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憲法 共産党袴田事件 最三小判昭和63年12月20日
概要
①政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名その他の処分の当否については、それが一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。
②当該処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、当該処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。
②当該処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、当該処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。
判例
事案:政党が組織内の自律的運営として党員に対して行った除名処分の違法・無効が民事訴訟で争われた。
判旨:「政党は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成する政治結社であって、内部的には、通常、自律的規範を有し、その成員である党員に対して政治的忠誠を要求したり、一定の統制を施すなどの自治権能を有するものであり、国民がその政治的意思を国政に反映させ実現させるための最も有効な媒体であって、議会制民主主義を支える上においてきわめて重要な存在であるということができる。したがって、各人に対して、政党を結成し、又は政党に加入し、若しくはそれから脱退する自由を保障するとともに、政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。他方、右のような政党の性質、目的からすると、自由な意思によって政党を結成し、あるいはそれに加入した以上、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然である。右のような政党の結社としての自主性にかんがみると、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであるから、政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名その他の処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるのを相当とし、したがって、政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであり、他方、右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。」
過去問・解説
(H20 司法 第13問 イ)
国民には、政党を結成し、政党に加入し、若しくは政党を脱退する自由が保障されている。他方、政党は、政治上の信条や意見を共通にするものが任意に結成する団体であるから、党員に対して政治的忠誠を要求し、一定の統制を施すことができる。
国民には、政党を結成し、政党に加入し、若しくは政党を脱退する自由が保障されている。他方、政党は、政治上の信条や意見を共通にするものが任意に結成する団体であるから、党員に対して政治的忠誠を要求し、一定の統制を施すことができる。
(正答) 〇
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「各人に対して、政党を結成し、又は政党に加入し、若しくはそれから脱退する自由を保障するとともに、政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。」とする一方で、「他方、右のような政党の性質、目的からすると、自由な意思によって政党を結成し、あるいはそれに加入した以上、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然である。」としている。
(H20 司法 第13問 ウ)
法律上の権利義務関係をめぐる争訟であっても、政党の除名処分の有効性が紛争の前提問題となっている場合には、宗教上の教義や信仰の対象に関する価値判断が前提問題となっている場合と同様、裁判所の審査権は及ばない。
法律上の権利義務関係をめぐる争訟であっても、政党の除名処分の有効性が紛争の前提問題となっている場合には、宗教上の教義や信仰の対象に関する価値判断が前提問題となっている場合と同様、裁判所の審査権は及ばない。
(正答) ✕
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであり…」とする一方で、「他方、右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。」としており、審理の範囲は限定的ではあるものの、政党の除名処分の有効性について裁判所の審査権が及ぶことを認めている。
(H23 予備 第9問 イ)
政党の処分が党員の一般市民としての権利利益への侵害となり得る場合においても、その処分の当否の司法審査は、政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り、その規範に照らし適正な手続にのっとってされたかどうかの範囲で行われる。
政党の処分が党員の一般市民としての権利利益への侵害となり得る場合においても、その処分の当否の司法審査は、政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り、その規範に照らし適正な手続にのっとってされたかどうかの範囲で行われる。
(正答) 〇
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党が党員に対してした処分が…一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、右処分の当否は、当該政党の自立的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情ない限り右規範に照らし、右規範を有しないといは条理に基づき、適正な手続きに則ってされたか否かによって判断すべき」としている。
(H28 司法 第18問 ア)
政党の党員が、その政党の存立や秩序維持のために、自己の権利や自由に制約を受けることがあることは当然であり、政党が組織内の自律的運営として党員に対して行った処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるのが相当である。
政党の党員が、その政党の存立や秩序維持のために、自己の権利や自由に制約を受けることがあることは当然であり、政党が組織内の自律的運営として党員に対して行った処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるのが相当である。
(正答) 〇
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然である。…政党の結社としての自主性にかんがみると、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであるから、政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名その他の処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるのを相当とし…」としている
(H28 司法 第18問 イ)
政党が党員に対して行った処分が、一般市民法秩序と直接の関係を有しない政党の内部的な問題にとどまるものである場合、裁判所は、その処分を司法審査の対象とするか否かについて、処分の内容や制約される党員の権利の性質等を考慮して、個別に判断するべきである。
政党が党員に対して行った処分が、一般市民法秩序と直接の関係を有しない政党の内部的な問題にとどまるものである場合、裁判所は、その処分を司法審査の対象とするか否かについて、処分の内容や制約される党員の権利の性質等を考慮して、個別に判断するべきである。
(正答) ✕
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない…」として、一律に司法審査を否定している。
(H28 司法 第18問 ウ)
政党が党員に対して行った処分が、党員の一般市民としての権利利益を侵害すると認められる場合、その処分は司法審査の対象となり、裁判所は、政党の有する内部規律に関する決定権に照らしてその処分の内容が合理的か否かについて審査するべきである。
政党が党員に対して行った処分が、党員の一般市民としての権利利益を侵害すると認められる場合、その処分は司法審査の対象となり、裁判所は、政党の有する内部規律に関する決定権に照らしてその処分の内容が合理的か否かについて審査するべきである。
(正答) ✕
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党が党員に対してした処分が…一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。」としており、処分の内容の合理性には司法審査は及ばないとしている。
(H28 予備 第8問 ア)
政党は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成するものであって、党員に対して政治的忠誠を要求し、一定の統制を施すなどの自治権能を有する。
政党は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成するものであって、党員に対して政治的忠誠を要求し、一定の統制を施すなどの自治権能を有する。
(正答) 〇
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成する政治結社であって、内部的には、通常、自律的規範を有し、その成員である党員に対して政治的忠誠を要求したり、一定の統制を施すなどの自治権能を有する」としている。
(H29 司法 第14問 ウ)
政党がその所属党員に対してした除名その他の処分の当否について、裁判所は、原則として適正な手続にのっとってされたか否かを審査して判断すべきであり、一般市民としての権利利益を侵害する場合に限り処分内容の当否を審査できるとするのが判例の立場である。
政党がその所属党員に対してした除名その他の処分の当否について、裁判所は、原則として適正な手続にのっとってされたか否かを審査して判断すべきであり、一般市民としての権利利益を侵害する場合に限り処分内容の当否を審査できるとするのが判例の立場である。
(正答) ✕
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党が党員に対してした処分が…一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。」としており、処分の内容の合理性には司法審査は及ばないとしている。
(R3 共通 第12問 イ)
政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなし得る自由を保障しなければならず、また、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあるのも当然であるから、政党が党員に対してした除名処分の当否は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。
政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなし得る自由を保障しなければならず、また、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあるのも当然であるから、政党が党員に対してした除名処分の当否は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。
(正答) 〇
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名その他の処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるのを相当とし、したがって、政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであ」るとしていることから、政党の党員に対する処分の当否については、政党の内部的な問題に留まる限りは、裁判所の審査権は及ばないといえる。
「政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。他方、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然である。」とした上で、「右のような政党の結社としての自主性にかんがみると、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであるから、政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名その他の処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるのを相当とし、したがって、政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない」としている。
「政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。他方、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然である。」とした上で、「右のような政党の結社としての自主性にかんがみると、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであるから、政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名その他の処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるのを相当とし、したがって、政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない」としている。
(R4 司法 第17問 イ)
政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名処分は、原則として自律的な解決に委ねるのが相当であり、その除名処分が一般市民法秩序と直接の関係のない内部的な問題にとどまる限り、司法審査の対象とはならず、また、一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、その処分の当否は、当該政党の自律的な規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限りその規範に照らし、規範がない場合は条理に基づき、適正な手続にのっとってされたか否かによって決すべきであり、司法審査もこの点に限られる。
政党が組織内の自律的運営として党員に対してした除名処分は、原則として自律的な解決に委ねるのが相当であり、その除名処分が一般市民法秩序と直接の関係のない内部的な問題にとどまる限り、司法審査の対象とはならず、また、一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、その処分の当否は、当該政党の自律的な規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限りその規範に照らし、規範がない場合は条理に基づき、適正な手続にのっとってされたか否かによって決すべきであり、司法審査もこの点に限られる。
(正答) 〇
(解説)
共産党袴田事件判決(最判昭63.12.20)は、「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであり、他方、右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。」としている。