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引受拒絶又ハ支払拒絶ニ因ル遡求
第43条
条文
第43条(遡求の実質的条件)
満期ニ於テ支払ナキトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得左ノ場合ニ於テハ満期前ト雖モ亦同ジ
一 引受ノ全部又ハ一部ノ拒絶アリタルトキ
二 引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合、其ノ支払停止ノ場合又ハ其ノ財産ニ対スル強制執行ガ効ヲ奏セザル場合
三 引受ノ為ノ呈示ヲ禁ジタル手形ノ振出人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合
満期ニ於テ支払ナキトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得左ノ場合ニ於テハ満期前ト雖モ亦同ジ
一 引受ノ全部又ハ一部ノ拒絶アリタルトキ
二 引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合、其ノ支払停止ノ場合又ハ其ノ財産ニ対スル強制執行ガ効ヲ奏セザル場合
三 引受ノ為ノ呈示ヲ禁ジタル手形ノ振出人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合
過去問・解説
(H19 司法 第52問 ア)
確定日払の約束手形の所持人は、支払をすべき日に支払のために適法に当該手形を呈示しなければ、裏書人に対する遡求権を失う。
確定日払の約束手形の所持人は、支払をすべき日に支払のために適法に当該手形を呈示しなければ、裏書人に対する遡求権を失う。
(正答) ✕
(解説)
手形法43条各号は、為替手形における遡求の実質的要件について規定しているが、約束手形については、同法43条1号(支払拒絶)だけが準用されている(同法77条1項4号)。したがって、約束手形の場合には、遡求の実質的要件は、支払呈示期間内に所持人が振出人に対し、適法な支払呈示をしたにもかかわらず、手形金額の全部又は一部が支払われなかったこととなる(同法77条1項4号・43条1号)。そして、支払呈示期間内に所持人が振出人に対し、適法な支払呈示をしなかった場合には、遡求権を保全することができず、遡求権が失われる。
もっとも、確定日払の約束手形の所持人は、「支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ支払ノ為手形ヲ呈示スル」ことで足りるから、支払をすべき日に支払のために適法に当該手形を呈示しなくても、支払をすべき日に次ぐ2取引日以内に支払のために適法に当該手形を呈示すれば、裏書人に対する遡求権を保全することができる。
手形法43条各号は、為替手形における遡求の実質的要件について規定しているが、約束手形については、同法43条1号(支払拒絶)だけが準用されている(同法77条1項4号)。したがって、約束手形の場合には、遡求の実質的要件は、支払呈示期間内に所持人が振出人に対し、適法な支払呈示をしたにもかかわらず、手形金額の全部又は一部が支払われなかったこととなる(同法77条1項4号・43条1号)。そして、支払呈示期間内に所持人が振出人に対し、適法な支払呈示をしなかった場合には、遡求権を保全することができず、遡求権が失われる。
もっとも、確定日払の約束手形の所持人は、「支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ支払ノ為手形ヲ呈示スル」ことで足りるから、支払をすべき日に支払のために適法に当該手形を呈示しなくても、支払をすべき日に次ぐ2取引日以内に支払のために適法に当該手形を呈示すれば、裏書人に対する遡求権を保全することができる。
(H24 司法 第55問 エ)
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。
この手形が金庫から盗み出されたことにつき、Cに重過失があった場合でも、Cは、この手形について遡求義務を負うことはない。
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。
この手形が金庫から盗み出されたことにつき、Cに重過失があった場合でも、Cは、この手形について遡求義務を負うことはない。
(正答) 〇
(解説)
Cは、約束手形について、Bから白地式裏書による譲渡を受けたものの、Dからそれを盗まれたにすぎないため、遡求義務者である「裏書人、振出人ソノ他ノ債務者」(手形法43条柱書)のいずれにも当たらない。したがって、Cは、この約束手形について遡求義務を負うことはない。
Cは、約束手形について、Bから白地式裏書による譲渡を受けたものの、Dからそれを盗まれたにすぎないため、遡求義務者である「裏書人、振出人ソノ他ノ債務者」(手形法43条柱書)のいずれにも当たらない。したがって、Cは、この約束手形について遡求義務を負うことはない。
(H29 予備 第29問 2)
AがBに対し振り出した約束手形に関して、Bから裏書を受けたCは、Aに対し、支払呈示期間内に支払のため手形を呈示した場合において、支払がなかったときは、Bに対し、手形金を請求することができる。
AがBに対し振り出した約束手形に関して、Bから裏書を受けたCは、Aに対し、支払呈示期間内に支払のため手形を呈示した場合において、支払がなかったときは、Bに対し、手形金を請求することができる。
(正答) 〇
(解説)
裏書により約束手形を取得した手形所持人Cは、振出人Aに対し、支払呈示期間内に支払のため手形を呈示した場合において、支払がなかったときは、裏書人Bに対し、遡求権を行使して、手形金を請求することができる(同法77条1項4号・43条1号)。
裏書により約束手形を取得した手形所持人Cは、振出人Aに対し、支払呈示期間内に支払のため手形を呈示した場合において、支払がなかったときは、裏書人Bに対し、遡求権を行使して、手形金を請求することができる(同法77条1項4号・43条1号)。
総合メモ
第47条
条文
第47条(所持人に対する合同責任)
① 為替手形ノ振出、引受、裏書又ハ保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ
② 所持人ハ前項ノ債務者ニ対シ其ノ債務ヲ負ヒタル順序ニ拘ラズ各別又ハ共同ニ請求ヲ為スコトヲ得
③ 為替手形ノ署名者ニシテ之ヲ受戻シタルモノモ同一ノ権利ヲ有ス
④ 債務者ノ1人ニ対スル請求ハ他ノ債務者ニ対スル請求ヲ妨ゲズ既ニ請求ヲ受ケタル者ノ後者ニ対シテモ亦同ジ
① 為替手形ノ振出、引受、裏書又ハ保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ
② 所持人ハ前項ノ債務者ニ対シ其ノ債務ヲ負ヒタル順序ニ拘ラズ各別又ハ共同ニ請求ヲ為スコトヲ得
③ 為替手形ノ署名者ニシテ之ヲ受戻シタルモノモ同一ノ権利ヲ有ス
④ 債務者ノ1人ニ対スル請求ハ他ノ債務者ニ対スル請求ヲ妨ゲズ既ニ請求ヲ受ケタル者ノ後者ニ対シテモ亦同ジ
過去問・解説
(H25 予備 第30問 ウ)
AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、BがCに手形保証債務の履行を請求するためには、遡求権保全の手続を採る必要はない。
AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、BがCに手形保証債務の履行を請求するためには、遡求権保全の手続を採る必要はない。
(正答) 〇
(解説)
手形法47条1項は、所持人に対する合同責任について、「為替手形ノ振出…ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ」と規定しており、同条1項は約束手形にも準用される(同法77条1項4号)。したがって、遡求義務者及び約束手形の振出人は、手形の所持人に対し、合同して責任を負う(手形法77条1項4号・47条1項)。
よって、AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、BがCに手形保証債務の履行を請求するためには、遡求権保全の手続を採る必要はない。
手形法47条1項は、所持人に対する合同責任について、「為替手形ノ振出…ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ」と規定しており、同条1項は約束手形にも準用される(同法77条1項4号)。したがって、遡求義務者及び約束手形の振出人は、手形の所持人に対し、合同して責任を負う(手形法77条1項4号・47条1項)。
よって、AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、BがCに手形保証債務の履行を請求するためには、遡求権保全の手続を採る必要はない。
(H25 予備 第30問 オ)
AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、Cが、Aに弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合でも、Bは、Aの財産についてではなく、Cの財産について執行することができる。
AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、Cが、Aに弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合でも、Bは、Aの財産についてではなく、Cの財産について執行することができる。
(正答) 〇
(解説)
手形法47条1項によると、「為替手形ノ振出、引受、裏書又ハ保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ」(手形法77条)。
手形法47条1項は、所持人に対する合同責任について、「為替手形ノ…保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ」と規定しており、同条1項は約束手形にも準用される(同法77条1項4号)。したがって、遡求義務者及び約束手形の保証人は、手形の所持人に対し、合同して責任を負う(手形法77条1項4号・47条1項)。そして、手形保証人は、催告の抗弁(民法452条)も催告の抗弁(民法453条)も有しない。
よって、AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、Cが、Aに弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合でも、Bは、Aの財産についてではなく、Cの財産について執行することができる。
手形法47条1項によると、「為替手形ノ振出、引受、裏書又ハ保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ」(手形法77条)。
手形法47条1項は、所持人に対する合同責任について、「為替手形ノ…保証ヲ為シタル者ハ所持人ニ対シ合同シテ其ノ責ニ任ズ」と規定しており、同条1項は約束手形にも準用される(同法77条1項4号)。したがって、遡求義務者及び約束手形の保証人は、手形の所持人に対し、合同して責任を負う(手形法77条1項4号・47条1項)。そして、手形保証人は、催告の抗弁(民法452条)も催告の抗弁(民法453条)も有しない。
よって、AがBに対して約束手形を振り出し、Cが手形保証をした場合に関し、Cが、Aに弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合でも、Bは、Aの財産についてではなく、Cの財産について執行することができる。