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憲法 旭川覚せい剤密売電話傍受事件 最三小決平成11年12月16日
概要
重大な犯罪に係る被疑事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合において、電話傍受により侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上で、なお電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許される。
判例
事案:平成11年法律第138号による刑訴法222条の2の追加前において、氏名不詳の被疑者らに対する覚せい剤取締法違反被疑事件について行われた検証許可状に基づく本件電話傍受について、本件当時捜査の手段として法律上認められておらず、憲法31条、35条、13条、21条2項に違反するかが問題となった。
判旨:「所論は、電話の通話内容を通話当事者双方の同意を得ずに傍受すること(以下「電話傍受」という。)は、本件当時、捜査の手段として法律に定められていない強制処分であるから、それを許可する令状の発付及びこれに基づく電話傍受は、刑訴法197条1項ただし書に規定する強制処分法定主義に反し違法であるのみならず、憲法31条、35条に違反し、ひいては、憲法13条、21条2項に違反すると主張する。
電話傍受は、通信の秘密を侵害し、ひいては、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではないと解すべきであって、このことは所論も認めるところである。そして、重大な犯罪に係る被疑事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合において、電話傍受により侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上で、なお電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許されると解するのが相当である。
そこで、本件当時、電話傍受が法律に定められた強制処分の令状により可能であったか否かについて検討すると、電話傍受を直接の目的とした令状は存していなかったけれども、次のような点にかんがみると、前記の一定の要件を満たす場合に、対象の特定に資する適切な記載がある検証許可状により電話傍受を実施することは、本件当時においても法律上許されていたものと解するのが相当である。」
判旨:「所論は、電話の通話内容を通話当事者双方の同意を得ずに傍受すること(以下「電話傍受」という。)は、本件当時、捜査の手段として法律に定められていない強制処分であるから、それを許可する令状の発付及びこれに基づく電話傍受は、刑訴法197条1項ただし書に規定する強制処分法定主義に反し違法であるのみならず、憲法31条、35条に違反し、ひいては、憲法13条、21条2項に違反すると主張する。
電話傍受は、通信の秘密を侵害し、ひいては、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではないと解すべきであって、このことは所論も認めるところである。そして、重大な犯罪に係る被疑事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合において、電話傍受により侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上で、なお電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許されると解するのが相当である。
そこで、本件当時、電話傍受が法律に定められた強制処分の令状により可能であったか否かについて検討すると、電話傍受を直接の目的とした令状は存していなかったけれども、次のような点にかんがみると、前記の一定の要件を満たす場合に、対象の特定に資する適切な記載がある検証許可状により電話傍受を実施することは、本件当時においても法律上許されていたものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R6 司法 第5問 イ)
電話傍受は、憲法第21条第2項後段の定める通信の秘密を侵害し、ひいては個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではなく、法律の定める手続に従って電話傍受を行うことも、憲法上許される。
電話傍受は、憲法第21条第2項後段の定める通信の秘密を侵害し、ひいては個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではなく、法律の定める手続に従って電話傍受を行うことも、憲法上許される。
(正答) 〇
(解説)
旭川覚せい剤密売電話傍受事件決定(最決平11.12.16)は、平成11年刑訴法222条の2の追加前の事案において、「重大な犯罪に係る被疑事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合において、電話傍受により侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上で、なお電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許されると解するのが相当である。」としている。
旭川覚せい剤密売電話傍受事件決定(最決平11.12.16)は、平成11年刑訴法222条の2の追加前の事案において、「重大な犯罪に係る被疑事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合において、電話傍受により侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上で、なお電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許されると解するのが相当である。」としている。