理解したものであらうが逮捕と停止行為とは明らかにその観念を異にし、逮捕は被逮捕者の意思如何に拘らず或る程度の時間的拘束を含む観念であるに反し、停止行為は停止のための一時的行為であって、停止を求められた者が任意に停止することによって直ちに中止されねばならぬ性質のものであるから広瀬巡査の本件停止行為は毫も逮捕行為と目すべきものでなく又これに準ずべき性質のものであるとも謂い得ない。そのほか本件記録を精査するも広瀬巡査が被告人に対し何等強制又は強制的行為に出でたと認むべき形跡はないから広瀬巡査の被告人に対して採った如上の行為は正当な職務執行上の行為として総て適法であると謂はなければならない。」(名古屋高判昭28.12.7)とした「原判決の判示は正当であ...る。」
過去問・解説
(H25 予備 第17問 ア)
路上で騒いでいる男がいるとの通報を受けた司法警察員Xらが、パトカーで現場に駆けつけたところ、甲が上半身裸で大声を出していた。Xらは、甲の言語や態度から、覚せい剤の使用を疑い、職務質問をすべく、パトカーから降りて甲に近づいた。甲は、Xらに気付くと、その場からち去ろうとしたため、①Xは、甲を追い掛け、「待ちなさい。」などと声を掛けながら、甲の肩に右手を掛けて引き留めた。

①については、職務質問において有形力の行使は一切許されないから違法となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.7.15)は、本肢と同種の事案において、「巡査が他の巡査の職務質問を続行し又自らの疑念のため職務質問を行うことは許されて然るべきであり、そのためには同執行法第2条第1項の法意に従い逃走する被告人を停止させてこれが質問をすることができるものと解すべきであると同時に又これをなすことが却てその忠実な職務の遂行であるとも謂い得るのである。尤も斯かる場合停止させる必要な手段方法は客観的に妥当であると判断される適切な手段方法を選ぶべく、決して暴行に亘るべき態度に出ずべきでないことは勿論のことであるが斯かる手段方法である限り多少の実力を加えることも正当性のある職務執行上の方法であると謂はなければならない...。巡査の被告人に対して採った如上の行為は正当な職務執行上の行為として総て適法である…。」とした原審(名古屋高判昭28.12.7)の判断を正当としており、職務質問において有形力を行使することが許される場合があることを認めている。
総合メモ

所持品検査の適法性 最三小判昭和53年6月20日

概要
①職務質問に附随して行う所持品検査は、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容される場合がある。
②警察官が、猟銃及び登山用ナイフを使用しての銀行強盗の容疑が濃厚な者を深夜に検問の現場から警察署に同行して職務質問中、その者が職務質問に対し黙秘し再三にわたる所持品の開披要求を拒否するなどの不審な挙動をとり続けたため、容疑を確かめる緊急の必要上、承諾がないままその者の所持品であるバッグの施錠されていないチャックを開披し内部を一べつしたにすぎない行為は、職務質問に附随して行う所持品検査において許容される限度内の行為である。
判例
事案:銀行強盗事件が発生したため緊急配備についていた警察官が、不審な挙動を取る被告人等のバッグを承諾なしに所持品検査した事案において、①所持品検査の適法性はどのように判断するか②職務質問に付随して所持品検査をすることができるかなどが問題となった。

判旨:①「警職法は、その2条1項において同項所定の者を停止させて質問することができると規定するのみで、所持品の検査については明文の規定を設けていないが、所持品の検査は、口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげるうえで必要性、有効性の認められる行為であるから、同条項による職務質問に附随してこれを行うことができる場合があると解するのが、相当である。所持品検査は、任意手段である職務質問の附随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であることはいうまでもない。しかしながら、職務質問ないし所持品検査は、犯罪の予防、鎮圧等を目的とする行政警察上の作用であって、流動する各般の警察事象に対応して迅速適正にこれを処理すべき行政警察の責務にかんがみるときは、所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当でなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があると解すべきである。もっとも、所持品検査には種々の態様のものがあるので、その許容限度を一般的に定めることは困難であるが、所持品について捜索及び押収を受けることのない権利は憲法35条の保障するところであり、捜索に至らない程度の行為であってもこれを受ける者の権利を害するものであるから、状況のいかんを問わず常にかかる行為が許容されるものと解すべきでないことはもちろんであって、かかる行為は、限定的な場合において、所持品検査の必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ、許容されるものと解すべきである。」
 ②「猟銃及び登山用ナイフを使用しての銀行強盗という重大な犯罪が発生し犯人の検挙が緊急の警察責務とされていた状況の下において、深夜に検問の現場を通りかかった近藤及び被告人の両名が、右犯人としての濃厚な容疑が存在し、かつ、兇器を所持している疑いもあったのに、警察官の職務質問に対し黙秘したうえ再三にわたる所持品の開披要求を拒否するなどの不審な挙動をとり続けたため、右両名の容疑を確める緊急の必要上されたものであって、所持品検査の緊急性、必要性が強かった反面、所持品検査の態様は携行中の所持品であるバツグの施錠されていないチヤツクを開披し内部を一べつしたにすぎないものであるから、これによる法益の侵害はさほど大きいものではなく、上述の経過に照らせば相当と認めうる行為であるから、これを警職法2条1項の職務質問に附随する行為として許容されるとした原判決の判断は正当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第21問 オ)
警察官が職務質問に付随して行う所持品検査は、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査の必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況の下で相当と認められる限度で許容される場合がある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.6.20)は、「所持品検査は、任意手段である職務質問の附随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であることはいうまでもない。しかしながら、...捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、...所持品検査の必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ、許容される…。」としている。
総合メモ

荷物のX線撮影 最三小決平成21年9月28日

概要
荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について、捜査機関が、捜査目的を達成するため、荷送人や荷受人の承諾を得ずに、これに外部からX線を照射して内容物の射影を観察する行為は、検証としての性質を有する強制処分に当たり、検証許可状によることなくこれを行うことは違法である。
判例
事案:覚醒剤の密売の疑いのあった被告人宅に配送される荷物について、荷送人・荷受人の承諾がないまま、宅配業者の協力のもと、捜査機関がX線検査を行った事案において、かかる捜査手法の適法性が問題となった。

判旨:「本件エックス線検査は、荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について、捜査機関が、捜査目的を達成するため、荷送人や荷受人の承諾を得ることなく、これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察したものであるが、その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上、内容物によってはその品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。そして、本件エックス線検査については検証許可状の発付を得ることが可能だったのであって、検証許可状によることなくこれを行った本件エックス線検査は、違法であるといわざるを得ない。」
過去問・解説
(H24 司法 第23問 ウ)
捜査機関が、捜査の必要のため、宅配便業者の了解を得て、その運送過程下にある宅配便荷物を借り受けた上、荷送人や荷受人の承諾を得ることなく、これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を撮影する行為は、宅配便荷物の外部から照射したエックス線の射影により内容物の形状や材質をうかがい知ることができるにとどまるから、プライバシー等の侵害の程度が大きいとはいえない上、占有者である宅配便業者の承諾を得て行っているものであるから、検査対象を不審な宅配便荷物に限定して行う場合には、任意捜査として許容される。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.9.28)は、本肢と同種の事案において、「本件エックス線検査は、荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について、捜査機関が、捜査目的を達成するため、荷送人や荷受人の承諾を得ることなく、これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察したものであるが、その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上、内容物によってはその品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。そして、本件エックス線検査については検証許可状の発付を得ることが可能だったのであって、検証許可状によることなくこれを行った本件エックス線検査は、違法であるといわざるを得ない。」として、X線検査が強制処分としての検証に当たることを示している。
したがって、本肢のような捜査方法は、任意捜査ではなく、強制処分となる。

(H25 司法 第25問 オ)
捜査機関が、捜査目的で宅配業者が保管している宅配便荷物に荷送人や荷受人の承諾を得ることなく、エックス線を照射して内容物の射影を観察するには、検証許可状を必要とする。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.9.28)は、「本件エックス線検査は、…検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。そして、本件エックス線検査については検証許可状の発付を得ることが可能だったのであって、検証許可状によることなくこれを行った本件エックス線検査は、違法であるといわざるを得ない。」としている。
総合メモ

公道での写真撮影・ゴミの領置 最二小決平成20年4月15日

概要
①捜査機関において被告人が強盗殺人等事件の犯人である疑いを持つ合理的な理由が存在し、かつ、同事件の捜査に関して行われたビデオ撮影が、防犯ビデオに写っていた人物の容ぼう、体型等と被告人の容ぼう、体型等との同一性の有無という犯人の特定のための重要な判断に必要な証拠資料を入手するため、これに必要な限度において、公道上及び不特定多数の客が集まるパチンコ店内にいる被告人の容ぼう等を撮影したものであるなど判示の事実関係の下では、これらのビデオ撮影は、捜査活動として適法である。
②捜査機関は、不要物として公道上のごみ集積所に排出されたごみについて、捜査の必要がある場合には、221条によりこれを遺留物として領置することができる。
判例
事案:強盗殺人の疑いがあった被告人について、捜査機関は、公道上及び不特定多数の客が集まるパチンコ店内にいる被告人の容ぼう等を撮影し、被告人がゴミ袋に入れて公道のゴミ集積場に排出したゴミを領置した事案において、①ビデオ撮影の適法性、②領置行為の適法性が問題となった。

判旨:①「判例(最高裁昭和40年(あ)第1187号同44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁、最高裁昭和59年(あ)第1025号同61年2月14日第二小法廷判決・刑集40巻1号48頁)は、...警察官による人の容ぼう等の撮影が、現に犯罪が行われ又は行われた後間がないと認められる場合のほかは許されないという趣旨まで判示したものではない...。...(中略)...前記事実関係及び記録によれば、捜査機関において被告人が犯人である疑いを持つ合理的な理由が存在していたものと認められ、かつ、前記各ビデオ撮影は、強盗殺人等事件の捜査に関し、防犯ビデオに写っていた人物の容ぼう、体型等と被告人の容ぼう、体型等との同一性の有無という犯人の特定のための重要な判断に必要な証拠資料を入手するため、これに必要な限度において、公道上を歩いている被告人の容ぼう等を撮影し、あるいは不特定多数の客が集まるパチンコ店内において被告人の容ぼう等を撮影したものであり、いずれも、通常、人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所におけるものである。以上からすれば、これらのビデオ撮影は、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法なものというべきである。」
 ②「ダウンベスト等の領置手続についてみると、被告人及びその妻は、これらを入れたごみ袋を不要物として公道上のごみ集積所に排出し、その占有を放棄していたものであって、排出されたごみについては、通常、そのまま収集されて他人にその内容が見られることはないという期待があるとしても、捜査の必要がある場合には、刑訴法221条により、これを遺留物として領置することができるというべきである。また、市区町村がその処理のためにこれを収集することが予定されているからといっても、それは廃棄物の適正な処理のためのものであるから、これを遺留物として領置することが妨げられるものではない。」
過去問・解説
(H24 司法 第23問 ア)
何人もみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有しているから、公道を歩行中の人に対する警察官による容貌等の写真撮影は、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がない場合には、現に犯罪が行われ若しくは行われた後間がないと認められる場合であって、証拠保全の必要性及び緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度を超えない相当な方法をもって行われるとき以外は許されない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭44.12.24)は、「次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。すなわち、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であって、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行なわれるときである。」としている。
しかし、その後の判例(最決平20.4.15)は、京都府学連事件判決(最大判昭44.12.24)について、「警察官による人の容ぼう等の撮影が、現に犯罪が行われ又は行われた後間がないと認められる場合のほかは許されないという趣旨まで判示したものではない...。」としている。

(H25 司法 第25問 エ)
捜査機関は、強盗殺人事件に関し、被疑者が犯人である疑いを持つ合理的理由が存在する場合、検証許可状がなくても、犯人の特定のための重要な判断に必要な証拠資料を入手する手段として、これに必要な限度において、公道上を歩いている被疑者の容貌等を撮影することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平20.4.15)は、令状の発付を受けずに行われた公道でのビデオ撮影について、「捜査機関において被告人が犯人である疑いを持つ合理的な理由が存在していたものと認められ、かつ、前記各ビデオ撮影は、強盗殺人等事件の捜査に関し、防犯ビデオに写っていた人物の容ぼう、体型等と被告人の容ぼう、体型等との同一性の有無という犯人の特定のための重要な判断に必要な証拠資料を入手するため、これに必要な限度において、公道上を歩いている被告人の容ぼう等を撮影し、あるいは不特定多数の客が集まるパチンコ店内において被告人の容ぼう等を撮影したものであり、いずれも、通常、人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所におけるものである。以上からすれば、これらのビデオ撮影は、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法なものというべきである。」としている。
したがって、このような場合には任意捜査として許容されるから、検証許可状は不要である。

(H26 共通 第21問 ア)
【事例】
 司法警察員は、被害者Vの殺害死体が発見されたことから、その捜査を開始したところ、Vの預金が、同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払い戻されていたことを把握し、同銀行に設置された防犯カメラを解析した。その結果、Vの預金を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し、司法警察員は、Aを被疑者として次の【捜査】を実施した。
【捜査】
Aに知られずに、公道上を歩行中のAの容貌を写真撮影した。

かかる捜査は、あらかじめ令状の発付を受けていなければ適法と評価される余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最決平20.4.15)は、令状の発付を受けずに行われた公道での写真撮影について、「捜査機関において被告人が犯人である疑いを持つ合理的な理由が存在していたものと認められ、かつ、前記各ビデオ撮影は、強盗殺人等事件の捜査に関し、防犯ビデオに写っていた人物の容ぼう、体型等と被告人の容ぼう、体型等との同一性の有無という犯人の特定のための重要な判断に必要な証拠資料を入手するため、これに必要な限度において、公道上を歩いている被告人の容ぼう等を撮影し、あるいは不特定多数の客が集まるパチンコ店内において被告人の容ぼう等を撮影したものであり、いずれも、通常、人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所におけるものである。以上からすれば、これらのビデオ撮影は、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法なものというべきである。」としている。
したがって、あらかじめ令状の発付を受けていない場合でも、適法とされる余地がある。

(H26 共通 第21問 イ)
【事例】
 司法警察員は、被害者Vの殺害死体が発見されたことから、その捜査を開始したところ、Vの預金が、同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払い戻されていたことを把握し、同銀行に設置された防犯カメラを解析した。その結果、Vの預金を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し、司法警察員は、Aを被疑者として次の【捜査】を実施した。
【捜査】
Aに知られずに、Aの自宅から公道上のごみ集積所に排出されたごみ袋を持ち帰った。

かかる捜査は、あらかじめ令状の発付を受けていなければ適法と評価される余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最決平20.4.15)は、本肢と同種の事案において、「ダウンベスト等の領置手続についてみると、被告人及びその妻は、これらを入れたごみ袋を不要物として公道上のごみ集積所に排出し、その占有を放棄していたものであって、排出されたごみについては、通常、そのまま収集されて他人にその内容が見られることはないという期待があるとしても、捜査の必要がある場合には、刑訴法221条により、これを遺留物として領置することができるというべきである。また、市区町村がその処理のためにこれを収集することが予定されているからといっても、それは廃棄物の適正な処理のためのものであるから、これを遺留物として領置することが妨げられるものではない。」としている。
したがって、Aに知られずに、Aの自宅から公道上のごみ集積所に排出されたごみ袋を持ち帰るという捜査は、あらかじめ令状の発付を受けていない場合でも、領置として適法とされる余地がある。
総合メモ

任意捜査において許容される有形力の行使の限度 最三小決昭和51年3月16日

概要
任意捜査における有形力の行使は、強制手段、すなわち個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段にわたらない限り、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において、許容される。警察官が、酒酔い運転の罪の疑いが濃厚な被疑者をその同意を得て警察署に任意同行し、同人の父を呼び呼気検査に応じるよう説得を続けるうちに、母が警察署に来ればこれに応じる旨を述べたので、連絡を被疑者の父に依頼して母の来署を待っていたところ、被疑者が急に退室しようとしたため、その左斜め前に立ち、両手でその左手首を掴んだ行為は、任意捜査において許容される限度内の有形力の行使である。
判例
事案:警察官が、酒酔い運転の疑いのあった被告人を任意同行し、呼気検査に応ずるよう説得を続けていたところ、母親が来れば呼気検査に応ずると述べた。そこで、母親の来署を待っていたところ、被告人が急に「マッチを取ってくる」と言いながら立ち上がり、出入口の方へ小走りに行きかけた。これに対して、警察官が、呼気検査をやってからでいいのではないかと言いながら、被告人の左手首を掴んだところ、被告人が警察官に暴行を加えたため、警察官は、被告人を公務執行妨害の現行犯人として逮捕した事案において、「強制の処分」の意義が問題となった。

判旨:「捜査において強制手段を用いることは、法律の根拠規定がある場合に限り許容されるものである。しかしながら、ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって、右の程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。ただ、強制手段にあたらない有形力の行使であっても、何らかの法益を侵害し又は侵害するおそれがあるのであるから、状況のいかんを問わず常に許容されるものと解するのは相当でなく、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容されるものと解すべきである。
 これを本件についてみると、A巡査の前記行為は、呼気検査に応じるよう被告人を説得するために行われたものであり、その程度もさほど強いものではないというのであるから、これをもって性質上当然に逮捕その他の強制手段にあたるものと判断することはできない。また、右の行為は、酒酔い運転の罪の疑いが濃厚な被告人をその同意を得て警察署に任意同行して、被告人の父を呼び呼気検査に応じるよう説得をつづけるうちに、被告人の母が警察署に来ればこれに応じる旨を述べたのでその連絡を被告人の父に依頼して母の来署を待っていたところ、被告人が急に退室しようとしたため、さらに説得のためにとられた抑制の措置であって、その程度もさほど強いものではないというのであるから、これをもって捜査活動として許容される範囲を超えた不相当な行為ということはできず、公務の適法性を否定することができない。したがって、原判決が、右の行為を含めてA巡査の公務の適法性を肯定し、被告人につき公務執行妨害罪の成立を認めたのは、正当というべきである。」
過去問・解説
(H18 司法 第25問 ア)
被疑者に対する任意同行が適法であるためには、被疑者の任意の承諾の下、その意思を制圧することなく行われたことを要する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭51.3.16)は、「強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって、右の程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。」としている。
したがって、任意捜査の一種である任意同行は、被疑者の任意の承諾の下、その意思を制圧することなく行われなければならない。

(H18 司法 第25問 イ)
任意捜査であるからといって有形力の行使が全く許されないわけではない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭51.3.16)は、「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段...に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。」としている。

(H22 司法 第23問 カ)
【事例】
 司法警察員Xは、被疑者甲に係る大麻取締法違反(大麻所持)被疑事件に関し、被疑者甲が一人で居住するアパートの居室を捜索すべき場所とし、大麻及び大麻吸引具を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状に基づき、その居室を捜索した。その際、被疑者甲は、その居室にいた。司法警察員Xは、その捜索において、大麻及び大麻吸引具を発見することができなかったが、ポーチに入った覚せい剤様の白色結晶や、血液の混じったような液体が入った注射器を発見した。そのため、司法警察員Xは、前記白色結晶につき、覚せい剤の予試験を実施したところ、覚せい剤であるとの試験結果が得られた。そこで、司法警察員Xは、被疑者甲を覚せい剤取締法違反の被疑事実で逮捕し、前記白色結晶を押収するとともに、前記ポーチ及び前記注射器を押収した。また、司法警察員Xは、被疑者甲が任意に尿を提出したので、これを押収した。さらに、司法警察員Xは、採血を拒否した被疑者甲の血液型を明らかにするため、被疑者甲をH病院に連れて行き、⑥H病院の医師Yをして、被疑者甲の採血をさせた。

⑥について、医師Yをして被疑者甲の採血をさせるには、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受けなくても、医師Yに鑑定嘱託をして、被疑者甲の採血をさせることができる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭51.3.16)は、「強制の処分」(197条1項但書)の意義について、「有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであ...る。」としている。
甲の同意を得ることなく、甲の「身体」に制約を加えて強制的に採血を行うことは、「強制の処分」に該当する。
したがって、鑑定嘱託の方法ではなく裁判官による令状の発付を受ける必要がある。
総合メモ

任意同行後の被疑者の取調べ 最二小決昭和59年2月29日

概要
被疑者につき帰宅できない特段の事情もないのに、同人を4夜にわたり所轄警察署近辺のホテル等に宿泊させるなどした上、連日、同警察署に出頭させ、午前中から夜間に至るまで長時間取調べをすることは、任意捜査の方法として必ずしも妥当とはいい難いが、同人が右のような宿泊を伴う取調べに任意に応じており、事案の性質上速やかに同人から詳細な事情及び弁解を聴取する必要性があるなど本件の具体的状況のもとにおいては、任意捜査の限界を越えた違法なものとまでいうことはできない。
判例
事案:殺人の疑いのあった被告人について、被告人が帰宅できないという事情もないのに、4夜にわたり警察署近くのホテル等に宿泊させ、監視の上で、連日警察署に出頭させ、長時間の取調べを行った事案において、一連の捜査について、被疑者が任意に応じていた場合に、任意捜査として許容されるかが問題となった。

判旨:「昭和52年6月7日に被告人を高輪警察署に任意同行して以降同月11日に至る間の被告人に対する取調べは、刑訴法198条に基づき、任意捜査としてなされたものと認められるところ、任意捜査においては、強制手段、すなわち、『個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段』(最高裁昭和50年(あ)第146号同51年3月16日第三小法廷決定・刑集30巻2号187頁参照)を用いることが許されないことはいうまでもないが、任意捜査の一環としての被疑者に対する取調べは、右のような強制手段によることができないというだけでなく、さらに、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において、許容されるものと解すべきである。
 これを本件についてみるに、まず、被告人に対する当初の任意同行については、捜査の進展状況からみて被告人に対する容疑が強まっており、事案の性質、重大性等にもかんがみると、その段階で直接被告人から事情を聴き弁解を徴する必要性があったことは明らかであり、任意同行の手段・方法等の点において相当性を欠くところがあったものとは認め難く、また、右任意同行に引き続くその後の被告人に対する取調べ自体については、その際に暴行、脅迫等被告人の供述の任意性に影響を及ぼすべき事跡があったものとは認め難い。 しかし、被告人を4夜にわたり捜査官の手配した宿泊施設に宿泊させた上、前後5日間にわたって被疑者としての取調べを続行した点については、原判示のように、右の間被告人が単に『警察の庇護ないしはゆるやかな監視のもとに置かれていたものとみることができる』というような状況にあったにすぎないものといえるか、疑問の余地がある。 すなわち、被告人を右のように宿泊させたことについては、被告人の住居たる野尻荘は高輪警察署からさほど遠くはなく、深夜であっても帰宅できない特段の事情も見当たらない上、第1日目の夜は、捜査官が同宿し被告人の挙動を直接監視し、第2日目以降も、捜査官らが前記ホテルに同宿こそしなかったもののその周辺に張り込んで被告人の動静を監視しており、高輪警察署との往復には、警察の自動車が使用され、捜査官が同乗して送り迎えがなされているほか、最初の3晩については警察において宿泊費用を支払っており、しかもこの間午前中から深夜に至るまでの長時間、連日にわたって本件についての追及、取調べが続けられたものであって、これらの諸事情に徴すると、被告人は、捜査官の意向にそうように、右のような宿泊を伴う連日にわたる長時間の取調べに応じざるを得ない状況に置かれていたものとみられる一面もあり、その期間も長く、任意取調べの方法として必ずしも妥当なものであったとはいい難い。 しかしながら、他面、被告人は、右初日の宿泊については前記のような答申書を差出しており、また、記録上、右の間に被告人が取調べや宿泊を拒否し、調べ室あるいは宿泊施設から退去し帰宅することを申し出たり、そのような行動に出た証跡はなく、捜査官らが、取調べを強行し、被告人の退去、帰宅を拒絶したり制止したというような事実も窺われないのであって、これらの諸事情を総合すると、右取調べにせよ宿泊にせよ、結局、被告人がその意思によりこれを容認し応じていたものと認められるのである。 被告人に対する右のような取調べは、宿泊の点など任意捜査の方法として必ずしも妥当とはいい難いところがあるものの、被告人が任意に応じていたものと認められるばかりでなく、事案の性質上、速やかに被告人から詳細な事情及び弁解を聴取する必要性があったものと認められることなどの本件における具体的状況を総合すると、結局、社会通念上やむを得なかったものというべく、任意捜査として許容される限界を越えた違法なものであったとまでは断じ難いというべきである。」
過去問・解説
(H25 予備 第17問 イ)
路上で騒いでいる男がいるとの通報を受けた司法警察員Xらが、パトカーで現場に駆けつけたところ、甲が上半身裸で大声を出していた。Xらは、甲の言語や態度から、覚せい剤の使用を疑い、職務質問をすべく、パトカーから降りて甲に近づいた。甲は、Xらに気付くと、その場からち去ろうとしたため、Xは、甲を追い掛け、「待ちなさい。」などと声を掛けながら、甲の肩に右手を掛けて引き留めた。甲は、ふて腐れた様子で文句を言ったが、それ以上、その場から離れようとはしなかったため、Xは甲の肩から手を離した。Xは、多くの野次馬が集まってきたため、甲に対し、最寄りのH警察署への同行を求めた。②甲は、当初、これを拒否していたが、最終的には渋々パトカーに乗車し、XらとともにH警察署に赴いた。

②については、甲が最終的にパトカーに乗車することには応じたとしても、その前後の状況によっては、甲をH警察署に連れて行った行為が違法と判断される場合がある。

(正答)

(解説)
判例(最決昭59.2.29)は、「任意捜査においては、...事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において、許容される…。」としている。
したがって、甲が、パトカーに任意に乗車したとしても、その前後の状況によっては、かかる任意同行が違法と判断される場合がある。
総合メモ

錯乱状態にあった被告人に対して行われた強制採尿の適法性(R6) 最二小決平成3年7月16日

概要
錯乱状態に陥り任意の尿の提出が期待できない状況において実施された強制採尿手続に違法はない。
判例
事案:錯乱状態に陥り任意の尿の提出が期待できない状況において実施された強制採尿手続が違法であるかが問題となった。

判旨:「被告人は、錯乱状態に陥っていて任意の尿の提出が期待できない状況にあったものと認められるのであって、本件被疑事実の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らせば、本件強制採尿は、犯罪の捜査上真にやむを得ない場合に実施されたものということができるから、右手続に違法はないとした原判断は正当である(最高裁昭和54年(あ)第429号同55年10月23日第一小法廷決定・刑集34巻5号300頁参照)。」
過去問・解説
(R6 予備 第26問 エ)
被疑者から尿を採取するに当たり、被疑者が錯乱状態に陥っていて任意の尿の提出が期待できない状況にあるときは、任意提出の機会を提供せずに、令状によって強制採尿を行うことができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平3.7.16)は、本肢と同種の事案において、 「被告人は、錯乱状態に陥っていて任意の尿の提出が期待できない状況にあったものと認められるのであって、本件被疑事実の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らせば、本件強制採尿は、犯罪の捜査上真にやむを得ない場合に実施されたものということができるから、右手続に違法はないとした原判断は正当である…。」としている。
総合メモ

強制採尿令状により採尿場所まで強制連行することの可否 最三小決平成6年9月16日

概要
身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、いわゆる強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができる。
判例
事案:覚せい剤使用の嫌疑がある被疑者に対して強制採尿令状が発付後、現場において、被疑者の両腕をつかみ被疑者を警察車両に乗車させた上、強制採尿令状を呈示して執行しようとしたところ、被疑者が興奮して同巡査部長に頭を打ち付けるなど激しく抵抗したため、警察官が、被疑者の両腕を制圧して被疑者を警察車両に乗車させたまま、現場を出発し、病院に到着したという事案において、かかる連行行為の適法性が問題となった。

判旨:「身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができるものと解するのが相当である。けだし、そのように解しないと、強制採尿令状の目的を達することができないだけでなく、このような場合に右令状を発付する裁判官は、連行の当否を含めて審査し、右令状を発付したものとみられるからである。その場合、右令状に、被疑者を採尿に適する最寄りの場所まで連行することを許可する旨を記載することができることはもとより、被疑者の所在場所が特定しているため、そこから最も近い特定の採尿場所を指定して、そこまで連行することを許可する旨を記載することができることも,明らかである。
 本件において、被告人を任意に採尿に適する場所まで同行することが事実上不可能であったことは、前記のとおりであり、連行のために必要限度を超えて被疑者を拘束したり有形力を加えたものとはみられない。また、前記病院における強制採尿手続にも、違法と目すべき点は見当たらない。したがって、本件強制採尿手続自体に違法はないというべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第27問 オ)
身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿のための捜索差押令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平6.9.16)は、「身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができる…。」としている。

(H25 司法 第25問 イ)
捜査機関は、身体を拘束されていない被疑者を採尿場所に任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合、採尿することを許可する捜索差押令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平6.9.16)は、「身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができる…。」としている。

(H25 予備 第17問 エ)
路上で騒いでいる男がいるとの通報を受けた司法警察員Xらが、パトカーで現場に駆けつけたところ、甲が上半身裸で大声を出していた。Xらは、甲の言語や態度から、覚せい剤の使用を疑い、職務質問をすべく、パトカーから降りて甲に近づいた。甲は、Xらに気付くと、その場からち去ろうとしたため、Xは、甲を追い掛け、「待ちなさい。」などと声を掛けながら、甲の肩に右手を掛けて引き留めた。甲は、ふて腐れた様子で文句を言ったが、それ以上、その場から離れようとはしなかったため、Xは甲の肩から手を離した。Xは、多くの野次馬が集まってきたため、甲に対し、最寄りのH警察署への同行を求めた。甲は、当初、これを拒否していたが、最終的には渋々パトカーに乗車し、XらとともにH警察署に赴いた。同署に到着後、Xは、甲の左腕に注射痕らしきものがあるのを認め、甲に対し、覚せい剤使用の事実について尋ねたが、甲はこれを否定した。Xは、甲に対し、尿の提出を再三にわたって求めたが、甲はこれを拒絶し続けた。そこでXは、強制採尿もやむなしと考え、裁判官より強制採尿令状の発付を受けた。Xは、甲に対し、同令状を示して再度尿の任意提出を求めたが、甲は、なおもこれを拒むとともに、最寄りのJ病院へ赴くことをも拒んだ。そこで④Xは、数名がかりで甲をJ病院まで連行した。

④については、甲を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合であっても、有形力を行使することは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最決平6.9.16)は、「身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができる…。」としている。
したがって、甲を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、最小限度の有形力を行使することができる。
総合メモ

強制採尿の可否 最一小決昭和55年10月23日

概要
①被疑者の体内から導尿管(カテーテル)を用いて強制的に尿を採取することは、捜査手続上の強制処分として絶対に許されないものではなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経たうえ、被疑者の身体の安全と人格の保護のための十分な配慮のもとに行うことが許される。
②捜査機関が強制採尿をするには捜索差押令状によるべきであり、右令状には、医師をして医学的に相当と認められる方法で行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である。
判例
事案:覚醒剤自己使用の疑いのある被疑者に対し、カテーテルを用いた強制採尿が行われたところ、①強制採尿の適法性、及び、②強制採尿に際して発付すべき令状の種類が問題となった。

判旨:①「尿を任意に提出しない被疑者に対し、強制力を用いてその身体から尿を採取することは、身体に対する侵入行為であるとともに屈辱感等の精神的打撃を与える行為であるが、右採尿につき通常用いられるカテーテルを尿道に挿入して尿を採取する方法は、被採取者に対しある程度の肉体的不快感ないし抵抗感を与えるとはいえ、医師等これに習熟した技能者によって適切に行われる限り、身体上ないし健康上格別の障害をもたらす危険性は比較的乏しく、仮に障害を起こすことがあっても軽微なものにすぎないと考えられるし、また、右強制採尿が被疑者に与える屈辱感等の精神的打撃は、検証の方法としての身体検査においても同程度の場合がありうるのであるから、被疑者に対する右のような方法による強制採尿が捜査手続上の強制処分として絶対に許されないとすべき理由はなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり、ただ、その実施にあたっては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきものと解するのが相当である。
 これを本件についてみるのに、覚せい剤取締法41条の2第1項3号(現:41条の3第1項3号)、19条に該当する覚せい剤自己使用の罪は10年以下の懲役刑に処せられる相当重大な犯罪であること、被告人には覚せい剤の自己使用の嫌疑が認められたこと、被告人は犯行を徹底的に否認していたため証拠として被告人の尿を取得する必要性があったこと、被告人は逮捕後尿の任意提出を頑強に拒み続けていたこと、捜査機関は、従来の捜査実務の例に従い、強制採尿のため、裁判官から身体検査令状及び鑑定処分許可状の発付を受けたこと、被告人は逮捕後33時間経過してもなお尿の任意提出を拒み、他に強制採尿に代わる適当な手段は存在しなかったこと、捜査機関はやむなく右身体検査令状及び鑑定処分許可状に基づき、医師に採尿を嘱託し、同医師により適切な医学上の配慮の下に合理的かつ安全な方法によって採尿が実施されたこと、右医師による採尿に対し被告人が激しく抵抗したので数人の警察官が被告人の身体を押えつけたが、右有形力の行使は採尿を安全に実施するにつき必要最小限度のものであったことが認められ、本件強制採尿の過程は、令状の種類及び形式の点については問題があるけれども、それ以外の点では、法の要求する前記の要件をすべて充足していることが明らかである。」
 ②「そこで、右の適切な法律上の手続について考えるのに、体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(現:同条6項)が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠であると解さなければならない。」
過去問・解説
(H20 司法 第27問 エ)
強制採尿のための捜索差押令状には、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、強制採尿令状について、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(現:同条6項)が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である…。」としている。

(H21 司法 第26問 エ)
被疑者甲が覚せい剤を所持した事件で甲方を捜索したところ、立会人である甲の支離滅裂な言動から甲に覚せい剤使用の疑いが生じたので、司法警察員が、甲から尿を採取するため、身柄を拘束されていない甲を甲方から採尿に適する最寄りの病院まで連れて行くことは、差し押さえるべき物を覚せい剤とする甲方に対する捜索差押許可状で行い得る。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、強制採尿令状について、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(現:同条6項)が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である…。」としている。
本肢では、単に差し押さえるべき物を覚せい剤とする甲方に対する捜索差押許可状が発付されているに過ぎず、そもそも強制採尿を行うことができないから、甲を採尿に適する最寄りの病院まで連れて行くこともできない。

(H22 司法 第23問 オ)
【事例】
 司法警察員Xは、被疑者甲に係る大麻取締法違反(大麻所持)被疑事件に関し、被疑者甲が一人で居住するアパートの居室を捜索すべき場所とし、大麻及び大麻吸引具を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状に基づき、その居室を捜索した。その際、被疑者甲は、その居室にいた。司法警察員Xは、その捜索において、大麻及び大麻吸引具を発見することができなかったが、ポーチに入った覚せい剤様の白色結晶や、血液の混じったような液体が入った注射器を発見した。そのため、司法警察員Xは、前記白色結晶につき、覚せい剤の予試験を実施したところ、覚せい剤であるとの試験結果が得られた。そこで、司法警察員Xは、被疑者甲を覚せい剤取締法違反の被疑事実で逮捕し、前記白色結晶を押収するとともに、前記ポーチ及び前記注射器を押収した。また、司法警察員Xは、⑤被疑者甲が任意に尿を提出したので、これを押収した。

⑤について、被疑者甲が任意に尿を提出しなかった場合でも、司法警察員Xは、捜索差押許可状の発付を受けて、医師をして被疑者甲から強制的に採尿をさせることができる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、強制採尿について、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(現:同条6項)が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である…。」としている。
したがって、条件の記載が必須となるものの、被疑者甲が任意に尿を提出しなかった場合に発付すべき令状の種類は捜索差押許可状である。

(H25 司法 第25問 ア)
捜査機関が、犯罪の証拠物として被疑者の体内に存在する尿を強制的に採取するには、捜索差押令状を必要とするが、人権の侵害にわたるおそれがある点では、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、「裁判官は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる」旨の規定が前記捜索差押令状に準用される。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、強制採尿について、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(現:同条6項)が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である…。」としている。

(H25 予備 第17問 ウ)
路上で騒いでいる男がいるとの通報を受けた司法警察員Xらが、パトカーで現場に駆けつけたところ、甲が上半身裸で大声を出していた。Xらは、甲の言語や態度から、覚せい剤の使用を疑い、職務質問をすべく、パトカーから降りて甲に近づいた。甲は、Xらに気付くと、その場からち去ろうとしたため、Xは、甲を追い掛け、「待ちなさい。」などと声を掛けながら、甲の肩に右手を掛けて引き留めた。甲は、ふて腐れた様子で文句を言ったが、それ以上、その場から離れようとはしなかったため、Xは甲の肩から手を離した。Xは、多くの野次馬が集まってきたため、甲に対し、最寄りのH警察署への同行を求めた。甲は、当初、これを拒否していたが、最終的には渋々パトカーに乗車し、XらとともにH警察署に赴いた。同署に到着後、Xは、甲の左腕に注射痕らしきものがあるのを認め、甲に対し、覚せい剤使用の事実について尋ねたが、甲はこれを否定した。Xは、甲に対し、尿の提出を再三にわたって求めたが、甲はこれを拒絶し続けた。そこでXは、強制採尿もやむなしと考え、③裁判官より強制採尿令状の発付を受けた。

③の令状については、医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、強制採尿令状について、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(現:同条6項)が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である…。」としている。

(H25 予備 第17問 オ)
路上で騒いでいる男がいるとの通報を受けた司法警察員Xらが、パトカーで現場に駆けつけたところ、甲が上半身裸で大声を出していた。Xらは、甲の言語や態度から、覚せい剤の使用を疑い、職務質問をすべく、パトカーから降りて甲に近づいた。甲は、Xらに気付くと、その場からち去ろうとしたため、Xは、甲を追い掛け、「待ちなさい。」などと声を掛けながら、甲の肩に右手を掛けて引き留めた。甲は、ふて腐れた様子で文句を言ったが、それ以上、その場から離れようとはしなかったため、Xは甲の肩から手を離した。Xは、多くの野次馬が集まってきたため、甲に対し、最寄りのH警察署への同行を求めた。甲は、当初、これを拒否していたが、最終的には渋々パトカーに乗車し、XらとともにH警察署に赴いた。同署に到着後、Xは、甲の左腕に注射痕らしきものがあるのを認め、甲に対し、覚せい剤使用の事実について尋ねたが、甲はこれを否定した。Xは、甲に対し、尿の提出を再三にわたって求めたが、甲はこれを拒絶し続けた。そこでXは、強制採尿もやむなしと考え、裁判官より強制採尿令状の発付を受けた。Xは、甲に対し、同令状を示して再度尿の任意提出を求めたが、甲は、なおもこれを拒むとともに、最寄りのJ病院へ赴くことをも拒んだ。そこでXは、数名がかりで甲をJ病院まで連行した。甲は、同病院の病室に連行された後も、身体を動かして激しく抵抗し、説得にも応じなかったため、⑤Xら数名が甲の身体を同病室のベッド上に押さえ付けた上で、医師において、カテーテルを甲の尿道に挿入して尿を採取した。同尿を鑑定したところ、覚せい剤の成分の含有が認められたことから、甲は、覚せい剤取締法違反(自己使用)の疑いで緊急逮捕された。

⑤については、採尿を安全に実施するにつき必要最小限度にとどまるものと認められる有形力の行使は許される。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、本肢と同種の事案において、「強制採尿...の実施にあたっては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきものと解するのが相当である。...(中略)...これを本件についてみるのに、...医師による採尿に対し被告人が激しく抵抗したので数人の警察官が被告人の身体を押えつけたが、右有形力の行使は採尿を安全に実施するにつき必要最小限度のものであったことが認められ...る。」として、強制採尿の適法性を肯定している。

(R6 予備 第26問 ア)
膀胱にたまっている尿は物ではなく身体の一部であるから、捜索差押許可状によって、強制採尿を行うことはできない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とする…。」としている。
したがって、膀胱にたまっている尿は物としての性質を有しており、捜索差押許可状によって、強制採尿を行うことができる。

(R6 予備 第26問 イ)
強制採尿は、尿道にカテーテルを挿入するという身体への侵襲を伴うから、鑑定処分許可状が必要である。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とする…。」としている。
したがって、強制採尿は、尿道にカテーテルを挿入するという身体への侵襲を伴うものの、鑑定処分許可状ではなく、捜索差押許可状が必要である。

(R6 予備 第26問 ウ)
強制採尿が現行法上の強制処分として認められる以上、それが尿を獲得するための最終的手段でなくとも、裁判官はそのための令状を発付することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、「被疑者に対する右のような方法による強制採尿が捜査手続上の強制処分として絶対に許されないとすべき理由はなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり、ただ、その実施にあたっては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきもの…。」としている。
したがって、強制採尿は、それが尿を獲得するための最終的手段でなければ、裁判官はそのための令状を発付することができない。

(R6 予備 第26問 オ)
裁判官は、強制採尿のための令状を発付するに当たり、医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件を付さなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭55.10.23)は、「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(現:同条6項)が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠であると解さなければならない。」としている。
総合メモ

フロッピーディスク等の内容を確認しないまま差し押さえることの可否 最二小決平成10年5月1日

概要
フロッピーディスク等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかを捜索差押えの現場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるなどの事情の下では、内容を確認せずに右フロッピーディスク等を差し押さえることが許される。
判例
事案:司法警察職員が、捜索差押許可状に基づき、申立人からパソコン1台、フロッピーディスク合計108枚等について捜索差押えの現場で内容を確認せずに差し押さえた事案において、電磁的記録媒体の中身を確認せずに包括的に差し押さえることの適法性が問題となった。

判旨:「原決定の認定及び記録によれば、右許可状には、差し押さえるべき物を『組織的犯行であることを明らかにするための磁気記録テープ、光磁気ディスク、フロッピーディスク、パソコン一式』等とする旨の記載があるところ、差し押さえられたパソコン、フロッピーディスク等は、本件の組織的背景及び組織的関与を裏付ける情報が記録されている蓋然性が高いと認められた上、申立人らが記録された情報を瞬時に消去するコンピュータソフトを開発しているとの情報もあったことから、捜索差押えの現場で内容を確認することなく差し押さえられたものである。
 令状により差し押さえようとするパソコン、フロッピーディスク等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしに右パソコン、フロッピーディスク等を差し押さえることが許されるものと解される。」
過去問・解説
(H23 司法 第24問 オ)
捜索差押許可状で差し押さえようとしているパソコンの中に、被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしにパソコン自体を差し押さえることができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平10.5.1)は、「令状により差し押さえようとするパソコン、フロッピーディスク等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしに右パソコン、フロッピーディスク等を差し押さえることが許される…。」としている。

(R6 予備 第22問 ウ)
【事例】
司法警察員Xは、甲が自宅において覚醒剤を密売しているとの被疑事実により、捜索すべき場所を甲宅、差し押さえるべき物を覚醒剤、パソコン等とする捜索差押許可状(以下「本件許可状」という。)の発付を受けて、甲宅に赴いた。甲宅には、甲のみが在宅していたところ、Xは、甲に本件許可状を呈示した上で、甲宅に立ち入り、日没前から甲を立会人として捜索を開始した。甲宅の捜索を実施中、甲と同居する母親Aが帰宅したため、Xは、Aが許可なく甲宅へ立ち入ることを禁止した。Xは、甲が覚醒剤密売の顧客リストをパソコンに保存しているとの情報を基に捜索を進めていたところ、甲宅リビングルームのテーブルの上にパソコン1台を発見したことから、③同パソコンを差し押さえた。その後もXは、捜索の必要があると判断し、本件許可状に「夜間でも執行することができる」旨の記載がなかったものの、日没後も捜索を継続した。その後、宅配便の配達員によって甲宛の小包が配達されたことから、甲は、甲宅内でこれを受領した。Xは、甲に対して開封を求めたが、甲がこれを拒否したため、Xにおいて同小包を開封したところ、覚醒剤が発見されたことから、これを差し押さえた。
【記述】
③につき、当該パソコンに覚醒剤密売の顧客リストが記録されている蓋然性があり、 その場で確認していたのではその情報を損壊される危険があると認められる場合は、内容を確認することなく当該パソコンを差し押さえることも許される。

(正答)

(解説)
判例(最決平10.5.1)は、「令状により差し押さえようとするパソコン、フロッピーディスク等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしに右パソコン、フロッピーディスク等を差し押さえることが許される…。」としている。
したがって、【事例】における当該パソコンに覚醒剤密売の顧客リストが記録されている蓋然性があり、 その場で確認していたのではその情報を損壊される危険があると認められる場合は、内容を確認することなく当該パソコンを差し押さえることも許される。
総合メモ

捜索差押実施中に捜索場所に宅配された荷物の捜索 最一小決平成19年2月8日

概要
被疑者方居室に対する捜索差押許可状により同居室を捜索中に被疑者あてに配達され同人が受領した荷物についても、同許可状に基づき捜索することができる。
判例
事案:被疑者宅に対する捜索差押許許可状に基づく捜索差押を実施していたところ、被疑者宛に荷物が届いたため、当該荷物に対しても捜索差押を実施した事案において、令状呈示後に搬入された物を捜索することができるかが問題となった。

判旨:「警察官が、被告人に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき、捜索場所を被告人方居室等、差し押さえるべき物を覚せい剤等とする捜索差押許可状に基づき、被告人立会いの下に上記居室を捜索中、宅配便の配達員によって被告人あてに配達され、被告人が受領した荷物について、警察官において、これを開封したところ、中から覚せい剤が発見されたため、被告人を覚せい剤所持罪で現行犯逮捕し、逮捕の現場で上記覚せい剤を差し押さえたというのである。所論は、上記許可状の効力は令状呈示後に搬入された物品には及ばない旨主張するが、警察官は、このような荷物についても上記許可状に基づき捜索できるものと解するのが相当である...。」
過去問・解説
(H21 司法 第26問 ウ)
被疑者甲が覚せい剤を譲り受けた事件で甲方を捜索中、司法警察員が、宅配便の配達員によって甲あてに配達され、立会人である甲が受領した荷物について捜索することは、差し押さえるべき物を覚せい剤とする甲方に対する捜索差押許可状で行い得る。

(正答)

(解説)
判例(最決平19.2.8)は、本肢と同種の事案において、「令状呈示後に搬入された物品...についても上記許可状に基づき捜索できる...。」としている。
したがって、立会人である甲が受領した荷物について捜索することは、差し押さえるべき物を覚せい剤とする甲方に対する捜索差押許可状で行い得る。

(H23 司法 第24問 ア)
人の住居に対する捜索差押許可状の効力は、令状呈示後に同住居に搬入された物品には及ばないから、甲に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき、捜索場所を甲方居室、差し押さえるべき物を覚せい剤等とする捜索差押許可状に基づき、警察官が甲立会いの下に同人方居室を捜索中、甲宛てに届き、甲が受領した宅配便の荷物について、警察官は、甲の承諾を得ることなくこれを開封して中身を確認することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最決平19.2.8)は、本肢と同種の事案において、「令状呈示後に搬入された物品...についても上記許可状に基づき捜索できる...。」としている。
したがって、警察官が甲立会いの下に同人方居室を捜索中、甲宛てに届き、甲が受領した宅配便の荷物についても、警察官は、甲の承諾を得ることなくこれを開封して中身を確認することができる。

(R6 予備 第22問 オ)
【事例】
司法警察員Xは、甲が自宅において覚醒剤を密売しているとの被疑事実により、捜索すべき場所を甲宅、差し押さえるべき物を覚醒剤、パソコン等とする捜索差押許可状(以下「本件許可状」という。)の発付を受けて、甲宅に赴いた。甲宅には、甲のみが在宅していたところ、Xは、甲に本件許可状を呈示した上で、甲宅に立ち入り、日没前から甲を立会人として捜索を開始した。甲宅の捜索を実施中、甲と同居する母親Aが帰宅したため、Xは、Aが許可なく甲宅へ立ち入ることを禁止した。Xは、甲が覚醒剤密売の顧客リストをパソコンに保存しているとの情報を基に捜索を進めていたところ、甲宅リビングルームのテーブルの上にパソコン1台を発見したことから、同パソコンを差し押さえた。その後もXは、捜索の必要があると判断し、本件許可状に「夜間でも執行することができる」旨の記載がなかったものの、日没後も捜索を継続した。その後、宅配便の配達員によって甲宛の小包が配達されたことから、甲は、甲宅内でこれを受領した。Xは、甲に対して開封を求めたが、甲がこれを拒否したため、⑤Xにおいて同小包を開封したところ、覚醒剤が発見されたことから、これを差し押さえた。
【記述】
⑤につき、本件許可状の効力はその呈示後に甲宅に搬入された物品には及ばないため、 当該小包を開封したことは違法である。

(正答)

(解説)
判例(最決平19.2.8)は、本肢と同種の事案において、 「令状呈示後に搬入された物品...についても上記許可状に基づき捜索できる...。」としている。
したがって、本件許可状の効力はその呈示後に甲宅に搬入された物品に及ぶため、 当該小包を開封したことは適法である。
総合メモ

「必要な処分」の限界と令状の提示時期 最一小決平成14年10月4日

概要
被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に当たり、捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は、差押対象物件である覚せい剤を短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあったことなど判示の事情の下では、適法である。
判例
事案:ホテルの一室で覚醒剤を使用しているとの情報に基づき、警察官らが、捜索差押許可状の実効性を担保すべく、来意を告げることなくホテルの部屋に立ち入り、その後、被疑者に令状を提示して捜索・差押を行ったことから、かかる措置の適法性が問題となった。

判旨:「警察官らは、被疑者に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき、被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状を被疑者在室時に執行することとしたが、捜索差押許可状執行の動きを察知されれば、覚せい剤事犯の前科もある被疑者において、直ちに覚せい剤を洗面所に流すなど短時間のうちに差押対象物件を破棄隠匿するおそれがあったため、ホテルの支配人からマスターキーを借り受けた上、来意を告げることなく、施錠された上記客室のドアをマスターキーで開けて室内に入り、その後直ちに被疑者に捜索差押許可状を呈示して捜索及び差押えを実施したことが認められる。
 以上のような事実関係の下においては、捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は、捜索差押えの実効性を確保するために必要であり、社会通念上相当な態様で行われていると認められるから、刑訴法222条1項、111条1項に基づく処分として許容される。また、同法222条1項、110条による捜索差押許可状の呈示は、手続の公正を担保するとともに、処分を受ける者の人権に配慮する趣旨に出たものであるから、令状の執行に着手する前の呈示を原則とすべきであるが、前記事情の下においては、警察官らが令状の執行に着手して入室した上その直後に呈示を行うことは、法意にもとるものではなく、捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであって、適法というべきである。」
過去問・解説
(H23 司法 第24問 ウ)
捜索差押許可状の執行に当たっては、その着手前に、処分を受ける者に対して捜索差押許可状を示さなければならないから、乙に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき、捜索場所を乙方居室、差し押さえるべき物を覚せい剤等とする捜索差押許可状の発付を受けた警察官が、来意を告げることなく、施錠された乙方居室のドアを家主から借り受けた合い鍵で開けて室内に立ち入り、その後に初めて乙に同令状を呈示することは、乙が覚せい剤を洗面所に流すなど差押対象物件を破棄隠匿するおそれがある場合であっても違法となる。

(正答)

(解説)
判例(最決平14.10.4)は、本肢と同種の事案において、「捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は、捜索差押えの実効性を確保するために必要であり、社会通念上相当な態様で行われていると認められるから、刑訴法222条1項、111条1項に基づく処分として許容される。」とした上で、「令状の執行に着手する前の呈示を原則とすべきであるが、前記事情の下においては、警察官らが令状の執行に着手して入室した上その直後に呈示を行うことは、法意にもとるものではなく、捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであって、適法というべきである。」としている。
総合メモ

押収した写真フィルムの現像 東京高判昭和45年10月21日

概要
押収した写真フィルムを現像することは、押収物に関する必要な処分として適法である。
判例
事案:司法警察員巡査部長は、被告人方居宅に赴き、捜索差押許可状を被告人に示して、室内にあつた現像されていないフィルム1本(以下、「本件フィルム」という。)、カメラなどを押収し、その後、捜査官において、押収した本件フィルムを現像しという事案において、押収した本件フィルムを現像したことが、本件フィルムという「押収物」に関する「必要な処分」(222条1項、111条2項による1項の準用)として適法であるかが問題となった。

判旨:「司法警察員が刑事訴訟法218条1項の定めるところによって、裁判官の発する令状により捜索差押をする場合には、同法222条1項により111条が準用され、司法警察員は押収物について同条2項により1項の処分、すなわち「錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる」ことが明らかであり、そして、右にいう「必要な処分」とは、押収の目的を達するため合理的に必要な範囲内の処分を指すものであつて、必ずしもその態様を問わないものと解するのが相当である。これを本件フィルムについてみると、それは、前示のごとく被告人らが被害者女性との性交の姿態などを写した物で、これをもとにして被害者から金品を得ようとしたというのであるから、右の犯行を証明する重要な証拠物であるが、これをその証明の用に供するためには、本件の場合未現像のままでは意味がなく、そのフィルムがいかなる対象を写したものであるかが明らかにされることによってはじめて証拠としての効用を発揮するものといわなければならない。従って、司法警察員として、果たして右が真に本件犯行と関係ある証拠物であるかどうかを確かめ、かつ裁判所において直ちに証拠として使用しうる状態に置くために、本件フィルムを現像して、その影像を明かにしたことは、当該押収物の性質上、これに対する「必要な処分」であつたということができる。 
 なお所論は、フィルムを現像するには、別に裁判官の命によりその権限を付与されるべきであつたと主張するけれども、本件フィルムのように撮影ずみのフィルムを現像することは、用法に従いフィルムに一種の加工を施して既存の画像を現わす作業にすぎないのであって、これを破壊するわけでもなく、押収者において前に引用した刑事訴訟法111条2項の「必要な処分」として当然なしうるところであるから、別に刑事訴訟法222条1項、218条1項により裁判官の発する検証許可状による必要はないと解すべきである。
以上を要するに、本件において司法警察員が捜索差押許可状をえて捜索差押をなし、本件フィルムを押収し、これを現像したことについて、何らの手続上の違法がない以上、これを採証した原判決は正当というべく、その違法であることを前提として憲法違反ないし理由の喰い違いを主張する所論は、いずれも採用することができない。論旨は理由がない。
過去問・解説
(H21 司法 第26問 ア)
被疑者甲が強姦の模様を撮影した写真があると脅迫して強姦の被害者から金員を恐喝した事件で甲方を捜索したところ、司法警察員が、甲方から未現像の写真フィルムを差し押さえたので、それを警察署において現像することは、差し押さえるべき物を写真フィルムとする甲方に対する捜索差押許可状により行うことができる。

(正答)

(解説)
裁判例(東京高判昭45.10.21)は、本肢と同種の事案において、「司法警察員として、果たして右が真に本件犯行と関係ある証拠物であるかどうかを確かめ、かつ裁判所において直ちに証拠として使用しうる状態に置くために、本件フイルムを現像して、その影像を明かにしたことは、当該押収物の性質上、これに対する『必要な処分』であつたということができる。」と判示して、押収した写真ファイルを現像したことについて、「押収物」に関する「必要な処分」(222条1項本文、111条2項による1項の準用)として適法としている。
したがって、司法警察員が、甲方から未現像の写真フィルムを差し押さえ、それを警察署において現像することは、差し押さえるべき物を写真フィルムとする甲方に対する捜索差押許可状により行うことができる。
総合メモ

検証許可状に対する218条6項の準用 最三小決平成11年12月16日

概要
身体検査令状に関する218条6項は、その規定する条件の付加が強制処分の範囲、程度を減縮させる方向に作用する点において、身体検査令状以外の検証許可状にもその準用を肯定し得る。
判例
事案:裁判所が電話傍受を許可するにあたり、218条6項を準用して、令状に、「電話傍受の実施に関し適当と認める条件」を付した事案において、検証許可状に同条が準用されるか否かが問題となった。

判旨:「身体検査令状に関する同法218条5項(現:同条6項)は、その規定する条件の付加が強制処分の範囲、程度を減縮させる方向に作用する点において、身体検査令状以外の検証許可状にもその準用を肯定し得ると解されるから、裁判官は、電話傍受の実施に関し適当と認める条件、例えば、捜査機関以外の第三者を立ち会わせて、対象外と思料される通話内容の傍受を速やかに遮断する措置を採らせなければならない旨を検証の条件として付することができる。」
過去問・解説
(H25 司法 第25問 ウ)
身体検査令状に関する「裁判官は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる」旨の規定は、その規定する条件の付加が強制処分の範囲、程度を減縮させる方向に作用するので、身体検査令状以外の検証許可状にもその準用を肯定することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平11.12.16)は、「身体検査令状に関する同法218条5項(現:同条6項)は、その規定する条件の付加が強制処分の範囲、程度を減縮させる方向に作用する点において、身体検査令状以外の検証許可状にもその準用を肯定し得ると解される...。」としている。
総合メモ