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憲法 国税犯則取締法事件 最大判昭和30年4月27日
概要
国税犯則取締法第3条1項が司法官憲によらず、また、司法官憲の発した令状によらずその犯行の現場において捜索・押収等をなし得べきことを規定していることは、憲法第35条に違反しない。
判例
事案:国税犯則取締法第3条1項が司法官憲によらず、また、司法官憲の発した令状によらずその犯行の現場において捜索・押収等をなし得べきことを規定していることは、憲法第35条に違反するかが問題となった。
判旨:「憲法35条は同法33条の場合を除外して住居、書類及び所持品につき侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を保障している。この法意は同法33条による不逮捕の保障の存しない場合においては捜索押収等を受けることのない権利も亦保障されないことを明らかにしたものなのである。然るに右33条は現行犯の場合にあつては同条所定の令状なくして逮捕されてもいわゆる不逮捕の保障には係りなきことを規定しているのであるから、同35条の保障も亦現行犯の場合には及ばないものといわざるを得ない。それ故少くとも現行犯の場合に関する限り、法律が司法官憲によらずまた司法官憲の発した令状によらずその犯行の現場において捜索、押収等をなし得べきことを規定したからとて、立法政策上の当否の問題に過ぎないのであり、憲法35条違反の問題を生ずる余地は存しないのである。」
判旨:「憲法35条は同法33条の場合を除外して住居、書類及び所持品につき侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を保障している。この法意は同法33条による不逮捕の保障の存しない場合においては捜索押収等を受けることのない権利も亦保障されないことを明らかにしたものなのである。然るに右33条は現行犯の場合にあつては同条所定の令状なくして逮捕されてもいわゆる不逮捕の保障には係りなきことを規定しているのであるから、同35条の保障も亦現行犯の場合には及ばないものといわざるを得ない。それ故少くとも現行犯の場合に関する限り、法律が司法官憲によらずまた司法官憲の発した令状によらずその犯行の現場において捜索、押収等をなし得べきことを規定したからとて、立法政策上の当否の問題に過ぎないのであり、憲法35条違反の問題を生ずる余地は存しないのである。」
過去問・解説
(H18 司法 第1問 ウ)
憲法第35条は同法第33条の場合を除外しているから、少なくとも現行犯の場合に関する限り、法律が司法官憲の発した令状によらずにその犯行の現場において捜索押収等をなし得べきことを規定したからといって、憲法第35条違反の問題を生じる余地はない。
憲法第35条は同法第33条の場合を除外しているから、少なくとも現行犯の場合に関する限り、法律が司法官憲の発した令状によらずにその犯行の現場において捜索押収等をなし得べきことを規定したからといって、憲法第35条違反の問題を生じる余地はない。
(正答) 〇
(解説)
国税犯則取締法事件判決(最大判昭30.4.27)は、「憲法…33条は現行犯の場合にあつては同条所定の令状なくして逮捕されてもいわゆる不逮捕の保障には係りなきことを規定しているのであるから、同35条の保障も亦現行犯の場合には及ばないものといわざるを得ない。それ故少くとも現行犯の場合に関する限り、法律が司法官憲によらずまた司法官憲の発した令状によらずその犯行の現場において捜索、押収等をなし得べきことを規定したからとて、立法政策上の当否の問題に過ぎないのであり、憲法35条違反の問題を生ずる余地は存しないのである」としている。
国税犯則取締法事件判決(最大判昭30.4.27)は、「憲法…33条は現行犯の場合にあつては同条所定の令状なくして逮捕されてもいわゆる不逮捕の保障には係りなきことを規定しているのであるから、同35条の保障も亦現行犯の場合には及ばないものといわざるを得ない。それ故少くとも現行犯の場合に関する限り、法律が司法官憲によらずまた司法官憲の発した令状によらずその犯行の現場において捜索、押収等をなし得べきことを規定したからとて、立法政策上の当否の問題に過ぎないのであり、憲法35条違反の問題を生ずる余地は存しないのである」としている。
(R5 共通 第9問 イ)
憲法第35条の下で令状なく住居に侵入し捜索・押収ができるのは、裁判官が発した令状による逮捕の場合、現行犯逮捕の場合及び緊急逮捕の場合に限られ、現行犯として逮捕する要件は備わっていたが、現実には逮捕しない場合は含まれない。
憲法第35条の下で令状なく住居に侵入し捜索・押収ができるのは、裁判官が発した令状による逮捕の場合、現行犯逮捕の場合及び緊急逮捕の場合に限られ、現行犯として逮捕する要件は備わっていたが、現実には逮捕しない場合は含まれない。
(正答) ✕
(解説)
国税犯則取締法事件判決(最大判昭30.4.27)は、「憲法35条は同法33条の場合を除外して住居、書類及び所持品につき侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を保障している。この法意は同法33条による不逮捕の保障の存しない場合においては捜索押収等を受けることのない権利も亦保障されないことを明らかにしたものなのである」としている。すなわち、33条の場合は令状なくして住居に侵入し捜索・押収ができる。現行犯の場合、33条の場合にあたるが、同判決は、33条の場合は33条の場合は令状なくして住居に侵入し捜索・押収ができるとしているのであって、現行犯として逮捕する要件は備わっていたが、現実には逮捕しない場合は含まれないとは述べていない。