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株式の譲渡等

第128条

条文
第128条(株券発行会社の株式の譲渡)
① 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
② 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。
過去問・解説
(H20 司法 第38問 3)
会社法上の公開会社でない株券発行会社において、株券が発行されていないときは、株式を譲渡しようとする株主は、会社に対し、株券の発行を請求する必要がある。

(正答)

(解説)
128条1項本文は、「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。」と規定している。したがって、会社法上の公開会社でない株券発行会社において、株券が発行されていないときは、株式を譲渡しようとする株主は、会社に対し、株券の発行を請求する必要がある。

(R5 予備 第18問 エ)
株券発行会社が自己株式の処分により行う株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなくても、その効力を生ずる。

(正答)

(解説)
128条1項は、本文において「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。」と規定する一方で、但書において「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。」と規定している。したがって、株券発行会社が自己株式の処分により行う株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなくても、その効力を生ずる。
総合メモ

第130条

条文
第130条(株式の譲渡の対抗要件)
① 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
② 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
過去問・解説
(H18 司法 第40問 ウ)
株券を発行している会社における株式の譲渡は、株主名簿の書換えをしなければ、第三者に対抗することができない。

(正答)

(解説)
株券発行会社における株式の譲渡は、株主名簿の書換えをしなければ、「株式会社」に対抗することができないにとどまり、「その他の第三者」には対抗することができる(130条1項、2項)。

(H22 司法 第40問 2)
株券、新株予約権証券又は社債券の発行されていない株式、新株予約権又は社債(振替株式、振替新株予約権又は振替社債を除く。)の譲渡は、その株式、新株予約権又は社債を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿、新株予約権原簿又は社債原簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。

(正答)

(解説)
130条1項は、「株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。」としており、新株予約権及び社債についても同様の規定が存在する(257条1項、688条1項)。
総合メモ

第134条

条文
第134条(株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録)
 前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。        
 一 当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得することについて第136条の承認を受けていること。
 二 当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得したことについて第137条第1項の承認を受けていること。
 三 当該株式取得者が第140条第4項に規定する指定買取人であること。
 四 当該株式取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること。
過去問・解説
(H25 司法 第38問 ウ)
譲渡制限株式の株主が死亡した場合には、その相続人は、当該譲渡制限株式の取得について会社の承認を得ない限り、会社に対し、株主の地位を主張することはできない。

(正答)

(解説)
133条は、株式取得者の名義書換請求について規定しており、134条は、柱書において「前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。」と規定した上で、4号において「当該株式取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること」を掲げている。したがって、譲渡制限株式の株主が死亡した場合には、その相続人は、当該譲渡制限株式の取得について会社の承認を得なくても、会社に対し、株主の地位を主張することができる。

(R1 予備 第18問 ウ)
相続により譲渡制限株式を取得した株式取得者が株式会社に対し、株主名簿の名義書換の請求をするには、当該譲渡制限株式を取得したことについて当該株式会社の承認を受けていなければならない。

(正答)

(解説)
133条は、株式取得者の名義書換請求について規定しており、134条は、柱書において「前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。」と規定した上で、4号において「当該株式取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること」を掲げている。したがって、相続により譲渡制限株式を取得した株式取得者が株式会社に対し、株主名簿の名義書換の請求をするには、当該譲渡制限株式を取得したことについて当該株式会社の承認を受けなくてよい。
総合メモ

第135条

条文
第135条(親会社株式の取得の禁止)
① 子会社は、その親会社である株式会社の株式(以下この条において「親会社株式」という。)を取得してはならない。        
② 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。        
 一 他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受ける場合
 二 合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合
 三 吸収分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
 四 新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
 五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める場合
③ 子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。        
過去問・解説
(H21 司法 第38問 イ)
子会社は、無償で取得する場合については、その親会社である株式会社の株式を取得することが禁じられていない。

(正答)

(解説)
135条1項は、「会社は、…親会社株式…を取得してはならない。」と規定しているが、「親会社株式を無償で取得する場合」には例外的に親会社株式の取得が認められる(同条2項5号、会社法施行規則23条5号)。 

(H23 司法 第49問 オ)
設立会社は、新設分割によって、その親会社の株式を分割会社から承継することができる。

(正答)

(解説)
135条1項は、「会社は、…親会社株式…を取得してはならない。」と規定しているが、「新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合」には例外的に親会社株式の取得が認められる(同条2項4号)。 

(H24 司法 第38問 イ)
会社は、必要と認める場合には、株主総会の特別決議に基づき、その親会社の株式を取得することができる旨は、定款で定めることができる。

(正答)

(解説)
135条1項は、「会社は、…親会社株式…を取得してはならない。」と規定しており、例外的に親会社株式の取得が認められる場合については、135条2項各号及び同法施行規則23条各号で掲げているところ、本肢のような例外は掲げられていない。したがって、会社は、必要と認める場合には、株主総会の特別決議に基づき、その親会社の株式を取得することができる旨を定款で定めることはできない。
総合メモ

第137条

条文
第137条(株式取得者からの承認の請求)
① 譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
② 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
過去問・解説
(H20 司法 第38問 4)
株券発行会社の譲渡制限株式の譲渡について、株式取得者は、会社に対し、当該株式に係る株券を提示して、当該株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

(正答)

(解説)
137条1項は、「譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。」と規定している。

(H29 予備 第17問 エ)
取締役会の承認を得ないで譲渡制限株式が譲渡された場合には、当該株式の譲受人は、当該株式の取得について取締役会の承認を求めることができない。

(正答)

(解説)
137条1項は、「譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。」と規定している。
総合メモ

第138条

条文
第138条(譲渡等承認請求の方法)
 次の各号に掲げる請求(以下この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。                
 一 第136条の規定による請求 次に掲げる事項        
  イ 当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
  ロ イの譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名又は名称
  ハ 株式会社が第136条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は第140条第4項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
 二  前条第1項の規定による請求 次に掲げる事項        
  イ 当該請求をする株式取得者の取得した譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
  ロ イの株式取得者の氏名又は名称
  ハ 株式会社が前条第1項の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は第140条第4項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
過去問・解説
(H30 予備 第18問 ウ)
譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し譲渡等承認請求をする場合において、当該株式会社が譲渡を承認しない旨の決定をするときは、当該株式会社又は当該株式会社の指定する者が当該譲渡制限新株予約権を買い取ることを請求することはできない。

(正答)

(解説)
譲渡制限株式を取得した株式取得者は、当該株式会社に対し譲渡等承認請求をする場合において、当該株式会社が譲渡を承認しない旨の決定をするときは、当該株式会社又は当該株式会社の指定する者が当該譲渡制限株式を買い取ることを請求することができる(138条1項1号ハ)。しかし、譲渡制限新株予約権については、このような規定は存在しない。したがって、譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し譲渡等承認請求をする場合において、当該株式会社が譲渡を承認しない旨の決定をするときは、当該株式会社又は当該株式会社の指定する者が当該譲渡制限新株予約権を買い取ることを請求することはできない。

(R3 予備 第17問 ア)
事前に株式会社の承認を得ることなくその発行する譲渡制限株式を取得した者は、当該株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求する場合に、その請求と併せて、当該株式会社が承認をしない旨の決定をするときには当該株式会社又は指定買取人が当該譲渡制限株式を買い取ることも請求しなければならない。

(正答)

(解説)
事前に株式会社の承認を得ることなくその発行する譲渡制限株式を取得した者は、当該株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求する場合に、その請求と併せて、当該株式会社が承認をしない旨の決定をするときには当該株式会社又は指定買取人が当該譲渡制限株式を買い取ることも請求することができるが、後者の請求までするか否かは株式取得者の任意である(138条1号ハ)。
総合メモ

第139条

条文
第139条(譲渡等の承認の決定等)
① 株式会社が第136条又は第137条第1項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
② 株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
過去問・解説
(H18 司法 第41問 オ)
株式の譲渡による取得について、取締役会設置会社では、取締役会ではなく株主総会の承認を要する旨を定款に定めることはできない。

(正答)

(解説)
139条1項は、本文において「株式会社が第136条又は第137条第1項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。」と規定する一方で、但書において「ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と規定している。したがって、株式の譲渡による取得について、取締役会設置会社では、取締役会ではなく株主総会の承認を要する旨を定款に定めることもできる。

(H25 司法 第38問 オ)
取締役会設置会社は、定款の定めにより、譲渡による株式の取得についての承認の決定を株主総会の決議によるものとすることができる。

(正答)

(解説)
139条1項は、本文において「株式会社が第136条又は第137条第1項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。」と規定する一方で、但書において「ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と規定している。したがって、取締役会設置会社は、定款の定めにより、譲渡による株式の取得についての承認の決定を株主総会の決議によるものとすることができる。
総合メモ

第140条

条文
第140条(株式会社又は指定買取人による買取り)
① 株式会社は、第138条第1号ハ又は第2号ハの請求を受けた場合において、第136条又は第137条第1項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。        
 一 対象株式を買い取る旨
 二 株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)
② 前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。        
③ 譲渡等承認請求者は、前項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、当該譲渡等承認請求者以外の株主の全部が同項の株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。        
④ 第1項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、株式会社は、対象株式の全部又は一部を買い取る者(以下この款において「指定買取人」という。)を指定することができる。        
⑤ 前項の規定による指定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。        
過去問・解説
(H29 予備 第17問 オ)
取締役会が譲渡制限株式の取得について承認をしない旨の決定をし、会社が当該株式を買い取り、又は当該株式を買い取る者(以下「指定買取人」という。)を指定しなければならないときは、当該会社は、当該株式の一部について買い取り、残りについて指定買取人を指定することができる。

(正答)

(解説)
140条は、1項前段において「株式会社は、第138条第1号ハ又は第2号ハの請求を受けた場合において、第136条又は第137条第1項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。」と規定する一方で、4項において「第1項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、株式会社は、対象株式の全部又は一部を買い取る者(以下この款において「指定買取人」という。)を指定することができる。」と規定している。したがって、取締役会が譲渡制限株式の取得について承認をしない旨の決定をし、会社が当該株式を買い取り、又は指定買取人を指定しなければならないときは、当該会社は、当該株式の一部について買い取り、残りについて指定買取人を指定することができる。

(R6 予備 第19問 エ)
株式会社は、譲渡による譲渡制限新株予約権の取得を承認しない旨の決定をしたときは、当該譲渡制限新株予約権を買い取る者を指定し、又は当該譲渡制限新株予約権を買い取らなければならない。

(正答)

(解説)
譲渡制限株式を取得した株式取得者は、当該株式会社に対し譲渡等承認請求をする場合において、当該株式会社が譲渡を承認しない旨の決定をするときは、当該株式会社又は当該株式会社の指定する者が当該譲渡制限株式を買い取ることを請求することができ(138条1項1号ハ)、株式会社は、後者の請求があった場合において、譲渡による譲渡制限新株予約権の取得を承認しない旨の決定をしたときは、当該譲渡制限新株予約権を買い取る者を指定し、又は当該譲渡制限新株予約権を買い取らなければならない(140条1項、4項)。しかし、譲渡制限新株予約権については、このような規定は存在しない。したがって、株式会社は、譲渡による譲渡制限新株予約権の取得を承認しない旨の決定をしたときは、当該譲渡制限新株予約権を買い取る者を指定し、又は当該譲渡制限新株予約権を買い取らなくてよい。
総合メモ

第141条

条文
第141条(株式会社による買取りの通知)
① 株式会社は、前条第1項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。
② 株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、1株当たり純資産額(1株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第1項第2号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
③ 対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から1週間以内に、前条第1項第2号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
④ 前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第1項第2号の対象株式の売買契約を解除することができる。
過去問・解説
(H20 司法 第38問 1)
譲渡制限株式の株主から当該株式の譲渡について承認を求められた場合において、会社が当該株式を自ら取得することを通知したときは、当該通知を受けた当該株主が改めてこれを承諾した時に当該株式の売買契約が成立する。

(正答)

(解説)
141条は、3項前段において「対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から1週間以内に、前条第1項第2号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。」と規定した上で、4項において「前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第1項第2号の対象株式の売買契約を解除することができる。」と規定している。これらの規定は、譲渡制限株式の株主から当該株式の譲渡について承認を求められた場合において、会社が当該株式を自ら取得することを通知(141条1項)したときは、その時点で対象株式の売買契約が成立していることを前提としている。
総合メモ

第143条

条文
第143条(譲渡等承認請求の撤回)
① 第138条第1号ハ又は第2号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、第141条第1項の規定による通知を受けた後は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
② 第138条第1号ハ又は第2号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、前条第1項の規定による通知を受けた後は、指定買取人の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
過去問・解説
(H20 司法 第38問 5)
譲渡制限株式の譲渡について、会社がこれを承認しない旨の決定をするときは当該会社又は指定買取人が買い取ることを会社に対して請求した株主は、指定を受けた旨及び買い取る対象株式の数の通知を指定買取人から受けたときは、その後は、指定買取人の同意を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。

(正答)

(解説)
143条2項は、「第138条第1号ハ又は第2号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、前条第1項の規定による通知を受けた後は、指定買取人の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。」と規定している。したがって、譲渡制限株式の譲渡について、会社がこれを承認しない旨の決定をするときは当該会社又は指定買取人が買い取ることを会社に対して請求した株主は、指定を受けた旨及び買い取る対象株式の数の通知を指定買取人から受けたときは、その後は、指定買取人の同意を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
総合メモ

第145条

条文
第145条(株式会社が承認をしたとみなされる場合)
 次に掲げる場合には、株式会社は、第136条又は第137条第1項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。        
 一 株式会社が第136条又は第137条第1項の規定による請求の日から2週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第139条第2項の規定による通知をしなかった場合
 二 株式会社が第139条第2項の規定による通知の日から40日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第141条第1項の規定による通知をしなかった場合(指定買取人が第139条第2項の規定による通知の日から10日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第142条第1項の規定による通知をした場合を除く。)
 三 前2号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合
過去問・解説
(R3 予備 第17問 エ)
譲渡制限株式を他人に譲渡しようとする株主がその株式会社に対して譲渡を承認するか否かの決定をすることを請求した場合において、当該株式会社がその請求の日から2週間又は定款で定めたそれより短い期間内に決定の内容を通知しなかったときは、当該株式会社は、当該株主との間に別段の合意のない限り譲渡を承認しない旨の決定をしたものとみなされる。

(正答)

(解説)
145条1号は、株式会社が譲渡制限株式の譲渡を承認する旨の決定をしたものとみなされる事由として、「株式会社が第136条又は第137条第1項の規定による請求の日から2週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第139条第2項の規定による通知をしなかった場合」を掲げている。したがって、譲渡制限株式を他人に譲渡しようとする株主がその株式会社に対して譲渡を承認するか否かの決定をすることを請求した場合において、当該株式会社がその請求の日から2週間又は定款で定めたそれより短い期間内に決定の内容を通知しなかったときは、当該株式会社は、当該譲渡制限株式の譲渡承認する旨の決定をしたものとみなされる。
総合メモ