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憲法 転居届不受理事件 最一小判平成15年6月26日

概要
市町村長は、住民基本台帳法の適用が除外される者以外の者から同法の規定による転入届があった場合に、その者に新たに当該市町村の区域内に住所を定めた事実があれば、法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことはできず、住民票を作成しなければならない。
判例
事案:住民基本台帳法の規定による転入届を法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として受理しないことの可否が問題となった。

判旨:「住民基本台帳に関する法令の規定及びその趣旨によれば、住民基本台帳は、これに住民の居住関係の事実と合致した正確な記録をすることによって、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするものであるから、…市町村長(地方自治法252条の19第1項の指定都市にあっては区長)は、住民基本台帳法(以下「法」という。)の適用が除外される者以外の者から法旧22条…の規定による転入届があった場合には、その者に新たに当該市町村(指定都市にあっては区)の区域内に住所を定めた事実があれば、法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことは許されず、住民票を作成しなければならないというべきである。
 所論は、地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められるような特別の事情がある場合には、転入届を受理しないことが許される旨をいうが、実定法上の根拠を欠く主張といわざるを得ない。」
過去問・解説
(H24 司法 第6問 ウ)
市町村長は、原則として転入届を受理しなければならない。ただし、市町村には住民の安全を確保する義務があるので、地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められる場合には、転入届を受理しないことも許される。

(正答)  

(解説)
転居届不受理事件判決(最判平15.6.26)は、「市町村長…は、…法…の適用が除外される者以外の者から法旧22条…の規定による転入届があった場合には、その者に新たに当該市町村…の区域内に住所を定めた事実があれば、法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことは許されず、住民票を作成しなければならないというべきである。」とする一方で「所論は、地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められるような特別の事情がある場合には、転入届を受理しないことが許される旨をいうが、実定法上の根拠を欠く主張といわざるを得ない。」としている。
総合メモ
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