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国会

第41条

条文
第41条(国会の地位・立法権)
 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
過去問・解説
(R5 予備 第8問 ア)
国会中心立法の原則とは、国の行う立法は、憲法に特別の定めがある場合を除いて、常に国会によってなされなくてはならないという原則であり、憲法に特別の定めがある場合として、両議院の議院規則や最高裁判所規則の制定がある。

(正答)  

(解説)
憲法41条は、「国会は、…国の唯一の立法機関である」と規定しており、国会中心立法の原則を定めている。その内容は、国会による立法以外の実質的意味の立法は、憲法の特別の定めがある場合を除いて許されないというものである。そして、憲法の特別の定めとして、58条2項は、両議院に対して、「会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め」ることを認めている。また、77条1項は、最高裁判所の「訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項」についての規則制定権を認めている。

(R6 司法 第13問 ア)
政党は、議会制民主主義を支える上で重要な存在であるが、憲法は政党に関する特別の規定を置かず、また、現行法では、公職選挙法、政治資金規正法等の法律が、それぞれの法律の目的に応じて政党に関する定めを置いているにすぎない。

(正答)  

(解説)
憲法憲法には政党に関する規定は置かれていないから、本肢前段は正しい。また、政党については、現行法においては、公職選挙法、政治資金規正法等の法律が、それぞれの法律の目的に応じて政党に関する定めを置いているにすぎないから、本肢後段も正しい。
総合メモ

第50条

条文
第50条(議員の不逮捕特権)
 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
過去問・解説
(H18 司法 第17問 イ)
憲法第50条は、両議院の議員は「法律の定める場合を除いては」国会の会期中逮捕されないと定めており、それを受けて、国会法は、議員が国会の会期中に逮捕され得る場合として、院外における現行犯の場合とその院の許諾のある場合を挙げている。

(正答)  

(解説)
憲法50条は、「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕され」ないと規定している。そして、国会法33条は、「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。」と規定しており、議員が国会の会期中に逮捕され得る場合として、「院外における現行犯の場合」および「その院の許諾」のある場合を挙げている。
総合メモ

第53条

条文
第53条(臨時会)
 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
過去問・解説
(R6 予備 第9問 ウ)
内閣は、国会閉会後に緊急の必要が生じた場合、臨時会を召集することができる。また、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、臨時会の召集を決定しなければならない。

(正答)  

(解説)
憲法53条は、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議員の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と規定している。
総合メモ

第54条

条文
第54条(衆議院の解散・特別会、参議院の緊急集会)
① 衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。
② 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
③ 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
過去問・解説
(R3 予備 第10問 ア)
参議院の緊急集会は、衆議院が解散されて総選挙が行われ、特別会が召集されるまでの間に、国会の開会を必要とする緊急の事態が生じた場合に、内閣又は参議院の総議員の4分の1以上の求めによって開かれる。

(正答)  

(解説)
憲法54条2項但書は、「内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる」と規定している。したがって、参議院の緊急集会を求めることができるのは、「内閣」のみであり、「参議院の総議員の4分の1以上」には認められていない。
総合メモ

第57条

条文
第57条(会議の公開、会議録、表決の記載)
① 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
② 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
③ 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
過去問・解説
(H25 司法 第16問 ア)
両議院の会議は公開が原則であり、本会議については傍聴が認められているほか、その記録は公表され、かつ一般に頒布されなければならない。ただし、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは秘密会を開くことができる。

(正答)  

(解説)
憲法57条1項本文は、「両議院の会議は、公開とする。」と規定している。また、憲法57条2項は、会議の記録については、「保存し、…これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない」と規定している。そして、憲法57条1項は、「出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる」と規定している。

(R6 予備 第9問 イ)
両議院の会議は公開が原則であるが、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは秘密会を開くことができる。秘密会では傍聴及び報道が制限され、会議の記録も公表されることはない。

(正答)  

(解説)
憲法57条2項は、「秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。」と規定している。
総合メモ

第58条

条文
第58条(役員の選任、議院規則・懲罰)
① 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
② 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
過去問・解説
(H27 司法 第13問 イ)
国会中心立法の原則には例外がある。その例外は、憲法に特別の定めがある最高裁判所規則の制定だけである。

(正答)  

(解説)
憲法58条2項本文前段は、「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め…ることができる」と規定している。したがって、国会中心立法の原則(憲法41条)の例外は、最高裁判所規則の制定(憲法77条1項)だけではない。

(H28 司法 第15問 イ)
議院の規則制定について規定している憲法第58条第2項は、各議院が独立して議事を審議し議決する以上、当然のことを定めた規定であり、「各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する」事項について、原則として両議院の自主的なルールに委ねる趣旨である。

(正答)  

(解説)
憲法58条2項本文前段は、「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め…ることができる」と規定している。そして、各議員が内部事項について自主的に擬似規則を定めることができることは、各議員が独立して議事を審議し議決する以上、当然である(芦部327~332頁)。したがって、同条は、当然のことを定めた規定であり、「各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する」事項について、原則として両議院の自主的なルールに委ねる趣旨であるといえる。

(R1 司法 第14問 ウ)
議院による懲罰について、公開議場における戒告、公開議場における陳謝、一定期間の登院停止、除名の4種のいずれの懲罰を科すにも、議院がその組織体としての秩序を維持するため、出席議員の過半数の議決を要する。

(正答)  

(解説)
憲法58条2項但書は、「議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする」と規定している。したがって、除名の懲罰を科すには、出席議員の過半数の議決では足りない。

(R6 司法 第14問 イ)
両議院は、各々、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができ、現行法上、公開議場における戒告、公開議場における陳謝、一定期間の登院停止及び除名の4種類の懲罰が規定されているところ、懲罰は院内の秩序の維持に関連して議員に科される制裁であり、議員の院外での行動は懲罰の対象とはならず、議員が正当な理由なく召集に応じない場合であっても懲罰の対象とはならない。

(正答)  

(解説)
憲法58条2項は、「両議院は、…院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。」と規定している。懲罰の手続きについて、国会法121条は、「各議員において懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し審査させ」ると規定している。そして、国会法124条は、「議員が正当な理由がなくて召集日から7日以内に召集に応じないため…議長が、特に招状を発し、その招状を受け取った日から7日以内に、なお、故なく出席しない者は、議長が、これを懲罰委員会に付する。」と規定しており、懲罰の対象となる。なお、国会法122条には4種類の懲罰が規定されており、この点は正しい。
総合メモ

第59条

条文
第59条(法律案の議決、衆議院の優越)
① 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
② 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
③ 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
④ 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
過去問・解説
(H24 共通 第15問 イ)
衆議院が可決した法律案を参議院が可決しなかった場合には、衆議院が出席議員の3分の2以上の多数で再び可決して法律として成立させることができるが、衆議院の再議決の前には両院協議会を開くことが憲法上求められている。

(正答)  

(解説)
憲法59条2項は、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」規定している。そして、同条3項は、「前項の規定は、…衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない」と規定している。したがって、両院協議会の開催は任意的であり、憲法上求められてはいない。

(R5 司法 第14問 イ)
法律案は、衆議院が可決し、参議院がこれと異なった議決をした場合、衆議院が両議院の協議会を開くことを求めなくても、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

(正答)  

(解説)
憲法59条2項は、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と規定している。したがって、衆議院が両議院の協議会を開くことを求めなくても、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
総合メモ

第60条

条文
第60条(衆議院の予算先議、予算議決に関する衆議院の優越)
① 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
② 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
過去問・解説
(H27 司法 第12問 イ)
衆議院と参議院の関係について、日本国憲法は、衆議院に法律案及び予算の先議権を認めているが、法律案及び予算について両議院の意見が対立した場合には、両院協議会を開かなければならないとしている。

(正答)  

(解説)
憲法60条1項は、「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない」と規定しており、衆議院に予算の先議権を認めている。しかし、法律案については同様の規定は存在しないため、日本国憲法は衆議院に法律案の先議権を認めていない。
また、両議員の意見が対立した場合について、予算については、憲法60条2項は「両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき…は、衆議院の議決を国会の議決とする」と規定しており、両院協議会の開催は必要的である。しかし、法律案については、憲法59条3項は「前項の規定は、…衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない」と規定しており、両院協議会の開催は必要的ではない。

(R6 司法 第19問 ア)
条約締結の承認には衆議院の優越が認められているところ、法律案の場合と同様に、参議院が、衆議院によって承認の議決がなされた条約を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院が否決したものとみなすことができる。

(正答)  

(解説)
憲法60条2項は、「予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、…参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」と規定している。そして、憲法61条は、条約締結の承認について、この規定を準用している。

(R6 司法 第19問 イ)
衆議院が承認の議決をした条約を参議院が否決した場合、参議院は、衆議院に両院協議会を求めなければならないが、条約締結の承認には衆議院の優越が認められていることから、衆議院はその請求を拒むことができる。

(正答)  

(解説)
憲法61条が準用する憲法60条2項は、「参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、…両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき…は、衆議院の議決を国会の議決とする。」と規定している。条約締結の承認には衆議院の優越が認められているが、参議院が否決した場合、両院協議会の開催は必要的である。
総合メモ

第61条

条文
第61条(条約の承認に関する衆議院の優越)
 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。
過去問・解説
(H19 司法 第20問 ウ)
条約締結の国会承認については、衆議院の優越が認められており、両議院が異なる議決をした場合で、両院協議会を開いても意見が一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決となるが、衆議院は、両院協議会の開催を拒むことができる。

(正答)  

(解説)
憲法61条は、条約締結の国会承認について、「前条第2項の規定を準用する」と規定している。そして、60条2項は「参議院で衆議院と異なつた議決をした場合…、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき…は、衆議院の議決を国会の議決とする」と規定している。したがって、両院協議会の開催は必要的であり、衆議院は開催を拒むことはできない。

(H24 共通 第15問 ウ)
憲法は条約について、内閣が締結権を有するとしながらも、国会による承認を経ることを求めている。その際には、案件を先に衆議院に提出しなければならず、また議決についても、法律案の場合よりも衆議院の強い優越性が認められている。

(正答)  

(解説)
憲法61条は、条約締結に必要な国会の承認について、「前条第2項の規定を準用する」と規定しており、「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない」と規定する60条1項を準用していない。したがって、条約の承認について、案件を先に衆議院に提出しなければならないわけではない。

(H28 司法 第20問 イ)
条約の締結に必要な国会の承認については、予算の場合と同様、衆議院の優越が認められており、両議院が異なる議決をした場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、条約が承認される。

(正答)  

(解説)
憲法61条は、条約締結の国会承認について、「前条第2項の規定を準用する」と規定している。そして、60条2項は、「参議院で衆議院と異なつた議決をした場合…、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」と規定している。したがって、条約が承認されるのは衆議院で再可決された場合ではない。

(H30 共通 第15問 ア)
条約の承認に関する衆議院の優越の程度は、法律案の議決、予算の議決のいずれの場合と比べても小さい。

(正答)  

(解説)
憲法59条2項は、法律案の議決について、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした」場合、「衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と規定し、同条4項は、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる」と規定している。
一方、条約の承認については、憲法61条は「条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する」と規定している。準用される憲法60条2項は、「参議院で衆議院と異なつた議決をした場合…、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」と規定している。
したがって、衆議院と参議院で異なった議決をした場合に、衆議院における出席議員の3分の2以上の多数での再可決がなくとも衆議院の議決が優先される点で、条約の承認に関する衆議院の優越の程度は、法律案の議決の場合と比べて大きいといえる。

(R2 司法 第18問 ア)
条約締結の国会承認については、衆議院の優越が認められており、条約承認の議案は、先に衆議院に提出しなければならない。

(正答)  

(解説)
憲法61条は、条約締結の国会承認について、「前条第2項の規定を準用する」と規定しており、「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない」と規定する60条1項を準用していない。したがって、条約承認の議案を先に衆議院に提出しなければならないわけではない。

(R5 司法 第20問 ウ)
条約の締結には国会の承認が必要であるが、衆議院が承認の議決をし、参議院でこれと異なった議決をした場合には、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び承認の議決をしたときは、衆議院の議決が国会の議決となる。

(正答)  

(解説)
憲法61条は、条約締結の国会承認について、「前条第2項の規定を準用する」と規定している。そして、憲法60条2項は、「参議院で衆議院と異なつた議決をした場合…、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」と規定している。したがって、衆議院の議決が国会の議決となるのは、衆議院で再び承認の議決がされた場合ではない。

(R6 司法 第19問 ア)
条約締結の承認には衆議院の優越が認められているところ、法律案の場合と同様に、参議院が、衆議院によって承認の議決がなされた条約を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院が否決したものとみなすことができる。

(正答)  

(解説)
憲法60条2項は、「予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、…参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」と規定している。そして、憲法61条は、条約締結の承認について、この規定を準用している。

(R6 司法 第19問 イ)
衆議院が承認の議決をした条約を参議院が否決した場合、参議院は、衆議院に両院協議会を求めなければならないが、条約締結の承認には衆議院の優越が認められていることから、衆議院はその請求を拒むことができる。

(正答)  

(解説)
憲法61条が準用する憲法60条2項は、「参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、…両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき…は、衆議院の議決を国会の議決とする。」と規定している。条約締結の承認には衆議院の優越が認められているが、参議院が否決した場合、両院協議会の開催は必要的である。

(R6 司法 第19問 ウ)
条約の締結は内閣の権限であるが、事前に国会の承認を求めたのに得られなかった条約を内閣が締結することはできず、また、事後に国会の承認を得られなかった条約は国内法的にその効力を有しない。

(正答)  

(解説)
憲法73条3号は、「内閣…の事務」として、「条約を締結すること。」と規定している。そして、同号但書は、「事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」と規定している。
総合メモ

第62条

条文
第62条(議院の国政調査権)
 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
過去問・解説
(H27 司法 第15問 ア)
国政調査権は、各議院を構成する個々の国会議員についても認められている権能であるので、個々の国会議員も行使することができる。

(正答)  

(解説)
憲法62条は、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と規定している。したがって、国政調査権は、「両議院」の権能であり、個々の国会議員については認められていない。
総合メモ

第63条

条文
第63条(閣僚の議院出席の権利と義務)
 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
過去問・解説
(R5 司法 第14問 ア)
内閣総理大臣その他の国務大臣は、法律案について両議院から答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席する義務がある一方、法律案について発言するためであっても、議院から求められない限り、自己が議席を有しない議院に出席することはできない。

(正答)  

(解説)
憲法63条前段は、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる」と規定している。したがって、法律案について発言するためであれば、議院から求められなくても、自己が議席を有しない議院に出席することができる。
総合メモ

第64条

条文
第64条(弾劾裁判所)
① 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
② 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
過去問・解説
(H23 司法 第17問 イ)
日本国憲法は特別裁判所の設置を明文で禁止しているが、弾劾裁判所は、憲法上の例外である。

(正答)  

(解説)
憲法76条2項は、「特別裁判所は、これを設置することができない」と規定しており、特別裁判所の設置を明文で禁止している。もっとも、憲法64条1項は、「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける」規定している。したがって、弾劾裁判所は、特別裁判所の禁止についての憲法上の例外として位置付けられる。

(R6 司法 第15問 イ)
憲法第76条第2項前段は、「特別裁判所は、これを設置することができない。」と規定するところ、この「特別裁判所」とは、特別の事件について裁判するために、通常の裁判所の系列から独立して設けられる裁判機関をいう。裁判官弾劾裁判所は、上記の意味の特別裁判所であるが、憲法上の例外として、設置することが認められている。

(正答)  

(解説)
憲法76条2項は、「特別裁判所は、これを設置することができない」と規定しており、特別裁判所の設置を明文で禁止している。もっとも、憲法64条1項は、「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける」規定している。したがって、弾劾裁判所は、特別裁判所の禁止についての憲法上の例外として位置付けられる。
総合メモ