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国民の権利及び義務

第14条

条文
第14条(法の下の平等、貴族の禁止、栄典)
① すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
過去問・解説
(H24 予備 第1問 エ)
性別とは男女の別をいうが、歴史的に差別されてきたのは女性であるから、憲法上は男性差別を問題にする必要はない。

(正答)  

(解説)
憲法14条1項は、「すべて国民は、…性別…により、…差別されない」と規定しており、禁止する差別を女性差別に限定していない。

(H25 司法 第4問 イ)
憲法第14条第2項は、明治憲法下における華族制度と類似の制度が復活することを禁止しているから、特権を伴う世襲の身分を法律で新たに設けることは許されない。

(正答)  

(解説)
憲法14条2項は、「華族その他の貴族の制度は、これを認めない」と規定しており、貴族制度の廃止を宣明している。その趣旨には貴族制度に類似した制度が復活することを禁止することも含まれる。したがって、特権を伴う世襲の身分という、貴族制度に類似した制度を法律で新たに設けることは許されない。
総合メモ

第15条

条文
第15条(公務員選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障、秘密投票の保障)
① 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
過去問・解説
(R4 予備 第1問 ア)
未成年者は、心身ともにいまだ発達途上にあり成熟した判断能力を持たないから、人権の保障について、成年者と異なる考慮が必要になる。日本国憲法も、「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」と定め、未成年者に選挙権を保障していない。

(正答)  

(解説)
憲法15条3項は、「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」と規定しており、未成年者には選挙権は保障されていない。
総合メモ

第17条

条文
第17条(国及び公共団体の賠償責任)
 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
過去問・解説
(H29 司法 第11問 イ)
無罪判決を受けた刑事被告人が、抑留又は拘禁されたことを理由に、憲法第17条に定める国家賠償を求め得るケースはあり得ない。

(正答)  

(解説)
憲法17条は、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、…国又は公共団体に、その賠償を求めることができる」と規定している。そして、刑事補償法5条は、「この法律は、補償を受けるべき者が国家賠償法…の定めるところにより損害賠償を請求することを妨げない」と規定している。したがって、国家賠償法上の要件を満たす限り、憲法17条に定める国家賠償を求め得る。
総合メモ

第19条

条文
第19条(思想及び良心の自由)
 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。   
過去問・解説
(H18 司法 第11問 ア)
憲法第19条の思想・良心の自由は、人の内心における精神活動の自由を保障したものであり、人の内心は何らかの形で外部に表明されない限りだれも知ることができないものであるから、その意味では、思想・良心の自由の保障は絶対的なものである。

(正答)  

(解説)
憲法19条は、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と規定しており、思想が内心の領域にとどまる限り絶対的に自由であることを意味すると解されている(芦部155~156頁)。したがって、思想・良心の自由の保障は内心にとどまる限りで絶対的なものである。

(H18 司法 第11問 イ)
江戸時代の日本においてキリシタンであるか否かを告白させる目的で行われた「踏絵」は、内心における宗教的信条の告白を強制するものであるが、信教の自由を保障している日本国憲法の下では、このような事例に対して憲法第19条を適用する余地はない。

(正答)  

(解説)
憲法19条は、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と規定しており、思想及び良心の自由には、内心の思想を告白することを強制されないという「沈黙の自由」が含まれると解釈されている。したがって、内心における宗教的信条の告白を強制する「踏絵」のような事例は、沈黙の自由を侵害するものとして、憲法19条により禁止されている。
総合メモ

第20条

条文
第20条(信教の自由)
① 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
③ 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
過去問・解説
(H27 司法 第3問 ウ)
宗教的行為の自由は、憲法第20条第1項前段ではなく、「宗教上の行為」等に「参加することを強制されない」と規定する同条第2項により保障される。

(正答)  

(解説)
憲法20条1項前段は、「信教の自由…を保障する」と規定しており、「信教の自由」には「宗教的行為の自由」が含まれると解されている。したがって、宗教的行為の自由は、憲法20条1項前段によって保障されるのであって、同条2項によって保障されるのではない。

(H27 司法 第3問 エ)
特定の宗教の宣伝や共同で宗教的行為を行うことを目的とする団体を結成する自由は、信教の自由ではなく、憲法第21条第1項の結社の自由として保障される。

(正答)  

(解説)
憲法20条1項前段は、「信教の自由…を保障する」と規定しており、「信教の自由」には「宗教的結社の自由」が含まれると解されている。したがって、結社の自由(憲法21条1項)のうち、宗教的結社については、「信教の自由」としても保障される。
総合メモ

第21条

条文
第21条(集会・結社・表現の自由、通信の秘密)
① 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
過去問・解説
(H19 司法 第12問 ア)
日本国憲法において、政党について直接規定する条文はない。憲法第21条第1項の言論の自由の中で、政党を新たに設立する自由、政党に加入する自由、そして政党を脱退する自由が保障されている。

(正答)  

(解説)
憲法21条1項は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」の保障を規定しており、政党について直接規定していない。また、他の条文にも政党に言及するものは存在しない。したがって、日本国憲法において、政党について直接規定する条文はない。したがって、本肢前段は正しい。
しかし、政党を新たに設立する自由、政党に加入する自由、政党を脱退する自由は、「言論…の自由」(憲法21条1項)ではなく、「結社…の自由」(憲法21条1項)として保障されるものである。したがって、本肢後段は誤っている。
総合メモ

第26条

条文
第26条(教育を受ける権利、教育の義務)
① すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
過去問・解説
(H24 司法 第11問 ア)
憲法第26条第2項前段は、国民がその保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負うことを定めている。これは、同条第1項が保障する子どもの教育を受ける権利の保障に対応したものであって、子ども自身に教育を受ける義務を負わせるものではない。

(正答)  

(解説)
憲法26条2項前段は、「すべて国民は…その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負」うと規定している。これは、「教育を受ける権利」(憲法26条1項)の実質的な保障を目的とするものであって、子ども自身に教育を受ける義務を負わせるものではない。
総合メモ

第27条

条文
第27条(勤労の権利及び義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止)
① すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
② 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
③ 児童は、これを酷使してはならない。
過去問・解説
(H26 共通 第2問 ウ)
未成年者は、精神的・肉体的に未成熟なことから、成人とは異なった特別の保護を必要とする場合があり、このような趣旨から、憲法は児童の酷使を禁止している。

(正答)  

(解説)
憲法27条3項は、「児童は、これを酷使してはならない」と規定しており、憲法は児童の酷使を禁止している。
総合メモ

第28条

条文
第28条(勤労者の団体権)
 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
過去問・解説
(R6 司法 第9問 ア)
労働基本権は、国との関係において勤労者に認められる権利であることから、勤労者が正当な争議行為によって使用者に損害を与えた場合は、何らかの立法措置がない限り、勤労者にその損害賠償責任を免れさせることはできない。

(正答)  

(解説)
憲法28条は、勤労者の労働基本権として「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利」を保障している。これを受けて、労働組合法1条2項は、「使用者は、同盟罷業その他の争議行為であって正当なものによつて損害を受けたことの故をもって、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。」として、民事免責について定めている。
もっとも、労働組合法8条の民事免責は、憲法28条の私人間効力について確認的に規定したものであると理解されているため、仮に労働組合法8条という立法措置がなかったとしても、正当な争議行為については、憲法28条の私人間効力により民事免責が認められる。
総合メモ

第29条

条文
第29条(財産権)
① 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
過去問・解説
(H25 司法 第9問 イ)
財産権の内容は必ず法律によって定めなければならないが、財産権の制約は法律によらずに、政令によることも許される。

(正答)  

(解説)
憲法29条2項は、「財産権の内容は、…法律でこれを定める」と規定している。そして、財産権を制約することは、「財産権の内容…を定める」行為にほかならないから、「法律」によらなければならない。したがって、「法律」ではない「政令」によって財産権を制限することは許されない。
総合メモ

第30条

条文
第30条(納税の義務)
 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
過去問・解説
(H24 司法 第11問 ウ)
憲法第30条は、国民の納税義務を定めている。この規定は、国家の存立に不可欠な財政を支えるという国民としての当然の義務を確認するとともに、その義務の具体化には法律の定めが必要であるとしたものである。

(正答)  

(解説)
憲法30条は、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」と規定している。したがって、30条は、国民の納税義務を定めるとともに、国民に納税の義務を課すには「法律の定め」が必要であるとした規定である。

(R1 司法 第10問 ウ)
憲法第30条は、納税の義務を定めている。この規定は、国政の運営に必要な財政を支えるための国民としての当然の義務を確認したものにすぎず、法律の定めなくして具体的な納税義務を国民に課すことはできない。

(正答)  

(解説)
憲法30条は、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」としている。したがって、30条は、国民の納税義務を定めるとともに、国民に納税の義務を課すには「法律の定め」が必要であるとした規定である。
総合メモ

第40条

条文
第40条(刑事補償)
 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
過去問・解説
(H29 司法 第11問 ア)
抑留又は拘禁という人権制限措置を受けたけれども結果として無罪とされた者に、相応の補償をすることによって、公平の要請を満たそうとするのが憲法第40条の趣旨である。

(正答)  

(解説)
憲法40条は、「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」と規定している。この規定は、抑留又は拘禁された後、結果として無罪の裁判を受けた者に対し、相応の補償をすることによって、公平の要請を満たそうとするものである。

(R6 司法 第10問 ア)
刑事補償請求制度は、憲法第31条以下の刑事手続に関する諸権利の保障によってもなお生じる国民の不利益に対する補償を定めたものであって、公務員の違法行為や故意・過失の有無に関わりなく、結果に対する補償請求を認めており、抑留又は拘禁された後、結果として無罪の裁判を受けた者に対し、相応の補償をすることによって、公平の要請を満たそうとするものである。

(正答)  

(解説)
憲法40条は、「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」と規定している。この規定は、抑留又は拘禁された後、結果として無罪の裁判を受けた者に対し、相応の補償をすることによって、公平の要請を満たそうとするものである。
総合メモ