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手形法 第85条

条文
第85条(利得償還請求権)
 為替手形又ハ約束手形ヨリ生ジタル権利ガ手続ノ欠缺又ハ時効ニ因リテ消滅シタルトキト雖モ所持人ハ振出人、引受人又ハ裏書人ニ対シ其ノ受ケタル利益ノ限度ニ於テ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得
過去問・解説
(H23 共通 第55問 オ)
甲は、乙に対する売買代金の支払のために、乙を受取人とする確定日払の約束手形を作成して、乙に交付したところ、これを乙から預かった丙が、甲及び乙の同意なく、受取人乙の記載を抹消して受取人欄を空欄とした。手形上の権利が時効により消滅した場合、丙は、利得償還請求権を取得する。

(正答)  

(解説)
手形上の権利が手続の欠缺又は時効により消滅した場合に、所持人が振出人、引受人、又は裏書人に対しその受けた利益の限度で償還の請求をなしうる権利をいう(手形法85条)。これは、利得償還請求権と呼ばれるものであり、公平の見地に基づく制度である。
利得償還請求権の成立要件は、①手形上の権利が有効に成立し、償還請求権者がその権利を有していたこと(手形の所持は不要)、②その権利が時効又は遡求権保全手続の欠缺により消滅したこと、及び③債務者が利益をしたことの3つである(早川徹「基本講義 手形・小切手法」第2版190頁)。
本肢の事例では、丙は、甲及び乙の同意なく、受取人乙の記載を抹消して受取人欄を空欄としたにとどまるから、手形上の権利を有効に取得しておらず、①を欠く。したがって、丙は、利得償還請求権を取得しない。
総合メモ
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