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憲法 エンタープライズ寄港阻止佐世保闘争事件 最三小判昭和57年11月16日 - 解答モード
概要
道路における集団行進を規制をする道路交通法77条1項4号及び長崎県道交法施行細則15条3号の各規定は、憲法21条1項に違反しない。
判例
事案:学生団体に所属するXらが原子力空母の寄港を止めようと警察署長の許可を得ずに集団示威運動や基地内に立ち入るしたなどの行為で有罪とされた事案において、道路における集団行進を規制をする道路交通法77条1項4号及び長崎県道交法施行細則15条3号の各規定が憲法21条1項に違反するかが問題となった。
判旨:「道交法及び長崎県道交法施行細則の右各規定は、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資する」という目的(道交法1条参照)のもとに、道路を使用して集団行進をしょうとする者に対しあらかじめ所轄警察署長の許可を受けさせることにしたものであ るところ、同法77条2項の規定は、道路使用の許可に関する明確かつ合理的な基準を掲げて道路における集団行進が不許可とされる場合を厳格に制限しており、これによれば、道路における集団行進に対し同条2項の規定による許可が与えられない場合は、当該集団行進の予想される規模、態様、コース、時刻などに照らし、これが行われることにより一般交通の用に供せられるべき道路の機能を著しく害するものと認められ、しかも、同条3項の規定に基づき警察署長が条件を付与することによつても、かかる事態の発生を阻止することができないと予測される場合に限られることになる。
前記のような目的のもとに、道路における集団行進に対し右の程度の規制をする道交法77条1項4号、長崎県道交法施行細則15条3号の各規定が、表現の自由に対する公共の福祉による必要かつ合理的な制限として憲法上是認されるべきものであることは、これらの判例の趣旨に徴し明らかなところである。所論は、理由がない。」
判旨:「道交法及び長崎県道交法施行細則の右各規定は、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資する」という目的(道交法1条参照)のもとに、道路を使用して集団行進をしょうとする者に対しあらかじめ所轄警察署長の許可を受けさせることにしたものであ るところ、同法77条2項の規定は、道路使用の許可に関する明確かつ合理的な基準を掲げて道路における集団行進が不許可とされる場合を厳格に制限しており、これによれば、道路における集団行進に対し同条2項の規定による許可が与えられない場合は、当該集団行進の予想される規模、態様、コース、時刻などに照らし、これが行われることにより一般交通の用に供せられるべき道路の機能を著しく害するものと認められ、しかも、同条3項の規定に基づき警察署長が条件を付与することによつても、かかる事態の発生を阻止することができないと予測される場合に限られることになる。
前記のような目的のもとに、道路における集団行進に対し右の程度の規制をする道交法77条1項4号、長崎県道交法施行細則15条3号の各規定が、表現の自由に対する公共の福祉による必要かつ合理的な制限として憲法上是認されるべきものであることは、これらの判例の趣旨に徴し明らかなところである。所論は、理由がない。」
過去問・解説
(R5 共通 第4問 ア)
集団行進が行われることによって一般交通の用に供せられるべき道路の機能を著しく害するものと認められ、また、条件を付与することによってもかかる事態の発生を阻止することができないと予測される場合には、当該集団行進について不許可処分がなされたとしても憲法21条に反しない。
(正答) 〇
(解説)
エンタープライズ寄港阻止佐世保闘争事件判決(最判昭57.11.16)は、道路における集団行進を規制をする道路交通法77条1項4号及び長崎県道交法施行細則15条3号の各規定が憲法21条1項に違反しないとする理由として、「道交法…77条2項の規定は、道路使用の許可に関する明確かつ合理的な基準を掲げて道路における集団行進が不許可とされる場合を厳格に制限しており、これによれば、道路における集団行進に対し同条2項の規定による許可が与えられない場合は、当該集団行進の予想される規模、態様、コース、時刻などに照らし、これが行われることにより一般交通の用に供せられるべき道路の機能を著しく害するものと認められ、しかも、同条3項の規定に基づき警察署長が条件を付与することによつても、かかる事態の発生を阻止することができないと予測される場合に限られることになる。」ことを挙げている。