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訴訟

新株発行無効の訴えにおいて出訴期間経過後に新たな無効事由を追加して主張することの可否 最二小判平成6年7月18日

概要
新株発行無効の訴えにおいて、828条1項2号所定の出訴期間経過後に新たな無効事由を追加して主張することは、許されない。
判例
事案:新株発行無効の訴えにおいて、828条1項2号所定の出訴期間経過後に新たな無効事由を追加して主張することが許されるかが問題となった。

判旨:「新株発行の無効の訴えにおいて、商法280条の15第1項(現:会社法828条1項2号)の出訴期間経過後に新たな無効の事由を追加して主張することは許されないものと解するのが相当である。けだし、右規定が出訴期間を新株発行の日から6箇月内に制限したのは、新株発行に伴う複雑な法律関係を早期に確定することにあるところ、新たな無効の事由を右期間後も主張することができるものとすると、右の法律関係が不安定になり右規定の趣旨が没却されることになるから、右規定は無効の事由の主張をも制限したものと解するのが相当であるからである…。」
過去問・解説
(H26 司法 第40問 オ)
新株発行の無効の訴えにおいて、会社法所定の出訴期間の経過後に新たな無効事由を追加して主張することは、許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.7.18)は、「新株発行の無効の訴えにおいて、商法280条の15第1項(現:会社法828条1項2号)の出訴期間経過後に新たな無効の事由を追加して主張することは許されない…。」としている。
総合メモ

公告又は通知を欠く新株発行の効力 最三小判平成9年1月28日

概要
新株発行に関する事項について201条3項、4項に定める通知又は公告を欠くことは、新株発行差止請求をしたとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合でない限り、新株発行の無効原因となる。
判例
事案:新株発行に関する事項について201条3項、4項に定める通知又は公告を欠くことが、新株発行の無効原因となるかが問題となった。

判旨:「新株発行に関する事項の公示(…280条の3の2(現:会社法201条3項、4項)に定める公告又は通知)は、株主が新株発行差止請求権(…280条の10(現:会社法210条))を行使する機会を保障することを目的として会社に義務付けられたものであるから…、新株発行に関する事項の公示を欠くことは、新株発行差止請求をしたとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合でない限り、新株発行の無効原因となると解するのが相当であ…る…。」
過去問・解説
(H28 予備 第18問 ア)
会社法上の公開会社における募集株式の発行に関し、判例の趣旨によれば、募集事項の株主に対する通知又は公告をいずれも欠いたことは、募集株式の発行差止請求をしたとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合でない限り、募集株式の発行の無効原因となる。なお、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合は、考慮しないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.1.28)は、「新株発行に関する事項の公示を欠くことは、新株発行差止請求をしたとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合でない限り、新株発行の無効原因となる…。」としている。
総合メモ

公開会社における株主総会決議を欠く募集株式の有利発行の効力 最二小判昭和46年7月16日

概要
公開会社において、代表取締役が株主総会決議を欠く有利発行をした場合でも、当該新株発行には無効原因がない。
判例
事案:公開会社において、代表取締役が株主総会決議を欠く有利発行をした場合に、当該新株発行に無効原因があるかが問題となった。

判旨:「株式会社の代表取締役が新株を発行した場合には、右新株が、株主総会の特別決議を経ることなく、株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもって発行されたものであっても、その瑕疵は、新株発行無効の原因とはならないものと解すべきである。」
過去問・解説
(R6 予備 第21問 オ)
会社法上の公開会社において、代表取締役が、株主総会の特別決議を経ることなく、株主以外の者に対して特に有利な払込金額で新株を発行した場合には、当該新株発行には無効原因がある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.7.16)は、「株式会社の代表取締役が新株を発行した場合には、右新株が、株主総会の特別決議を経ることなく、株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもって発行されたものであっても、その瑕疵は、新株発行無効の原因とはならない…。」としている。
総合メモ

吸収合併無効の訴えについての処分権主義・弁論主義の適用 名古屋地判平成19年11月21日

概要
吸収合併無効の訴えにおいては、処分権主義及び弁論主義が制限される。
判例
事案:吸収合併に無効の訴えにおいて、処分権主義及び弁論主義が制限されるかが問題となった。

判旨:「会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する(会社法838条)。かかる請求については、当事者が紛争を自主的に解決する権能(処分権主義及び弁論主義)が制限されていると解すべきであり、…被告は、請求の認諾をなしえず、裁判上の自白も裁判所を拘束しない。」
過去問・解説
(H28 予備 第26問 オ)
会社の設立の無効の訴えについては、当該訴えに係る請求を認容する確定判決が第三者に対してもその効力を有するため、被告は、当該請求を認諾することができない。

(正答)

(解説)
裁判例(名古屋地判平19.11.21)は、「会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する(会社法838条)。」とした上で、「かかる請求については、当事者が紛争を自主的に解決する権能(処分権主義及び弁論主義)が制限されていると解すべきであり、…被告は、請求の認諾をなしえ…ない。」としている。
総合メモ

株主総会決議の日から3か月を経過した後に新たな取消事由を追加主張することの可否 最二小判昭和51年12月24日

概要
株主総会決議取消しの訴えにおいて、831条1項柱書所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは、許されない。
判例
事案:株主総会決議取消しの訴えにおいて、831条1項柱書所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することが許されるかが問題となった。

判旨:「株主総会決議取消しの訴えを提起した後、商法248条1項(現:会社法831条1項柱書)所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されないと解するのが相当である。けだし、取消しを求められた決議は、たとえ瑕疵があるとしても、取り消されるまでは一応有効のものとして取り扱われ、会社の業務は右決議を基礎に執行されるのであって、その意味で、右規定は、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるためその取消しの訴えを提起することができる期間を決議の日から3カ月と制限するものであり、また、新たな取消事由の追加主張を時機に遅れない限り無制限に許すとすれば、会社は当該決議が取り消されるのか否かについて予測を立てることが困難となり、決議の執行が不安定になるといわざるを得ないのであって、そのため、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるという右規定の趣旨は没却されてしまうことを考えると、右所定の期間は、決議の瑕疵の主張を制限したものと解すべきであるからである。」
過去問・解説
(H25 予備 第26問 ア)
判例の趣旨によれば、株主は、株主総会の決議の取消しの訴えを提起した場合において、決議の日から3か月を経過した後に新たな取消事由を追加主張することは、許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.12.24)は、「株主総会決議取消しの訴えを提起した後、商法248条1項(現:会社法831条1項柱書)所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されない…。」としている。
総合メモ

他の株主に生じた招集手続の瑕疵を理由として提起する株主総会決議取消の訴えの可否 最一小判昭和42年9月28日

概要
株主は、他の株主に対する招集手続の瑕疵を理由として株主総会決議取消しの訴えを提起することができる。
判例
事案:他の株主に対する招集手続の瑕疵を理由として株主総会決議取消しの訴えを提起することができるかが問題となった。

判旨:「株主は自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得る…。」
過去問・解説
(R6 予備 第24問 3)
株主は、他の株主に対する株主総会の招集手続の瑕疵を理由として株主総会の決議の取消しの訴えを提起することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.9.28)は、「株主は自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得る…。」としている。
総合メモ

有限会社社員の提起した会社解散の訴、社員総会決議取消しの訴え及び同無効確認の訴えと右社員の死亡による訴訟承継の成否 最大判昭和45年7月15日

概要
有限会社社員の提起した会社解散の訴え、社員総会決議取消しの訴え及び同無効確認の訴えの係属中に当該社員が死亡した場合には、相続により持分を取得した相続人がその訴訟の原告たる地位を承継する。
判例
事案: 有限会社社員の提起した会社解散の訴え、社員総会決議取消しの訴え及び同無効確認の訴えの係属中に当該社員が死亡した場合に、相続人がその訴訟の原告たる地位を承継するかが問題となった。

判旨:「会社解散請求権、社員総会決議取消請求権、同無効確認請求権のごときも、持分の譲渡または相続により譲受人または相続人に移転するものと認められる。その理は、…社員が社員たる資格に基づいて会社解散の訴、社員総会決議の取消または無効確認の訴を提起したのち持分の譲渡または相続が行なわれた場合においても、異なるところはない。…社員が右のような訴を提起したのちその持分を譲渡した場合には、譲受人は会社解散請求権、社員総会決議取消請求権および同無効確認請求権のごときは取得するけれども、譲渡人の訴訟上における原告たる地位までも承継するものとはいえない。これに反して、相続の場合においては、相続人は被相続人の法律上の地位を包括的に承継するのであるから、持分の取得により社員たる地位にともなう前記のごとき諸権利はもとより、被相続人の提起した訴訟の原告たる地位をも承継し、その訴訟手続を受け継ぐことになるのである。もし、原告たる被相続人の死亡により同人の提起した訴訟が当然に終了するものとするならば、本件の社員総会決議取消の訴におけるように提訴期間の定め(有限会社法41条、商法248条1項(現:会社法831条1項柱書))がある場合において、被相続人の死亡当時すでにその提訴期間を経過しているときは、相続人は新たに訴を提起することができず、原告たる被相続人の死亡なる偶然の事情により、社員がすでに着手していた社員総会決議のかしの是正の途が閉ざされるという不合理な結果となるのを免れないのである。」
過去問・解説
(H25 予備 第26問 イ)
判例の趣旨によれば、株主総会の決議の取消しの訴えに係る訴訟の係属中に原告である株主が死亡した場合には、訴訟は、これにより終了する。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭45.7.15)は、株主総会決議取消しの訴えの係属中に原告である株主が死亡した事案において、「相続の場合においては、相続人は被相続人の法律上の地位を包括的に承継するのであるから、…被相続人の提起した訴訟の原告たる地位をも承継し、その訴訟手続を受け継ぐことになる…。」としている。

(H30 予備 第17問 オ)
株主の提起した株主総会の決議の取消しの訴えの係属中当該株主が死亡した場合には、相続により株式を取得した相続人はその訴訟の原告たる地位を承継せず、その訴訟は当然に終了する。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭45.7.15)は、株主総会決議取消しの訴えの係属中に原告である株主が死亡した事案において、「相続の場合においては、相続人は被相続人の法律上の地位を包括的に承継するのであるから、…被相続人の提起した訴訟の原告たる地位をも承継し、その訴訟手続を受け継ぐことになる…。」としている。
したがって、訴訟は当然に終了するのではなく、相続人が株主の原告適格をも承継し、継続することになる。

(R4 予備 第24問 4)
株主総会決議の取消しを請求する訴訟の係属中、株主である原告が死亡した場合には、株主の株主総会決議取消請求権などの共益権は一身専属的権利であるため、当該訴訟は、原告の死亡によって終了し、相続により株式を取得した相続人が承継することはない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭45.7.15)は、株主総会決議取消しの訴えの係属中に原告である株主が死亡した事案において、「相続の場合においては、相続人は被相続人の法律上の地位を包括的に承継するのであるから、…被相続人の提起した訴訟の原告たる地位をも承継し、その訴訟手続を受け継ぐことになる…。」としている。
総合メモ

役員選任の株主総会決議取消しの訴えの係属中に当該役員が退任した場合の訴えの利益の有無 最一小判昭和45年4月2日

概要
役員選任の株主総会決議取消しの訴えの係属中、その決議に基づいて選任された取締役ら役員がすべて任期満了により退任し、その後の株主総会の決議によって取締役ら役員が新たに選任されたときは、特別の事情のない限り、当該決議取消しの訴えは、訴えの利益を欠くこととなる。
判例
事案:役員選任の株主総会決議取消しの訴えの係属中に当該役員が退任した場合に、訴えの利益があるかが問題となった。

判旨:「形成の訴は、法律の規定する要件を充たすかぎり、訴の利益の存するのが通常であるけれども、その後の事情の変化により、その利益を欠くに至る場合がある…。しかして、株主総会決議取消の訴は形成の訴であるが、役員選任の総会決議取消の訴が係属中、その決議に基づいて選任された取締役ら役員がすべて任期満了により退任し、その後の株主総会の決議によって取締役ら役員が新たに選任され、その結果、取消を求める選任決議に基づく取締役ら役員がもはや現存しなくなったときは、右の場合に該当するものとして、特別の事情のないかぎり、決議取消の訴は実益なきに帰し、訴の利益を欠くに至るものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H30 予備 第19問 4)
判例の趣旨によれば、取締役選任の株主総会決議取消の訴えの係属中、その決議に基づいて選任された取締役が全て任期満了により退任しその後の株主総会の決議によって取締役が新たに選任されたときは特別の事情のない限り、当該決議取消の訴えは、訴えの利益を欠くこととなる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.4.2)は、「役員選任の総会決議取消の訴が係属中、その決議に基づいて選任された取締役ら役員がすべて任期満了により退任し、その後の株主総会の決議によって取締役ら役員が新たに選任され、その結果、取消を求める選任決議に基づく取締役ら役員がもはや現存しなくなったときは、…特別の事情のないかぎり、決議取消の訴は実益なきに帰し、訴の利益を欠くに至る…。」としている。
総合メモ

計算書類等承認の株主総会決議取消の訴えの係属中、その後の決算期の計算書類等の承認がされた場合の訴えの利益 最三小判昭和58年6月7日

概要
計算書類等承認の株主総会決議取消しの訴えの係属中、その後の決算期の計算書類等の承認がされた場合であっても、当該計算書類等につき承認の再決議がされたなどの特別の事情がない限り、当該決議の取消しを求める訴えの利益は失われない。
判例
事案:計算書類等承認の株主総会決議取消しの訴えの係属中、その後の決算期の計算書類等の承認がされた場合に、当該決議の取消しを求める訴えの利益が失われないかが問題となった。

判旨:「株主総会決議取消の訴えのような形成の訴えは、法律に規定のある場合に限って許される訴えであるから、法律の規定する要件を充たす場合には訴えの利益の存するのが通常であるけれども、その後の事情の変化により右利益を喪失するに至る場合のあることは否定しえないところである。しかして、被上告人らの上告人に対する本訴請求は、昭和45年11月28日に開催された上告会社の第42回定時株主総会における『昭和45年4月1日より同年9月30日に至る第42期営業報告書、貸借対照表、損益計算書、利益金処分案を原案どおり承認する』旨の本件決議について、その手続に瑕疵があることを理由として取消を求めるものであるところ、その勝訴の判決が確定すれば、右決議は初めに遡って無効となる結果、営業報告書等の計算書類については総会における承認を欠くことになり、また、右決議に基づく利益処分もその効力を有しないことになって、法律上再決議が必要となるものというべきであるから、その後に右議案につき再決議がされたなどの特別の事情かない限り、右決議取消を求める訴えの利益が失われることはないものと解するのが相当である。
 そこで、叙上の見地に立って、本件につきかかる特別の事情が存するか否かについて検討する。この点に関し、論旨は、本件決議が取り消されたとしても、右決議ののち第43期ないし第54期の各定時株主総会において各期の決算案は承認されて確定しており、右決議取消の効果は、右第43期ないし第54期の決算承認決議の効力に影響を及ぼすものではないから、もはや本件決議取消の訴えはその利益を欠くに至ったというのであるが、株主総会における計算書類等の承認決議がその手続に法令違反等があるとして取消されたときは、たとえ計算書類等の内容に違法、不当がない場合であっても、右決議は既往に遡って無効となり、右計算書類等は未確定となるから、それを前提とする次期以降の計算書類等の記載内容も不確定なものになると解さざるをえず、したがって、上告会社としては、あらためて取消された期の計算書類等の承認決議を行わなければならないことになるから、所論のような事情をもって右特別の事情があるということはできない。」
過去問・解説
(R6 予備 第24問 4)
ある事業年度に係る計算書類の承認についての株主総会の決議の取消しの訴えに係る訴訟が係属している間に、その次の事業年度に係る計算書類が株主総会において承認された場合には、特別の事情がない限り、当該決議の取消しを求める訴えの利益が失われることとなる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.6.7)は、本肢と同種の事案において、「その後に右議案につき再決議がされたなどの特別の事情かない限り、右決議取消を求める訴えの利益が失われることはない…。」としている。
したがって、計算書類等承認の株主総会決議取消しの訴えの係属中、その後の決算期の計算書類等の承認がされた場合であっても、当該計算書類等につき承認の再決議がされたなどの特別の事情がない限り、当該決議の取消しを求める訴えの利益は失われない。
総合メモ

役員退職慰労金贈呈の株主総会決議取消しの訴えの係属中に当該決議と同一の内容の決議がされた場合の訴えの利益 最一小判平成4年10月29日

概要
役員退職慰労金贈呈の株主総会決議(第1の決議)取消しの訴えの係属中、第1の決議と同一の内容を持ち、第1の決議の取消判決が確定した場合には遡って効力を生じるものとされている決議(第2の決議)が有効に成立し、それが確定したときは、特別の事情がない限り、第1の決議取消しの訴えの利益は、失われる。
判例
事案:役員退職慰労金贈呈の株主総会決議(第1の決議)取消しの訴えの係属中、第1の決議と同一の内容を持ち、第1の決議の取消判決が確定した場合には遡って効力を生じるものとされている決議(第2の決議)が有効に成立し、それが確定したときに、第1の決議取消しの訴えの利益が失われないかが問題となった。

判旨:「仮に第1の決議に取消事由があるとしてこれを取消したとしても、その判決の確定により、第2の決議が第1の決議に代わってその効力を生ずることになるのであるから、第1の決議の取消しを求める実益はな…い。」
過去問・解説
(R4 予備 第24問 3)
取締役に対する退職慰労金支給の株主総会決議(第一決議)の取消しを請求する訴訟の係属中、第一決議と同一の内容を持ち、かつ、第一決議の取消しが確定した場合に遡って効力を生ずるとされる株主総会決議(第二決議)がされた場合において、第二決議について株主総会決議取消しの訴えの提起等がなく有効であることが確定したときは、特段の事情のない限り、第一決議の株主総会決議取消しの訴えは、訴えの利益を欠く。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.10.29)は、本肢と同種の事案において、「仮に第1の決議に取消事由があるとしてこれを取消したとしても、その判決の確定により、第2の決議が第1の決議に代わってその効力を生ずることになるのであるから、第1の決議の取消しを求める実益はな…い。」としている。
総合メモ

取締役の選任を目的とする株主総会につきその決議の取消しの訴えが提起された場合において取締役が当該訴訟に共同訴訟参加することの可否 最二小判昭和36年11月24日

概要
取締役の選任を目的とする株主総会につき、その決議の取消しの訴えが提起された場合において、取締役が当該訴訟に共同訴訟参加することはできない。
判例
事案:取締役の選任を目的とする株主総会につき、その決議の取消しの訴えが提起された場合に、取締役が当該訴訟に共同訴訟参加することができるかが問題となった。

判旨:「第三者が同条(現:民事訴訟法52条1項)の規定により訴訟に参加することが許されるためには、当該訴訟の目的が当事者の一方および第三者について合一にのみ確定すべき場合であることのほか、当該訴訟の当事者となりうる適格を有することが要件となっていることは、同条(現:民事訴訟法52条1項)の法意に徴し、明らかである。すなわち、上告人の本件参加の申出が許されるためには、上告人は本件訴訟の被告となりうる適格を有しなければならないのである。ところが、本件訴訟の被告となりうる者は、その性質上、被上告人会社に限られると解するのが相当であるから、上告人が本件訴訟の被告となる適格を有しないことは自明の理である。」
過去問・解説
(H25 予備 第26問 ウ)
判例の趣旨によれば、取締役の選任を目的とする株主総会につきその決議の取消しの訴えが提起された場合には、その決議により選任された取締役は、会社の共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.11.24)は、「上告人の本件参加の申出が許されるためには、上告人は本件訴訟の被告となりうる適格を有しなければならないのである。ところが、本件訴訟の被告となりうる者は、その性質上、被上告人会社に限られると解するのが相当であるから、上告人が本件訴訟の被告となる適格を有しないことは自明の理である。」としている。
したがって、取締役の選任を目的とする株主総会で選任された取締役は、会社の共同訴訟人として当該株主総会の取消訴訟に参加することができない。
総合メモ

取締役等を選任する甲株式総会決議の不存在確認請求に、同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任をした乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合における先の決議の存否確認の利益 最一小判平成11年3月25日

概要
取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に、同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合には、後の決議がいわゆる全員出席総会において行われたなどの特段の事情のない限り、先の決議についても存否の確認の利益が認められる。
判例
事案:取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に、同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合に、先の決議について確認の利益が認められるかが問題となった。

判旨:「取締役及び監査役を選任する株主総会決議が存在しないことの確認を求める訴訟の係属中に、後の株主総会決議が適法に行われ、新たに取締役等が選任されたときは、特別の事情のない限り、先の株主総会決議の不存在確認を求める訴えの利益は消滅すると解される。 しかし、取締役を選任する先の株主総会の決議が存在するものとはいえない場合においては、その総会で選任されたと称する取締役によって構成される取締役会の招集決定に基づき右取締役会で選任された代表取締役が招集した後の株主総会において新たに取締役を選任する決議がされたとしても、その決議は、いわゆる全員出席総会においてされたなどの特段の事情がない限り、法律上存在しないものといわざるを得ず、この瑕疵が継続する限り、以後の株主総会において新たに取締役を選任することはできないこととなる…。右は、後にされた決議が監査役を選任するものであっても、同様である。 そうすると、右のような事情の下で瑕疵が継続すると主張されている場合においては、後行決議の存否を決するためには先行決議の存否が先決問題となり、その判断をすることが不可欠である。先行決議と後行決議がこのような関係にある場合において、先行決議の不存在確認を求める訴えに後行決議の不存在確認を求める訴えが併合されているときは、後者について確認の利益があることはもとより、前者についても、民訴法145条1項の法意に照らし、当然に確認の利益が存するものとして、決議の存否の判断に既判力を及ぼし、紛争の根源を絶つことができるものと解すべきである。」
過去問・解説
(R4 予備 第24問 2)
取締役を選任する株主総会決議(第一決議)の不存在確認を求める訴訟の係属中、第一決議で選任された取締役によって構成される取締役会の招集決定に基づき同取締役会で選任された代表取締役が招集した株主総会において新たに取締役を選任する株主総会決議(第二決議)がされた場合において、第一決議が存在しないことを理由とする第二決議の不存在確認を求める訴えが提起され、第一決議の不存在確認を求める訴えに併合されているときは、特段の事情のない限り、第一決議の不存在確認を求める訴えには確認の利益が認められる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.3.25)は、「取締役を選任する先の株主総会の決議が存在するものとはいえない場合においては、その総会で選任されたと称する取締役によって構成される取締役会の招集決定に基づき右取締役会で選任された代表取締役が招集した後の株主総会において新たに取締役を選任する決議がされたとしても、その決議は、いわゆる全員出席総会においてされたなどの特段の事情がない限り、法律上存在しないものといわざるを得ず、この瑕疵が継続する限り、以後の株主総会において新たに取締役を選任することはできないこととなる…。」とした上で、「瑕疵が継続すると主張されている場合においては、後行決議の存否を決するためには先行決議の存否が先決問題となり、その判断をすることが不可欠である。先行決議と後行決議がこのような関係にある場合において、先行決議の不存在確認を求める訴えに後行決議の不存在確認を求める訴えが併合されているときは、後者について確認の利益があることはもとより、前者についても、民訴法145条1項の法意に照らし、当然に確認の利益が存する…。」としている。
総合メモ

株主総会決議無効確認の訴えが株主総会決議取消しの訴えの要件は満たしている場合 最二小判昭和54年11月16日

概要
株主総会決議無効確認の訴えの無効原因として主張された瑕疵が取消原因に該当し、しかも、当該訴えが取消訴訟の出訴期間内に提起されている場合には、取消しの主張が出訴期間経過後にされたとしても、当該取消しの訴えは出訴期間の関係では無効確認の訴えの提起時に提起されたのと同様に扱うのが相当である。
判例
事案:株主総会決議無効確認の訴えにおいて、株主総会決議の無効原因として主張された瑕疵が株主総会決議の取消原因に該当しており、株主総会決議取消しの訴えの原告適格、出訴期間等の要件を満たしている場合には、株主総会決議取消しの請求を追加する訴えの変更が出訴期間経過後にされても、当該株主総会決議取消しの訴えは適法とならないかが問題となった。

判旨:「商法が株主総会決議取消の訴と同無効確認の訴とを区別して規定しているのは、右決議の取消原因とされる手続上の瑕疵がその無効原因とされる内容上の瑕疵に比してその程度が比較的軽い点に着目し、会社関係における法的安定要請の見地からこれを主張しうる原告適格を限定するとともに出訴期間を制限したことによるものであって、もともと、株主総会決議の取消原因と無効原因とでは、その決議の効力を否定すべき原因となる点においてその間に差異があるためではない。このような法の趣旨に照らすと、株主総会決議の無効確認を求める訴において決議無効原因として主張された瑕疵が決議取消原因に該当しており、しかも、決議取消訴訟の原告適格、出訴期間等の要件をみたしているときは、たとえ決議取消の主張が出訴期間経過後になされたとしても、なお決議無効確認訴訟提起時から提起されていたものと同様に扱うのを相当とし、本件取消訴訟は出訴期間遵守の点において欠けるところはない。」
過去問・解説
(R4 予備 第24問 1)
株主総会決議無効確認の訴えにおいて、株主総会決議の無効原因として主張された瑕疵が株主総会決議の取消原因に該当しており、株主総会決議取消しの訴えの原告適格、出訴期間等の要件を満たしている場合には、株主総会決議取消しの請求を追加する訴えの変更が出訴期間経過後にされても、当該株主総会決議取消しの訴えは、適法である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.11.16)は、「株主総会決議の無効確認を求める訴において決議無効原因として主張された瑕疵が決議取消原因に該当しており、しかも、決議取消訴訟の原告適格、出訴期間等の要件をみたしているときは、たとえ決議取消の主張が出訴期間経過後になされたとしても、なお決議無効確認訴訟提起時から提起されていたものと同様に扱うのを相当とし、本件取消訴訟は出訴期間遵守の点において欠けるところはない。」としている。
したがって、本肢のような場合には、株主総会決議取消しの請求を追加する訴えの変更が出訴期間経過後にされても、当該株主総会決議取消しの訴えは、適法である。
総合メモ

取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任の株主代表訴訟による追及の可否 最三小判平成21年3月10日

概要
旧商法267条1項にいう「取締役ノ責任」(現会社法847条1項にいう「役員等の責任」)には、取締役の地位に基づく責任のほか、取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれる。
判例
事案: 旧商法267条1項にいう「取締役ノ責任」に、取締役の会社に対する取引債務についての責任が含まれるかが問題となった。

判旨:「商法267条(現:会社法847条)所定の株主代表訴訟の制度は、取締役が会社に対して責任を負う場合、役員相互間の特殊な関係から会社による取締役の責任追及が行われないおそれがあるので、会社や株主の利益を保護するため、会社が取締役の責任追及の訴えを提起しないときは、株主が同訴えを提起することができることとしたものと解される。そして、会社が取締役の責任追及をけ怠するおそれがあるのは、取締役の地位に基づく責任が追及される場合に限られないこと、…にかんがみると、同法267条1項(現:会社法847条1項)にいう『取締役ノ責任』には、取締役の地位に基づく責任のほか、取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第49問 エ)
判例によれば、取締役が株式会社との取引によって負担することになった債務についての責任は、株主代表訴訟により追及することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.3.10)は、「商法…267条1項(現:会社法847条1項)にいう『取締役ノ責任』には、取締役の地位に基づく責任のほか、取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれる…。」としている。
したがって、取締役が株式会社との取引によって負担することになった債務についての責任も、株主代表訴訟による追及が可能である。

(H29 予備 第25問 ア)
取締役に対して会社の取得した動産の所有権に基づき当該会社への当該動産の引渡しを求める訴えは、株主代表訴訟として適法である。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.3.10)は、「商法…267条1項(現:会社法847条1項)にいう『取締役ノ責任』には、取締役の地位に基づく責任のほか、取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれる…。」としている。
取締役に対して会社の取得した動産の所有権に基づき当該会社への当該動産の引渡しを求める訴えは、取締役の地位に基づく責任を追及するものでも、取締役の会社に対する取引債務についての責任を追及するものでもないから、株主代表訴訟として不適法である。

(H29 予備 第25問 イ)
取締役が会社に対して責任を負う場合には、役員相互間のなれ合いから会社による取締役の責任追及が行われないおそれがあるので、会社や株主の利益を保護するため、株主代表訴訟の制度が設けられている。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.3.10)は、「株主代表訴訟の制度は、取締役が会社に対して責任を負う場合、役員相互間の特殊な関係から会社による取締役の責任追及が行われないおそれがあるので、会社や株主の利益を保護するため、会社が取締役の責任追及の訴えを提起しないときは、株主が同訴えを提起することができることとした…。」としている。

(H29 予備 第25問 ウ)
会社が取締役の責任追及をけ怠するおそれがあるのは、取締役の地位に基づく責任が追及される場合に限られないから、取締役が職務遂行とは関係なく会社に対して行った不法行為に基づいて負うに至った債務についても、株主が取締役の責任を追及する訴えを提起することができることとする必要がある。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.3.10)は、「商法…267条1項(現:会社法847条1項)にいう『取締役ノ責任』には、取締役の地位に基づく責任のほか、取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれる…。」としている。
不法行為に基づく請求は、取締役の地位に基づく責任を追及するものでも、取締役の会社に対する取引債務についての責任を追及するものでもない。

(H29 予備 第25問 エ)
取締役は会社に対して忠実義務を負っており、取締役は、会社との取引によって負担することになった債務についても、会社に対して忠実に履行すべき義務を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.3.10)は、「商法…267条1項(現:会社法847条1項)にいう『取締役ノ責任』には、取締役の地位に基づく責任のほか、取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれる…。」としている。

(H29 予備 第25問 オ)
取引上の債務の履行については会社の裁量を認めることが望ましい場合があるので、株主は、総株主の同意によってのみ免責が可能とされている会社法上の取締役の責任追及のためにのみ、取締役の責任を追及する訴えを提起することができると解すべきである。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.3.10)は、「商法…267条1項(現:会社法847条1項)にいう『取締役ノ責任』には、取締役の地位に基づく責任のほか、取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれる…。」としている。
したがって、総株主の同意によってのみ免責が可能とされている会社法上の取締役の責任追及のためにのみ、取締役の責任を追及する訴えを提起することができる、といった限定は加えられていない。
総合メモ

役員権利義務者に対する解任の訴えの可否 最三小判平成20年2月26日

概要
346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があった場合において、854条を適用又は類推適用して株主が訴えをもって上記の者の解任請求をすることは許されない。
判例
事案:346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があった場合に、株主が訴えをもってその解任を請求することができるかが問題となった。

判旨:「会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者(以下『役員権利義務者』という。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実(以下『不正行為等』という。)があった場合において、同法854条を適用又は類推適用して株主が訴えをもって当該役員権利義務者の解任請求をすることは、許されないと解するのが相当である。その理由は次のとおりである。(1)同条は、解任請求の対象につき、単に役員と規定しており、役員権利義務者を含む旨を規定していない。(2)同法346条2項は、裁判所は必要があると認めるときは利害関係人の申立てにより一時役員の職務を行うべき者(以下『仮役員』という。)を選任することができると定めているところ、役員権利義務者に不正行為等があり、役員を新たに選任することができない場合には、株主は、必要があると認めるときに該当するものとして、仮役員の選任を申し立てることができると解される。そして、同条1項は、役員権利義務者は新たに選任された役員が就任するまで役員としての権利義務を有すると定めているところ、新たに選任された役員には仮役員を含むものとしているから、役員権利義務者について解任請求の制度が設けられていなくても、株主は、仮役員の選任を申し立てることにより、役員権利義務者の地位を失わせることができる。(3)以上によれば、株主が訴えをもって役員権利義務者の解任請求をすることは、法の予定しないところというべきである。」
過去問・解説
(H28 予備 第26問 ウ)
判例の趣旨によれば、任期の満了により取締役を退任したが、会社法又は定款で定めた取締役の員数を欠くため、なお取締役としての権利義務を有する者については、訴えをもってその解任を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平20.2.26)は、「会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者(以下『役員権利義務者』という。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実…があった場合において、同法854条を適用又は類推適用して株主が訴えをもって当該役員権利義務者の解任請求をすることは、許されない…。」としている。
総合メモ