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憲法 八幡製鉄事件 最大判昭和45年6月24日
概要
①会社による政党への寄付は、会社の役割を果たすためになされたものである限り、定款の目的の範囲内の行為である。
②憲法3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものであるから、会社は、公共の福祉に反しないかぎり、政治的行為の自由の一環として、政党に対する政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ず、これをもって国民の参政権を侵害するということはできない。
②憲法3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものであるから、会社は、公共の福祉に反しないかぎり、政治的行為の自由の一環として、政党に対する政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ず、これをもって国民の参政権を侵害するということはできない。
判例
事案:株式会社(八幡製鉄)による自由民主党に対する350万円の政治献金について株主が損害賠償請求訴訟(旧商法266条)を提起した事案において、①会社の政治献金としての寄附が定款所定の目的の範囲内の行為といえるか、②株主の参政権を侵害する民法90条違反の行為に当たるなどが論点となった。
判旨:①「会社は、一定の営利事業を営むことを本来の目的とするものであるから、会社の活動の重点が、定款所定の目的を遂行するうえに直接必要な行為に存することはいうまでもないところである。しかし、会社は、他面において、自然人とひとしく、国家、地方公共団体、地域社会その他(以下社会等という。)の構成単位たる社会的実在なのであるから、…会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものであるかぎり、その期待ないし要請にこたえることは、会社の当然になしうるところであるといわなければならない。そしてまた、会社にとっても、一般に、かかる社会的作用に属する活動をすることは、…間接ではあっても、目的遂行のうえに必要なものであるとするを妨げない。…会社が、その社会的役割を果たすために相当な程度のかかる出捐をすることは、社会通念上、会社としてむしろ当然のことに属するわけであるから、毫も、株主その他の会社の構成員の予測に反するものではなく、したがって、これらの行為が会社の権利能力の範囲内にあると解しても、なんら株主等の利益を害するおそれはないのである。以上の理は、会社が政党に政治資金を寄附する場合においても同様である。憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。そして同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であるから、政党のあり方いかんは、国民としての重大な関心事でなければならない。したがって、その健全な発展に協力することは、会社に対しても、社会的実在としての当然の行為として期待されるところであり、協力の一態様として政治資金の寄附についても例外ではないのである。論旨のいうごとく、会社の構成員が政治的信条を同じくするものでないとしても、会社による政治資金の寄附が、特定の構成員の利益を図りまたその政治的志向を満足させるためでなく、社会の一構成単位たる立場にある会社に対し期待ないし要請されるかぎりにおいてなされるものである以上、会社にそのような政治資金の寄附をする能力がないとはいえないのである。上告人のその余の論旨は、すべて独自の見解というほかなく、採用することができない。要するに、会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げないのである。」
②「憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは、所論のとおりである。しかし、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。のみならず、憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。論旨は、会社が政党に寄附をすることは国民の参政権の侵犯であるとするのであるが、政党への寄附は、事の性質上、国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではないばかりでなく、政党の資金の一部が選挙人の買収にあてられることがあるにしても、それはたまたま生ずる病理的現象に過ぎず、しかも、かかる非違行為を抑制するための制度は厳として存在するのであって、いずれにしても政治資金の寄附が、選挙権の自由なる行使を直接に侵害するものとはなしがたい。会社が政治資金寄附の自由を有することは既に説示したとおりであり、それが国民の政治意思の形成に作用することがあっても、あながち異とするには足りないのである。所論は大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を産むべく、また、もし有力株主が外国人であるときは外国による政治干渉となる危険もあり、さらに豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成するというのであるが、その指摘するような弊害に対処する方途は、さしあたり、立法政策にまつべきことであって、憲法上は公共の福祉に反しないかぎり、会社といえども政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ず、これをもって国民の参政権を侵害するとなす論旨は採用のかぎりでない。」
判旨:①「会社は、一定の営利事業を営むことを本来の目的とするものであるから、会社の活動の重点が、定款所定の目的を遂行するうえに直接必要な行為に存することはいうまでもないところである。しかし、会社は、他面において、自然人とひとしく、国家、地方公共団体、地域社会その他(以下社会等という。)の構成単位たる社会的実在なのであるから、…会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものであるかぎり、その期待ないし要請にこたえることは、会社の当然になしうるところであるといわなければならない。そしてまた、会社にとっても、一般に、かかる社会的作用に属する活動をすることは、…間接ではあっても、目的遂行のうえに必要なものであるとするを妨げない。…会社が、その社会的役割を果たすために相当な程度のかかる出捐をすることは、社会通念上、会社としてむしろ当然のことに属するわけであるから、毫も、株主その他の会社の構成員の予測に反するものではなく、したがって、これらの行為が会社の権利能力の範囲内にあると解しても、なんら株主等の利益を害するおそれはないのである。以上の理は、会社が政党に政治資金を寄附する場合においても同様である。憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。そして同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であるから、政党のあり方いかんは、国民としての重大な関心事でなければならない。したがって、その健全な発展に協力することは、会社に対しても、社会的実在としての当然の行為として期待されるところであり、協力の一態様として政治資金の寄附についても例外ではないのである。論旨のいうごとく、会社の構成員が政治的信条を同じくするものでないとしても、会社による政治資金の寄附が、特定の構成員の利益を図りまたその政治的志向を満足させるためでなく、社会の一構成単位たる立場にある会社に対し期待ないし要請されるかぎりにおいてなされるものである以上、会社にそのような政治資金の寄附をする能力がないとはいえないのである。上告人のその余の論旨は、すべて独自の見解というほかなく、採用することができない。要するに、会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げないのである。」
②「憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは、所論のとおりである。しかし、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。のみならず、憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。論旨は、会社が政党に寄附をすることは国民の参政権の侵犯であるとするのであるが、政党への寄附は、事の性質上、国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではないばかりでなく、政党の資金の一部が選挙人の買収にあてられることがあるにしても、それはたまたま生ずる病理的現象に過ぎず、しかも、かかる非違行為を抑制するための制度は厳として存在するのであって、いずれにしても政治資金の寄附が、選挙権の自由なる行使を直接に侵害するものとはなしがたい。会社が政治資金寄附の自由を有することは既に説示したとおりであり、それが国民の政治意思の形成に作用することがあっても、あながち異とするには足りないのである。所論は大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を産むべく、また、もし有力株主が外国人であるときは外国による政治干渉となる危険もあり、さらに豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成するというのであるが、その指摘するような弊害に対処する方途は、さしあたり、立法政策にまつべきことであって、憲法上は公共の福祉に反しないかぎり、会社といえども政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ず、これをもって国民の参政権を侵害するとなす論旨は採用のかぎりでない。」
過去問・解説
(H20 司法 第13問 ア)
憲法は政党につき明文で規定していないが、政党は国民の政治意思を国政に実現させる最も有効な媒体であり、議会制民主主義は政党を無視してはその円滑な運用を期待することはできない。したがって、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素といえる。
憲法は政党につき明文で規定していないが、政党は国民の政治意思を国政に実現させる最も有効な媒体であり、議会制民主主義は政党を無視してはその円滑な運用を期待することはできない。したがって、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素といえる。
(正答) 〇
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。」としており、また、「政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である」としていることから、同判決は、政党を国民の政治意思を国政に実現させる最も有効な媒体であり、議会制民主主義を支える不可欠な要素と考えているといえる。
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。」としており、また、「政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である」としていることから、同判決は、政党を国民の政治意思を国政に実現させる最も有効な媒体であり、議会制民主主義を支える不可欠な要素と考えているといえる。
(H21 司法 第1問 ア)
憲法第3章の人権規定は、法人についても性質上可能な限り適用される。精神的自由権には、自然人にのみ認められているものと法人にも認められているものがある。信教の自由は、自然人である個人の内面の自由であるから、法人には適用されない。
憲法第3章の人権規定は、法人についても性質上可能な限り適用される。精神的自由権には、自然人にのみ認められているものと法人にも認められているものがある。信教の自由は、自然人である個人の内面の自由であるから、法人には適用されない。
(正答) ✕
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきである」としていることから本肢前段は正しい。しかし、同判決は、信教の自由が自然人にのみ認められるかについては、述べていない。したがって、本肢後段は誤っている。
(H22 司法 第1問 ア)
会社が、国民と同様、特定の政党の政策を支持又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有するとしても、政治資金の寄附は政治の動向に影響を与えることがあるから、会社の政治資金の寄附は国民による寄附と別異に扱わなければならない。
会社が、国民と同様、特定の政党の政策を支持又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有するとしても、政治資金の寄附は政治の動向に影響を与えることがあるから、会社の政治資金の寄附は国民による寄附と別異に扱わなければならない。
(正答) ✕
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。」としていることから、同判決は会社の政治資金の寄附を国民による寄附と別異に扱っていない。
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。」としていることから、同判決は会社の政治資金の寄附を国民による寄附と別異に扱っていない。
(H22 司法 第15問 ア)
日本国憲法には政党にかかわる明文規定はないが、結社の自由が保障され、議院内閣制が採用されていることからすれば、憲法は、国民と議会をつなぐ、言わばパイプ役として、政党の存在を当然予想している。
日本国憲法には政党にかかわる明文規定はないが、結社の自由が保障され、議院内閣制が採用されていることからすれば、憲法は、国民と議会をつなぐ、言わばパイプ役として、政党の存在を当然予想している。
(正答) 〇
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。」としていることから、同判決は政党の存在を当然に予定していると考えている。
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。」としていることから、同判決は政党の存在を当然に予定していると考えている。
(H24 予備 第8問 エ)
憲法は、議会制民主主義を支える不可欠の要素として、政党の存在を当然に予定している。したがって、個人だけでなく、営利法人たる株式会社や特定職業に従事する者についての強制加入団体も、社会的実在として期待される当然の行為として、政党などの政治団体に対して政治資金の寄附を行う権利能力を有する。
憲法は、議会制民主主義を支える不可欠の要素として、政党の存在を当然に予定している。したがって、個人だけでなく、営利法人たる株式会社や特定職業に従事する者についての強制加入団体も、社会的実在として期待される当然の行為として、政党などの政治団体に対して政治資金の寄附を行う権利能力を有する。
(正答) ✕
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない」としていることから、会社には政治資金の寄附を行う自由があるといえる。しかし、南九州税理士会政治献金事件判決(最判平8.3.19)は、「税理士会が政党など規正法上の政治団体に対して金員の寄附をすることは、たとい税理士に係る法令の制定改廃に関する要求を実現するためであっても、…税理士会の目的の範囲外の行為といわざるを得ない。」としていることから、強制加入団体については、会社同様の政治資金の寄附の自由はないといえる。
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない」としていることから、会社には政治資金の寄附を行う自由があるといえる。しかし、南九州税理士会政治献金事件判決(最判平8.3.19)は、「税理士会が政党など規正法上の政治団体に対して金員の寄附をすることは、たとい税理士に係る法令の制定改廃に関する要求を実現するためであっても、…税理士会の目的の範囲外の行為といわざるを得ない。」としていることから、強制加入団体については、会社同様の政治資金の寄附の自由はないといえる。
(H26 共通 第2問 イ)
法人は、現代社会におけるその役割の重要性からすると、全ての人権について、自然人と同程度の保障を受ける。
法人は、現代社会におけるその役割の重要性からすると、全ての人権について、自然人と同程度の保障を受ける。
(正答) ✕
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものである…。」「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきである…。」としていることから、法人において、全ての人権が、自然人と同程度の保障を受けるわけではない。
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものである…。」「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきである…。」としていることから、法人において、全ての人権が、自然人と同程度の保障を受けるわけではない。
(H29 司法 第14問 ア)
憲法には政党について直接規定されていないが、政党は、憲法の定める議会制民主主義を支える上で極めて重要な存在であることから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているとするのが判例の立場である。
憲法には政党について直接規定されていないが、政党は、憲法の定める議会制民主主義を支える上で極めて重要な存在であることから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているとするのが判例の立場である。
(正答) 〇
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。」としていることから、同判決は政党の存在を当然に予定していると考えている。
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。」としていることから、同判決は政党の存在を当然に予定していると考えている。
(H30 予備 第9問 イ)
会社は、法令の規定に従い定款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負うところ、会社が特定の政党に政治資金を寄付することも、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては、定款所定の目的の範囲内の行為とみることができる。
会社は、法令の規定に従い定款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負うところ、会社が特定の政党に政治資金を寄付することも、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては、定款所定の目的の範囲内の行為とみることができる。
(正答) 〇
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げないのである。」としていることから、特定の政党に対する寄付も、会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては、定款の目的の範囲内といえる。
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げないのである。」としていることから、特定の政党に対する寄付も、会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては、定款の目的の範囲内といえる。
(R4 司法 第2問 ア)
最高裁判所は、株式会社による政党への政治資金の寄附が、国民の選挙権の自由な行使を直接に侵害するものであるとしつつ、会社にも政治活動の自由が保障されるため、当該侵害は社会的許容性の限度を超えるものではないと判断されることから、当該寄附が公序良俗に違反すると解することはできないとした。
最高裁判所は、株式会社による政党への政治資金の寄附が、国民の選挙権の自由な行使を直接に侵害するものであるとしつつ、会社にも政治活動の自由が保障されるため、当該侵害は社会的許容性の限度を超えるものではないと判断されることから、当該寄附が公序良俗に違反すると解することはできないとした。
(正答) ✕
(解説)
八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)は、「政党への寄附は、事の性質上、国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではないばかりでなく、政党の資金の一部が選挙人の買収にあてられることがあるにしても、それはたまたま生ずる病理的現象に過ぎず、しかも、かかる非違行為を抑制するための制度は厳として存在するのであって、いずれにしても政治資金の寄附が、選挙権の自由なる行使を直接に侵害するものとはなしがたい。」としていることから、同判決は、会社の政党への政治資金の寄付が、国民の選挙権の行使を直接に侵害するとはしていない。したがって、本肢前段は誤っている。
(R6 司法 第1問 ウ)
人権の享有主体に関する次の記述について、bの見解がaの見解の批判となっている場合には○を、そうでない場合には✕を選びなさい。
a.判例によれば、会社は、自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、自然人たる国民と同様に政治献金をする自由を有するので、会社による政治献金について、自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請はない。
b.会社等の法人に対して、自然人たる国民と同様に政治献金の自由を保障するとしたら、政治腐敗への対応策として企業・団体献金を法律で禁止することが困難になる。
人権の享有主体に関する次の記述について、bの見解がaの見解の批判となっている場合には○を、そうでない場合には✕を選びなさい。
a.判例によれば、会社は、自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、自然人たる国民と同様に政治献金をする自由を有するので、会社による政治献金について、自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請はない。
b.会社等の法人に対して、自然人たる国民と同様に政治献金の自由を保障するとしたら、政治腐敗への対応策として企業・団体献金を法律で禁止することが困難になる。
(正答)〇
(解説)
aの見解は八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)の判例によるものである。
そして、法人を自然人である国民と別異に取り扱わず同様に扱うこととなれば、資金力の差異等があるにもかかわらず法人のみを法律で規制することが困難となり、政治腐敗を引き起こしかねないという批判が妥当する。
aの見解は八幡製鉄事件判決(最大判昭45.6.24)の判例によるものである。
そして、法人を自然人である国民と別異に取り扱わず同様に扱うこととなれば、資金力の差異等があるにもかかわらず法人のみを法律で規制することが困難となり、政治腐敗を引き起こしかねないという批判が妥当する。