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刑事訴訟規則
第26条
条文
① 裁判所は、特別の事情があるときは、弁護人の数を各被告人について3人までに制限することができる。
② 前項の制限の決定は、被告人にこれを告知することによってその効力を生ずる。
③ 被告人の弁護人の数を制限した場合において制限した数を超える弁護人があるときは、直ちにその旨を各弁護人及びこれらの弁護人を選任した者に通知しなければならない。この場合には、制限の決定は、前項の規定にかかわらず、その告知のあつた日から7日の期間を経過することによってその効力を生ずる。
④ 前項の制限の決定が効力を生じた場合になお制限された数を超える弁護人があるときは、弁護人の選任は、その効力を失う。
過去問・解説
(R7 予備 第21問 ア)
裁判所は、被告人の私選弁護人の数を制限することはできない。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則26条1項は、「裁判所は、特別の事情があるときは、弁護人の数を各被告人について3人までに制限することができる。」と規定している。
第199条の3
条文
① 主尋問は、立証すべき事項及びこれに関連する事項について行う。
② 主尋問においては、証人の供述の証明力を争うために必要な事項についても尋問することができる。
③ 主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
一 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だって明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
七 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
④ 誘導尋問をするについては、書面の朗読その他証人の供述に不当な影響を及ぼすおそれのある方法を避けるように注意しなければならない。
⑤ 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。
過去問・解説
(R7 予備 第15問 イ)
甲のVに対する殺人未遂の刑事裁判において、検察官の請求によりVの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、「殺してやる。」という甲の発言に関するVの記憶を喚起するため必要がある場合であっても、主尋問において誘導尋問をしてはならない。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則199条の3第3項は、柱書において「主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。」と規定し、3号において「証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。」を掲げている。
したがって、検察官は、「殺してやる。」という甲の発言に関するVの記憶を喚起するため必要がある場合であれば、主尋問において誘導尋問をすることができる。
(R8 予備 第16問 ア 改題)
甲は、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、妻である被害者Vに対し、頭部をガラス製の灰皿で1回殴る暴行を加えてけがを負わせた傷害事件で公判請求された。
甲は、第1回公判期日において、「公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいたことは間違いない。もっとも、Vに暴行を加えてけがを負わせたことはなく、Vが自分で転んでけがを負ったものである。」旨を述べて犯行を否認した。
検察官は、第2回公判期日において、立証趣旨を「本件被害状況等」として、Vの証人尋問を請求し、裁判所の証拠調べをする決定を経て、「あなたは、被告人甲の妻ですね。」と尋問した。
上記の尋問は、主尋問における誘導尋問であるが、証人の身分等で実質的な尋問に入るに先立って明らかにする必要のある準備的な事項に関するものであるので許される。
(正答)〇
(解説)
刑事訴訟規則199条の3第3項は、柱書において「主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。」と規定し、1号において「証人の身分…等で、実質的な尋問に入るに先だって明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。」を掲げている。
証人Vが被告人甲の妻であることは、「証人の身分」に該当することから、1号の例外に当たる。
したがって、本肢の尋問は、主尋問における誘導尋問であるが、証人の身分等で実質的な尋問に入るに先立って明らかにする必要のある準備的な事項に関するものであるため、許される。
(R8 予備 第16問 イ 改題)
甲は、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、妻である被害者Vに対し、頭部をガラス製の灰皿で1回殴る暴行を加えてけがを負わせた傷害事件で公判請求された。
甲は、第1回公判期日において、「公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいたことは間違いない。もっとも、Vに暴行を加えてけがを負わせたことはなく、Vが自分で転んでけがを負ったものである。」旨を述べて犯行を否認した。
検察官は、第2回公判期日において、立証趣旨を「本件被害状況等」として、Vの証人尋問を請求し、裁判所の証拠調べをする決定を経て、「あなたは、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、甲と一緒にいましたね。」と尋問した。
上記の尋問は、主尋問における誘導尋問であるが、甲及び甲の弁護人に争いのないことが明らかであるので許される。
(正答)〇
(解説)
刑事訴訟規則199条の3第3項は、柱書において「主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。」と規定し、2号において「訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。」を掲げている。
甲及び甲の弁護人は、甲が公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいた事実について争わない旨を述べているため、「訴訟関係人に争のないことが明らかな事項」に該当することから、2号の例外に当たる。
したがって、本肢の尋問は、主尋問における誘導尋問であるが、甲及び甲の弁護人に争いのないことが明らかであるため、許される。
(R8 予備 第16問 ウ 改題)
甲は、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、妻である被害者Vに対し、頭部をガラス製の灰皿で1回殴る暴行を加えてけがを負わせた傷害事件で公判請求された。
甲は、第1回公判期日において、「公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいたことは間違いない。もっとも、Vに暴行を加えてけがを負わせたことはなく、Vが自分で転んでけがを負ったものである。」旨を述べて犯行を否認した。
検察官は、第2回公判期日において、立証趣旨を「本件被害状況等」として、Vの証人尋問を請求し、裁判所の証拠調べをする決定を経て、「あなたが、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、甲と口論になったとき、甲は、どのようにあなたを殴ってきたのですか。」と尋問した。
上記の尋問は、Vがいまだ供述していない殴打の事実を前提としているので、許されない誘導尋問である。
(正答)〇
(解説)
刑事訴訟規則199条の3第3項柱書本文は、「主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。」と規定している。
Vは、甲と口論となった旨を供述したにとどまり、甲から殴られた旨をいまだ供述していない。それにもかかわらず、「そのとき、甲は、どのようにあなたを殴ってきたのですか。」との尋問は、甲がVを殴ったという事実を前提とする誘導尋問である。
したがって、本肢の尋問は、Vがいまだ供述していない殴打の事実を前提とするものであり、許されない誘導尋問である。
第199条の10
条文
① 訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。
② 前項の書面又は物が証拠調を終ったものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。
過去問・解説
(R7 予備 第15問 ア)
甲のVに対する殺人未遂の刑事裁判において、検察官の請求によりVの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、犯行時の甲・Vの位置関係に関するVの供述を明確にするため必要がある場合において、弁護人に異議がないときに限り、犯行現場の実況見分調書に添付された現場見取図をVに示して尋問することができる。ただし、この実況見分調書についての取調べは、既に行われているものとする。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則199条の12第1項は、「訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。」と規定している。
そして、同条2項が準用する199条の10第2項は、「前項の書面又は物が証拠調を終ったものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、既に証拠調べが終了した実況見分調書については199条の10第2項の適用はなく、この実況見分調書に添付された現場見取図をVに示して尋問するためには、裁判長の許可を受ければ足り、弁護人に異議がないという要件は不要である。
(R7 予備 第15問 エ)
甲のVに対する殺人未遂事件の刑事裁判において、検察官の請求によりVの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、犯行現場で押収された果物ナイフにつき、犯行に使用された果物ナイフとの同一性をVに尋問する場合において必要があるときは、裁判長の許可を受けずにこれを示すことができる。
(正答)〇
(解説)
刑事訴訟規則199条の10第1項は、「訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。」と規定している。
したがって、検察官は、犯行現場で押収された果物ナイフにつき、犯行に使用された果物ナイフとの同一性をVに尋問する場合において必要があるときは、裁判長の許可を受けずにこれを示すことができる。
(R7 予備 第15問 オ)
甲のVに対する殺人未遂事件の刑事裁判において、検察官の請求により、Vの怪我の状況を撮影した写真が添付された実況見分調書を作成した警察官Xの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、証拠調べが終わっていない当該実況見分調書をXに示して、その成立の真正について尋問することは許されない。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則199条の10は、1項において「訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。」と規定し、2項において「前項の書面又は物が証拠調を終ったものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、本肢の実況見分調書は証拠調べが終わっていないため、同条2項が適用され、あらかじめ相手方に閲覧の機会を与えた場合、又は相手方に異議がない場合、検察官は、本肢の実況見分調書をXに示して、その成立の真正について尋問することができる。
(R8 予備 第16問 エ 改題)
甲は、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、妻である被害者Vに対し、頭部をガラス製の灰皿で1回殴る暴行を加えてけがを負わせた傷害事件で公判請求された。
甲は、第1回公判期日において、「公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいたことは間違いない。もっとも、Vに暴行を加えてけがを負わせたことはなく、Vが自分で転んでけがを負ったものである。」旨を述べて犯行を否認した。
検察官は、第2回公判期日において、立証趣旨を「本件被害状況等」として、Vの証人尋問を請求し、裁判所の証拠調べをする決定を経て、Vを尋問し、「甲は、ソファーに座っていた私の正面に立って、
私の頭のてっぺん辺りを、テーブルに置いてあった灰皿で1回殴ってきました。」とのVの証言を受けて、検察官:「その灰皿は、どういった特徴のものでしたか。」、V:「ガラス製の四角い形をした灰皿で、事件後に刑事さんに提出しました。」とのやり取りを経て、「同一性を確認するために、弁護人に開示済みの灰皿を示します。これは、あなたが証言した灰皿と同じものですか。」と尋問した。
上記の尋問による証拠物の提示は、裁判長の許可がなければ許されない。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則199条の10第1項は、「訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。」と規定しており、裁判長の許可は必要とされていない。
したがって、検察官は、灰皿につき、Vが証言した灰皿との同一性をVに尋問する場合に必要があるときは、裁判長の許可を受けずにこれを示すことができる。
第199条の11
条文
① 訴訟関係人は、証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、書面(供述を録取した書面を除く。)又は物を示して尋問することができる。
② 前項の規定による尋問については、書面の内容が証人の供述に不当な影響を及ぼすことのないように注意しなければならない。
③ 第1項の場合には、前条第2項の規定を準用する。
過去問・解説
(R8 予備 第16問 オ 改題)
甲は、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、妻である被害者Vに対し、頭部をガラス製の灰皿で1回殴る暴行を加えてけがを負わせた傷害事件で公判請求された。
甲は、第1回公判期日において、「公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいたことは間違いない。もっとも、Vに暴行を加えてけがを負わせたことはなく、Vが自分で転んでけがを負ったものである。」旨を述べて犯行を否認した。
検察官は、第2回公判期日において、立証趣旨を「本件被害状況等」として、Vの証人尋問を請求し、裁判所の証拠調べをする決定を経て、尋問の途中で、「証人が思い出せないようなので、記憶喚起のために、弁護人に開示済みのVの検察官に対する供述調書の供述部分を示します。」と述べて、Vの検察官に対する供述調書の供述部分をVに提示しようとした。
上記の尋問による証拠物の提示は、裁判長の許可がなければ許されない。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則199条の11第1項は、「訴訟関係人は、証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、書面(供述を録取した書面を除く。)又は物を示して尋問することができる。」と規定し、供述を録取した書面を条文上除外している。
したがって、裁判長の許可があっても、記憶喚起のためにVの検察官に対する供述調書の供述部分を示して尋問することは許されない。
第199条の12
条文
① 訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。
② 前項の場合には、第199条の1第2項の規定を準用する。
過去問・解説
(R7 予備 第15問 ウ)
甲のVに対する殺人未遂事件の刑事裁判において、検察官の請求によりVの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、被害状況に関するVの供述を明確にするため必要がある場合において、裁判長の許可を受けて、Vによる被害再現状況を撮影した写真が添付された捜査報告書に添付された被害再現写真をVに示すことができる。
(正答)〇
(解説)
刑事訴訟規則199条の12第1項は、「訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。」と規定している。
したがって、検察官は、被害状況に関するVの供述を明確にするため必要がある場合において、裁判長の許可を受けて、本肢の捜査報告書に添付された被害再現写真をVに示すことができる。