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憲法 刑事裁判における証人の喚問 最大判昭和23年7月29日

概要
憲法37条2項は、不正不当の理由に基づくものでない限り、裁判所には被告人又は弁護人が証人申請をした証人を全て喚問すべき義務があるという趣旨に解すべきではない。
判例
事案:裁判所は、被告人又は弁護人の証人申請に基づいて全ての証人を喚問しなければならないのかが問題となった。

判旨:「刑事裁判における証人の喚問は、被告人にとりても又検察官にとりても重要な関心事であることは言うを待たないが、さればといつて被告人又は弁護人からした証人申請に基きすべての証人を喚問し不必要と思われる証人までをも悉く訊問しなければならぬという訳のものではなく、裁判所は当該事件の裁判をなすに必要適切な証人を喚問すればそれでよいものと言うべきである。そして、いかなる証人が当該事件の裁判に必要適切であるか否か、従つて証人申請の採否は、各具体的事件の性格、環境、属性、その他諸般の事情を深く斟酌して、当該裁判所が決定すべき事柄である。しかし、裁判所は、証人申請の採否について自由裁量を許されていると言つても主観的な専制ないし独断に陥ることは固より許され難いところであり、実験則に反するに至ればここに不法を招来することとなるのである。そこで、憲法第37条第2項の趣旨もまた上述するところと相背馳するものではない。同条からして直ちに所論のように、不正不当の理由に基かざる限り弁護人の申請した証人はすべて裁判所が喚問すべき義務があると論定し去ることは、当を得たものと言うことができない。証人の採否はどこまでも前述のごとく事案に必要適切であるか否かの自由裁量によつて当該裁判所が決定すべき事柄である。さて、本件において原裁判所は弁護人から申請のあつた証人中村隆幸について申請を却下したのであるが、つぶさに本件の具体的性質、環境その他諸般の事情を斟酌すれば、該証人の喚問は必ずしも裁判に必要適切なものでないと認めても実験則に反するところはないから、右却下は何等の違法を生ずることがない。」
過去問・解説
(H28 司法 第10問 イ)
刑事被告人は、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する(憲法第37条第2項)から、裁判所は刑事被告人が自身の弁護のために必要であると主張している証人全員の尋問を採用しなければならない。

(正答)  

(解説)
判例(最大判昭23.7.29)は、「被告人又は弁護人からした証人申請に基きすべての証人を喚問し不必要と思われる証人までをも悉く訊問しなければならぬという訳のものではなく、裁判所は当該事件の裁判をなすに必要適切な証人を喚問すればそれでよいものと言うべきである。」としている。
総合メモ
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