②あおり行為等を処罰対象とする同法110条1項17号は、憲法28条に違反しない。
③同法110条1項17号は、憲法21条1項に違反しない。
④同法110条1項17号が、違法性の強い争議行為を違法性の強いまたは社会的許容性のない行為によりあおる等した場合に限つてこれに刑事制裁を科すべき趣旨であると解することは、不明確な限定解釈であり、かえつて犯罪構成要件の保障的機能を失わせることとなり、その明確性を要請する憲法31条に違反する疑いすら存する。
現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
(H19 司法 第11問 エ)
国家公務員法の規制をめぐる全農林警職法事件(最大判昭和48年4月25日)において、最高裁判所は、全逓東京中郵事件判決を変更する旨述べ、「公務員の地位の特殊性と職務の公共性」論、公務員の勤務条件に関する「財政民主主義」論を根拠にして、公務員の争議行為の一律禁止を合憲とした。
(正答) ✕
(解説)
全農林警職法事件判決(最大判昭48.4.25)は、「公務員の地位の特殊性と職務の公共性」を理由に、その「労働基本権に対し必要やむをえない限度の制限を加えることは、十分合理的な理由があるというべきである」とした。また、「公務員の場合は、その給与の財源は国の財政とも関連して主として税収によつて賄われ、私企業における労働者の利潤の分配要求のごときものとは全く異なり、その勤務条件はすべて政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により適当に決定されなければならず、しかもその決定は民主国家のルールに従い、立法府において論議のうえなされるべきもので、同盟罷業等争議行為の圧力による強制を容認する余地は全く存しないのである。」として、公務員の勤務条件に関する「財政民主主義」論を根拠に、公務員の争議行為の一律禁止を合憲とした。しかし、同判決はあおり行為についての合憲限定解釈を否定したため、これにより変更されたのは合憲限定解釈をとった全司法仙台事件判決(最大判昭44.4.2)であり、全逓東京中郵事件判決(最大判昭41.10.26)ではない。
(H25 予備 第1問 ア)
国家公務員は、憲法において「全体の奉仕者」とされていることや、実質的にはその使用者が国民全体であることなどから、その人権についても、一定の制約に服することがあると解されている。
(正答) 〇
(解説)
弘前機関区事件判決(最大判昭28.4.8)は、「国家公務員は、国民全体の奉仕者として(憲法15条)公共の利益のために勤務し、且つ職務の遂行に当つては全力を挙げてこれに専念しなければならない(国家公務員法96条1項)性質のものであるから、団結権団体交渉権等についても、一般の勤労者とは違つて特別の取扱を受けることがあるのは当然である」としている。また、全農林警職法事件(最大判昭48.4.25)は、「公務員は、私企業の労働者と異なり、国民の信託に基づいて国政を担当する政府により任命されるものであるが、憲法15条の示すとおり、実質的には、その使用者は国民全体であり、公務員の労務提供義務は国民全体に対して負うものである」としている。そして、公務員の地位の特殊性と職務の公共性を理由として、その労働基本権について一定の制約を受けるとされた。
(H25 予備 第1問 イ)
国家公務員の労働関係は、国民の代表者により構成される国会の制定した法律、予算によって定められることなどから、争議行為を企てる行為や、これをあおる行為に対して刑罰を科すことは違憲ではないと解されている。
(正答) 〇
(解説)
全農林警職法事件判決(最大判昭48.4.25)は、「公務員の場合は、その給与の財源は国の財政とも関連して主として税収によつて賄われ、・・・その勤務条件はすべて政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により適当に決定されなければならず、しかもその決定は民主国家のルールに従い、立法府において論議のうえなされるべきもので、同盟罷業等争議行為の圧力による強制を容認する余地は全く存しないのである。」「公務員の勤務条件の決定に関し、政府が国会から適法な委任を受けていない事項について、公務員が政府に対し争議行為を行なうことは、的はずれであつて正常なものとはいいがたく、もしこのような制度上の制約にもかかわらず公務員による争議行為が行なわれるならば、使用者としての政府によつては解決できない立法問題に逢着せざるをえないこととなり、ひいては民主的に行なわれるべき公務員の勤務条件決定の手続過程を歪曲することともなつて、憲法の基本原則である議会制民主主義(憲法41条、83条等参照)に背馳し、国会の議決権を侵す虞れすらなしとしないのである。」として、公務員が政府に対して争議行為を行うことは議会制民主主義に反するとして、公務員がかかる行為または争議行為をあおる行為を行うことはできないとした。したがって、争議行為を企てる行為や、これをあおる行為に対して刑罰を科すことは違憲ではない。
(H26 予備 第7問 ア)
国家公務員は、その地位の特殊性や職務の公共性に加え、勤労条件が法律・予算により定められており、人事院をはじめとする代償措置が講じられていることなどからすれば、その争議行為を全面的に禁止することは、やむを得ない制約である。
(正答) 〇
(解説)
全農林警職法事件判決(最大判昭48.4.25)は、「公務員の地位の特殊性と職務の公共性」に加えて、「公務員の場合は、その給与の財源は国の財政とも関連して主として税収によつて賄われ、私企業における労働者の利潤の分配要求のごときものとは全く異なり、その勤務条件はすべて政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により適当に決定されなければならず、しかもその決定は民主国家のルールに従い、立法府において論議のうえなされるべきもので、同盟罷業等争議行為の圧力による強制を容認する余地は全く存しないのである。」として、また、「法は、これらの制約に見合う代償措置として身分、任免、服務、給与その他に関する勤務条件についての周到詳密な規定を設け、さらに中央人事行政機関として準司法機関的性格をもつ人事院を設けている」ことを理由として、争議行為を全面的に禁止することはやむを得ない制約として認めた。
(H26 予備 第7問 イ)
人事院勧告の実施が凍結され、労働基本権の制約の代償措置がその本来の機能を果たさず実際上画餅に等しいとみられる事態が生じた場合には、国家公務員がその正常な運用を要求して相当な手段態様で争議行為を行うことは、憲法上保障される。
(H28 共通 第9問 ア)
公務員の争議行為の制限は国民生活全体の利益を維持増進する必要との調和の見地から合理性の認められる必要最小限度のものでなければならず、職務の性質や違いを考慮することなく公務員の争議行為を一律に禁止することは憲法上許されないとするのが判例の立場である。
(H30 司法 第9問 ウ)
判例は、労働基本権について、公務員にもその保障が及ぶとし、その制約の合憲性を判断する上で、職務の公共性は考慮されるべきではないとする一方、人事院が設けられていることなどの代替措置が整備されていることを重視して、一般私企業とは異なる制約に服するものとする。
(正答) ✕
(解説)
全農林警職法事件判決(最大判昭48.4.25)では、「公務員は、公共の利益のために勤務するものであり、公務の円滑な運営のためには、その担当する職務内容の別なく、それぞれの職場においてその職責を果すことが必要不可缺であつて、公務員が争議行為に及ぶことは、その地位の特殊性および職務の公共性と相容れないばかりでなく、多かれ少なかれ公務の停廃をもたらし、その停廃は勤労者を含めた国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすか、またはその虞れがある」とした。すなわち、公務員の地位の特殊性および職務の公共性を理由として、公務員の基本労働権は一定の制約をうけるとした。したがって、「制約の合憲性を判断する上で、職務の公共性は考慮されるべきではない」とする点で、本肢は誤っている。
(R4 司法 第1問 ウ)
労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が目的とされる絶対的なものではないから、憲法第13条のいう公共の福祉のための制約を受けるほか、公務員の争議行為の禁止の場合のように、勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を受ける。
(正答) ✕
(解説)
全農林警職法事件判決(最大判昭48.4.25)は、「憲法28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶものと解すべき」としつつ、「労働基本権は、右のように、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであつて、それ自体が目的とされる絶対的なものではないから、おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れないものであり、このことは、憲法13条の規定の趣旨に徴しても疑いのないところである」とした。すなわち、憲法13条のいう公共の福祉のための制約を受けるとは別に、勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を受けると捉えているのではなく、13条による制約の中に、国民全体の共同利益の見地からする制約が含まれていると捉えている。
(R5 司法 第8問 ウ)
憲法第28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶが、国家公務員の従事する職務には公共性がある一方、法律によりその主要な勤務条件が定められ、身分が保障されているほか、適切な代償措置が講じられていることなどからすれば、法律により国家公務員の争議行為を禁止することは、勤労者をも含めた国民全体の共同利益の見地からするとやむを得ない制約というべきであって、憲法第28条に違反しない。