(R6 司法 第18問 イ)
次の対話は、地方自治に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する学生の回答は正しいか。
教授.条例によって罰則を設けることは、罪刑法定主義との関係で問題はないでしょうか。また、条例によって罰則を設けることができるとした場合、その罰則には、法律上、何らかの制限は課されているでしょうか。
学生.条例は、住民の代表機関である地方公共団体の議会の議決によって成立する民主的な立法であり、実質的には法律に準ずるものといえますから、条例によって罰則を設けることはできますし、その罰則には、法律上、特段の制限は課されていません。
(正答)✕
(解説)
大阪市売春取締条例事件判決(最大判昭37.5.30)は、「条例は、法律以下の法令といっても、…公選の議員をもつて組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であつて、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもつて組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものである…。」とした上で、「条例によつて刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。」としている。したがって、本肢前段は正しい。
他方で、本判決は、「条例を制定する権能もその効力も法律の認める範囲を越えることはできないけれども、法律の範囲内にあるかぎり、条例はその効力を有するものといわなければならない…。」としている。したがって、条例によって罰則を定める場合には勿論、「法律の範囲内」(憲法94条)という制限が課される。よって、本肢後段は誤っている。