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憲法 郵便貯金目減り訴訟 最一小判昭和57年7月15日

概要
政府においてその経済政策の判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため右目標を達成することができず、又はこれに反する結果を招いたとしても、これについて政府の政治的責任が問われることがあるのは格別、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題を生ずるものではない。
判例
事案:郵便貯金が目減したことは政府が経済政策を誤ったことに起因しているとして、国家賠償請求訴訟が提起された。

判旨:「政府が経済政策を立案施行するに当たっては、物価の安定、完全雇用の維持、国際的収支の均衡及び適度な経済成長の維持の4つがその担当者において対応すべき政策目標をなすところ、内閣及び公正取引委員会は右基準特に物価の安定という政策目標の達成への対応を誤りインフレーシヨンを促進したものであって、右はこれら機関の違法行為にあたり、被上告人はこれによる損害の賠償責任を免れない旨主張するが、右上告人らのいう各目標を調和的に実現するために政府においてその時々における内外の情勢のもとで具体的にいかなる措置をとるべきかは、事の性質上専ら政府の裁量的な政策判断に委ねられている事柄とみるべきものであって、仮に政府においてその判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため右目標を達成することができず、又はこれに反する結果を招いたとしても、これについて政府の政治的責任が問われることがあるのは格別、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題を生ずるものとすることはできない。」
過去問・解説
(H18 司法 第19問 オ)
憲法第17条は、「国家無答責の原則」を否定する趣旨の規定であるが、国民に生じたあらゆる損害を国が賠償することまで定めたものではない。例えば、最高裁判所は、内閣等が物価安定という政策目標達成への対応を誤り原告らの郵便貯金を目減りさせたとしても、政府の政治的責任が問われるのは格別、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題は生じない旨判示した。

(正答)  

(解説)
郵便貯金目減り訴訟判決(最判昭57.7.15)は、「政府が経済政策を立案施行するに当たって…、…仮に…その判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため右目標を達成することができず、又はこれに反する結果を招いたとしても、これについて政府の政治的責任が問われることがあるのは格別、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題を生ずるものとすることはできない。」としている。
総合メモ
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