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憲法 自衛隊官舎ビラ配布事件 最二小判平成20年4月11日 - 解答モード
概要
判例
過去問・解説
(H29 司法 第6問 ア)
公務員宿舎である集合住宅の各室玄関ドアの新聞受けに、政治的意見を記載したビラを投かんする目的で同集合住宅の敷地等に立ち入った事案について判示した最高裁判所の判決(最判平成20年4月11日)は、被告人らによる政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができ、その行為を刑法第130条前段の罪により処罰することは、表現そのものを処罰することの憲法適合性が問題となるとした。
(H29 司法 第6問 イ)
公務員宿舎である集合住宅の各室玄関ドアの新聞受けに、政治的意見を記載したビラを投かんする目的で同集合住宅の敷地等に立ち入った事案について判示した最高裁判所の判決(最判平成20年4月11日)は、表現の自由は、送り手の情報が妨げられることなく受け手に受領されることを当然に内包しており、本件で被告人らの行為に刑事罰を科すことは、本件公務員宿舎の居住者が情報に接する機会を奪い、その受領権を侵害することになるとした。
(R2 予備 第3問 ア)
自己の政治的意見を記載したビラを配布することは表現の自由の行使ということができるが、居住者が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分や敷地内に管理権者の承諾なく立ち入り、集合郵便受けや各室玄関ドアの郵便受けに当該ビラを投かんする行為は、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで生活する者の私生活の平穏を侵害するものであるから、このような立入り行為をもって邸宅侵入の罪に問うことは許される。
(正答) 〇
(解説)
自衛隊官舎ビラ配布事件判決(最判平20.4.11)は、「本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。したがって、本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反するものではない。」としている。
(R4 共通 第5問 ア)
ビラの配布のために集合住宅の共用部分及び敷地内に管理権者の承諾なく立ち入って、その管理権やそこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害したとしても、ビラの内容が政治的意見を記載したものであれば、表現の自由の行使として尊重されるべきであるから、当該立入り行為を刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反し、許されない。
(正答) ✕
(解説)
自衛隊官舎ビラ配布事件判決(最判平20.4.11)は、、「表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず、被告人らによるその政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができる。」とする一方で、「しかしながら、憲法21条1項も、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである…。」とした上で、「本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。したがって、本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反するものではない。」としている。