現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

憲法 大阪地蔵像訴訟 最一小判平成4年11月16日

概要
市が町会に対して、地蔵像建立あるいは移設のため、市有地の無償使用を承認するなどした行為は、憲法20条3項あるいは憲法89条に違反しない。
判例
事案:大阪市の住民が、大阪市が町会に対し、宗教上の儀式のために土地を無償で貸与することは憲法20条3項に違反すると主張した。

判旨:「本件において、大阪市が各町会に対して、地蔵像建立あるいは移設のため、市有地の無償使用を承認するなどした意図、目的は、市営住宅の建替事業を行うに当たり、地元の協力と理解を得て右事業の円滑な進行を図るとともに、地域住民の融和を促進するという何ら宗教的意義を帯びないものであった、もともと本件のような寺院外に存する地蔵像に対する信仰は、仏教としての地蔵信仰が変質した庶民の民間信仰であったが、それが長年にわたり伝承された結果、その儀礼行事は地域住民の生活の中で習俗化し、このような地蔵像の帯有する宗教性は希薄なものとなっている、本件各町会は、その区域に居住する者等によって構成されたいわゆる町内会組織であって、宗教的活動を目的とする団体ではなく、その本件各地蔵像の維持運営に関する行為も、宗教的色彩の希薄な伝統的習俗的行事にとどまっている、というのである。右事実関係の下においては、大阪市が各町会に対して、地蔵像建立あるいは移設のため、市有地の無償使用を承認するなどした行為は、その目的及び効果にかんがみ、その宗教とのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず、憲法20条3項あるいは89条の規定に違反するものではない。このことは、最高裁昭和46年(行ツ)第69号同52年7月13日大法廷判決(民集31巻4号533頁)及び最高裁同57年(オ)第902号同63年6月1日大法廷判決(民集42巻5号277頁)の趣旨に徴して明らかであ…る。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 ウ)
町会は、地域住民によって構成される町内会組織であって、宗教的活動を目的とする団体ではなく、町会が地蔵像の維持管理を行う行為も宗教的色彩の希薄な伝統的習俗行事にとどまるから、市が地蔵像建立のために市有地を町会に無償提供した行為は、政教分離規定に反しない。

(正答)  

(解説)
大阪地蔵像訴訟判決(最判平4.11.16)は、「本件各町会は、その区域に居住する者等によって構成されたいわゆる町内会組織であって、宗教的活動を目的とする団体ではなく、その本件各地蔵像の維持運営に関する行為も、宗教的色彩の希薄な伝統的習俗的行事にとどまっている」とした上で、「大阪市が各町会に対して、地蔵像建立あるいは移設のため、市有地の無償使用を承認するなどした行為は、その目的及び効果にかんがみ、その宗教とのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず、憲法20条3項あるいは89条の規定に違反するものではない。」としている。
総合メモ
前の判例 次の判例