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憲法 徳島市公安条例事件 最大判昭和50年9月10日 - 解答モード
概要
判例
事件では、①徳島市公安条例が道路交通法に抵触するものとして憲法94条に違反するか、②同条例が集団示威運動を行う者の遵守事項として定めている「交通秩序を維持すること」という文言の不明確性(憲法31条違反)が問題となった。①については、地方自治のカテゴリに属する徳島市公安条例事件の判旨として取り上げている(https://law-lib.jp/subjects/1/precedents/221)。
さらに、前述のように、このような殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為は、思想表現行為としての集団行進等に不可欠な要素ではなく、したがつて、これを禁止しても国民の憲法上の権利の正当な行使を制限することにはならず、また、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為であるかどうかは、通常さほどの困難なしに判断しうることであるから、本条例3条3号の規定により、国民の憲法上の権利の正当な行使が阻害されるおそれがあるとか、国又は地方公共団体の機関による恣意的な運用を許すおそれがあるとは、ほとんど考えられないのである(なお、記録上あらわれた本条例の運用の実態をみても、本条例3条3号の規定が、国民の憲法上の権利の正当な行使を阻害したとか、国又は地方公共団体の機関の恣意的な運用を許したとかいう弊害を生じた形跡は、全く認められない。 )
このように見てくると、本条例3条3号の規定は、確かにその文言が抽象的であるとのそしりを免れないとはいえ、集団行進等における道路交通の秩序遵守についての基準を読みとることが可能であり、犯罪構成要件の内容をなすものとして明確性を欠き憲法31条に違反するものとはいえない…。」
過去問・解説
(H25 予備 第3問 ウ)
殊更に交通秩序の阻害をもたらすような行為は、思想表現行為としての集団行進に不可欠な要素ではないから、道路における集団行進を許可するに際し、これを禁ずるという条件を付するとしても、憲法上の権利を不当に侵害するものではない。
(正答) 〇
(解説)
徳島市公安条例事件判決(最大判昭50.9.10)は、「このような殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為は、思想表現行為としての集団行進等に不可欠な要素ではなく、したがって、これを禁止しても国民の憲法上の権利の正当な行使を制限することにはならず、また、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為であるかどうかは、通常さほどの困難なしに判断しうることであるから、本条例3条3号の規定により、国民の憲法上の権利の正当な行使が阻害されるおそれがあるとか、国又は地方公共団体の機関による恣意的な運用を許すおそれがあるとは、ほとんど考えられないのである…。」としている。
(R2 司法 第17問 ウ)
判例は、ある事項について国の法令中に明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、規定の欠如が当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、当該事項について条例で規律することが法令違反になり得るとしている。
(正答) 〇
(解説)
徳島市公安条例事件判決(最大判昭50.9.10)は、「地方自治法14条1項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて同法2条2項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならない。」とした上で、「例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうる…。」としている。