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短答判例

日本新党繰上補充事件 最一小判平成7年5月25日

概要
①拘束名簿式比例代表制における繰上補充に際し、名簿届出政党等から法定の書類を備えた除名届が提出された場合、選挙会は、その除名の存否又は効力を実質的に審査するものではなく、除名届に従って当選人を定めるべきである。
②したがって、客観的には除名が不存在又は無効であっても、除名届が適法にされている限り、そのことは当選訴訟における当選無効の原因とはならない。
判例
事案:参議院比例代表選挙において、政党の名簿に登載されながら当選しなかった者が、その後、所属政党から除名された旨の届出をされた。その後、当選議員に欠員が生じたため繰上補充が行われたが、除名届がされていた者は当選人から除外され、その下位の名簿登載者が当選人とされた。そこで、除名された者が、当該除名は無効であるから、これを前提とした繰上補充による当選人の決定も無効であるとして争った。

判旨:「法が名簿届出政党等による名簿登載者の除名について選挙長ないし選挙会の審査の対象を形式的な事項にとどめているのは、政党等の政治結社の内部的自律権をできるだけ尊重すべきものとしたことによるものであると解される。すなわち、参議院(比例代表選出)議員の選挙について政党本位の選挙制度である拘束名簿式比例代表制を採用したのは、議会制民主主義の下における政党の役割を重視したことによるものである。そして、政党等の政治結社は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成するものであって、その成員である党員等に対して政治的忠誠を要求したり、一定の統制を施すなどの自治機能を有するものであるから、各人に対して、政党等を結成し、又は政党等に加入し、若しくはそれから脱退する自由を保障するとともに、政党等に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をすることのできる自由を保障しなければならないのであって、このような政党等の結社としての自主性にかんがみると、政党等が組織内の自律的運営として党員等に対してした除名その他の処分の当否については、原則として政党等による自律的な解決にゆだねられているものと解される(最高裁昭和60年(オ)第4号同63年12月20日第三小法廷判決・裁判集民事155号405頁参照)。そうであるのに、政党等から名簿登載者の除名届が提出されているにもかかわらず、選挙長ないし選挙会が当該除名が有効に存在しているかどうかを審査すべきものとするならば、必然的に、政党等による組織内の自律的運営に属する事項について、その政党等の意思に反して行政権が介入することにならざるを得ないのであって、政党等に対し高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をすることのできる自由を保障しなければならないという前記の要請に反する事態を招来することになり、相当ではないといわなければならない。名簿登載者の除名届に関する法の規定は、このような趣旨によるものであると考えられる。
参議院議員等の選挙の当選の効力に関するいわゆる当選訴訟(法208条)は、選挙会等による当選人決定の適否を審理し、これが違法である場合に当該当選人決定を無効とするものであるから、当選人に当選人となる資格がなかったとしてその当選が無効とされるのは、選挙会等の当選人決定の判断に法の諸規定に照らして誤りがあった場合に限られる。選挙会等の判断に誤りがないにもかかわらず、当選訴訟において裁判所がその他の事由を原因として当選を無効とすることは、実定法上の根拠がないのに裁判所が独自の当選無効事由を設定することにほかならず、法の予定するところではないといわなければならない。このことは、名簿届出政党等から名簿登載者の除名届が提出されている場合における繰上補充による当選人の決定についても、別異に解すべき理由はない。右…に述べた政党等の内部的自律権をできるだけ尊重すべきものとした立法の趣旨にかんがみれば、当選訴訟において、名簿届出政党等から名簿登載者の除名届が提出されているのに、その除名の存否ないし効力という政党等の内部的自律権に属する事項を審理の対象とすることは、かえって、右立法の趣旨に反することが明らかである。 したがって、名簿届出政党等による名簿登載者の除名が不存在又は無効であることは、除名届が適法にされている限り、当選訴訟における当選無効の原因とはならないものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(R8 共通 第13問 ウ)
拘束名簿式比例代表制の下では、投票後に行われる政党による除名は、名簿登載者及び順位を考慮してされた選挙人の投票についての意思を無視することになるから、比例代表選挙において欠員が生じた際の繰上補充に当たり、政党から名簿登載者につき除名届出がされたため被除名者より下位の名簿登載者を当選人とした選挙会の決定は、除名が不存在又は無効であるときには、その効力を有しない。

(正答)✕

(解説)
日本新党繰上補充事件判決(最判平7.5.25)は、拘束名簿式比例代表制における繰上補充について、「選挙会が当選人を定めるに当たって当該除名の存否ないし効力を審査することは予定されておらず、法は、たとい客観的には当該除名が不存在又は無効であったとしても、名簿届出政党等による除名届に従って当選人を定めるべきこととしているのである。」とした上で、「名簿届出政党等による名簿登載者の除名が不存在又は無効であることは、除名届が適法にされている限り、当選訴訟における当選無効の原因とはならないものというべきである。」としている。
したがって、拘束名簿式比例代表制の下で、投票後に政党による除名が行われた場合、除名届が適法にされている限り、当該除名が不存在又は無効であることは、被除名者より下位の名簿登載者を当選人とした選挙会の決定を無効とする原因とはならない。

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